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四 焦燥(しょうそう)
焦燥
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朝日と鳥のさえずりとともに起床した。なんて平和な朝だろう。
昨晩のことは夢か現実か。まあどちらにしても座敷童子から受け取ったメッセージはまだ覚えている。これを何とか解読しなければ。
まずは帰る準備をしよう。男の身支度などものの数分で完了する。
何が昨晩の出来事を誰かに伝えたくて焦っている。チェックアウトするために受付に向かう。
「座敷童子ちゃんには会えましたか?」
「はい、会いました。」
「それは良かったですね。」
「ただ、モノクロで見えたんですよね。」
「形や色の見え方は人それぞれですから、会えただけで良いことです。」
座敷童子に会ったという客は普通にいるらしく、大して驚いた様子もない。メッセージのことはなぜか口にできなかった。
旅館を早々に後にして帰路につく。
帰りながらもメッセージの意味を考えてみる。
まずはギャンブル系の可能性。あの数字に関連するもので大儲けできるとか、最初にこれが思いつくとは我ながら情けない。しかし、思いつく限りのギャンブルは試してみよう。
次に災害の警告の可能性。まだ震災の記憶が残っている。今が三月上旬だから二十三日からの三日間に気をつけなければ。
まだリフレッシュ休暇は始まったばかりではあるが、まずは職場の同僚達に伝えるべく職場に直接向かった。
「あれ?編集長、今日から休みだったんじゃないですか?」
「そうなんだけど、それよりみんな聞いてくれ。」
一応みんな仕事中ではあるので、私は昨日起こった出来事を手短に抜粋して語った。そして最後にこう付け加えた。
「いいか、二十三日からは何かあるかもしれないから、水、食料、おむつなんかの日用品、少し買いだめしておけよ。」
普段適当なことしか言わない私があまりにも真剣に話すものだから、みんな真に受けて、茶化すようなことはしない。
「わ、わかりました。気を付けます。」
とりあえず、誰かに伝えたことによって少し落ち着いた。自宅に帰ったが、妻に伝えるのはどうするかな、いややめておこう。話したところで取り合ってくれないのは目に見えている。
残りの休暇はギャンブル三昧となった。
パチンコは二十三から二十五番を狙って座ってみる。
競馬はニを軸に三から五を流してみる。
ロト6はやったことなかったが、やってみた。当然あの番号を入れて。
宝くじは二十番台が入っているものを選んでもらい、連番で買った。
思いつく限りのギャンブルはやってみた。競艇、競輪、オートレースは頭をよぎったが、やったこともないし、近くにないので、買い方もわからないし、あまり広げても大変なので今回はやめておいた。
結果は・・・、見事に全部惨敗だった。普段何も考えずに、適当にやってもどれかは当たりそうなものだが、本当に見事に外した。
ということはやはり災害なのだろうか。
休暇が明けて仕事に復帰したが、みんな特に例のことに触れることもなく、通常通り仕事をこなしていった。
まもなく二十三日を迎える。一応自分も普段より多めに水、食料を買い込んで、ガソリンも満タンにして備えた。ちょうど金、土、日であったが、おとなしく家にこもって過ごす。
そして・・・、何もなかった。
うーん、そうするとあの「お告げ」は何だったのだろうか。
会社に向かう足取りが重い。みんなになんて言われることか。
「編集長!あんなに脅しておいて、何もなかったじゃないですか!」
「私なんて、おむつと水と食料、大量に買い込んじゃったんですよ。」
うん、こうなるよな。
「そんなもん、いずれ必要になるんだからいいべや。」
「まあ、そうなんですけど。」
昨晩のことは夢か現実か。まあどちらにしても座敷童子から受け取ったメッセージはまだ覚えている。これを何とか解読しなければ。
まずは帰る準備をしよう。男の身支度などものの数分で完了する。
何が昨晩の出来事を誰かに伝えたくて焦っている。チェックアウトするために受付に向かう。
「座敷童子ちゃんには会えましたか?」
「はい、会いました。」
「それは良かったですね。」
「ただ、モノクロで見えたんですよね。」
「形や色の見え方は人それぞれですから、会えただけで良いことです。」
座敷童子に会ったという客は普通にいるらしく、大して驚いた様子もない。メッセージのことはなぜか口にできなかった。
旅館を早々に後にして帰路につく。
帰りながらもメッセージの意味を考えてみる。
まずはギャンブル系の可能性。あの数字に関連するもので大儲けできるとか、最初にこれが思いつくとは我ながら情けない。しかし、思いつく限りのギャンブルは試してみよう。
次に災害の警告の可能性。まだ震災の記憶が残っている。今が三月上旬だから二十三日からの三日間に気をつけなければ。
まだリフレッシュ休暇は始まったばかりではあるが、まずは職場の同僚達に伝えるべく職場に直接向かった。
「あれ?編集長、今日から休みだったんじゃないですか?」
「そうなんだけど、それよりみんな聞いてくれ。」
一応みんな仕事中ではあるので、私は昨日起こった出来事を手短に抜粋して語った。そして最後にこう付け加えた。
「いいか、二十三日からは何かあるかもしれないから、水、食料、おむつなんかの日用品、少し買いだめしておけよ。」
普段適当なことしか言わない私があまりにも真剣に話すものだから、みんな真に受けて、茶化すようなことはしない。
「わ、わかりました。気を付けます。」
とりあえず、誰かに伝えたことによって少し落ち着いた。自宅に帰ったが、妻に伝えるのはどうするかな、いややめておこう。話したところで取り合ってくれないのは目に見えている。
残りの休暇はギャンブル三昧となった。
パチンコは二十三から二十五番を狙って座ってみる。
競馬はニを軸に三から五を流してみる。
ロト6はやったことなかったが、やってみた。当然あの番号を入れて。
宝くじは二十番台が入っているものを選んでもらい、連番で買った。
思いつく限りのギャンブルはやってみた。競艇、競輪、オートレースは頭をよぎったが、やったこともないし、近くにないので、買い方もわからないし、あまり広げても大変なので今回はやめておいた。
結果は・・・、見事に全部惨敗だった。普段何も考えずに、適当にやってもどれかは当たりそうなものだが、本当に見事に外した。
ということはやはり災害なのだろうか。
休暇が明けて仕事に復帰したが、みんな特に例のことに触れることもなく、通常通り仕事をこなしていった。
まもなく二十三日を迎える。一応自分も普段より多めに水、食料を買い込んで、ガソリンも満タンにして備えた。ちょうど金、土、日であったが、おとなしく家にこもって過ごす。
そして・・・、何もなかった。
うーん、そうするとあの「お告げ」は何だったのだろうか。
会社に向かう足取りが重い。みんなになんて言われることか。
「編集長!あんなに脅しておいて、何もなかったじゃないですか!」
「私なんて、おむつと水と食料、大量に買い込んじゃったんですよ。」
うん、こうなるよな。
「そんなもん、いずれ必要になるんだからいいべや。」
「まあ、そうなんですけど。」
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