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恋人気分
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「こんばんは。カオルです。レイジさんですか?」
私が返事をした事で、目の前の男性は安心した様な笑みを浮かべてくれた。
その表情が余計に、好きだったアイドルグループで活躍していたボーカルの男性に似ていると感じた。気分が弾んで来てしまった。
「はい。レイジです。今日はよろしくお願いします。今日はとてもお綺麗ですね? もしかして僕の為ですか?」
「ちょっと気合い入れ過ぎちゃってましたか? こういうの初めてで……」
「とても、お似合いですよ。それに好きな雰囲気です」
「そ、そうですか?」
「えぇ、勿論。ここで立ち止まって居るのもなんですし。レストランへ行きましょうか?」
そう言って、彼は手を差し出して来た。夫以外の男性と手を触れるなんて初めてで、躊躇してしまった。
「お嫌でしたら、後ほどにしますか?」
そう彼は、言うがどこか不安そうな顔をしている。
彼は仕事とは言え、初めての女性と向き合うのは緊張をするのかもしれない。そう思うと少し気が楽になった。
「いえ。大丈夫です」
そう言いながら、手を差し出してしまった。彼の手の温もりがどこか心地よい。人肌ってこんなに安心するんだっけ。そう言えば、夫とは……と思ったが、今はレイジさんとデート中だった。こんな風に考えるのは失礼だと気づいた。
レストランに向かう道中にレイジさんから
「カオルさんは、こう言った事は初めてですか?」
こう問いかけられた。
「は、はい。初めてです。恥ずかしいですけれど」
「僕もですよ。いつも緊張してしまいます」
そう言いながら、レイジさんは、少し照れたような笑顔をしている。
私はこの様な、学生っぽい恋人気分を味わいたかったと、お店の受付でお願いしていたけれど。彼は、本心から言ってる様に感じてしまった。
そして、予約していたレストランについたので、二人で食事をしている時にレイジさんの身の上話を聞いた。どうやら大学生で、今年上京したばかりらしい。私と何歳違いなんだろう。そう数えようとして、やめた。
「それじゃ、カオルさんはずっと東京なんですね」
「はい。そうです。修学旅行以外で、あまり他の所には行った事なくて」
「そうなんですか。行ってみたい所とかありますか?」
「この間テレビで観た。長崎のハウステンボスとか行ってみたいかも。でも遠くて」
「いいですね。僕、九州出身ですが、いい所ですよ。物価も安いですし。是非行ってみてください」
そうレイジさんは、笑顔で言ってくれるけれど。今の私は独り身ではない。
「で、でも私には、おっ……」
(しー)そう言いつつ、彼は人差し指を立てた。
「今日は僕だけをみて欲しいな? 折角、今日出会えたんですからね♪」
「そ、そうでした。すみません、なんか……」
「大丈夫です。それより食べましょう?」
食事の手が止まってしまっていたので、再開する。これからの事を考えると緊張するので、久々にワインを飲んだ。レイジさんにも勧めたけれど『まだ未成年なので』と断られた。そう言えば、そうだった。酔いが回って来たのか、なんだか良く分からなくなってきた。
「レイジさん。私の事どう思いますか?」
「カオルさんはとてもお綺麗ですよ。僕なら放っておきません」
「本当に?」
「本当ですよ。今、一緒にいるじゃないですか」
「でも……最近、一緒に居ても、分からないの」
「………カオルさんは愛されたいんですね。だったら、今日は僕を愛してくれませんか?」
「え?」
「『人は愛されると、愛し返したくなるんですよ』僕はカオルさんに愛されたい。どうでしょう?」
「きょ、今日だけなら」
「えぇ。今日だけです………好きですよカオルさん」
「わ、私も…………さんが好きです」
「そうそうその調子です♪ 練習してきましょう♪」
なんだか、こうやって会話していると。彼の方が年上みたいだ。少なくとも恋愛面では経験豊富なのかもしれない。私と夫は、互いに他人を経験しないまま結婚してしまったのだから。
食事を終えて、ホテルに来てしまった。休憩と表示されている傍に時間と金額が書かれている看板があって、それが妙に艶かしい。どうしてもその後の行為を想像してしまう。
今回は、挿入、いわゆる本番行為が無いとは言え、これから夫以外の人とそういう事をしてしまうんだ。と思うと身がすくんでしまうと、隣に居るレイジさんが暖かく手を握り返してくれた。
「大丈夫ですよ。心配しないで。カオルさんの嫌がる事はしません」
「は、はい……でも、そもそもラブホテルが初めてで………」
「そうなんですか。カオルさんの初めてを貰えるなんて光栄です」
「そんな大層な物じゃ……もうおばさんですし」
「そんな事ありませんよ。とても魅力的な人です」
そう言いつつ、レイジさんは私の顔をしっかりと見つめてくれた。
お酒の勢いも合ってか『今日は、いや"今だけ"はこの人の恋人になろう』そう思ってしまった。
つづく
----------------------------------------------------
あとがき
いくつになっても、初体験は尊い物です。
私が返事をした事で、目の前の男性は安心した様な笑みを浮かべてくれた。
その表情が余計に、好きだったアイドルグループで活躍していたボーカルの男性に似ていると感じた。気分が弾んで来てしまった。
「はい。レイジです。今日はよろしくお願いします。今日はとてもお綺麗ですね? もしかして僕の為ですか?」
「ちょっと気合い入れ過ぎちゃってましたか? こういうの初めてで……」
「とても、お似合いですよ。それに好きな雰囲気です」
「そ、そうですか?」
「えぇ、勿論。ここで立ち止まって居るのもなんですし。レストランへ行きましょうか?」
そう言って、彼は手を差し出して来た。夫以外の男性と手を触れるなんて初めてで、躊躇してしまった。
「お嫌でしたら、後ほどにしますか?」
そう彼は、言うがどこか不安そうな顔をしている。
彼は仕事とは言え、初めての女性と向き合うのは緊張をするのかもしれない。そう思うと少し気が楽になった。
「いえ。大丈夫です」
そう言いながら、手を差し出してしまった。彼の手の温もりがどこか心地よい。人肌ってこんなに安心するんだっけ。そう言えば、夫とは……と思ったが、今はレイジさんとデート中だった。こんな風に考えるのは失礼だと気づいた。
レストランに向かう道中にレイジさんから
「カオルさんは、こう言った事は初めてですか?」
こう問いかけられた。
「は、はい。初めてです。恥ずかしいですけれど」
「僕もですよ。いつも緊張してしまいます」
そう言いながら、レイジさんは、少し照れたような笑顔をしている。
私はこの様な、学生っぽい恋人気分を味わいたかったと、お店の受付でお願いしていたけれど。彼は、本心から言ってる様に感じてしまった。
そして、予約していたレストランについたので、二人で食事をしている時にレイジさんの身の上話を聞いた。どうやら大学生で、今年上京したばかりらしい。私と何歳違いなんだろう。そう数えようとして、やめた。
「それじゃ、カオルさんはずっと東京なんですね」
「はい。そうです。修学旅行以外で、あまり他の所には行った事なくて」
「そうなんですか。行ってみたい所とかありますか?」
「この間テレビで観た。長崎のハウステンボスとか行ってみたいかも。でも遠くて」
「いいですね。僕、九州出身ですが、いい所ですよ。物価も安いですし。是非行ってみてください」
そうレイジさんは、笑顔で言ってくれるけれど。今の私は独り身ではない。
「で、でも私には、おっ……」
(しー)そう言いつつ、彼は人差し指を立てた。
「今日は僕だけをみて欲しいな? 折角、今日出会えたんですからね♪」
「そ、そうでした。すみません、なんか……」
「大丈夫です。それより食べましょう?」
食事の手が止まってしまっていたので、再開する。これからの事を考えると緊張するので、久々にワインを飲んだ。レイジさんにも勧めたけれど『まだ未成年なので』と断られた。そう言えば、そうだった。酔いが回って来たのか、なんだか良く分からなくなってきた。
「レイジさん。私の事どう思いますか?」
「カオルさんはとてもお綺麗ですよ。僕なら放っておきません」
「本当に?」
「本当ですよ。今、一緒にいるじゃないですか」
「でも……最近、一緒に居ても、分からないの」
「………カオルさんは愛されたいんですね。だったら、今日は僕を愛してくれませんか?」
「え?」
「『人は愛されると、愛し返したくなるんですよ』僕はカオルさんに愛されたい。どうでしょう?」
「きょ、今日だけなら」
「えぇ。今日だけです………好きですよカオルさん」
「わ、私も…………さんが好きです」
「そうそうその調子です♪ 練習してきましょう♪」
なんだか、こうやって会話していると。彼の方が年上みたいだ。少なくとも恋愛面では経験豊富なのかもしれない。私と夫は、互いに他人を経験しないまま結婚してしまったのだから。
食事を終えて、ホテルに来てしまった。休憩と表示されている傍に時間と金額が書かれている看板があって、それが妙に艶かしい。どうしてもその後の行為を想像してしまう。
今回は、挿入、いわゆる本番行為が無いとは言え、これから夫以外の人とそういう事をしてしまうんだ。と思うと身がすくんでしまうと、隣に居るレイジさんが暖かく手を握り返してくれた。
「大丈夫ですよ。心配しないで。カオルさんの嫌がる事はしません」
「は、はい……でも、そもそもラブホテルが初めてで………」
「そうなんですか。カオルさんの初めてを貰えるなんて光栄です」
「そんな大層な物じゃ……もうおばさんですし」
「そんな事ありませんよ。とても魅力的な人です」
そう言いつつ、レイジさんは私の顔をしっかりと見つめてくれた。
お酒の勢いも合ってか『今日は、いや"今だけ"はこの人の恋人になろう』そう思ってしまった。
つづく
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あとがき
いくつになっても、初体験は尊い物です。
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