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第一章
暴騰!?そんなの関係ねぇ!東証で叫べ、セーフゾーンウォール!!
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翌朝。
私――サキは、町の中心にある「酒場(けいじばん)」へ足を運んでいた。
酒場の外観は一見ただの居酒屋。でも中に入れば、まるで祭りの真っ最中だった!
「この町は資産がたんまりあるから心配無用だぜ!」
「そりゃあな! 町長が金儲けの天才なんだからよ!」
「聞いたか!? 来期も『コイン』を追加で買い付けるって話だ!」
「町長が買うコインは必ず上がる! 我らが町は安泰だ!」
――どいつもこいつも、満面の笑みでグラスを掲げていた。
……うん。よくわからん。
「イナゴどもが……」
低く冷たい声が、右後ろから聞こえた。
振り返ると――そこには25歳くらいの一人の男。
長身に黒髪を後ろで束ね、鋭い瞳。肩には古びたプレートアーマー。
手にはビールジョッキ。そして右手首には光を放つ小型デバイス。
昨日の勇者みたいなイケメンだ。
「……変な格好」
思わず漏れた独り言を、男はしっかりキャッチしていた。
「昨日のお嬢ちゃんじゃないか。おいおい、この世界で防御力が低いのは致命的だぜ?
まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ――ってな」
ふっと笑いながらビールを一口。
その口調に棘はなく、むしろ妙な安心感がある。
「相場、長いんですか?」
「相場? そうだな……リーマンの崩壊、東関東大震災、コ◎ナの嵐……全部見た。」
「……それ何歳なんですか」
「秘密だ。」
とぼけたように笑うイケメン改めイケオジ。やけに余裕がある。
「お嬢ちゃんは?」
「始めたばかりです。インフルエンサーの人がおすすめしてたから、この町に来たんですけど……」
男は少しだけ目を細めた。
「……悪いことは言わねえ。働きながら“インデックスの町”に行け。あそこは安定してる。」
「インデックスの町……?」
「知らねえのか。まあ、いい。要は『平和』だ。」
彼が再びグラスを傾けようとした、その時――
________________________________________
ドゴォォォォォォン!!!
酒場全体が揺れた!
床がビリビリと震え、皿が跳ね、ビールがぶちまけられる。
「な、なに!? 地震!?」
「……いや、違う」
――男が急に真剣な顔になる。
「やばい、隣町で“でっかいタワー”がぶち上がった!」
「タ、タワー!?」
「材料が出たんだ! 今すぐ行くぞ!!」
酒場の人々がグラスを放り出し、我先にと外へ飛び出していく。
残されたのは私と彼――だけ。
「な、なんなの今の!?ファンダって何⁉」
「株価が上がるいいニュースが出たってことだ。見て確かめるか。社会勉強だ。俺がついてるから安心しな。」
そう言って彼はグラスを置き、手招きした。
おずおずと外に出た瞬間――
________________________________________
ゴオオオオオオッ!!!
暴風が吹き荒れた!
空気が震える! 地面が光る!
世界が……チャートみたいにうねってる!?
「な、なにこれぇぇぇぇぇぇ!!!」
「よく見ろ! 風下の方だ!」
男が指差す先、そこには――
真っ赤に燃える**光の塔**が、天を突いていた。
「……あれが……陽線……?」
「そうだ。あの町でポジティブな情報が出た証。
投資家の欲望が集まり、チャートが天を突く時、陽線タワーが現れる!」
「ってことは、あの町は今、儲かってるってことね!?」
「……まあ、そう単純じゃ――」
「行かなくちゃ!! 今行けば私も儲かる!!」
走り出した私の腕を、男がガシッと掴んだ。
「離して! 今がチャンスなんです!!!」
「バカやろう! あれは欲望の塔だ! 近づけば魂を喰われるぞ!!」
「離してぇぇぇぇぇっ!!」
「……仕方ねぇ!! ――《セーフゾーン・ウォール》!!」
________________________________________
ブワッ!!
彼のデバイスがまばゆく光り、周囲に半透明の球体が展開された。
その瞬間、暴風がピタリと止まる。
「……あれ、私、何を……?」
たった今まで、あんなにタワーに惹かれていたのに。
「手首を見ろ。」
「え?」
見下ろすと、私の腕や足に黒い靄が絡みついていた。
ぬるりと蠢くそれは、確かな“生き物”の気配を持っている。
「な、なにこれ!?」
「それは“お前の欲”とタワーの吸引力が共鳴して生まれた魔物――デマンド・シェイドだ!」
彼がデバイスを掲げると、赤い光が収束し、形を変える。
それは――鋭い刃。
「ナイフ・モード、オン!」
「グギャアアアアア!!」
黒い靄が形を成す。
顔のない人型、けれど口だけが裂けて笑っている。
「下がってろ!」
「は、はいっ!」
男が踏み込み、ナイフが光を切り裂く。
しゅぱっ! しゅぱっ! しゅぱしゅぱしゅぱっ!!
「東証チャネル・スラッシュッ!!!」
閃光の軌跡が夜空に走る。
黒いモンスターが断末魔を上げ、霧のように消えた。
「アアアアアアア……」
音もなく消える闇。
私の手首もすっかり軽くなっていた。
「す、すごい……小型デバイスって、そんなことまでできるんですね!」
「ま、ベテランの相場戦士ならな。」
ぽりぽりと頭をかくその姿、ちょっと可愛い。
「お嬢ちゃん、もう分かったろ? インデックスの町に行け。あそこなら安全――」
「いいえ! 弟子にしてください!!!」
「は?」
目を輝かせるあたし。
目が点になる彼。
「この世界の戦い方を、私にも教えてください!!!」
この人しかいない、と思った。あたしがこの世界で生き抜くためには知識も実力もまだまだ足りない。
「……悪いが、弟子はとってねぇ。」
「じゃあ勝手についていきます! 気にしないで!」
「おいおい……」
頭をかきながら苦笑する男。やっぱりちょっと可愛い。
「まあ、この相場に初心者一人放り出すのもな……」
そう言って、彼は溜息をついた。
「俺の名はレイ。東証の相場戦士《トレーダー》だ。」
「あたしはサキです。よろしくお願いしますっ!」
「よろしくな、サキ。」
こうして、私とレイの――
凸凹トレードコンビが誕生した。
私――サキは、町の中心にある「酒場(けいじばん)」へ足を運んでいた。
酒場の外観は一見ただの居酒屋。でも中に入れば、まるで祭りの真っ最中だった!
「この町は資産がたんまりあるから心配無用だぜ!」
「そりゃあな! 町長が金儲けの天才なんだからよ!」
「聞いたか!? 来期も『コイン』を追加で買い付けるって話だ!」
「町長が買うコインは必ず上がる! 我らが町は安泰だ!」
――どいつもこいつも、満面の笑みでグラスを掲げていた。
……うん。よくわからん。
「イナゴどもが……」
低く冷たい声が、右後ろから聞こえた。
振り返ると――そこには25歳くらいの一人の男。
長身に黒髪を後ろで束ね、鋭い瞳。肩には古びたプレートアーマー。
手にはビールジョッキ。そして右手首には光を放つ小型デバイス。
昨日の勇者みたいなイケメンだ。
「……変な格好」
思わず漏れた独り言を、男はしっかりキャッチしていた。
「昨日のお嬢ちゃんじゃないか。おいおい、この世界で防御力が低いのは致命的だぜ?
まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ――ってな」
ふっと笑いながらビールを一口。
その口調に棘はなく、むしろ妙な安心感がある。
「相場、長いんですか?」
「相場? そうだな……リーマンの崩壊、東関東大震災、コ◎ナの嵐……全部見た。」
「……それ何歳なんですか」
「秘密だ。」
とぼけたように笑うイケメン改めイケオジ。やけに余裕がある。
「お嬢ちゃんは?」
「始めたばかりです。インフルエンサーの人がおすすめしてたから、この町に来たんですけど……」
男は少しだけ目を細めた。
「……悪いことは言わねえ。働きながら“インデックスの町”に行け。あそこは安定してる。」
「インデックスの町……?」
「知らねえのか。まあ、いい。要は『平和』だ。」
彼が再びグラスを傾けようとした、その時――
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ドゴォォォォォォン!!!
酒場全体が揺れた!
床がビリビリと震え、皿が跳ね、ビールがぶちまけられる。
「な、なに!? 地震!?」
「……いや、違う」
――男が急に真剣な顔になる。
「やばい、隣町で“でっかいタワー”がぶち上がった!」
「タ、タワー!?」
「材料が出たんだ! 今すぐ行くぞ!!」
酒場の人々がグラスを放り出し、我先にと外へ飛び出していく。
残されたのは私と彼――だけ。
「な、なんなの今の!?ファンダって何⁉」
「株価が上がるいいニュースが出たってことだ。見て確かめるか。社会勉強だ。俺がついてるから安心しな。」
そう言って彼はグラスを置き、手招きした。
おずおずと外に出た瞬間――
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ゴオオオオオオッ!!!
暴風が吹き荒れた!
空気が震える! 地面が光る!
世界が……チャートみたいにうねってる!?
「な、なにこれぇぇぇぇぇぇ!!!」
「よく見ろ! 風下の方だ!」
男が指差す先、そこには――
真っ赤に燃える**光の塔**が、天を突いていた。
「……あれが……陽線……?」
「そうだ。あの町でポジティブな情報が出た証。
投資家の欲望が集まり、チャートが天を突く時、陽線タワーが現れる!」
「ってことは、あの町は今、儲かってるってことね!?」
「……まあ、そう単純じゃ――」
「行かなくちゃ!! 今行けば私も儲かる!!」
走り出した私の腕を、男がガシッと掴んだ。
「離して! 今がチャンスなんです!!!」
「バカやろう! あれは欲望の塔だ! 近づけば魂を喰われるぞ!!」
「離してぇぇぇぇぇっ!!」
「……仕方ねぇ!! ――《セーフゾーン・ウォール》!!」
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ブワッ!!
彼のデバイスがまばゆく光り、周囲に半透明の球体が展開された。
その瞬間、暴風がピタリと止まる。
「……あれ、私、何を……?」
たった今まで、あんなにタワーに惹かれていたのに。
「手首を見ろ。」
「え?」
見下ろすと、私の腕や足に黒い靄が絡みついていた。
ぬるりと蠢くそれは、確かな“生き物”の気配を持っている。
「な、なにこれ!?」
「それは“お前の欲”とタワーの吸引力が共鳴して生まれた魔物――デマンド・シェイドだ!」
彼がデバイスを掲げると、赤い光が収束し、形を変える。
それは――鋭い刃。
「ナイフ・モード、オン!」
「グギャアアアアア!!」
黒い靄が形を成す。
顔のない人型、けれど口だけが裂けて笑っている。
「下がってろ!」
「は、はいっ!」
男が踏み込み、ナイフが光を切り裂く。
しゅぱっ! しゅぱっ! しゅぱしゅぱしゅぱっ!!
「東証チャネル・スラッシュッ!!!」
閃光の軌跡が夜空に走る。
黒いモンスターが断末魔を上げ、霧のように消えた。
「アアアアアアア……」
音もなく消える闇。
私の手首もすっかり軽くなっていた。
「す、すごい……小型デバイスって、そんなことまでできるんですね!」
「ま、ベテランの相場戦士ならな。」
ぽりぽりと頭をかくその姿、ちょっと可愛い。
「お嬢ちゃん、もう分かったろ? インデックスの町に行け。あそこなら安全――」
「いいえ! 弟子にしてください!!!」
「は?」
目を輝かせるあたし。
目が点になる彼。
「この世界の戦い方を、私にも教えてください!!!」
この人しかいない、と思った。あたしがこの世界で生き抜くためには知識も実力もまだまだ足りない。
「……悪いが、弟子はとってねぇ。」
「じゃあ勝手についていきます! 気にしないで!」
「おいおい……」
頭をかきながら苦笑する男。やっぱりちょっと可愛い。
「まあ、この相場に初心者一人放り出すのもな……」
そう言って、彼は溜息をついた。
「俺の名はレイ。東証の相場戦士《トレーダー》だ。」
「あたしはサキです。よろしくお願いしますっ!」
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