【連作ホラー】伍横町幻想 —Until the day we meet again—

至堂文斗

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最終部【伍横町幻想 ―Until the day we meet again―】

十三話 「この町は終わるね」

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 ミオの家には、既に他のメンバーが勢揃いしていた。
 実は彼が家を出る前、既にやって来ていた協力者の一人に、後の人たちを招き入れるようお願いしていたのだ。
 そんなわけで、家主であるミオが一番遅くに登場することになったのである。

「ごめんね、僕たちが一番遅くなっちゃった……お待たせ、みんな」
「ああ、結構待ったぜ……とか言いつつ、ハルナも準備に手間取ってたんだけどさ」
「ミツヤってば、余計なこと言わない!」

 ミオの挨拶を受け、隣り合って座っている男女が、まるで夫婦漫才のようにかけあう。
 互いがどう思っているのかはさておき、周りから見ればとても似合いのカップルだ。

「ミイナちゃんとは、はじめましてだね。私は法月東菜のりづきはるなっていうの。んでこっちは北村満也きたむらみつや。ほら、挨拶」
「はは……初めまして、ミイナちゃん。騒がしいだろ」
「だから余計なこと言わないの!」

 そのテンションの高さに気圧されながらも、ミイナは無難なコメントを返そうとあれこれ考え、

「は、はじめまして。……素敵なコンビですね?」

 と、ミオの表情を伺いながら言った。

「はは、その通り。賑やかでいい二人だよ」

 ミオが笑うと、先に待っていたもう一人の青年も笑顔で答える。

「ふふ、本当にね」

 それから軽く咳払いをして、

「僕は遠野真澄とおのますみ。そしてこっちの子が光井明乃みついあきのだ。よろしく」
「よろしくね、ミイナちゃん」

 隣に座る少女と一緒に、自己紹介をするのだった。
 この輪に初めて加わるのは、ミイナだけだ。
 ここへ来るまでに、ミオからある程度の事情は教えてもらっていたが、目の前に座っている四人が何れも困難を乗り越えてきた者たちだというのには驚きだ。
 ミツヤとハルナは霧夏邸で。
 マスミとアキノは、ミオと同じく三神院で降霊術に絡んだ事件に関わり、そして生き残った。

「……よろしくおねがいします、皆さん」

 彼らを前にして緊張はどうしても消えなかったが、そんなことに負けてはいられないと、彼女はあえて大きな声で挨拶する。
 そんな彼女を、メンバーは和やかに迎え入れ。
 それから、作戦会議がスタートするのだった。
 
「……さて、早速だけど本題に入るべきだろうね。みんな、集まってくれて本当にありがとう。この集まりの目的は、勿論分かってくれてるね?」
「確認なんてしなくても大丈夫だよ、マスミさん。思いはみんな一緒さ」
「……そうだね。わざわざ聞くのも申し訳ないかもしれない」

 ミツヤの言葉に、マスミは軽く頷いてから答えた。
 そして、ぐるりとメンバーを顔を見回す。

「僕らはこの伍横町で降霊術の実験を繰り返す、ドール……彼の暴走を止めるために集まった。これ以上、降霊術による悲劇が起きないためにね。まあ、これを最初に言い出したのは、ミオくんなんだけど」
「マスミさんも含めて、みんなが賛同してくれて嬉しかったです。僕やミイナちゃんだけでは、どうにもならなかったでしょうから」

 最終的に集まったのは、たった六人だけではあるけれど。
 それでも二人よりずっと心強いと、ミオは真実、そう感じていた。

「実際、ドールの計画の殆どを解明出来ましたけど……二人だけの手に負えるものじゃないですし」
「……だね」
「そ、そんなに恐ろしい計画なんですか?」

 これまでの経緯を知らないミイナは、彼らの重苦しいやりとりを見て、思わず訊ねてしまう。
 それに対しマスミは、ゆっくりと首を縦に振ると、こう告げた。

「……最悪、といってもいいと思うよ。止めなければ――
「町が、終わる……」

 普通ならば、受け入れがたい話ではあったが。
 ミイナは、マスミの言葉が誇張ではないと確信出来た。

「……というわけで、各自集めた情報をまとめてみよう。時間はもう、残されていないから」

 今は六月八日の午後。
 ドールが行動を起こすまで、もう数時間の猶予しか残されてはいなかった。
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