王太子殿下はモブさえいればいい

星ふくろう

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第一章 天空大陸の主

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「大丈夫だよ、イゼアのように愚かな存在ではないもの、リアルエルムは。
 まあ、あの夜にいきなり声をかけられて死ぬほど驚いたのは本当だけどね?」
 あの夜?
 なんですか、それは???
 声にできないのか、アリスティアの瞳がそう聞いていた。
「学院に来て、天眼を開いていろいろと海を探っていたら、ねえ?」
 そうだな、とリアルエルムが面白そうに答える。
「なんと人間なのにまだ、竜族と会話を心でできる存在がいて、それがまだ十歳にもならない。
 これまた、懐かしい大陸の出だという。それも、不遇の第一王子。
 言っておくがなにも力を与えたりはしていないぞ?
 対等に友になれるならば、とな。
 退屈していたこちらの話し相手になってもらっているうちに、聖女の存在を知った。
 神が産まれるのは良いのだ。それがどのような信仰であれ、信じる者がいるならば」
「そう、ただ信徒の人数とその年数の割に新しい神の誕生の予感がしないから、リエルアルムは僕にね。
 頼んだんだ、聖女がどうやって認定されているかを調べて欲しい、と。
 それからずっと図書館で調べものだね」
「それであんなに古い古書ばかりを‥‥‥???」
「まあ、古文書を読める魔眼があったというのもあるけど」
 結果として、いろいろな場所で適当にいろんな神から力を借りているだけの中途半端な聖女選出。
 その事実がわかったあとにリエルアルムはアルバートに伝えた。
「邪神が絡む恐れがある、と僕は言われた」
「邪神‥‥‥?
 それは、あまり聞かないーーでも、なぜそれが真実だと?
 もしかしたらーー」
 この竜の狂言の可能性もある。
 そう、アリスティアは言いたいらしい。
「まあ、それも考えたけど。
 天空の塔と地下の大神殿やダンジョンには何がいる知っている?」
「いいえ、アルバート」
「かつての勇者。
 その心が狂い、魔が心に入り込んだもの。それが邪神だね。
 実際に、何人かはまだいるし、ここ数年、リエルアルムが抑えてくれていたんだよ?
 あのハグーンの地下にも一人いたんだから」
 びくっとなり、アリスティアは天空大陸を見上げる。
 あの場所の地下にそんな存在が???
「賢者や魔法学会が必死になっていろいろやってたの知らないだろ?
 リエルアルムの存在は誰も知らないけどね、存在を隠しているから」
 巨大な朱い竜と天空大陸、そして、新しい夫をそれぞれ見比べてアリスティアはため息をついた。
「ねえ、アルバート‥‥‥もう、隠し事はない?」
 それを聞いて、竜王はおやおや、と楽し気に笑いだした。
「アリスティア。
 隠し事ではないが、約束ごとならある。
 それをいま渡そう」
 約束?
 なんの約束を??
 両者を見比べているアリスティアは、リアルエルムから同色の宝珠のようなものがアルバートに送られていくのを目の当たりにする。
 それはエリスの魔石を取り込んだときのように彼の体内に満たされていった。。
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