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8 囚われる2
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〈作者より〉
エピソード8は長かったので、キリのいいところで分割したら、後半は短くなってしまいました。短くてすいません。
----------------
クロードが目を醒ますとそこは自分の部屋だった。窓の方を見ると朝日が昇り、鳥の声が聞こえた。机の上のでうたた寝をしていたようだが、昨日のフランと留学生の少年のことを思い出して血の気が引く。クロードは自分の部屋から飛び出してフランの部屋に行くとドアを叩くが何の反応もない。ドアノブを回すと鍵がかかってなかったので急いでドアを開けると、そこにフランの姿だけでなく、フランの私物などは一切なくがらんどうとした部屋だけがあった。まるで最初から人がいなかったように。
「あーそこの部屋のフランシス君なら今朝出てったよ」
後ろを振り向くと寮の管理人の男性が立っていた。モップを持っているので掃除の途中のようだ。
「えっ?な、なんでですか?」
「君、友達なのに聞いてないのかい?家庭の事情で学校にいれないから出ていくって。学園も退学すると言っていたよ。」
「そんな…」
「ひょっとして、友達に言いにくかったのかもな。家の事情もあるから。まあ元気出しな。手紙がくるかもしれないぜ」
唖然としているクロードを気の毒に思ったのか寮の管理人は励ました。寮の管理人の励ましも聞こえないほどクロードはショックを受けていた。やはり夕べのことは現実だったのか?朦朧とした床の上で聞こえてきたフランの泣いて嬌声をあげる声は夢ではなく現実だったのか…?あの真面目なフランが俄には信じがたいし、クロードは信じたくなかった。
後日、クロードは魔術クラスの生徒や教師にも聞いたが、実家から戻るようにと言われて留学生のシンスミは隣国に戻ったようだった。
「フラン…」
校舎のベンチに座りクロードは青い空を見つめて考える。あの2人が性交してたのは本当だったのかクロードにはわからない。現実的に考えれば、フランは家の事情で学園を辞めてクロードになにも言わず去っていった、偶然同じ日に留学生も国に帰っただけ。それだけだ。
『それに真面目なフランがあんな下品なことをするはずはない…』
自分の好きになったフランが、留学生の少年に奴隷のようにいいようにされている…そんなことはあり得ない。自分のフランへの邪な気持ちがあんな悪夢を見せたのだとクロードは結論付けた。
『俺がフランに気持ちを伝えていたら少しは何か変わっていたのだろうか…』
クロードは青い空を見るのをやめて立ち上がり校舎を後にした。
+++++++++++++++++++++++++++++
シンスミは部屋のドアを開けると窓辺に立って夕日を見つめているフランに駆け寄り抱きついた。
「先生!じゃなかった、フランさん。フランさんのために用意した部屋はどうですか?居心地悪いとか壁紙が趣味じゃないとかあります?」
「ううん、素敵な部屋だよ。ありがとうシン君」
「えへへ、そう言って貰えると嬉しいです」
シンスミは学園に帰ったその日にフランに淫紋をかけ、収納魔術でフランの私物を回収してその日にシンスミの生まれ故郷に向かった。
すでにシンスミが用意していたのか、隣国に着いたらフランの家族が待っていて驚いた。家族はシンスミには好意的すぎてフランは完全に外堀を埋められて逃げられなかった。
「…こっちの国も夕日は同じだなと思って。きれいだね」
「夕日もキレイですけど、フランさんの方がキレイですよ」
そう言ってシンスミはフランの唇にキスをする。シンスミはフランよりまだ背が低いので背伸びをしているのは微笑ましいが、この少年の邪悪さをフランは知っている。
フランの家族は住む場所を提供され生活は保証されたが、フランはシンスミの家庭教師としての契約がまだあるので、シンスミと同じ屋敷で暮らすことになった。使用人を除けば、シンスミとフランの2人だけの家だ。
「…シン君、俺…」
シンスミに抱き締められていると、フランは身体が疼いて我慢が出来なくなる。淫紋を刻まれた最初は術者を求めてしまうらしい。
「あっ、ごめんなさいフランさん。またしたくなっちゃいました?」
「う、うん…実はそうなんだ…」
フランは考える。自分は本当は淫らで浅ましい本性で、シンスミと出会ってその本性が出ただけなんだと。最初から自分は淫乱で下品な性分だった、でなければシンスミに抱かれてあんなに乱れるはずはないと。堕ちるべくして自分は堕ちたのだとフランは思った。
「じゃあ先生しましょうか?」
「うん、俺の身体で実技…だね…」
夕日で赤く染まるフランをシンスミは抱き締めて二つの影がひとつになった。
エピソード8は長かったので、キリのいいところで分割したら、後半は短くなってしまいました。短くてすいません。
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クロードが目を醒ますとそこは自分の部屋だった。窓の方を見ると朝日が昇り、鳥の声が聞こえた。机の上のでうたた寝をしていたようだが、昨日のフランと留学生の少年のことを思い出して血の気が引く。クロードは自分の部屋から飛び出してフランの部屋に行くとドアを叩くが何の反応もない。ドアノブを回すと鍵がかかってなかったので急いでドアを開けると、そこにフランの姿だけでなく、フランの私物などは一切なくがらんどうとした部屋だけがあった。まるで最初から人がいなかったように。
「あーそこの部屋のフランシス君なら今朝出てったよ」
後ろを振り向くと寮の管理人の男性が立っていた。モップを持っているので掃除の途中のようだ。
「えっ?な、なんでですか?」
「君、友達なのに聞いてないのかい?家庭の事情で学校にいれないから出ていくって。学園も退学すると言っていたよ。」
「そんな…」
「ひょっとして、友達に言いにくかったのかもな。家の事情もあるから。まあ元気出しな。手紙がくるかもしれないぜ」
唖然としているクロードを気の毒に思ったのか寮の管理人は励ました。寮の管理人の励ましも聞こえないほどクロードはショックを受けていた。やはり夕べのことは現実だったのか?朦朧とした床の上で聞こえてきたフランの泣いて嬌声をあげる声は夢ではなく現実だったのか…?あの真面目なフランが俄には信じがたいし、クロードは信じたくなかった。
後日、クロードは魔術クラスの生徒や教師にも聞いたが、実家から戻るようにと言われて留学生のシンスミは隣国に戻ったようだった。
「フラン…」
校舎のベンチに座りクロードは青い空を見つめて考える。あの2人が性交してたのは本当だったのかクロードにはわからない。現実的に考えれば、フランは家の事情で学園を辞めてクロードになにも言わず去っていった、偶然同じ日に留学生も国に帰っただけ。それだけだ。
『それに真面目なフランがあんな下品なことをするはずはない…』
自分の好きになったフランが、留学生の少年に奴隷のようにいいようにされている…そんなことはあり得ない。自分のフランへの邪な気持ちがあんな悪夢を見せたのだとクロードは結論付けた。
『俺がフランに気持ちを伝えていたら少しは何か変わっていたのだろうか…』
クロードは青い空を見るのをやめて立ち上がり校舎を後にした。
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シンスミは部屋のドアを開けると窓辺に立って夕日を見つめているフランに駆け寄り抱きついた。
「先生!じゃなかった、フランさん。フランさんのために用意した部屋はどうですか?居心地悪いとか壁紙が趣味じゃないとかあります?」
「ううん、素敵な部屋だよ。ありがとうシン君」
「えへへ、そう言って貰えると嬉しいです」
シンスミは学園に帰ったその日にフランに淫紋をかけ、収納魔術でフランの私物を回収してその日にシンスミの生まれ故郷に向かった。
すでにシンスミが用意していたのか、隣国に着いたらフランの家族が待っていて驚いた。家族はシンスミには好意的すぎてフランは完全に外堀を埋められて逃げられなかった。
「…こっちの国も夕日は同じだなと思って。きれいだね」
「夕日もキレイですけど、フランさんの方がキレイですよ」
そう言ってシンスミはフランの唇にキスをする。シンスミはフランよりまだ背が低いので背伸びをしているのは微笑ましいが、この少年の邪悪さをフランは知っている。
フランの家族は住む場所を提供され生活は保証されたが、フランはシンスミの家庭教師としての契約がまだあるので、シンスミと同じ屋敷で暮らすことになった。使用人を除けば、シンスミとフランの2人だけの家だ。
「…シン君、俺…」
シンスミに抱き締められていると、フランは身体が疼いて我慢が出来なくなる。淫紋を刻まれた最初は術者を求めてしまうらしい。
「あっ、ごめんなさいフランさん。またしたくなっちゃいました?」
「う、うん…実はそうなんだ…」
フランは考える。自分は本当は淫らで浅ましい本性で、シンスミと出会ってその本性が出ただけなんだと。最初から自分は淫乱で下品な性分だった、でなければシンスミに抱かれてあんなに乱れるはずはないと。堕ちるべくして自分は堕ちたのだとフランは思った。
「じゃあ先生しましょうか?」
「うん、俺の身体で実技…だね…」
夕日で赤く染まるフランをシンスミは抱き締めて二つの影がひとつになった。
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