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リョンヤン王子
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「最近城内は平和だなぁー。」
先輩の兵士が退屈そうに欠伸をした。
「何言ってるんですか、ヒョンジェさん。平和なことはいいことですよ。」
リョンヤン王子の暗殺未遂事件以来、城では刺客が現れることも、家臣同士の嫌がらせも、また後宮での王妃同士の諍いさえも起こらなかった。どうやらリョンヤン王子は王子の中でも、なかなかに人望があるらしく、王族を巻き込むような争いを起こさぬよう、城内の人間関係の改善に、あの一件以来心を砕いているようだ。
そしてリョンヤン王子の存在を疎ましく思っている者は、怪しまれないように息を潜めているようだ。
「でもな、ハヨン。あまりに平和すぎると俺たちの存在意義が問われるだろう?」
「私たちが存在していれば、それだけ変なことを考える輩を動きづらくさせたり、規律を守らせたりできるのではないでしょうか?」
とハヨンも暇であることは間違いなかったので、いけないとは思いながらも返事をしてしまい、だんだんと哲学の問答でもしているかのような流れになってきた。
「でもな、何もないと俺たちはただのお飾り…」
「何やら楽しそうだな…。」
「わっ!ヘウォン様!」
突然のヘウォンの登場で、ヒョンジェは飛びあがり、ハヨンも身を固くする。
「このところ城内が落ち着いているから気が緩むのもわかるが…。刺客はそこをついてくる。以後気をつけろよ。」
「すみません。」
ハヨンとヒョンジェは頭を下げる。
「ところでもうすぐ交代の時間か?」
「はい、一刻ほどで…。」
「ならハヨン、お前に会いたいと仰っている方がいる。このあと俺の執務室に来い。」
「はい、わかりました。」
ヘウォンが尊敬語を使っているならそれなりの身分の人か。ハヨンはちらりとある人の可能性を考えた。
「それで、私と会いたいと仰っている方はいったい…。」
「リョンヤン王子だ。」
ヘウォンと廊下を歩きながら、ハヨンは少しそわそわしながら聞いてしまう。
「この前のお礼を言いたいとのことだ。」
「お礼、ですか。私のやるべき仕事を果たしたまでですので、そう言われると何だか不思議な気もしますが…。」
「ヘウォン様はそうは思わなかったと言うことだろう。」
そう答えたヘウォンの言葉に、自分の仕事を王子は認めてくださったのだとハヨンは少し嬉しくなった。
「そうですか…。わかりました。そしてお会いするのはいつになるのでしょうか?」
あまり喜びすぎてもいけないかとハヨンは考え、表情が弛まぬように気をつけながら問う。
「今すぐだ」
「えっ、今からですか?」
ハヨンは急に王子に会うことに対して緊張する。心の準備ができていないのだ。
「わ、わかりました。」
ハヨンの動揺を見て取ってか、ヘウォンはにやりと笑った。
「急に固まったな。そこまで緊張しなくとも大丈夫だ。」
「し、しかし私王族の方と直接言葉を交わすのは初めてで、どうお答えすれば良いのか…」
城に入るまでは王の顔さえ知らなかった。そんな遠い存在の人達とこんなにも急に言葉を交わすなんて、ハヨンには、考えただけでも目が回りそうだった。
先輩の兵士が退屈そうに欠伸をした。
「何言ってるんですか、ヒョンジェさん。平和なことはいいことですよ。」
リョンヤン王子の暗殺未遂事件以来、城では刺客が現れることも、家臣同士の嫌がらせも、また後宮での王妃同士の諍いさえも起こらなかった。どうやらリョンヤン王子は王子の中でも、なかなかに人望があるらしく、王族を巻き込むような争いを起こさぬよう、城内の人間関係の改善に、あの一件以来心を砕いているようだ。
そしてリョンヤン王子の存在を疎ましく思っている者は、怪しまれないように息を潜めているようだ。
「でもな、ハヨン。あまりに平和すぎると俺たちの存在意義が問われるだろう?」
「私たちが存在していれば、それだけ変なことを考える輩を動きづらくさせたり、規律を守らせたりできるのではないでしょうか?」
とハヨンも暇であることは間違いなかったので、いけないとは思いながらも返事をしてしまい、だんだんと哲学の問答でもしているかのような流れになってきた。
「でもな、何もないと俺たちはただのお飾り…」
「何やら楽しそうだな…。」
「わっ!ヘウォン様!」
突然のヘウォンの登場で、ヒョンジェは飛びあがり、ハヨンも身を固くする。
「このところ城内が落ち着いているから気が緩むのもわかるが…。刺客はそこをついてくる。以後気をつけろよ。」
「すみません。」
ハヨンとヒョンジェは頭を下げる。
「ところでもうすぐ交代の時間か?」
「はい、一刻ほどで…。」
「ならハヨン、お前に会いたいと仰っている方がいる。このあと俺の執務室に来い。」
「はい、わかりました。」
ヘウォンが尊敬語を使っているならそれなりの身分の人か。ハヨンはちらりとある人の可能性を考えた。
「それで、私と会いたいと仰っている方はいったい…。」
「リョンヤン王子だ。」
ヘウォンと廊下を歩きながら、ハヨンは少しそわそわしながら聞いてしまう。
「この前のお礼を言いたいとのことだ。」
「お礼、ですか。私のやるべき仕事を果たしたまでですので、そう言われると何だか不思議な気もしますが…。」
「ヘウォン様はそうは思わなかったと言うことだろう。」
そう答えたヘウォンの言葉に、自分の仕事を王子は認めてくださったのだとハヨンは少し嬉しくなった。
「そうですか…。わかりました。そしてお会いするのはいつになるのでしょうか?」
あまり喜びすぎてもいけないかとハヨンは考え、表情が弛まぬように気をつけながら問う。
「今すぐだ」
「えっ、今からですか?」
ハヨンは急に王子に会うことに対して緊張する。心の準備ができていないのだ。
「わ、わかりました。」
ハヨンの動揺を見て取ってか、ヘウォンはにやりと笑った。
「急に固まったな。そこまで緊張しなくとも大丈夫だ。」
「し、しかし私王族の方と直接言葉を交わすのは初めてで、どうお答えすれば良いのか…」
城に入るまでは王の顔さえ知らなかった。そんな遠い存在の人達とこんなにも急に言葉を交わすなんて、ハヨンには、考えただけでも目が回りそうだった。
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