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第八章 エイジスの蒼い髪
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あら、怒ったり呆れたり、諦めたりして降ろさないんだ?
ナターシャは少しだけ、意外だった。
アルフレッドは自分から見れば世間を知っているけれどあの学院にいた生徒たちのような華美な言葉も詩篇や花や贈り物すらくれずにただ、素朴な告白をするだけ。
それはそれで悪くないし、あの頃の自分ならこんなに抱き上げられてもし、彼が思ったような名家の出自なら――何の否定もなくその場で受け入れていただろう。
貴族にはより上位の貴族とのつながりは大事だし、それが言えの為になり、引いては自分の幸せにもなる。
第二王子エルウィンの婚約申し込みだって、断る術もあったけれど。
あれはあれで、魅力的な申し出だったのだ。
王族としての栄誉に預かれる、と。
結果として愚かにもこうなってしまったわけだけど‥‥‥今日は観客も多い。
あの三者は神であって、この会話だって。
下手すれば自分たちの心すら読まれているかもしれない。
アルフレッドは気づいていない。
神や魔といった悠久を生きる存在にとって、人間はある種の暇つぶしであることを。
貴族が貧乏人に施しをするのを高貴な義務とか言いつくろっているけれどあれと同じだ。
彼等は自分の持てる特権を生かして、己の暇をつぶしたいだけ。
中にはそりゃ、奇特で熱心な奉仕活動に身をやつす人もいるかもしれない。
でも、それはほんの一部。
わたしは彼等のおもちゃじゃないわ。
そういう思いも、ナターシャの中にはあった。
「降りるって言わないんだ?」
「え?
ああ、重いなら降ろしたらいいじゃない」
「全然、重いと感じてないよ。
羽のように軽い。
このまま飛空艇乗り場まで行こうか。
どれほどあるか分からないけど」
「行けるものなら行けばいいじゃない。
あなたが口先だけじゃないって、証明してみたら?」
お姫様のご機嫌を損ねてしまったらしい。
まあ、とりあえずナターシャの身分証と旅証は渡すことができた。
竜王様は、エバース大公なんて大袈裟な名前が気に入らないらしい。
「なあ、アルフレッド。
これは文字列をわたしが変えるのはだめなのか?」
そう聞いてくるということは、まあ、アリア様の旦那様の名前がエバース様というのは本当らしい。
この竜王様は、親友の名をつかって遊んできたのかはたまた――まあ、いいや。
アルフレッドはそう思いながら、駄目です。
そう否定した。
「ここは枢軸連邦で、枢軸連邦の貴族は全員、名鑑に名前がありますから。
竜王様の名前は、もう数百年前からあったそうですよ。
あの土地の領主として誰かが、登記していたんでしょうね」
「誰かが?
しかし、枢軸から使者など‥‥‥まあ、王国に土地を貸すときに枢軸側の人間も立ちあいをしたからな」
ほら、ね?
アルフレッドはナターシャに呆れたように言ってみた。
「竜王様はそういう大事なことを全部、自分だけの世界で考えているから困るんだよ。
ねえ、ナターシャはどう思う?」
「どうと言われても、そんな立ちあいが二つの国の代表の下で行われていたのだとしたらー‥‥‥」
どうですか、アリア様?
アルフレッドはアリアにも振ってみた。
「まあ、そうですね。
枢軸側が今回の借用を第三者として認めていて、返済に関してもなにがしかの協力は‥‥‥あるかもしれません。
どうなのですか、エバース大公様?
その眠ることとトラブルを巻き込む以外になにかあるべき特性を思いだされてはいかが??」
「嫌味がすぎるぞ、アリア殿。
しかし、特性と言われましてもな‥‥‥あの時、どこかに書簡を閉まってはいたはずだが。
さてはて、どこに入れたものか」
「その書簡、三者の調印が入った約款ではないのですか?
どのような内容で貸し出し、それが履行されなければ土地を戻すというような内容のものでは!?」
水の精霊女王の叱責に、竜王はうーむ、と唸ったままで今一つぱっとしない。
これでよく竜王なんて成れたもんだ。
そうアルフレッドは呆れるし、ナターシャはそれがあればもっと早く何とかなったのにと悲しんでいる。
また私だけが悪いのか?
竜王は責められる立場をよくよく味わいながら、しかし、誰かがいたはずだ。
そう記憶の片隅を探っていた。
「ああ!!」
そうだ。
そう思い発した声に、しかし、その他の四者はまた面倒か?
と思う他なかった。
「今度はなんですか?
まさか、竜王というその地位に対して家来も少ないし、愛想を尽かして出て行かれたって言っていたあの奥様が持ちだしたとか?」
あ、ヤバイ。
これは失言過ぎた。
竜王に本気でにらまれて、アルフレッドは冷や汗をかく。
「違う‥‥‥あれなど、もう過ぎた話だ。
フラニスだ、アリア。
フラニスがあの場にいたのだ」
「フラニス?
それって、あのエイジスのシーナ王妃を鏡の国から元の故郷まで戻したって竜王様がぼやかれていた親戚のあのフラニス公?
神話で妖精界のオルンベルヌで戦ったというあの伝説の大蛇?」
「大蛇ではない、あれも立派な竜だ。
そうだ、そのフラニス公だ。
あれがー‥‥‥いたのだ」
「ついでに、シーナ王妃までいたとか言いませんよね?」
そうそう都合よく物事が成り立つはずがない。
そんなのは伝説や神話の出来事であって―‥‥‥でも、神話の人たちだしな。
アルフレッドはナターシャを見上げた。
あらら、期待してるよ。
これで期待が失われたら、ナターシャはまた心を閉ざすんだろうな。
出来れば、いい返事が欲しい。
アルフレッドはそう思って竜王を見ていた。
「いませんよね、というよりは。
いた。
いたから、枢軸の代表まで呼んだ。
あれは、とかく金にうるさい。
倹約倹約と何かあっては口出しをして、シェイラとも仲が悪かった」
「あー‥‥‥竜王様?
とりあえず、出て行かれた奥様のお話は、ね?
いまはさっさと行きましょ?
で、どこから乗れるんですか、アリア様?
その飛空艇乗り場は???」
「ああ、それならあの崖向こうにー‥‥‥」
そう、アリアが指差さす先に道が確かにある。
人が通れる程度にだが、まあ、道があるからにはこの高山に住む民族もいる?
いるならいるで、その道を行くのが安全かもしれない。
「なら、行きましょうか?
でも、アリア様とイフリーテ様。
身分証と旅証はどうやっているんです?」
ふとした疑問が沸いて出てくる。
神様、身分詐称をしているんだろうか、と。
「あー‥‥‥アルフレッドはその点は気にしなくていいのよ。
エバース大公、ね‥‥‥そう、エバース大公」
弱冠気まずそうにするその意味がアルフレッドたちにはわからない。
とりあえず、運びなさい。
安全にね?
アリアに命じられて、どういう原理か分からないけれど全員が宙に浮き、そのまま飛空艇乗り場付近のあまり目立たない場所に降り立った時。
ナターシャはもういいから降ろしなさい、そうアルフレッドから解放されて一息つきながら困ったふうなアリアを見て不思議に思うのだった。
ナターシャは少しだけ、意外だった。
アルフレッドは自分から見れば世間を知っているけれどあの学院にいた生徒たちのような華美な言葉も詩篇や花や贈り物すらくれずにただ、素朴な告白をするだけ。
それはそれで悪くないし、あの頃の自分ならこんなに抱き上げられてもし、彼が思ったような名家の出自なら――何の否定もなくその場で受け入れていただろう。
貴族にはより上位の貴族とのつながりは大事だし、それが言えの為になり、引いては自分の幸せにもなる。
第二王子エルウィンの婚約申し込みだって、断る術もあったけれど。
あれはあれで、魅力的な申し出だったのだ。
王族としての栄誉に預かれる、と。
結果として愚かにもこうなってしまったわけだけど‥‥‥今日は観客も多い。
あの三者は神であって、この会話だって。
下手すれば自分たちの心すら読まれているかもしれない。
アルフレッドは気づいていない。
神や魔といった悠久を生きる存在にとって、人間はある種の暇つぶしであることを。
貴族が貧乏人に施しをするのを高貴な義務とか言いつくろっているけれどあれと同じだ。
彼等は自分の持てる特権を生かして、己の暇をつぶしたいだけ。
中にはそりゃ、奇特で熱心な奉仕活動に身をやつす人もいるかもしれない。
でも、それはほんの一部。
わたしは彼等のおもちゃじゃないわ。
そういう思いも、ナターシャの中にはあった。
「降りるって言わないんだ?」
「え?
ああ、重いなら降ろしたらいいじゃない」
「全然、重いと感じてないよ。
羽のように軽い。
このまま飛空艇乗り場まで行こうか。
どれほどあるか分からないけど」
「行けるものなら行けばいいじゃない。
あなたが口先だけじゃないって、証明してみたら?」
お姫様のご機嫌を損ねてしまったらしい。
まあ、とりあえずナターシャの身分証と旅証は渡すことができた。
竜王様は、エバース大公なんて大袈裟な名前が気に入らないらしい。
「なあ、アルフレッド。
これは文字列をわたしが変えるのはだめなのか?」
そう聞いてくるということは、まあ、アリア様の旦那様の名前がエバース様というのは本当らしい。
この竜王様は、親友の名をつかって遊んできたのかはたまた――まあ、いいや。
アルフレッドはそう思いながら、駄目です。
そう否定した。
「ここは枢軸連邦で、枢軸連邦の貴族は全員、名鑑に名前がありますから。
竜王様の名前は、もう数百年前からあったそうですよ。
あの土地の領主として誰かが、登記していたんでしょうね」
「誰かが?
しかし、枢軸から使者など‥‥‥まあ、王国に土地を貸すときに枢軸側の人間も立ちあいをしたからな」
ほら、ね?
アルフレッドはナターシャに呆れたように言ってみた。
「竜王様はそういう大事なことを全部、自分だけの世界で考えているから困るんだよ。
ねえ、ナターシャはどう思う?」
「どうと言われても、そんな立ちあいが二つの国の代表の下で行われていたのだとしたらー‥‥‥」
どうですか、アリア様?
アルフレッドはアリアにも振ってみた。
「まあ、そうですね。
枢軸側が今回の借用を第三者として認めていて、返済に関してもなにがしかの協力は‥‥‥あるかもしれません。
どうなのですか、エバース大公様?
その眠ることとトラブルを巻き込む以外になにかあるべき特性を思いだされてはいかが??」
「嫌味がすぎるぞ、アリア殿。
しかし、特性と言われましてもな‥‥‥あの時、どこかに書簡を閉まってはいたはずだが。
さてはて、どこに入れたものか」
「その書簡、三者の調印が入った約款ではないのですか?
どのような内容で貸し出し、それが履行されなければ土地を戻すというような内容のものでは!?」
水の精霊女王の叱責に、竜王はうーむ、と唸ったままで今一つぱっとしない。
これでよく竜王なんて成れたもんだ。
そうアルフレッドは呆れるし、ナターシャはそれがあればもっと早く何とかなったのにと悲しんでいる。
また私だけが悪いのか?
竜王は責められる立場をよくよく味わいながら、しかし、誰かがいたはずだ。
そう記憶の片隅を探っていた。
「ああ!!」
そうだ。
そう思い発した声に、しかし、その他の四者はまた面倒か?
と思う他なかった。
「今度はなんですか?
まさか、竜王というその地位に対して家来も少ないし、愛想を尽かして出て行かれたって言っていたあの奥様が持ちだしたとか?」
あ、ヤバイ。
これは失言過ぎた。
竜王に本気でにらまれて、アルフレッドは冷や汗をかく。
「違う‥‥‥あれなど、もう過ぎた話だ。
フラニスだ、アリア。
フラニスがあの場にいたのだ」
「フラニス?
それって、あのエイジスのシーナ王妃を鏡の国から元の故郷まで戻したって竜王様がぼやかれていた親戚のあのフラニス公?
神話で妖精界のオルンベルヌで戦ったというあの伝説の大蛇?」
「大蛇ではない、あれも立派な竜だ。
そうだ、そのフラニス公だ。
あれがー‥‥‥いたのだ」
「ついでに、シーナ王妃までいたとか言いませんよね?」
そうそう都合よく物事が成り立つはずがない。
そんなのは伝説や神話の出来事であって―‥‥‥でも、神話の人たちだしな。
アルフレッドはナターシャを見上げた。
あらら、期待してるよ。
これで期待が失われたら、ナターシャはまた心を閉ざすんだろうな。
出来れば、いい返事が欲しい。
アルフレッドはそう思って竜王を見ていた。
「いませんよね、というよりは。
いた。
いたから、枢軸の代表まで呼んだ。
あれは、とかく金にうるさい。
倹約倹約と何かあっては口出しをして、シェイラとも仲が悪かった」
「あー‥‥‥竜王様?
とりあえず、出て行かれた奥様のお話は、ね?
いまはさっさと行きましょ?
で、どこから乗れるんですか、アリア様?
その飛空艇乗り場は???」
「ああ、それならあの崖向こうにー‥‥‥」
そう、アリアが指差さす先に道が確かにある。
人が通れる程度にだが、まあ、道があるからにはこの高山に住む民族もいる?
いるならいるで、その道を行くのが安全かもしれない。
「なら、行きましょうか?
でも、アリア様とイフリーテ様。
身分証と旅証はどうやっているんです?」
ふとした疑問が沸いて出てくる。
神様、身分詐称をしているんだろうか、と。
「あー‥‥‥アルフレッドはその点は気にしなくていいのよ。
エバース大公、ね‥‥‥そう、エバース大公」
弱冠気まずそうにするその意味がアルフレッドたちにはわからない。
とりあえず、運びなさい。
安全にね?
アリアに命じられて、どういう原理か分からないけれど全員が宙に浮き、そのまま飛空艇乗り場付近のあまり目立たない場所に降り立った時。
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