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第二章 第二の身分証明書
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「あ、でもあのあごひげの警護兵。
確かその辺りのーー」
広間に灯りをともす台の中からカンテラを取り出していた気がする。
それを先に貰いに行こう。
上手くすれば、灯りが手に入る。
近場の灯り台を探す。
あるかしら?
その四角い石と木で作られた箱のようなものの明け口を探すと、
「あった‥‥‥一台しかないのね。でも、それでもいい」
あとでもう一台、貰っていこう。
側に油を補充するようの注ぎ口のついた金属製の容器が無造作に置かれているのもありがたかった。
ふたを回して開け閉めすることで注げるようになっている。
置き方にさえ気を付ければこぼれることはないだろう。
「この上にある台にこれを置いていたのね。
どこまでも簡素なもの。
なぜこんなに適当なのかしら?」
その疑問は頭に住みに、小さな蜘蛛の巣を張って晴れてくれない。
でもいまはそれどころじゃない。
裸足の足裏が凍えそうだ。
ナターシャは指先に数本、己の髪を抜き取るとそれを依代にして呪文を唱えた
「我は呼ぶ、星海の乙女、炎海の覇者、限りなく光に近き陽光の恩寵を与えし者。
この指に宿れ」
そして、己の命のひとかけらをその吐息にのせて指先に吹きかけた。
小さな、どこまでも小さな炎がナターシャの指先の毛を燃やして舞い上がる。
「ありがとう……来てくれて」
それをカンテラの扉を開け、中の点火口に灯して油をダイヤル式のねじで調節する。
あまり明るくはないが消えない程度。
それほどの光がナターシャの心に、ほんの緩やかな安堵を与える。
「さあ、あの小屋、ね‥‥‥」
カンテラを片手に小屋にかけれらた鎖と錠前を剣の先で何度も叩き切るようにして壊すと、彼女は中に入ってため息を漏らした。
「ああ、なんて暖かい‥‥‥」
実際にはそんなに体感温度に違いはない。
でも、心の温度が安定感が増していた。
外気とはそれほどには違いはないはずだ。
しかし、足元はオーク材の床が張られていてその両脇には戸棚と、引き戸しきのローブなどをしまうための大きめの衣装棚がある。
「ここで祭礼の時に着替えるんだ。
でも、そんなに衣装がいるのかしら‥‥‥?」
不思議に思いその中をいくつか開けてみた。
年代もデザインもバラバラの衣装があったり、着替えるには不自由しないだけの洋服がある。
中には外套もあり、これらはーー
「ここで斬首刑にされるまで、貴族としての品位を保つために服を着ることを許されていたんだわ。
ここで着替えさせられたーーだから、わたしのと同じ服があの棚にあるんだ。
貴族であっても、罪人になる時は一緒なのねー‥‥‥」
ごめんなさい‥‥‥そう呟くと、衣装棚の中から自分にあうサイズのズボンや外套がないかを探し出す。
確かその辺りのーー」
広間に灯りをともす台の中からカンテラを取り出していた気がする。
それを先に貰いに行こう。
上手くすれば、灯りが手に入る。
近場の灯り台を探す。
あるかしら?
その四角い石と木で作られた箱のようなものの明け口を探すと、
「あった‥‥‥一台しかないのね。でも、それでもいい」
あとでもう一台、貰っていこう。
側に油を補充するようの注ぎ口のついた金属製の容器が無造作に置かれているのもありがたかった。
ふたを回して開け閉めすることで注げるようになっている。
置き方にさえ気を付ければこぼれることはないだろう。
「この上にある台にこれを置いていたのね。
どこまでも簡素なもの。
なぜこんなに適当なのかしら?」
その疑問は頭に住みに、小さな蜘蛛の巣を張って晴れてくれない。
でもいまはそれどころじゃない。
裸足の足裏が凍えそうだ。
ナターシャは指先に数本、己の髪を抜き取るとそれを依代にして呪文を唱えた
「我は呼ぶ、星海の乙女、炎海の覇者、限りなく光に近き陽光の恩寵を与えし者。
この指に宿れ」
そして、己の命のひとかけらをその吐息にのせて指先に吹きかけた。
小さな、どこまでも小さな炎がナターシャの指先の毛を燃やして舞い上がる。
「ありがとう……来てくれて」
それをカンテラの扉を開け、中の点火口に灯して油をダイヤル式のねじで調節する。
あまり明るくはないが消えない程度。
それほどの光がナターシャの心に、ほんの緩やかな安堵を与える。
「さあ、あの小屋、ね‥‥‥」
カンテラを片手に小屋にかけれらた鎖と錠前を剣の先で何度も叩き切るようにして壊すと、彼女は中に入ってため息を漏らした。
「ああ、なんて暖かい‥‥‥」
実際にはそんなに体感温度に違いはない。
でも、心の温度が安定感が増していた。
外気とはそれほどには違いはないはずだ。
しかし、足元はオーク材の床が張られていてその両脇には戸棚と、引き戸しきのローブなどをしまうための大きめの衣装棚がある。
「ここで祭礼の時に着替えるんだ。
でも、そんなに衣装がいるのかしら‥‥‥?」
不思議に思いその中をいくつか開けてみた。
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「ここで斬首刑にされるまで、貴族としての品位を保つために服を着ることを許されていたんだわ。
ここで着替えさせられたーーだから、わたしのと同じ服があの棚にあるんだ。
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ごめんなさい‥‥‥そう呟くと、衣装棚の中から自分にあうサイズのズボンや外套がないかを探し出す。
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