身長48メートルの巨大少女ですけど普通のJKさせてもらっても良いんですか!?

穂鈴 えい

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Ⅰ 入学

徒歩100キロの通学路 2

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わたしは早朝の3時にスマホの振動音だけの目覚ましをかけておいた。枕元で震えるスマホを止めて、目を覚ます。

朝の3時なんて、まだまだ眠い時間なのに、ちゃんと無音の目覚ましでで起きられた自分を褒めてあげたい。目覚ましの音を鳴らさないようにしているのは、わたしを起こすための音を鳴らすと、町内放送みたいな音量になるので、近所からクレームが来ちゃうからだ。

まあ、このスマホの震えだって、普通の人が近くにいたら、立っていられないような強い揺れになるのだとは思うけれど、ここは家の中だから大丈夫。わたしにはただのスマホのバイブレーションにしか感じられないから。

こうして、住宅を丸呑みできてしまいそうなくらい、口を大きく開けて欠伸をしながら、朝の支度を進めていく。別に支度といっても、着替えとか歯磨きとかをするだけではあるけれど、深夜に大きな音を立てて周辺地域に迷惑をかけないようには気をつけた。わたしの立てる小さな物音も、街の住民には騒音になる可能性があるから。ただでさえ、街中にマンションが何棟も入ってしまうような、わたしサイズの大きな小屋を建ててもらっているのだから、騒音まで発生させて迷惑をかけるわけにもいかない。

「わたしが早朝に動くと、近所迷惑になっちゃいそうだから、朝一に移動させるのははやめて欲しいんだけどなぁ……」
まあ、かといって人の多い時間帯に外に出て長距離の移動をしてしまうと、踏み潰しちゃう可能性もあるから、そよりもはマシか。

そんなことを考えながら準備を進めていると、呼び鈴が鳴った。
「なんだろ?」
わたしの家をわざわざ尋ねてくる変わり者は、今まで夏穂以外にはほとんどいなかったのに。かと言って、さすがに夏穂がこんな深夜にわたしの家に来るわけないし。わたしは慎重に玄関ドアの方へと向かっていった。

ドアモニターがあったら訪問者の確認をするのも楽なんだけれど、そんなものを設置したら、映画のスクリーンみたいになっちゃうから、莫大な費用がかかってしまう。当然そんな費用のかかるものは設置してもらえないから、実際にドアを開けて訪問者の確認をするしかない。これでは不審者が訪問してきていても、対面しないといけないから、物騒なんだけどな。

でも、防犯という意味では、夏穂に言わせたら、わたしは存在が防犯らしいから、別に問題ないらしい。一体夏穂はわたしのことを何だと思っているのだろうか。

それはさておき、わたしは足元に20人ほど集まっている、尋ねてきた人物を見た。
「春山月乃さん、今日は僕たちが誘導するので、よろしく頼むよ」
なるほど、通学の為にわたしを学校まで誘導してくれる警察の人みたい。学校まで迷わないように道案内でもしてくれるのだろうか。

わたしは風を吹かせないように、ゆっくりと時間をかけてしゃがんで膝を抱えて背中を丸め、彼らに少しでも視線が近くなるような体勢になる。まあ、それでもわたしは小さなアパートくらい大きいから、視線を合わせることはできないんだけど。しかも、わたしがせっかく顔を近づけたのに、なぜか男性は顔を背けてしまった。

「どうかしましたか?」
「スカートの中、見えてるよ……」
「この大きさだとどうせ見えちゃうんで、気にしないでください」
そう言ったのに、男性の警察官は話しづらそうにしているから、結局女性の警察官の人がわたしの対応をしてくれるようになった。

「今日はわたしが迷子にならないように、わざわざ家まで来てくれてるんですか?」
「迷子?」
「道案内の為に皆さんわざわざ来てくれてるんですよね?」
わたしがおっちょこちょいなばかりに、学校がお金をかけて依頼でもしているのだろうか。だとしたら、なんだか申し訳ないな。そう思ったけれど、女性警察官は、不思議そうに首を傾げてから否定する。

「安全の為に来たけれど、道に迷わない為にちゃんと誘導もするわね」
そういうことか。わたしが夜中に未成年が一人で歩いたら危ない、なんてことを萩原先生に電話越しで伝えたから、警備を依頼されたのか、と納得した。

「警察の方が一緒に来てくれるんだったら、夜道でも不審者に襲われることがないですから、安心ですね」とわたしは微笑む。
「春山さんのことを襲える不審者は多分いないと思うけど……、一応その警戒もするようにしておくわね」
「一応ってことは、他にも何か来た理由があるんですか?」
「今日は交通誘導のほうがメインよ。車を踏み潰したりしないように、通学ルートの人たちの安全を守る為にね」

なるほど、わたしは被害者になるリスクを心配されているわけではなく、加害者になる可能性を心配されているというわけか。理解はしたから、素直に従った。少し不本意ではあるけれど、実際に街をうっかり半壊させてしまったこともあるので、反論もできなかった。

外に出ると、ほんのり肌寒かったから、ポンチョを羽織っておく。まあ、ポンチョと言っても、ヘアサロンで被されるような、手を通す場所だけ穴の空いている巨大な布と言った方が近いような代物だけれど。それでも何も着ないよりもマシだから着る。

「そうだ、春山さん、出発前にこれを耳につけておいてもらっても良いかしら?」
警察の人が数人がかりで運んできてくれたのはワイヤレスのイヤホンだった。わたしサイズの巨大イヤホンだから、普通の人が持つのはかなり重たいと思う。少し申し訳なく思いながら、運ばれてきたワイヤレスイヤホンを指で摘み上げてから、耳につけると、警察の人の声がしっかりと伝わってくるようになった。

『夜なので、騒音にならないように、イヤホン越しに指示を送るわね』
「はーい」
こうして、一人の女子高生が通学をするには少し大袈裟な人数で道路を歩き始めたのだった。
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