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第二話 ハッシュバルの森
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アリシアはと言うと、革製の上下のズボンと肌着に肩からローブをかけ、腰にはこの地方では見かけない直剣ではない、曲刀が二本据えられていた。
足元は衣類と同じ茶色いブーツで固め、全身の露出は限りなく少ない状態だ。
頭には白い飾り布を巻き、それが唯一のアクセントになっていた。
短く刈り込まれた髪だけだと、その豊かなボディラインがなければ女性とは分からないだろう。
そして、眼前に目的の店が見えてきた。
というよりはその店は自己主張がなかなかに強い店だった。
店頭には大きく黒虎が描かれた看板が頭上に飾られており、単なる紹介所かと思っていたが、宿屋も営んでいるようで、店先に並べられたテーブルとイスには、昼食時ということもあり、多くの傭兵や冒険者が食事をしていた。
「あー、ちょっとごめんよ、旦那。
亭主はどこにいるんだい?」
店頭で客に供する酒を運んでいた、虎の獣人に尋ねると、
「あ?
ロッソさんなら、カウンターにいるからそこに行きな」
と流されてしまうが、まあ、それはいい。
席数は30もあるだろうか。
全部が埋まれば100人近くは入れる店内は、天井からの光彩を広く取る間取りになっていて、二階席まで明るく見ることができた。
どうやら、裏の界隈の顔役というわりには、怪しげな雰囲気は嫌いな性質らしい。
なんとなく店の雰囲気から店主に好感を抱きつつ、アリシアはカウンターに空いた席に腰を落ち着ける。
「はいよ、昼のメニューだ、お客さん」
白い狼人が石板にチョークで書かれたメニューを渡してくれた。
ロップ鳥のモモ肉とハッシュバルの煮込み物
エーブル豚のモツ(内臓)の煮込み
ハーゼ牛のロース肉のステーキ
各品、パンとサラダ付き。
パンはライスと変更可能。食後のお茶つき
「へえ、珍しい」
どれも旅をしながら仕事をして移動する傭兵には御馳走だといえた。
「どれにしますか、お客さん」
アリシアはうーん、と少し悩んでから、
「戒律で豚は食べれないんだ。
鳥で、いこうかな。パンで。あと、エール酒も」
「はいよ、ちょっと混んでるから待ってもらいますけど。
いいですか?」
「もちろん。
あと、これ」
と、先ほど購入した酒をカウンターに置く。
「亭主さんに」
それは、仕事を紹介して欲しいという合図だ。
それを見た狼人は、
「お客さんが?」
と、驚いた顔をする。
「ダークエルフは、だめかい?」
「いやいや、そんなあ、こたあないけどね。
ほら、お会いする方がこの地方じゃめずらしいから。
お気に障ったらすいませんね」
「いいよ、気にしないでおくれよ。
まあ、頼みますよ」
そう言うと、アリシアは酒をずいっと狼人に渡す。
「はい、わかりました。
まあ、のんびりやっててくださいな」
「はいはい」
先にやってきた酒を軽く煽りながら亭主を待つアリシア。
「えーと、姐さん、お名前は?」
別の店員が声をかけてきた。
「アリシア、だよ」
「アリシア姐さんね、お待ちを」
そう言うと、料理を置いて店員は去って行った。
ほどよく冷やされたサラダにかけられた甘口のドレッシングに、辛口に煮込まれた鶏肉のモモ肉。ライ麦かと思っていたが、どうやら別の製法で焼かれたカラス麦らしい味のパンを浸して頬張り、食後に出てきたのは西方の茶葉のようでハッカのようなすっきりとしたお茶だった。
酒とはすこしばかり相性が悪いお茶だったが、まあ、辛みを忘れるには適した味だった。
「パンとお茶のお替りは自由ですよ、お客さん」
店員は見渡す限り、一階、二階合わせて10人ほど。
男もいれば、女もいる。
なかなか国際色豊かな店だった。
「いや、後は待つだけでいいよ」
と、顎先でカウンターの奥にいる黒い虎人を示して見せる。
「ああ、旦那の、ね。
なら、すいやせんね、お待ちを」
まあ、裏稼業よりは表が忙しいらしい。
待つことには慣れている。
大して時間もかからず、店員が声をかけてきた。
今度は金髪の人間族の少女だった。
足元は衣類と同じ茶色いブーツで固め、全身の露出は限りなく少ない状態だ。
頭には白い飾り布を巻き、それが唯一のアクセントになっていた。
短く刈り込まれた髪だけだと、その豊かなボディラインがなければ女性とは分からないだろう。
そして、眼前に目的の店が見えてきた。
というよりはその店は自己主張がなかなかに強い店だった。
店頭には大きく黒虎が描かれた看板が頭上に飾られており、単なる紹介所かと思っていたが、宿屋も営んでいるようで、店先に並べられたテーブルとイスには、昼食時ということもあり、多くの傭兵や冒険者が食事をしていた。
「あー、ちょっとごめんよ、旦那。
亭主はどこにいるんだい?」
店頭で客に供する酒を運んでいた、虎の獣人に尋ねると、
「あ?
ロッソさんなら、カウンターにいるからそこに行きな」
と流されてしまうが、まあ、それはいい。
席数は30もあるだろうか。
全部が埋まれば100人近くは入れる店内は、天井からの光彩を広く取る間取りになっていて、二階席まで明るく見ることができた。
どうやら、裏の界隈の顔役というわりには、怪しげな雰囲気は嫌いな性質らしい。
なんとなく店の雰囲気から店主に好感を抱きつつ、アリシアはカウンターに空いた席に腰を落ち着ける。
「はいよ、昼のメニューだ、お客さん」
白い狼人が石板にチョークで書かれたメニューを渡してくれた。
ロップ鳥のモモ肉とハッシュバルの煮込み物
エーブル豚のモツ(内臓)の煮込み
ハーゼ牛のロース肉のステーキ
各品、パンとサラダ付き。
パンはライスと変更可能。食後のお茶つき
「へえ、珍しい」
どれも旅をしながら仕事をして移動する傭兵には御馳走だといえた。
「どれにしますか、お客さん」
アリシアはうーん、と少し悩んでから、
「戒律で豚は食べれないんだ。
鳥で、いこうかな。パンで。あと、エール酒も」
「はいよ、ちょっと混んでるから待ってもらいますけど。
いいですか?」
「もちろん。
あと、これ」
と、先ほど購入した酒をカウンターに置く。
「亭主さんに」
それは、仕事を紹介して欲しいという合図だ。
それを見た狼人は、
「お客さんが?」
と、驚いた顔をする。
「ダークエルフは、だめかい?」
「いやいや、そんなあ、こたあないけどね。
ほら、お会いする方がこの地方じゃめずらしいから。
お気に障ったらすいませんね」
「いいよ、気にしないでおくれよ。
まあ、頼みますよ」
そう言うと、アリシアは酒をずいっと狼人に渡す。
「はい、わかりました。
まあ、のんびりやっててくださいな」
「はいはい」
先にやってきた酒を軽く煽りながら亭主を待つアリシア。
「えーと、姐さん、お名前は?」
別の店員が声をかけてきた。
「アリシア、だよ」
「アリシア姐さんね、お待ちを」
そう言うと、料理を置いて店員は去って行った。
ほどよく冷やされたサラダにかけられた甘口のドレッシングに、辛口に煮込まれた鶏肉のモモ肉。ライ麦かと思っていたが、どうやら別の製法で焼かれたカラス麦らしい味のパンを浸して頬張り、食後に出てきたのは西方の茶葉のようでハッカのようなすっきりとしたお茶だった。
酒とはすこしばかり相性が悪いお茶だったが、まあ、辛みを忘れるには適した味だった。
「パンとお茶のお替りは自由ですよ、お客さん」
店員は見渡す限り、一階、二階合わせて10人ほど。
男もいれば、女もいる。
なかなか国際色豊かな店だった。
「いや、後は待つだけでいいよ」
と、顎先でカウンターの奥にいる黒い虎人を示して見せる。
「ああ、旦那の、ね。
なら、すいやせんね、お待ちを」
まあ、裏稼業よりは表が忙しいらしい。
待つことには慣れている。
大して時間もかからず、店員が声をかけてきた。
今度は金髪の人間族の少女だった。
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