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エピローグ
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あれから一年後。苺谷先輩は卒業し、私はあの日から黒猫に『恩』と名付けて飼っている。
結局、苺谷先輩とはなんにも進展しなかった。あんなに大好きだったのに、今はもうなんとも思わない。
現実の世界はとても退屈で平和だった。お兄さんが守ってくれた世界に、私は今日も生きている。
「行ってくるね、恩」
「にゃー」
「おーん。猫砂床に飛ばさないで」
「にゃー」
「もう、また部屋が散らかるでしょう」
床に散らばった猫砂を手で掴み取ると、玄関で靴を履く。
私はもう、二年生になった。学校から伊恩と詩恩の姿は消えたけど、誰も二人のことを覚えていないようだった。多分、最後の最後で伊恩が記憶の操作をしたんだろう。それがメンテナンス担当としての最後の仕事だったんだ。
もうすぐまた、夏がくる。
「い、無花果先輩!」
放課後になり、帰ろうと学校を出たところで背後から誰かに声をかけられた。振り返るのも面倒なのでこのまま聞こえないフリして帰ろうなどと思っていると、「好きです、僕と付き合ってください!」と甘い言葉が降ってくる。
今は誰かと付き合うとか考えられないんだけど。
頭の中でどう断ろうか考えながら振り返ると、そこにいる男の子の顔を見てドキッとした。
どうして。いや、でも、まさか。
動揺を悟られないよう愛想笑いを浮かべると、私は彼に一番気になることを聞いてみる。
「……勇気を出してくれて、ありがとう。ねえ、貴方のお名前は?」
了
結局、苺谷先輩とはなんにも進展しなかった。あんなに大好きだったのに、今はもうなんとも思わない。
現実の世界はとても退屈で平和だった。お兄さんが守ってくれた世界に、私は今日も生きている。
「行ってくるね、恩」
「にゃー」
「おーん。猫砂床に飛ばさないで」
「にゃー」
「もう、また部屋が散らかるでしょう」
床に散らばった猫砂を手で掴み取ると、玄関で靴を履く。
私はもう、二年生になった。学校から伊恩と詩恩の姿は消えたけど、誰も二人のことを覚えていないようだった。多分、最後の最後で伊恩が記憶の操作をしたんだろう。それがメンテナンス担当としての最後の仕事だったんだ。
もうすぐまた、夏がくる。
「い、無花果先輩!」
放課後になり、帰ろうと学校を出たところで背後から誰かに声をかけられた。振り返るのも面倒なのでこのまま聞こえないフリして帰ろうなどと思っていると、「好きです、僕と付き合ってください!」と甘い言葉が降ってくる。
今は誰かと付き合うとか考えられないんだけど。
頭の中でどう断ろうか考えながら振り返ると、そこにいる男の子の顔を見てドキッとした。
どうして。いや、でも、まさか。
動揺を悟られないよう愛想笑いを浮かべると、私は彼に一番気になることを聞いてみる。
「……勇気を出してくれて、ありがとう。ねえ、貴方のお名前は?」
了
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