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序章
ブラッディセリングクライマックス
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「きゃああああああ!!!!」
視界がぐるりと上下逆になった。
痛いとか怖いとかいう前にあたしは見事に吹っ飛ばされていた。というか、空を飛んだ。
あたしの脳内に走馬灯が見える。
父は株で大失敗していなくなった。母は過労で倒れ、家は火事で全焼!
残ったのは、借金と奨学金とゲームで現実逃避する引きこもりの弟。
――つまり、人生ハードモード、極まれり!!
「うそうそ!ここで死ぬの⁉」
まだ何も始まってないのに。株で人生逆転してやるって決意したのに!
今日あたしが足を踏み入れたのがこの世界(東証)。
かつては旧型パソコンの中で数字が行き交うだけの「株式市場」だった。
でも、ある日を境に、それは現実に“具現化”した。
値上がりも暴落も、チャートの波も、全部――本物の波と爆風になって人々を呑みこんだのだ!
街は銘柄ごとに姿を変え地平は売買の跡でひび割れたマーケット荒野へと変貌。
電力会社の廃墟都市もあれば、ゲーム会社の輝く天空城もある。
いまや、この世界の町(銘柄)こそ、かつての上場企業たちの成れの果て!
そして――
昔パソコンにかじりついて数字をいじってた“トレーダー”たちは、
今では剣を握り、魔法を放つ相場戦士(トレーダー)となったのだ!
売買は戦闘、チャートは魔法陣、
そして決算は――まさに運命の審判!!
……つまり、一言で言えば。
「投資は今じゃ命がけ。」
命とお金を賭けた戦いが今日もこの世界のどこかで行われている。
あたしもその一人。必ず大金をつかんでやる。
……と、意気込んだ初日に、ゴーレムにぶっ飛ばされたわけである。
「いたたた……死んだかと思った……」
地面に叩きつけられたあたしはうめいた。
ドガァァァン!!
地面が割れるような轟音! 足元がグラグラ揺れ、瓦礫の隙間から黒い霧がモクモクと立ちのぼる!
地の底から這い上がるように、それはゆっくりと――確実に――姿を現した!
「な、ななな、なに!? あんた誰ぇっ!?」
――ドォン。
あたしの目の前に、巨大な影が立ちはだかった。
人型だけど、顔の代わりにギザギザの為替チャートがグニャグニャ蠢いてる!
体中を赤と緑の線が這いまわり、うめき声とともに数字が浮かんでは消える。
その眼窩では、円マークがドス黒く燃えさかっていた!
「うわあああ! なにこのビジュアル!? 気持ち悪っ!ネットで見たことあるけど実物グロすぎる!」
――含み損の化け物、《ロス・ゴーレム》!!
崩壊した市場に巣食う、欲望と後悔の亡霊!
利確を恐れてポジションを握り潰したトレーダーたちの怨念の集合体。
「うう……バイトクビになった勢いでここ来ちゃったけど、もっと事前勉強しとけばよかった…」
あたしは涙目でつぶやいた。
「やばっ、やばいやばいやばい! 初日で詰んだ!?」
ズシン……ズシン……!
奴が一歩踏み出すたびに、地面が割れ、赤と緑の破片がバラバラと降り注ぐ!
「損切れない……まだ値は戻る……必ずプラスに……」
怨霊のような声が響く。
「怖い怖い怖い! 誰か助けてぇぇぇぇ!!」
あたしがパニックで叫んだその時――!
「ロスカット・パージ!!」
男の声が、雷のように空気を裂いた!
土煙の中から現れたのは、真紅に輝く大剣を握る影!
「リバース・インフェルノォォォ!!!」
ズバァァァァァァァァァァン!!!
閃光が走った。
ロス・ゴーレムの体が一瞬で真っ二つ!
断末魔の叫びを上げながら、怨念の霧とともに消えていく。
「ぎゃあああああああああああ!!」
……沈黙。
風が吹き、砂埃が晴れる。
「い、一体誰……?」
あたしの前に立っていたのは、黒い長髪のイケメンだった。
歳は二十代半ば。
黒銀の甲冑をまとい、紅い光の剣を背に携える――まさに勇者そのもの!
「ゆ……勇者!?」
あたしがポカーンとしてると、男は軽く笑った。
「初心者か? ケガはない?」
「あ、あの……だ、大丈夫です……!」
「この町も最近、ロス・ゴーレムがよく出る。命を大事に、な」
そう言って踵を返す男。
土煙の向こうに去っていくその背中、ちょっとカッコいいかも。
「な、なにあの人……イケメンだけど変な人……」
――風が吹いた。
荒れ果てたこの世界(東証)の地平に、呻き声が響く。
「うう……ううう……」
崩れ落ちたチャートの瓦礫の中で、無数の初心者たちが膝をつく。
その声には、希望の終わりと損失の痛みが宿っていた。
冷たい日経の風(トレンド)が頬を撫でる。
耳に届くのは、絶望のつぶやき。
「聞いたか……? 日経平均、また三百円落ちたらしい……」
「どこまで続くんだ……この下げ相場……」
呪詛のような声が荒野に散る。
空は緑に焼け、チャートの残光が空を裂いた。
カン、カン、カン――。
鐘の音が響く。
それは“引け”の合図であり、同時に“次の戦い”の始まりでもあった。
相場の夜明けは、いつだって絶望の後に訪れる。
「ふん……まだ±0。だけど、ここからが勝負よ!」
あたしは拳を握りしめた。
――決めたんだ。この世界で、勝ち抜いてやるって!
視界がぐるりと上下逆になった。
痛いとか怖いとかいう前にあたしは見事に吹っ飛ばされていた。というか、空を飛んだ。
あたしの脳内に走馬灯が見える。
父は株で大失敗していなくなった。母は過労で倒れ、家は火事で全焼!
残ったのは、借金と奨学金とゲームで現実逃避する引きこもりの弟。
――つまり、人生ハードモード、極まれり!!
「うそうそ!ここで死ぬの⁉」
まだ何も始まってないのに。株で人生逆転してやるって決意したのに!
今日あたしが足を踏み入れたのがこの世界(東証)。
かつては旧型パソコンの中で数字が行き交うだけの「株式市場」だった。
でも、ある日を境に、それは現実に“具現化”した。
値上がりも暴落も、チャートの波も、全部――本物の波と爆風になって人々を呑みこんだのだ!
街は銘柄ごとに姿を変え地平は売買の跡でひび割れたマーケット荒野へと変貌。
電力会社の廃墟都市もあれば、ゲーム会社の輝く天空城もある。
いまや、この世界の町(銘柄)こそ、かつての上場企業たちの成れの果て!
そして――
昔パソコンにかじりついて数字をいじってた“トレーダー”たちは、
今では剣を握り、魔法を放つ相場戦士(トレーダー)となったのだ!
売買は戦闘、チャートは魔法陣、
そして決算は――まさに運命の審判!!
……つまり、一言で言えば。
「投資は今じゃ命がけ。」
命とお金を賭けた戦いが今日もこの世界のどこかで行われている。
あたしもその一人。必ず大金をつかんでやる。
……と、意気込んだ初日に、ゴーレムにぶっ飛ばされたわけである。
「いたたた……死んだかと思った……」
地面に叩きつけられたあたしはうめいた。
ドガァァァン!!
地面が割れるような轟音! 足元がグラグラ揺れ、瓦礫の隙間から黒い霧がモクモクと立ちのぼる!
地の底から這い上がるように、それはゆっくりと――確実に――姿を現した!
「な、ななな、なに!? あんた誰ぇっ!?」
――ドォン。
あたしの目の前に、巨大な影が立ちはだかった。
人型だけど、顔の代わりにギザギザの為替チャートがグニャグニャ蠢いてる!
体中を赤と緑の線が這いまわり、うめき声とともに数字が浮かんでは消える。
その眼窩では、円マークがドス黒く燃えさかっていた!
「うわあああ! なにこのビジュアル!? 気持ち悪っ!ネットで見たことあるけど実物グロすぎる!」
――含み損の化け物、《ロス・ゴーレム》!!
崩壊した市場に巣食う、欲望と後悔の亡霊!
利確を恐れてポジションを握り潰したトレーダーたちの怨念の集合体。
「うう……バイトクビになった勢いでここ来ちゃったけど、もっと事前勉強しとけばよかった…」
あたしは涙目でつぶやいた。
「やばっ、やばいやばいやばい! 初日で詰んだ!?」
ズシン……ズシン……!
奴が一歩踏み出すたびに、地面が割れ、赤と緑の破片がバラバラと降り注ぐ!
「損切れない……まだ値は戻る……必ずプラスに……」
怨霊のような声が響く。
「怖い怖い怖い! 誰か助けてぇぇぇぇ!!」
あたしがパニックで叫んだその時――!
「ロスカット・パージ!!」
男の声が、雷のように空気を裂いた!
土煙の中から現れたのは、真紅に輝く大剣を握る影!
「リバース・インフェルノォォォ!!!」
ズバァァァァァァァァァァン!!!
閃光が走った。
ロス・ゴーレムの体が一瞬で真っ二つ!
断末魔の叫びを上げながら、怨念の霧とともに消えていく。
「ぎゃあああああああああああ!!」
……沈黙。
風が吹き、砂埃が晴れる。
「い、一体誰……?」
あたしの前に立っていたのは、黒い長髪のイケメンだった。
歳は二十代半ば。
黒銀の甲冑をまとい、紅い光の剣を背に携える――まさに勇者そのもの!
「ゆ……勇者!?」
あたしがポカーンとしてると、男は軽く笑った。
「初心者か? ケガはない?」
「あ、あの……だ、大丈夫です……!」
「この町も最近、ロス・ゴーレムがよく出る。命を大事に、な」
そう言って踵を返す男。
土煙の向こうに去っていくその背中、ちょっとカッコいいかも。
「な、なにあの人……イケメンだけど変な人……」
――風が吹いた。
荒れ果てたこの世界(東証)の地平に、呻き声が響く。
「うう……ううう……」
崩れ落ちたチャートの瓦礫の中で、無数の初心者たちが膝をつく。
その声には、希望の終わりと損失の痛みが宿っていた。
冷たい日経の風(トレンド)が頬を撫でる。
耳に届くのは、絶望のつぶやき。
「聞いたか……? 日経平均、また三百円落ちたらしい……」
「どこまで続くんだ……この下げ相場……」
呪詛のような声が荒野に散る。
空は緑に焼け、チャートの残光が空を裂いた。
カン、カン、カン――。
鐘の音が響く。
それは“引け”の合図であり、同時に“次の戦い”の始まりでもあった。
相場の夜明けは、いつだって絶望の後に訪れる。
「ふん……まだ±0。だけど、ここからが勝負よ!」
あたしは拳を握りしめた。
――決めたんだ。この世界で、勝ち抜いてやるって!
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