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1.女将の秘密

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「ヤバいヤバい。」
午後6時
わたくし、狐崎こざきルカは今とってもヤバいんです!何がヤバいかって?実は、わたくし旅館の女将で今は夕食の時間なんですが、なんと今日、私の女将歴史上、お客様の数が多いんです!あーもう。忙しい。いそが..大変!耳が生えてきた。どうしよ、どうしよ。今、色々と大変なのに!!このままじゃ、この姿をお客様に見られてしまう。ヤバい!ヤバい!どうしよ!
「女将さん。あとは、僕に任せて後ろに下がっててください。」
仲居のゆきが言った。雪はボクっ娘でとてもカワイイが本人にカワイイとか言うとガチギレするので口にはできない。
「女将さん、何ぼーっとしてるんですか?しっぽも生えてきてますよ!」
ヤバい。今日は、私史上1番ヤバい1日だ。私はすぐに走り去った。結構、足には自信があるのだ。ようやく、静かな廊下に辿り着いた。結構、この旅館広いから着物姿で歩くの大変なんだよなー。誰も騒いでない。あいにく、変化姿はお客様はご夕食に夢中で気づいてなかったようだ。ふぅー。良かったーーーー!!!
あ、皆様驚かせてしまいましたね。
えっと、唐突ですけど実は、私。狐と人のハーフでして。話すと長くなるんですけど6年前、私の両親が亡くなり祖父母の代よりも前から続いてきたこの旅館を継ぐことになったのです。子どもの頃から時々狐に変化へんげしてしまう私だったんですけど他に継ぐ方がいなくて継ぐことになってしまい今に至ります...ちなみに、私が狐と人のハーフってことをここの従業員は皆知ってるんです。
ってヤバい。もう、今日ヤバいって何回言ってんだろw。さっきまでは、耳としっぽしか生えてなかったのにもう全身狐になってしまったーー!!こっから人に戻るのはもう、日も落ちたから次の日が昇るまで..ってことは今日はもう働けない!!あー!もうー!私は、仕方なく受付に手紙を置き森に飛び込んだ。でも、手紙を書くとき狐の手で文字書くのってほんとに苦労するんですよ!あの、モフっとした手で書くのってほんと苦労。マジで皆さんもし狐になったら1回やってみて?ガチで、五本指の大切さが身に染みるんで!
わーお。もう、森も真っ暗だ。怖い怖い。一応、変化したように泊まれるログハウスがここら辺にあるはずなんだけど...
あった!
『ガチャ』狐でも届くようにドアノブも低い位置にあるからいい。スイッチも届く位置だ。よしっ寝ますか。

私は狐姿で人間のようにベッドに横になった。
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