華の剣士

小夜時雨

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差し伸べられた手

ゆかりある人参

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「どうやら一度お父様と見に行った刀の修理の様子を見たのが、よっぽど衝撃的だったそうで、それで鍛冶職人を目指したのだそうよ。」
「そんなきっかけが…」

 ハヨンは父の仕事をする姿を思い返した。赤く光る鉄と向き合いながら、汗を流し仕事をする父は、身を焼くような熱さも気にせず、目はいつもの優しい雰囲気は消え、きりりとしていた。今思えば、その姿はハヨンを厳しく指導するヨウの目とも似ていた気がする。

「でもお祖父様もおばあ様もお兄様が完全にチュ家との関わりを絶つことに不安があったみたい。お兄様が亡くなった時、平民と同じように家名がなかったら、探す事も難しいから。だから、チュ家の名は残すように頼んだらしいわ。そしてその後は奉公先の師匠の娘さんを、お嫁さんにしたのよ」

 ドゥナは悪戯っぽく笑って言った。ハヨンはその事実に仰天する。

「ち、父はなかなか度胸のある人だったんですね…」

 職人の男はどうしてなのか気難しい者が多い。そんな中、貴族の息子という異例な弟子がやってきた上に、娘をも嫁にしてしまうなど、ハヨンは自分の祖父がどのような反応を見せたのか想像するのが怖かった。チャンヒが言うには、最初は祖父に反対されたが、後には祝福してもらえたと言っていた。ハヨンはその時、よくある話と思っていたが、そうではなかったらしい。

「そうね、考えてみるとお兄様はなかなか破天荒な人だったのね。普段の性格からは全然考えられないのにね。」

 ドゥナはそう言って、くすくす笑った。ひとしきり笑った後、あら、そういえば。と何かを思い出したようだ。

「私ね、生まれたばかりの貴方にあったことがあるわ。」

 遠い昔を懐かしむような表情で、ドゥナは驚くようなことを言った。


「えっ、それは初めて知りました。」
「あなたが生まれた時に、お兄様とお姉様が一度だけチュ家の本家に来たのよ。二人はずいぶん幸せそうな顔をしていたわ。」

 ハヨンの覚えていない父と母とのことを話してくれる人がいるのは、この上なく嬉しいことだ。できればもっと、長い間、家族全員で過ごせたらよかったのに、と久し振りに感傷的な気持ちになった。

「ハヨン、私はあなたに何かがあったら真っ先に味方になるわ。お兄様の娘ですもの。だから何かあったら遠慮なく相談してちょうだい。それにまた家に顔を出してくれると嬉しいわ。みんな大歓迎だから。」

 そう差し伸べられた手を「はい」と言って握ると、優しい温もりが広がった。




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