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2.そして少しずつ動き出す
40.迷いの森
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さて…ログインしたのは良いけど、どこでレベリングしようか。
無難にいくのならサンドワームか蟻の巣なんだけど、ポセイドンと戦った後だからか緊張感が欲しい。
それにどうせなら戦闘練習にもなる強い敵が良いな。
うーん。迷っていても答えは出ず。
先行組なので情報サイトも無駄。
(あ、それならNPCに聞いたら良いんじゃ?)
そう思ったオレは冒険者ギルドにやって来た。
ここは素材の売買やクエストを受ける事ができる場所だ。
今までは素材を売る為に数回来たことがあるだけで、収集品のクエスト以外は受けたことがなかった。
丁度良いので難しめなクエストでも受けようと思う。
冒険者ギルドに入りすぐにある受付。
そこに居るのは40歳くらいの、無精髭をしたおじさんNPC。
名前はノックと表示されている。
…何故美人受付嬢じゃ無いのか。
ま、まあ何度も通うつもりも無いし良いか…。
「こんにちは。冒険者ギルドで狩場の情報ってありますか?」
「ああ、多少なら有るぞ?何が目的だ?金が稼げるところか?」
「いえ経験を多く積める狩場で、うーん…レベル80位の狩場でしょうか」
オレは強い狩場を知る為に少しレベルをサバ読んだ。
「お前さん、見た目の割りに強いんだな。流石にそこまで高レベルだとあまり情報はないな」
(うーん…ダメか。自分で探すかなあ)
「ああ、でも丁度良い依頼が有ったぞ?」
ノックさんは依頼内容の書かれた紙を差し出す。
依頼内容は……。
------
迷いの森にて魔物の異常発生の可能性有り。
もし異常発生が起こっていた場合、プロテアの街に甚大な被害が出るおそれがある。
その為迷いの森を出来る限り早く調査して欲しい。
調査内容は、魔物の種類と数の調査。
それと可能であれば原因の特定をお願いしたい。
教会騎士団職員レイモンド
------
クエスト報酬 調査5,000g 、魔物の討伐 収拾品1つにつき100g、原因特定 50,000g
推奨、Lv70以上で5名以上のパーティー。
------
魔物の異常発生か。
確か他MMOで調査依頼をプレイヤーが放置した結果、魔物の群れが町を襲い…町が壊滅するって話が有った。
RDOでも同様の展開が起こる可能性は高い。
それにちょっと楽しそうだし報酬も大きい。
もし一人で原因特定が出来れば5万G。
それ以外にも討伐でレベルとお金稼ぎが両立できるのは嬉しい。
「このクエスト、受けても良いですか?」
「おう。なら依頼契約成立だ。絶対に放置せず、出来るだけ早く依頼達成してくれよ」
推奨と違って一人なのだが、問題は無いようだ。
「じゃあ依頼の詳しい話は、教会騎士団に居るレイモンドという男性職員に聞いてくれ」
「分かりました」
オレは冒険者ギルドを後にし、教会騎士団の建物を目指す。
とはいっても主要施設は密集しているので、冒険者ギルドのすぐ近くなのだが。
教会騎士団に入ると周囲を見渡し、レイモンドさんを探す。
すると机で書類仕事をしている職員の中にレイモンドさんを見つけた。
近くに寄り声を掛ける。
「あのー…すいません。迷いの森ダンジョンの依頼で来た上野樹です」
レイモンドさんはオレの声に気づき、仕事の手を止めて顔を向ける。
「…ああ、迷いの森の異常発生の件だね。私はレイモンド。教会騎士団で職員をしてるんだ」
レイモンドさんは騎士では無いようで、鎧ではなく黒い色をしたローブを身につけていた。
周りのNPCから察するに、教会職員用の服装なのだろうか。
年齢は30ちょっとだろうか、まだ若さが残っている。
「ところで…パーティー推奨の依頼なんだけど……。君一人かな?魔物が多く危険な依頼なのだけど」
「大丈夫です。腕に自信は有りますし、調査だけの予定なので。それともし危険そうなら知り合いに手伝いを依頼します」
ま、そんなの嘘で一人で依頼をする気だけどね。
「うーん、それなら良いかな?まあ他に受ける人も居ないし、君の言葉を信じよう。ただし、迷いの森の魔物は強いから、絶対に一人で戦ってはいけないよ?」
「分かりました」
「じゃあ説明を始めようか。教会騎士団では、迷いの森に定期的に調査団を送っているんだ。何故かと言うと、過去に魔物が異常発生により近隣の村が襲われて被害が出る事件があったんだよ。
もっともここ数年は何の問題も無く、落ち着いていたんだけどね。
ただ、今回調査団が迷いの森に入ったところ、魔物の遭遇が非常に多く…被害が出た為に引き返してきたそうだ」
レイモンドさんは続ける。
「報告書によると、普段は入り口付近では見る事がない深部の魔物の姿もあったとの事で、要調査となった訳だ。そこで、君には迷いの森に入ってもらい、魔物の数と種類について調査をお願いしたい」
「それと参考程度に、普段の迷いの森は魔物は強いが数が少なく、遭遇しても数分に一匹との事で、存在する魔物もワイルドボアという猪やワイルドフットという熊などの動物型の魔物が主だ」
「なるほど…」
「だが調査団の報告では、大きな赤いハエの魔物や黒い大蛇を見かけたそうだ。それらは恐らく…迷いの森の深部に居る魔物で、森入り口周辺に居るのは異常との事」
「ではわたしは森の浅い場所を調査し、魔物の遭遇間隔と種類を報告。深部の魔物が居た場合はすぐに退却し報告を行なう。といった所でしょうか」
「それで構わないよ。報告を受けた時点で、有用な情報だと分かれば依頼達成として報酬を支払おう」
「分かりました」
「何度も言うけれど、無理だけはしないように。後、迷いの森入り口に調査団のテントがあるので、一言言ってから森へ入ってくれ。帰りが遅いようなら、報告が来る手筈になっている」
「はい。説明ありがとうございました」
レイモンドさんに挨拶をして教会騎士団を後にする。
そのままプロテアを北に抜け、迷いの森を目指す。
(騎士が負けるほどの魔物って、レベルいくつ位かなあ…)
早足で歩きながらも、オレは深部の魔物の強さを想像しながら心を躍らせていた。
無難にいくのならサンドワームか蟻の巣なんだけど、ポセイドンと戦った後だからか緊張感が欲しい。
それにどうせなら戦闘練習にもなる強い敵が良いな。
うーん。迷っていても答えは出ず。
先行組なので情報サイトも無駄。
(あ、それならNPCに聞いたら良いんじゃ?)
そう思ったオレは冒険者ギルドにやって来た。
ここは素材の売買やクエストを受ける事ができる場所だ。
今までは素材を売る為に数回来たことがあるだけで、収集品のクエスト以外は受けたことがなかった。
丁度良いので難しめなクエストでも受けようと思う。
冒険者ギルドに入りすぐにある受付。
そこに居るのは40歳くらいの、無精髭をしたおじさんNPC。
名前はノックと表示されている。
…何故美人受付嬢じゃ無いのか。
ま、まあ何度も通うつもりも無いし良いか…。
「こんにちは。冒険者ギルドで狩場の情報ってありますか?」
「ああ、多少なら有るぞ?何が目的だ?金が稼げるところか?」
「いえ経験を多く積める狩場で、うーん…レベル80位の狩場でしょうか」
オレは強い狩場を知る為に少しレベルをサバ読んだ。
「お前さん、見た目の割りに強いんだな。流石にそこまで高レベルだとあまり情報はないな」
(うーん…ダメか。自分で探すかなあ)
「ああ、でも丁度良い依頼が有ったぞ?」
ノックさんは依頼内容の書かれた紙を差し出す。
依頼内容は……。
------
迷いの森にて魔物の異常発生の可能性有り。
もし異常発生が起こっていた場合、プロテアの街に甚大な被害が出るおそれがある。
その為迷いの森を出来る限り早く調査して欲しい。
調査内容は、魔物の種類と数の調査。
それと可能であれば原因の特定をお願いしたい。
教会騎士団職員レイモンド
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クエスト報酬 調査5,000g 、魔物の討伐 収拾品1つにつき100g、原因特定 50,000g
推奨、Lv70以上で5名以上のパーティー。
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魔物の異常発生か。
確か他MMOで調査依頼をプレイヤーが放置した結果、魔物の群れが町を襲い…町が壊滅するって話が有った。
RDOでも同様の展開が起こる可能性は高い。
それにちょっと楽しそうだし報酬も大きい。
もし一人で原因特定が出来れば5万G。
それ以外にも討伐でレベルとお金稼ぎが両立できるのは嬉しい。
「このクエスト、受けても良いですか?」
「おう。なら依頼契約成立だ。絶対に放置せず、出来るだけ早く依頼達成してくれよ」
推奨と違って一人なのだが、問題は無いようだ。
「じゃあ依頼の詳しい話は、教会騎士団に居るレイモンドという男性職員に聞いてくれ」
「分かりました」
オレは冒険者ギルドを後にし、教会騎士団の建物を目指す。
とはいっても主要施設は密集しているので、冒険者ギルドのすぐ近くなのだが。
教会騎士団に入ると周囲を見渡し、レイモンドさんを探す。
すると机で書類仕事をしている職員の中にレイモンドさんを見つけた。
近くに寄り声を掛ける。
「あのー…すいません。迷いの森ダンジョンの依頼で来た上野樹です」
レイモンドさんはオレの声に気づき、仕事の手を止めて顔を向ける。
「…ああ、迷いの森の異常発生の件だね。私はレイモンド。教会騎士団で職員をしてるんだ」
レイモンドさんは騎士では無いようで、鎧ではなく黒い色をしたローブを身につけていた。
周りのNPCから察するに、教会職員用の服装なのだろうか。
年齢は30ちょっとだろうか、まだ若さが残っている。
「ところで…パーティー推奨の依頼なんだけど……。君一人かな?魔物が多く危険な依頼なのだけど」
「大丈夫です。腕に自信は有りますし、調査だけの予定なので。それともし危険そうなら知り合いに手伝いを依頼します」
ま、そんなの嘘で一人で依頼をする気だけどね。
「うーん、それなら良いかな?まあ他に受ける人も居ないし、君の言葉を信じよう。ただし、迷いの森の魔物は強いから、絶対に一人で戦ってはいけないよ?」
「分かりました」
「じゃあ説明を始めようか。教会騎士団では、迷いの森に定期的に調査団を送っているんだ。何故かと言うと、過去に魔物が異常発生により近隣の村が襲われて被害が出る事件があったんだよ。
もっともここ数年は何の問題も無く、落ち着いていたんだけどね。
ただ、今回調査団が迷いの森に入ったところ、魔物の遭遇が非常に多く…被害が出た為に引き返してきたそうだ」
レイモンドさんは続ける。
「報告書によると、普段は入り口付近では見る事がない深部の魔物の姿もあったとの事で、要調査となった訳だ。そこで、君には迷いの森に入ってもらい、魔物の数と種類について調査をお願いしたい」
「それと参考程度に、普段の迷いの森は魔物は強いが数が少なく、遭遇しても数分に一匹との事で、存在する魔物もワイルドボアという猪やワイルドフットという熊などの動物型の魔物が主だ」
「なるほど…」
「だが調査団の報告では、大きな赤いハエの魔物や黒い大蛇を見かけたそうだ。それらは恐らく…迷いの森の深部に居る魔物で、森入り口周辺に居るのは異常との事」
「ではわたしは森の浅い場所を調査し、魔物の遭遇間隔と種類を報告。深部の魔物が居た場合はすぐに退却し報告を行なう。といった所でしょうか」
「それで構わないよ。報告を受けた時点で、有用な情報だと分かれば依頼達成として報酬を支払おう」
「分かりました」
「何度も言うけれど、無理だけはしないように。後、迷いの森入り口に調査団のテントがあるので、一言言ってから森へ入ってくれ。帰りが遅いようなら、報告が来る手筈になっている」
「はい。説明ありがとうございました」
レイモンドさんに挨拶をして教会騎士団を後にする。
そのままプロテアを北に抜け、迷いの森を目指す。
(騎士が負けるほどの魔物って、レベルいくつ位かなあ…)
早足で歩きながらも、オレは深部の魔物の強さを想像しながら心を躍らせていた。
応援ありがとうございます!
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