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第2章 もふもふにまみれる
4.
しおりを挟む「話は以上だ。ゆるりと休まれよ」
一言残して王様は立ち上がり、部屋の扉に向かう。それに続いて王妃様とナシェラさんも退室する。部屋には先程の護衛が2人残された。
ひえ~……。相変わらず弟さんは冷たいお顔してます…。仲良く、なれるでしょうか……。
「ねぇ!これからずっと神子の側にいられるッスよ!いっぱい撫でてもらえるんだ!」
その反対に1人、ギルくんはぴょんぴよん跳ねて喜んで(?)いる。可愛いなあと思い微笑みながら、兎ならではのその跳躍に驚いてもいた。そしてそれが終わったのか動きが止まると、急にベッドの方に小走りにやってきた。
「神子~♪」
「ぐえっ、」
「ねぇ~、神子は名前なんてゆーの?」
ベッドの上にいる俺にぴょんっ、と乗ってぎゅぅぅぅと抱き締めてくるので変な声を出してしまった……。うさぎさんなので甘えたさんなのでしょうか。かわいいですねぇ。
「ふふっ。俺はハルって言います。いっぱいなでなでしてあげますね!」
「ハルさんッスか。ハルさん、いい匂いするから大好きッス~」
ふわふわの髪の毛を堪能するように頭を撫でると、ギルくんは何か気に入ったのか俺の胸にうりうりと頭を擦りつける。感情豊かに動く耳がこれまた可愛いんですよ。
「おれ、いっつも誰かと一緒じゃないと寂しくて死んじゃうんス……。だからずっと隣にいてもいッスか…?」
ちょっと顔をあげて瞳をうるうると滲ませて見つめてくる。かわいい。ずっと居てくれても嫌じゃないですよね、これ。
「あぁ、"まんねんはつじょうき"っていうんですかね。うさぎさんですもんね」
「そうそう……って、ちょと馬鹿にしてるッスよね!?寂しがりやで甘えたなんです!!もぉ~」
「ごめんごめん。可愛いから、ね。俺も側にいてくれると安心するよぉ」
「ありがとッス~」
この世界の獣人って、こんなに可愛いんですか。これは……神様のおかげでしょうか。でもちゃんと人間味もあるので、みんなのことをよく知らないといけませんね。
「おい。ギル、いい加減にしろ。神子に無闇矢鱈と触れるんじゃない。どんな相手かも分からないというのに……」
呆れ半分怒り半分ぐらいに止めにはいってくる弟さん。うん、怒られちゃうかな?
「だーいじょうぶッスよ!ハルさんは優しい匂いがするッス。それに俺のこといっぱい撫でてくるれるって言ってるんス」
「そんなことは俺もわかっている。ただ、神子がどんな力を持っているかも分かっていないのに触れるのは危険だと言っているんだ」
「うるさいッス!そんなだから冷獣って呼ばれるんですよ」
なるべく静かに話をつけたい弟さんに対して、ギルくんはべーーっ、と舌を出して反抗している。その間にもギルくんは俺のことを抱き締めたまんまで、時々ぴょこぴょこ動く耳が肌にあたってくすぐったい。
「はぁ……」
と弟さんは溜め息をつくと、何故かギロッと睨まれた。それは物凄く鋭い目つきで。
(なんでだ……?)
「ギル、少しこの部屋から出ていてくれ。俺はこいつと話がある」
「やだッスよ。絶対変なことしか言わないでしょ。もう大事なハルさんなんッス」
「っ、……。傷つけたりしないから、言うことを聞いてくれて。約束だ」
どうにか怒らないようにとギルくんをたしなめる姿は、もう苦虫を咬み潰したようで。
ひぇ、一体なにをされるんでしょうか……。
「ちぇっ、わかったッスよ。絶対絶対ぜーったい傷つけたらダメッスよ!」
「あぁ…」
結局、ギルくんは弟さんを信じて部屋を出ていった。できれば俺を置いていってほしくなかったなぁ……とか。だって怖いじゃないですか!護身術って、どうやるんでしたっけ……。
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