加護を受けた転生者は第2王子に溺愛されるようになりました〜もふもふは正義です〜

MICHE

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第2章 もふもふにまみれる

8.

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光の眩しさに耐えた後、体の周りに風を感じた。

「ハル。もう目を開けていいッスよ」
「ぅん……」

ギルくんの声をきいて恐る恐る目を開いてみる。
 そこは、自分が強くイメージしていた雰囲気の場所だった。花も草も木もいっぱいで、小さな鳥さんや蝶も集まっていた。
ふわりと風も吹いていて、まるで王宮と掛け離れている場所に来たようだった。でも、ここは中庭だから多分すぐそこなんだと思う。
 少しイメージとは違っていたのは、広がる大草原のような感じじゃなくて、庭全体を包囲するように木に囲まれているってところでしょうか。

「1分18秒。はぁ……ギル、お前は部屋待機だったはずだが?」

「ラウル様は酷いんッスよ。神子相手だから、とかいって慎重にやるんじゃなかったんスか」

「ふん。お前が手を出すからな、問題ないだろうと踏んだまでだ」

「まったくもー………」

ラウルさんとギルくんは何やらブツブツと話し合っていた。けれど、ほとんどその内容は俺の耳には届いていなかった。
 
というのも、ギルくんから手を離すと小さな鳥さんたちが俺の周りに集まってきてくれた。動物が好きな俺はすぐに夢中になって、二人のこともここに来た目的も一瞬忘れてしまうくらいだった。
 
「おい。何してる、早速始めるぞ」
「ぁ、はい!」

ラウルさんに呼ばれて、自分の世界に入り込んでいたところから戻ってきた。二人のいる方に小走りで駆け寄っていくと、どうしたのかラウルさんには睨まれた。
 ひぇ~……俺が遅かったのがわるかったんですね!お願いですから睨まないでくださいよぉ……。

「炎属性は一番使い手が多い。簡単だからこそ、魔法に込める魔力を抑えてやってくれ。庭が燃える」
「は、はい……頑張ってみます…」

これは絶対燃やしてしまうパターン!!という謎の自信しか湧いてこなかった。
さっきはあんなにも意気込んでいたんですけどね……(心の中でだけですけども)
 ギルくんに助けを求めようとちらっ、と探してみたけれど、帰ったのかいつの間にかいなくなっていて泣きそうになった。


そもそも物理的な魔法とか使ったことないんですし、懇切丁寧に教授してくださってもいいとおもうんですよ。
いやでも、ワクワクした気持ちは大きかったので割と切り替えは早かった。

「ふ~……」

魔力を抑えて……且つラウルさんにはちゃんと認めてもらえるくらいの魔法……。



 炎を発生させる為に、庭の草花を欠片ほどいただく。その草花の物質の一部を分解していき、可燃性の気体を発生させた後に空気中の酸素とゆっくりと融合させる。
全体に馴染むような感覚を手に味わいながら、頭の中で炎をイメージする。



 赤く、赤く、赤く………




(えいっ………!!!)


最後に完成した魔力を魔法にして空中に放った。
自分の魔法が、一体どんな形で現れるのか見当もつかなくて、目を瞑ったままやった。

火の温かさは感じられないけれど、体の芯がぬくぬくと温まっていく感じがした。だから多分、魔法はできていると思う。
…………そう思いたい。


「うわぁ………!!」

おそるおそる目を開けてみると……なんと、空中に大きな火の円陣が渦巻いていた。燃えさかる火は人の倍もある程高く立ち昇っていた。イメージしたよりも勢いよく大きな炎は、赤のような朱色のようななんとも綺麗だと思った。
 え?大丈夫ですか、これ。

「神子………」
「ひゃいっっ……!!」

呼ばれた……。ラウルさんの顔が怖くて後ろを振り向けない。……後ろからの威圧感が半端ないんですよ。
でも振り返らなくても怒られそうなので、意を決してぐるっ!と右回れをした。

「お前……今、何をした?」

未だ空を燃やしている炎と俺の顔を交互に見ながらそう問われる。

「ぁ、えっと、火の魔法をやらせていただきました……」

「無詠唱でか?あの短時間であの魔法をつくったのか?」

「あの、なにかいけなかったのでしょうか」

「いや、いい」

何かありげなラウルさんは特に何も言いはしなかった。怒られなかったことにはほっ、と安堵したけれど、それはそれで気になりますよね。
見るからに魔法はちゃんとできてましたし!俺頑張ったんですよ、誰か褒めてくださいぃぃぃ!!

「だが1つ聞く。今のはどのくらいの魔力を使った」

「えっと、庭の植物が燃えるって言われたので結構抑えてやりましたけど…」

「……そうか」

やっぱり褒めてくれません。



それで、ここからあの序盤の話になりますね。やってる最中、結構恥ずかしかったんですから!ラウルさんにはいつか仕返しをしたいところです。




ちょっとだけぷんぷんしながらもその後魔法実習は続けられた。それはもうスパルタに。



 次にやれって言われたのは、動くものに魔法を当てる練習だった。
ラウルさんが木の板や小さな木の破片なんかを動かしている。それにさっきのような火属性の魔法をなんでもいいから当てて燃やせ、と。
動くものに目がない猫じゃないんですから、俺にはできませんって………。


 そんなことを言えるのも心の中だけで、渋々位置について始めた。


「やっ!……えいっ、とや!………」


さっきのイメージみたいに魔法を使った。ちゃんと火はできてるし、燃えてる。なんかまるっこい形にもなって板の方に飛んでいってる。わあ、凄い。


だけど結果は………。


「おい、お前目はちゃんと見えているのか?」
「う"っ……」

そう、ひとっつも当たっていない。当たるどころか掠りもしていない。でも横をすり抜けていくくらいには狙えていると思う。
どうしてできないんですかぁ……。

「少し俺が手を加えるからもう一度やるぞ」

「はぃ……お願いします…」

どうやらちゃんと狙えるコツを掴むまでお手伝いをしてくれるらしいです。ということでもう一度やらなければならないのですが……ちゃんとできるといいです。


「ふぅ………ぅわ!………ぁ、………ふっ、」

息を整えて集中したはずなのにまた外れていく……。ラウルさんもしっかりお手伝いしてくれたのに申し訳ないです。でもでも、いつまでもできないっていうのも嫌じゃないですか。

そこで、もう一回!のお願いを何度も繰り返して練習した。

「違う!もっとこっちだ」

「できないですよぉ……」

結局、このやりとりの繰り返しもお願いと同じ数だけ行われた。つまり、俺は下手くそだということ……。魔法はあんなに綺麗なのにそれが使えないって意味なくないですか。
でも、できるだけラウルさんが授業をしてくれる、ということはこれからも練習ができるっていうこと…。早く上達してラウルさんに褒めてもらいたいです!

「今日はこれで終わりにする。……明日もやる、心象も使えるようにしておけ」

「はい。ありがとうございました」

挨拶をすると、ギルくんがどこからか現れて、また俺の手をとってくれた。

「部屋に帰るッスよ。ハル、ご飯をもう用意してもらってるから食べよう。疲れたッスよね」
「うん。ありがとう、ギルくん」

帰るときも俺が魔法を使って部屋に帰った。この魔法を使うときのふわっとした感じがちょっと好きだな、なんて思ったりした。



一瞬で部屋に帰ると、ギルくんの言ったとおりご飯が用意してあった。凄くいい匂いで、見てるだけでお腹が鳴りそうなくらいの量がありましたけど。

「ハルがご飯食べてる間、俺と一緒にいてほしいッス。お話したい」
「もちろん。ギルくんもここで食べようよ」
「いいんスか!じゃあ、早速準備するッス!」

ここで一回ギルくんとは別れた。
 ギルくん、今日は甘えたさんになったのかな?









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