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episode1 『王国ドラストニア』
13話 確執
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城壁では混乱が続き、アズランドの大砲による猛攻によって初動が遅れていた。ドラストニアの精鋭が到着するまでの間持ちこたえるために城壁から大砲で応戦。マスケットでも兵達が応戦をしているがアズランド側は精鋭を全て投入しているようで強固な大盾とマスケット部隊との連携による銃撃がドラストニアの守備兵を苦しめる。
「アズランド側も本気か。ケツに火がついてる状況で戦糧も恐らく尽きかけている。捨て身覚悟の短期戦か」
「そこまで甘くはないのでは? 城壁を崩されてしまえばあとは雪崩の如く……。彼らは本気で制圧するつもりかと」
「あの精鋭部隊を何とか出来ればいいんだが……」
司令部ではラインズとセルバンデス、兵達で作戦を練っている中で一報が飛び込んでくる。
「アズランド軍モリアヌス将軍の部隊より数名投降!」
一報を聞いたラインズとセルバンデスは顔色を変える。
「すぐに呼び寄せろ」
ラインズはすぐにモリアヌスの兵達を呼び寄せた。そして一緒にやって来た顔に驚く。
「……! ロゼット……殿。どうして彼らと!?」
驚いたセルバンデスは彼女に事情を訊ねる。大まかな流れを聞き、時折顔を顰めながらも彼女が話し終えると無事であったことを何よりも気遣う。話の中でラインズは紫苑の意図を察したのか少し笑みを溢していた。
「ごめんなさい……勝手なことをしてしまって。でも紫苑さん達は私たちの味方です!! 誰よりもこの攻撃を望んでいませんでした」
「ラインズ皇子殿下、天龍将軍は鉄騎を率いてアズランド軍の背後より奇襲を仕掛けおつもりです」
彼女の発言から投降した兵士の発言が真だと察するラインズ。紫苑がどう動くかを訊ねながら大まかな作戦を立てる。内容はアズランドの全軍こちらへ引きつけ、一斉に包囲する。
「紫苑の部隊数は?」
「鉄騎は五〇〇ほどですが、皆精鋭揃いです」
進行中のアズランド軍一万の兵力で考えれば微々たる戦力。アズランドの持つ騎兵隊も精鋭中の精鋭。一度侵入を許してしまえば彼らの持つ突破力であっという間に制圧も可能。現状の守備隊では持久戦も厳しい。そこで現状の守備隊を分散させ、紫苑達の部隊と共同し左右から奇襲を仕掛ける方針を取る。
「しかし、それでは突破される恐れが……!! アズランド側にも大砲がございますし」
セルバンデスはその策を危険と判断し言咎めする。
「ああ、だからこの戦いはスピードが命だ。こちらは竜騎兵で左右から挟み込み一気に仕留める。こちらから制圧に掛からなければ大部隊が到着する前に都市内への侵入を許しちまう。それと即席のタル爆弾をいくつか用意してくれ」
「は? 爆弾など一体何に……」
セルバンデスが疑問を呈するが、ラインズは詳細を省き彼も前線へと向かう。セルバンデスが止めても彼は聞かず、前線で指揮を執るつもりでいた。
「……紫苑殿にも機会を与えるおつもりですか?」
「駄目か?」
ラインズの不敵な笑みにセルバンデスも了承する。彼はすぐにロゼットを避難させるべく数名の兵士と共に彼女を王宮へ送り届けようとするがロゼットは拒む。
「私もここで待ちます! みんなが戦ってるのに私だけ何もしないなんて……それに紫苑さんと約束したんです!」
「紫苑殿とコンタクトを取っていただけただけでもロゼット様の功績は素晴らしいものです。これ以上御身を危険に晒すわけにはいきません」
「でも……!!」
セルバンデスに咎められる。彼女自身に何ができるわけでもないということは十分わかっていた。剣を持って戦えるわけでも特別な力や才能を持ってこの世界へやって来たわけでもない。物語のヒーローや主人公のように自分も活躍できるわけでもない状況。ただ歯がゆい思いと陰鬱に沈み込んだ顔を見せながら彼女はただ付き従うしかなかった。
◇
アズランド軍もまた追い込まれた状況であることには変わりなかった。戦糧不足により士気も落ち始めている中での強行。軍の指揮を執るのは軽装の鎧と軍服を身に纏ったバロール将軍。その表情は猛虎の如く険しいもの。まるで憎しみをぶつけるかの如くドラストニアへの猛攻を続けるよう命令を下している。その背後では重装備の鎧で固めた初老の男性。威風堂々としたその様相は総司令と呼ぶに相応しいアズランドの現当主。
「大砲の残弾僅か!! このままでは攻め落とせません」
「将軍、今からでも退却を! 部隊も蜂起時よりすで半数以上を失い、兵達の士気も乱れております! このままでは帰還すらままなりません!!」
バロールに兵士たちが訴えかけるも彼が耳を傾けることはない。むしろ戦意を喪失しつつある兵達を咎め、激励を飛ばす。逆らえば軍法にかけられ選択の余地はない。
「良いか! これは我々の『正義』のために戦いだということを忘れるな。いずれ列強に飲み込まれる危機にあるこのドラストニアを偽りの王家から取り戻すため、我らは立ち上がったのだ!」
バロールの怒声が響き渡り戦線の部隊に緊張が走る。それと同時にこちらの攻勢が功を奏したのかドラストニアの城壁では守備の士気が乱れ始めたことに気づく砲撃部隊。爆破と共に城壁が遂に崩壊し、これを好機としたバロールはアズランドに呼び掛ける。
「城壁崩壊! ドラストニアの守備隊は予想以上に消耗しています。今なら……!!」
口を閉ざしていたアズランドは将兵の報告に疑問をぶつける。
「奇襲とはいえ……あれほどの城壁をこの短期間の砲撃だけで崩したのか?」
兵は更に続けて城壁は内部からの爆破によって崩壊したと報告。バロールは内部に侵入させた精鋭が内側から瓦解させたのだと主張。勝機が訪れたことで兵達の士気も忽ち上がり、バロールの側近である将兵達は我先にと先行部隊を買って出る。
アズランドは王都民への危害を一切しないことを命で下し、自ら馬に跨り全兵力を投入の短期決戦に挑む。一万近い騎兵部隊が雲霞の如く一挙に押し寄せていく。前衛は地震のような地響きを立てる騎兵部隊。その後方より大砲を捨て、小銃を手に追従する砲撃部隊。静寂であった大地を太鼓を叩くが如くに行進。
そして城壁付近にまで接近したところで彼らはようやく気づいた。攻撃してくる守備隊が全くいない。城壁を崩したのならむしろそこを守りに徹するはずであるのに守備兵一人もいなかったのである。
「しまった……図られたか……!」
左右からはドラストニアの竜騎兵部隊が強襲。アズランド軍は退却し、体制を整えようと試みるも後方からは紫苑率いる部隊が彼ら目掛け押し迫る。
アズランド軍は圧倒的兵力を誇りながらも挟み込まれる形で陣形は瓦解。それでもバロール率いる精鋭部隊王都への突入を決行。竜騎兵による銃撃を受けながらも死に物狂いで部隊は先行。
しかし待っていたかのように城壁からマスケット銃による部隊が迎撃を開始。
「まだ守備兵を残していたか!! 当主をお守りせよ!!」
バロールは将兵にアズランドの護衛に当たらせ、自身はそれでも尚突撃を敢行。後方では紫苑の部隊が僅か五〇〇でありながらも砲撃部隊を既に制圧。彼はバロールとアズランドを追うべく、部隊をモリアヌスに任せ単騎で疾走。モリアヌスの制止の声を聞くこともなく、アズランドの精鋭部隊が乱れる中で先行するバロールとアズランドの部隊を発見。
「ご当主!!」
紫苑も後を追う形で、ドラストニアの騎兵隊の銃弾が飛び交う中を突破。
「バロール!! 無茶をするな!!」
無茶を顧みず先行するバロールの部隊。アズランドもそれを追うように強行突破。城壁にたどり着いた頃には残った兵は僅かだった。しかしそれでも守備隊も僅かな兵力であったために打ち破って見せるバロール。
だが次の瞬間、一騎の馬体と兵が彼らの前に立ちはだかる。兵を見てバロールは憎しみの籠った声で呟く。
「貴様……恩を仇で返すか……!!」
「裏切り者と謗られようとも構いません。ドラストニアを滅ぼすおつもりですか!?」
槍を向ける紫苑。バロール将軍は生き残った兵達にアズランドを託し、この場を請け負う。バロールを討ち破ってアズランドを追うしかない。紫苑とバロールは互いに槍を向け合い一合交わす。互角の戦いを繰り広げながらもバロールの猛攻は増していく。
「貴様の考えでは甘すぎる! 南の強国に西大陸の超大国を相手にドラストニアが覇権を取るには軍拡以外にあり得んのだ! 今のままではいずれ支配される側として食われる。だったらその前にアズランドがこの国を正す!」
急進的な軍拡を考えているバロール。ドラストニアは様々な国家に挟まれた土地。隣国との摩擦問題が解消されつつある現在。その中で再び軍事力を強化して他国を圧倒する戦力を手にするべきだと主張。そのための戦争だと彼は紫苑にぶつける。
「だから国を乗っ取るというのですか!? 謀反を起こし、政権を掌握したところで諸侯との関係だけではなく。諸外国との信用問題に発展します!!」
「一つの国が一人勝ちできるほど彼らは甘くありません!」
紫苑の鋭い槍の一撃がバロールの槍の動きを捉えて刃を砕く。バロールは恨めしそうに紫苑へ敵意と共に畏敬の念を向ける。
「貴様のような『規格外』は我が軍に存在するだけで良かったのだ。惜しい……憎い―……。なぜ貴様で……私ではなかったのか……!! 恨めしいぞぉ!!」
「貴様は諸国と友好を結べば良いと主張するが、所詮それは利害関係の上で成り立つもの。関係が崩れればそんなものに何の意味があろうか。理想だけで国を守れると思うな!!」
バロールは槍を捨て去り剣を抜いて紫苑へと斬りかかる。彼の猛攻に紫苑は槍を構えなおし応じる。これを最後の一撃のつもりですべてを込めて解き放つ。
「貴方の考え方こそ理想論だ!! ドラストニア一国だけではこの時代を生き抜くことは出来ない。人間は一人で生きられるほど強い生き物ではない!」
紫苑の強い言葉と共に突き放たれる一撃が戦禍の中で響き渡った。
「アズランド側も本気か。ケツに火がついてる状況で戦糧も恐らく尽きかけている。捨て身覚悟の短期戦か」
「そこまで甘くはないのでは? 城壁を崩されてしまえばあとは雪崩の如く……。彼らは本気で制圧するつもりかと」
「あの精鋭部隊を何とか出来ればいいんだが……」
司令部ではラインズとセルバンデス、兵達で作戦を練っている中で一報が飛び込んでくる。
「アズランド軍モリアヌス将軍の部隊より数名投降!」
一報を聞いたラインズとセルバンデスは顔色を変える。
「すぐに呼び寄せろ」
ラインズはすぐにモリアヌスの兵達を呼び寄せた。そして一緒にやって来た顔に驚く。
「……! ロゼット……殿。どうして彼らと!?」
驚いたセルバンデスは彼女に事情を訊ねる。大まかな流れを聞き、時折顔を顰めながらも彼女が話し終えると無事であったことを何よりも気遣う。話の中でラインズは紫苑の意図を察したのか少し笑みを溢していた。
「ごめんなさい……勝手なことをしてしまって。でも紫苑さん達は私たちの味方です!! 誰よりもこの攻撃を望んでいませんでした」
「ラインズ皇子殿下、天龍将軍は鉄騎を率いてアズランド軍の背後より奇襲を仕掛けおつもりです」
彼女の発言から投降した兵士の発言が真だと察するラインズ。紫苑がどう動くかを訊ねながら大まかな作戦を立てる。内容はアズランドの全軍こちらへ引きつけ、一斉に包囲する。
「紫苑の部隊数は?」
「鉄騎は五〇〇ほどですが、皆精鋭揃いです」
進行中のアズランド軍一万の兵力で考えれば微々たる戦力。アズランドの持つ騎兵隊も精鋭中の精鋭。一度侵入を許してしまえば彼らの持つ突破力であっという間に制圧も可能。現状の守備隊では持久戦も厳しい。そこで現状の守備隊を分散させ、紫苑達の部隊と共同し左右から奇襲を仕掛ける方針を取る。
「しかし、それでは突破される恐れが……!! アズランド側にも大砲がございますし」
セルバンデスはその策を危険と判断し言咎めする。
「ああ、だからこの戦いはスピードが命だ。こちらは竜騎兵で左右から挟み込み一気に仕留める。こちらから制圧に掛からなければ大部隊が到着する前に都市内への侵入を許しちまう。それと即席のタル爆弾をいくつか用意してくれ」
「は? 爆弾など一体何に……」
セルバンデスが疑問を呈するが、ラインズは詳細を省き彼も前線へと向かう。セルバンデスが止めても彼は聞かず、前線で指揮を執るつもりでいた。
「……紫苑殿にも機会を与えるおつもりですか?」
「駄目か?」
ラインズの不敵な笑みにセルバンデスも了承する。彼はすぐにロゼットを避難させるべく数名の兵士と共に彼女を王宮へ送り届けようとするがロゼットは拒む。
「私もここで待ちます! みんなが戦ってるのに私だけ何もしないなんて……それに紫苑さんと約束したんです!」
「紫苑殿とコンタクトを取っていただけただけでもロゼット様の功績は素晴らしいものです。これ以上御身を危険に晒すわけにはいきません」
「でも……!!」
セルバンデスに咎められる。彼女自身に何ができるわけでもないということは十分わかっていた。剣を持って戦えるわけでも特別な力や才能を持ってこの世界へやって来たわけでもない。物語のヒーローや主人公のように自分も活躍できるわけでもない状況。ただ歯がゆい思いと陰鬱に沈み込んだ顔を見せながら彼女はただ付き従うしかなかった。
◇
アズランド軍もまた追い込まれた状況であることには変わりなかった。戦糧不足により士気も落ち始めている中での強行。軍の指揮を執るのは軽装の鎧と軍服を身に纏ったバロール将軍。その表情は猛虎の如く険しいもの。まるで憎しみをぶつけるかの如くドラストニアへの猛攻を続けるよう命令を下している。その背後では重装備の鎧で固めた初老の男性。威風堂々としたその様相は総司令と呼ぶに相応しいアズランドの現当主。
「大砲の残弾僅か!! このままでは攻め落とせません」
「将軍、今からでも退却を! 部隊も蜂起時よりすで半数以上を失い、兵達の士気も乱れております! このままでは帰還すらままなりません!!」
バロールに兵士たちが訴えかけるも彼が耳を傾けることはない。むしろ戦意を喪失しつつある兵達を咎め、激励を飛ばす。逆らえば軍法にかけられ選択の余地はない。
「良いか! これは我々の『正義』のために戦いだということを忘れるな。いずれ列強に飲み込まれる危機にあるこのドラストニアを偽りの王家から取り戻すため、我らは立ち上がったのだ!」
バロールの怒声が響き渡り戦線の部隊に緊張が走る。それと同時にこちらの攻勢が功を奏したのかドラストニアの城壁では守備の士気が乱れ始めたことに気づく砲撃部隊。爆破と共に城壁が遂に崩壊し、これを好機としたバロールはアズランドに呼び掛ける。
「城壁崩壊! ドラストニアの守備隊は予想以上に消耗しています。今なら……!!」
口を閉ざしていたアズランドは将兵の報告に疑問をぶつける。
「奇襲とはいえ……あれほどの城壁をこの短期間の砲撃だけで崩したのか?」
兵は更に続けて城壁は内部からの爆破によって崩壊したと報告。バロールは内部に侵入させた精鋭が内側から瓦解させたのだと主張。勝機が訪れたことで兵達の士気も忽ち上がり、バロールの側近である将兵達は我先にと先行部隊を買って出る。
アズランドは王都民への危害を一切しないことを命で下し、自ら馬に跨り全兵力を投入の短期決戦に挑む。一万近い騎兵部隊が雲霞の如く一挙に押し寄せていく。前衛は地震のような地響きを立てる騎兵部隊。その後方より大砲を捨て、小銃を手に追従する砲撃部隊。静寂であった大地を太鼓を叩くが如くに行進。
そして城壁付近にまで接近したところで彼らはようやく気づいた。攻撃してくる守備隊が全くいない。城壁を崩したのならむしろそこを守りに徹するはずであるのに守備兵一人もいなかったのである。
「しまった……図られたか……!」
左右からはドラストニアの竜騎兵部隊が強襲。アズランド軍は退却し、体制を整えようと試みるも後方からは紫苑率いる部隊が彼ら目掛け押し迫る。
アズランド軍は圧倒的兵力を誇りながらも挟み込まれる形で陣形は瓦解。それでもバロール率いる精鋭部隊王都への突入を決行。竜騎兵による銃撃を受けながらも死に物狂いで部隊は先行。
しかし待っていたかのように城壁からマスケット銃による部隊が迎撃を開始。
「まだ守備兵を残していたか!! 当主をお守りせよ!!」
バロールは将兵にアズランドの護衛に当たらせ、自身はそれでも尚突撃を敢行。後方では紫苑の部隊が僅か五〇〇でありながらも砲撃部隊を既に制圧。彼はバロールとアズランドを追うべく、部隊をモリアヌスに任せ単騎で疾走。モリアヌスの制止の声を聞くこともなく、アズランドの精鋭部隊が乱れる中で先行するバロールとアズランドの部隊を発見。
「ご当主!!」
紫苑も後を追う形で、ドラストニアの騎兵隊の銃弾が飛び交う中を突破。
「バロール!! 無茶をするな!!」
無茶を顧みず先行するバロールの部隊。アズランドもそれを追うように強行突破。城壁にたどり着いた頃には残った兵は僅かだった。しかしそれでも守備隊も僅かな兵力であったために打ち破って見せるバロール。
だが次の瞬間、一騎の馬体と兵が彼らの前に立ちはだかる。兵を見てバロールは憎しみの籠った声で呟く。
「貴様……恩を仇で返すか……!!」
「裏切り者と謗られようとも構いません。ドラストニアを滅ぼすおつもりですか!?」
槍を向ける紫苑。バロール将軍は生き残った兵達にアズランドを託し、この場を請け負う。バロールを討ち破ってアズランドを追うしかない。紫苑とバロールは互いに槍を向け合い一合交わす。互角の戦いを繰り広げながらもバロールの猛攻は増していく。
「貴様の考えでは甘すぎる! 南の強国に西大陸の超大国を相手にドラストニアが覇権を取るには軍拡以外にあり得んのだ! 今のままではいずれ支配される側として食われる。だったらその前にアズランドがこの国を正す!」
急進的な軍拡を考えているバロール。ドラストニアは様々な国家に挟まれた土地。隣国との摩擦問題が解消されつつある現在。その中で再び軍事力を強化して他国を圧倒する戦力を手にするべきだと主張。そのための戦争だと彼は紫苑にぶつける。
「だから国を乗っ取るというのですか!? 謀反を起こし、政権を掌握したところで諸侯との関係だけではなく。諸外国との信用問題に発展します!!」
「一つの国が一人勝ちできるほど彼らは甘くありません!」
紫苑の鋭い槍の一撃がバロールの槍の動きを捉えて刃を砕く。バロールは恨めしそうに紫苑へ敵意と共に畏敬の念を向ける。
「貴様のような『規格外』は我が軍に存在するだけで良かったのだ。惜しい……憎い―……。なぜ貴様で……私ではなかったのか……!! 恨めしいぞぉ!!」
「貴様は諸国と友好を結べば良いと主張するが、所詮それは利害関係の上で成り立つもの。関係が崩れればそんなものに何の意味があろうか。理想だけで国を守れると思うな!!」
バロールは槍を捨て去り剣を抜いて紫苑へと斬りかかる。彼の猛攻に紫苑は槍を構えなおし応じる。これを最後の一撃のつもりですべてを込めて解き放つ。
「貴方の考え方こそ理想論だ!! ドラストニア一国だけではこの時代を生き抜くことは出来ない。人間は一人で生きられるほど強い生き物ではない!」
紫苑の強い言葉と共に突き放たれる一撃が戦禍の中で響き渡った。
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