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突然ですが、王子だったそうです
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「で、どうするの?」
少しイラつき始めた様子の王族三人衆は何度目かの二人の世界に突入していた二人に声を掛けた。流石に入り込みすぎたと反省しながら、ラモールは思考を巡らせる。
(オルコもここに居てくれる。それに、俺も我儘言ってたからここは諦らめて…いや、でもやっぱり仕事も…あ、残ってないか。)
そう言えば、これより後の仕事はもうは言っていない事を思い出した。やめるならきっと今しかないが。
「我儘聞いてやったし、ラモールの仕事無くすの苦労したんだよ?約束は守ってね♪」
「やっぱりか…」
彼が暗殺をやって来て何年も経つが、仕事がここまできれいに無くなったことはほとんど無い。特に、死神としてそっちの世界で名が知れ割ってしまっている今では全くなかった。それにもかかわらず、ここ一か月、一切の依頼が入って来ないのは裏でオルコが依頼者を潰していたからだろう。
「…わかった。」
溜息を交えながら答えを出した。その答えを聞いて怒りは一昨日の方向へ置いて3人は喜んだ。
「でも!」
一拍置いて、
「もう少しの間…ラモールでいさせてください。」
そう告げた。まだ、死神であることを望んでいるのか。そう思ったオルコの思考を読み取ったのか、彼は四人を向いてさらに続けた。
「でも、仕事はもうはしません。ただ、まだ俺は第二王子になれないし、なりたくない。皆さんが望むなら、俺も王宮で過ごします。ですが、『ニコライト』としてではなく、『ラモール』として過ごさせてください。お願いします。」
こんな時でも己のプライドを突き通そうとし、それ以外の物を捨てる覚悟で 勢いよく頭を振り下げた。そんなラモールに驚いたが、すぐに笑って
「そんなの別に気にする必要ないぞ。」
「そうよ。貴方は貴方よ。好きに名乗っていいのよ。」
「ああ。君が望むならいくらでもラモールでいていいよ。」
口々にそう告げる三人に続いてオルコも
「ラモールはラモールでニコライト。どっちになるかは君の自由なんだよ。わざわざ許可なんてとる必要なんてないんだよ。」
皆の言葉にだんだん雫が落ちてきた。
「ありがとうございます…。これから、よろしくお願いします。」
泣き始めたラモールを四人は抱きしめた。
「「「「よろしく、ラモール。」」」」
こうして、ラモールの王宮生活は幕を上げた。
少しイラつき始めた様子の王族三人衆は何度目かの二人の世界に突入していた二人に声を掛けた。流石に入り込みすぎたと反省しながら、ラモールは思考を巡らせる。
(オルコもここに居てくれる。それに、俺も我儘言ってたからここは諦らめて…いや、でもやっぱり仕事も…あ、残ってないか。)
そう言えば、これより後の仕事はもうは言っていない事を思い出した。やめるならきっと今しかないが。
「我儘聞いてやったし、ラモールの仕事無くすの苦労したんだよ?約束は守ってね♪」
「やっぱりか…」
彼が暗殺をやって来て何年も経つが、仕事がここまできれいに無くなったことはほとんど無い。特に、死神としてそっちの世界で名が知れ割ってしまっている今では全くなかった。それにもかかわらず、ここ一か月、一切の依頼が入って来ないのは裏でオルコが依頼者を潰していたからだろう。
「…わかった。」
溜息を交えながら答えを出した。その答えを聞いて怒りは一昨日の方向へ置いて3人は喜んだ。
「でも!」
一拍置いて、
「もう少しの間…ラモールでいさせてください。」
そう告げた。まだ、死神であることを望んでいるのか。そう思ったオルコの思考を読み取ったのか、彼は四人を向いてさらに続けた。
「でも、仕事はもうはしません。ただ、まだ俺は第二王子になれないし、なりたくない。皆さんが望むなら、俺も王宮で過ごします。ですが、『ニコライト』としてではなく、『ラモール』として過ごさせてください。お願いします。」
こんな時でも己のプライドを突き通そうとし、それ以外の物を捨てる覚悟で 勢いよく頭を振り下げた。そんなラモールに驚いたが、すぐに笑って
「そんなの別に気にする必要ないぞ。」
「そうよ。貴方は貴方よ。好きに名乗っていいのよ。」
「ああ。君が望むならいくらでもラモールでいていいよ。」
口々にそう告げる三人に続いてオルコも
「ラモールはラモールでニコライト。どっちになるかは君の自由なんだよ。わざわざ許可なんてとる必要なんてないんだよ。」
皆の言葉にだんだん雫が落ちてきた。
「ありがとうございます…。これから、よろしくお願いします。」
泣き始めたラモールを四人は抱きしめた。
「「「「よろしく、ラモール。」」」」
こうして、ラモールの王宮生活は幕を上げた。
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