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第二章 第二の身分証明書
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「この子、エルドリン男爵令嬢セフィス。
まだ、生きていることになっている。
でも、だめね。
赤毛に青い瞳。特徴が合わない。
これは使えない‥‥‥」
自分の身分証明書だけでいいのだろうか?
どこかで問われた場合に、べつの誰かのものはないか?
数百枚に及ぶそのファイルは机の上に山と置かれている。
だが、探しても無駄だろう。
そう、ナターシャは思った。
生年月日が合わない。
何より、死んだというその印が押されていて、生きた死体なんて誰が喜ぶだろう。
ここで証明書などを作れればいいのにー
ふとそんなことを思いつく。
罪人の中には、もしかして急遽‥‥‥
あるかもしれない。
机の引き出しを全て出し入れしてくまなく探していく。
「あった‥‥‥あるじゃない。
急遽、即座の死を賜った場合に作られることもあるのね‥‥‥」
項目はそんなに多くない。
国名と生年月日、外見の特徴としての髪と瞳の色。
そしてあれば、爵位。それだけだ。
「簡単な嘘はバレそうね。
実在の人物がいい、それもなるべく古いものーー」
数冊前のファイルをめくり行くと、男性なら数人。
年齢も外見も似ているのがあった。
「まあ、そうよね。
この緑の髪じたいが、珍しいのだから」
服も男性の物。
こうなれば男性として、隣国に逃れるまで変装するのもありかもしれない。
借りるならば二人以上から。
「レーゼン公爵エルウィン‥‥‥?
あの忌まわしいエルウィンと同名。
爵位は借りて置こう。
あとはこれね、ゲルム男爵オーウェン。
氏族名はシェイブ。
そうなるとレーゼン・シェイブ・オーウェン公爵‥‥‥か。
シェイブね。
よくある名前だし。これにしよう」
ここでナターシャはまた学院で子女であったことに感謝をすることになる。
この王国では公用語で身分証明書が書かれるのだ。
男性は、騎馬、弓、剣や槍、兵の練兵、軍事にチェスや過去の歴史書を読まされる。
つまり、彼らには自国語の読み書きは出来ても‥‥‥古王国時代の文字を理解できる者は少ない。
「とんでもない皮肉だわー‥‥‥」
ペンとインクで専用の用紙に自分の物を見よう見まねで書き写し、数枚の男性用の最近の死亡印か押されたものと比較する。間違いはなさそうだった。
「ここでしくじってもまあ、いいだけど。
あとは認可印よねー‥‥‥」
そんなものまであるのかしら?
印はどれも共通しているけど、貴族院の物でなければならない。
まあ、それでもあるところにはあるものだ。
「生年月日に合わせて‥‥‥まさか、印の印章が変わったとかないでしょうね?」
そう思い、要らない容姿に押印してみる。
細部まで薄明かりの中で確認したが、まあ問題はなさそうだ。
まだ、生きていることになっている。
でも、だめね。
赤毛に青い瞳。特徴が合わない。
これは使えない‥‥‥」
自分の身分証明書だけでいいのだろうか?
どこかで問われた場合に、べつの誰かのものはないか?
数百枚に及ぶそのファイルは机の上に山と置かれている。
だが、探しても無駄だろう。
そう、ナターシャは思った。
生年月日が合わない。
何より、死んだというその印が押されていて、生きた死体なんて誰が喜ぶだろう。
ここで証明書などを作れればいいのにー
ふとそんなことを思いつく。
罪人の中には、もしかして急遽‥‥‥
あるかもしれない。
机の引き出しを全て出し入れしてくまなく探していく。
「あった‥‥‥あるじゃない。
急遽、即座の死を賜った場合に作られることもあるのね‥‥‥」
項目はそんなに多くない。
国名と生年月日、外見の特徴としての髪と瞳の色。
そしてあれば、爵位。それだけだ。
「簡単な嘘はバレそうね。
実在の人物がいい、それもなるべく古いものーー」
数冊前のファイルをめくり行くと、男性なら数人。
年齢も外見も似ているのがあった。
「まあ、そうよね。
この緑の髪じたいが、珍しいのだから」
服も男性の物。
こうなれば男性として、隣国に逃れるまで変装するのもありかもしれない。
借りるならば二人以上から。
「レーゼン公爵エルウィン‥‥‥?
あの忌まわしいエルウィンと同名。
爵位は借りて置こう。
あとはこれね、ゲルム男爵オーウェン。
氏族名はシェイブ。
そうなるとレーゼン・シェイブ・オーウェン公爵‥‥‥か。
シェイブね。
よくある名前だし。これにしよう」
ここでナターシャはまた学院で子女であったことに感謝をすることになる。
この王国では公用語で身分証明書が書かれるのだ。
男性は、騎馬、弓、剣や槍、兵の練兵、軍事にチェスや過去の歴史書を読まされる。
つまり、彼らには自国語の読み書きは出来ても‥‥‥古王国時代の文字を理解できる者は少ない。
「とんでもない皮肉だわー‥‥‥」
ペンとインクで専用の用紙に自分の物を見よう見まねで書き写し、数枚の男性用の最近の死亡印か押されたものと比較する。間違いはなさそうだった。
「ここでしくじってもまあ、いいだけど。
あとは認可印よねー‥‥‥」
そんなものまであるのかしら?
印はどれも共通しているけど、貴族院の物でなければならない。
まあ、それでもあるところにはあるものだ。
「生年月日に合わせて‥‥‥まさか、印の印章が変わったとかないでしょうね?」
そう思い、要らない容姿に押印してみる。
細部まで薄明かりの中で確認したが、まあ問題はなさそうだ。
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