コートの中の秘密

ねこSAM

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3.Autumn

Autumn

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「あのぅ、希美ちゃん、、、」

夏休み明け、久々に学校に行くと、珍しくクラスメイトから声をかけられた。
彼女は加藤あいちゃん。確かそんな名前の芸能人がいたけど、おそらく何の関係もないだろう。珍しい名前でもないし。彼女も私同様おとなしめで、どのグループにも属していない。

「希美ちゃんって、、、にゃんちゃん?」

ハッ!まさか学内でアイドル活動がバレる日が来るとは。いや、別にバレても問題はないんだけどね。

「そ、そうだよ」

「やっぱりそうなんだ。私アイドルとか見に行ってて、もしかしてと思って、、、」

えー全然気づかなかった。ほぼ男性しかいないから現場に女の子いると目立つんだけどな。それともよっぽどこっそり見てたのか。

そんなわけであいちゃんとは少し仲良くなってたまに喋るようになった。友だちは要らないなんて強がっていたけど、やっぱり居たら居たで嬉しいものよね。課題とかも相談できるし。

相変わらず先生方にはなぜか目をつけられているんだけど、少しずつスクールライフが楽しくなってきた。

**********

「キャー!」

9月の終わりといってもまだまだ暑い。そんな日の週末のライブで事件は起きた。

いつものようにライブは終わり、チェキ撮影タイムになったとき、葵ちゃんの悲鳴が響き渡る。

見れば一人のファン、いや、一人の男と言うべきか、男がカッターを右手にかかげ、何かをわめいている。

刃物は刃物なので、危険ではあるが、包丁や本格的なナイフじゃなくてカッターなので、スタッフやファンの方々に簡単に取り押さえられてしまった。

チェキ撮影会はその場で中止となり、解散となってしまった。
後で聞いたところによると、葵ちゃんが自分より新参のファンと親しげに話していたという理由らしく、え?そんなことで?って思うんだけど、彼にとっては周りが見えなくなってしまったようで、あんな愚行に及んでしまったそうです。
まあ何十人もいればおかしな人もいてもおかしくないし、ある程度覚悟して想定しておかないといけないんだけどね。

その事件があってからというもの、影響があってかどうかわからないけれども、徐々に客足が減ってきたように感じる。

そして、その知らせは運営さんから突然告げられた。

"ペンタヘブンは11/3の1周年記念ライブをもって解散します"

えー!?
そりゃ永遠に続けられるわけはないし、いつかは終わりが来るのはわかっていたけども、あまりにも突然で、あまりにも早すぎる。
しかし、決まってしまったものは私たちがどうこう言っても変わらないから、とにかくラストライブを頑張るしかない。

1年前のデビューライブと同じ日、同じ箱。私たちの1年間の成長を見せてあげるわ。
1曲しかなかったオリジナル曲も今は5曲だし、ファンのみなさんのコールも固まってきていて、盛り上がりは全然違う。

「ファンのみなさま、今日は私たちの最後のライブに駆けつけてくださって、本当にありがとうございました。」

90分のライブはあっという間に終わり、ラストは5人とも号泣していた。
1年間最高の景色を見させてもらったわ、ありがとう。他の4人のメンバーとは特別仲がいいというわけではないけど、この5人でやってこれて本当に良かったと思える。

最後のチェキ会はひろきゅんさん、タンメンさんはもちろん、あいちゃんも来てくれて、半泣きではあったが、楽しく過ごせた。
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