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第三章 いざ、ダンジョン攻略へ
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しおりを挟む「‥‥‥アルバート!」
なぜだろう。
アリスティアは彼の背中に絶大な信頼感を抱いているはずなのに。
なぜだろう。
この心の奥底に、脳裏のはしばしによみがえる、あの死んでいく者たちの憎しみの目は。
なぜだろう。
自分が、孤独になりどこまでも果てしない闇の中に取り残されたように感じるのは。
彼がーー夫が数歩先にいるのにまるで、見えない場所にでもいくかのように感じてしまう。
待って、お願いーー
手を、離さないで‥‥‥
アリスティアはそう叫びたくて仕方なかった。
こんなものをもらった記憶がないのだ。
母親からの愛情は覚えている。
でも、大きな背中は‥‥‥記憶にはなかった。
「仕方ないなあ、大丈夫だよ。
ほら、手を出して。
僕はここにいるよ、アリスティア」
「えっ‥‥‥???」
いやだなあ、そうアルバートは苦笑する。
「僕の奥様はもう、なんだろうね?
一人にしないで、そんな顔つきになっていたよ。
ごめんね、僕のアリスティア。
一緒に行こう。
言葉だけではダメだね。
手をつないで、しっかり二人で生きていこう?
僕は、あー‥‥‥いや、なんでもない」
ついつい口を滑らせそうになり、アルバートは自分で自分の口を手でふさいだ。
アリスティアはそれが気に入らない。
「なによ、それ。
言いかけたならちゃんと言いなさいよ!?
不満でもあるの?
それとも、やっぱり側室でも欲しいの?
わたしが年上だから嫌い?」
そんなに並べ立てなくてもさ‥‥‥
言いづらいんだよ。
チラリと横で、不満を称えている妻を見てアルバートは、ため息を一つ。
「その、ね?
アシュリーとエリスみたいにさー‥‥‥。
僕は経験が、そのーー君は年上で亜人というか魔族だろ?
体力もあるし、満足させれるか‥‥‥」
呆れた。
こんなときにそんな話?!
男性って下半身で物事考えるのかしら!?
アリスティアは怒りで尾を膨らませるが‥‥‥
でも、わたしも、まだ‥‥‥とは言えなかった。
だから、アリスティアは大人の女性のフリをしてしまう。
ついつい、いけないことだと知りながら。
「そうね?
まあ、アルバートは、お子様だものね?
アシュリーはもう大人なんだし。
子供もいるのもねえ。
さて、わたしの旦那様はどれほど愛して頂けるのかしら??」
そんなに強がってどうするのよ、わたし!!
挙動不審になりながらアリスティアは内心、焦っていた。
なら、いまからあの異空間の屋敷にいこうよ。
僕、頑張るからさ!
なんて言われた日には‥‥‥
牙を突きたてて噛みつきそうになるだろう。
そう、理解はしていた。
地雷を自分で踏んでいるアリスティアは可愛い。
アルバートは、そこまでは深読みはできないが、一人、妙にぎこちないアリスティアを可愛いと思っていた。
「ねえ、アリスティア?」
変なアリスティア。
そう思いアルバートは、声をかける。
「はっ!!?
はいぃっ!!?」
尾どころか耳まで尖らせて。
なにがそんなに驚くことなんだろ?
「大好きだよ?
だから、ほら。
行こう?
足りないところは教えてよ。なおすからさ。
さ、行こう?」
「は‥‥‥はいーー」
アルバートの馬鹿。
なんでそんなにカッコいいのよ。
階段だってまだ半分も上がってないのに。
そんなセリフ、ダンジョン攻略してからにしてよ!!
‥‥‥大好きだから。
アリスティアはアルバートの手をそっと握り返した。
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