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7.確かな思い出
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新たな形をした扉を前に隼人は一瞬入るのを躊躇う。
そして男もまた、それを見逃さなかった。
「ふむ、迷いが見えるが・・・どうした?」
「ああ、いや・・・ちょっと麻衣に申し訳なくなったというか・・・」
言葉を濁し小さな声で返答する。
「ん?一枚目の成果が出ていたはずだが?お前は麻衣が欲しいのだろう、急にどうした?」
「い、いや・・・だからこそというか・・・もし本当にこれで成功して俺が麻衣と結婚したとしても、思ったんだ・・・結婚するはずだった新藤浩介の未来はどうなるんだろうって。その上過去を無理やり捻じ曲げて麻衣と結婚することだけを考えてる俺は新藤からしてみれば悪でしかない存在なんだろうなって。」
隼人の言葉に両手を広げやれやれと言ったポーズで大きく息を吐く男
「・・・何をいまさら、直前まで麻衣麻衣と女を手に入れるために情けなくも貪欲だったお前が急になんだ?こんな未来は他にはない、それは私とお前が出会うこの世界線ということだが・・・“変えたい”と心から願ったのは隼人、お前だろう、そしてその為に私はお前に手を貸し新藤の未来を殺す努力をお前はした。」
「そう、そうなんだけど・・・麻衣が本当に新藤浩介との結婚を願っていたとしたら・・・俺はなんて酷いことをしてるんだろうなって、ちょっと・・・思った。前回幼い麻衣に告白されて、人に告白されるってすごいことなんだなって、それを真っ当に歩いて麻衣の口から手に入れた新藤浩介ってすげぇなって、思った。俺は、なんか間違えてる気がしたんだ・・・。」
男は扉の前で自分に背を向け悩む隼人にただ一言聞いた
「ならばやめるか?」
「・・・・・」
何も答えられない隼人に男は言う
「世界にはパラレルワールドというものが存在する。それは数々のお前自身の選択から分岐していく無限の未来の一つひとつを指す。そして私にはお前の“それ”が見ることが出来る。後藤麻衣と結婚する未来も複数あるが・・・お前は全部切り捨てるのか?」
「分からなくなった。あんなに結婚したくてこうなった未来を後悔してこうなったはずなのに、こうしている自分が恥ずかしくなってきた。まるでゲームのチート技を使っているような気分でさ・・・。」
「くだらないな、善と悪、正解と間違い・・・それらは全部人間が勝手に作り上げたものだ。そんなものに振り回されているようじゃお前は麻衣と結婚したとしてもずっと罪悪感を抱えて生きることになる。特例だ、一日やる、一旦考えろ。そして明日また答えを持ってこい、未来を捨てるならもう来なくてもいい。明日の24時まで待つ。今のお前にはなんの覇気も感じない、帰りなさい。」
その言葉を聞いた瞬間、隼人は謎の力で部屋の外に吹き飛ばされた。
「・・・・・」
壁に背中を打ち付けるも隼人は黙って教会を出る
街を歩き綺麗な青空と日差しが自分の身体を包み込むも、その全てが毒にすら感じた
じわじわと残る背中の痛みだけが現実を突きつける
「今・・・麻衣は新藤浩介さんと幸せに生きてるんだよな・・・それでいいんじゃないか・・・?」
隼人は死んだ魚のような目で歩き、気づけば近所の公園のブランコに座っていた。
そこでブランコに僅かに揺られながら隼人はどれ程の時間を過ごしただろうか・・・。
気づけば一人の女性が自分に声を掛けていた。
「ねぇはやちゃんだよね・・・どうしたの・・・?」
そして男もまた、それを見逃さなかった。
「ふむ、迷いが見えるが・・・どうした?」
「ああ、いや・・・ちょっと麻衣に申し訳なくなったというか・・・」
言葉を濁し小さな声で返答する。
「ん?一枚目の成果が出ていたはずだが?お前は麻衣が欲しいのだろう、急にどうした?」
「い、いや・・・だからこそというか・・・もし本当にこれで成功して俺が麻衣と結婚したとしても、思ったんだ・・・結婚するはずだった新藤浩介の未来はどうなるんだろうって。その上過去を無理やり捻じ曲げて麻衣と結婚することだけを考えてる俺は新藤からしてみれば悪でしかない存在なんだろうなって。」
隼人の言葉に両手を広げやれやれと言ったポーズで大きく息を吐く男
「・・・何をいまさら、直前まで麻衣麻衣と女を手に入れるために情けなくも貪欲だったお前が急になんだ?こんな未来は他にはない、それは私とお前が出会うこの世界線ということだが・・・“変えたい”と心から願ったのは隼人、お前だろう、そしてその為に私はお前に手を貸し新藤の未来を殺す努力をお前はした。」
「そう、そうなんだけど・・・麻衣が本当に新藤浩介との結婚を願っていたとしたら・・・俺はなんて酷いことをしてるんだろうなって、ちょっと・・・思った。前回幼い麻衣に告白されて、人に告白されるってすごいことなんだなって、それを真っ当に歩いて麻衣の口から手に入れた新藤浩介ってすげぇなって、思った。俺は、なんか間違えてる気がしたんだ・・・。」
男は扉の前で自分に背を向け悩む隼人にただ一言聞いた
「ならばやめるか?」
「・・・・・」
何も答えられない隼人に男は言う
「世界にはパラレルワールドというものが存在する。それは数々のお前自身の選択から分岐していく無限の未来の一つひとつを指す。そして私にはお前の“それ”が見ることが出来る。後藤麻衣と結婚する未来も複数あるが・・・お前は全部切り捨てるのか?」
「分からなくなった。あんなに結婚したくてこうなった未来を後悔してこうなったはずなのに、こうしている自分が恥ずかしくなってきた。まるでゲームのチート技を使っているような気分でさ・・・。」
「くだらないな、善と悪、正解と間違い・・・それらは全部人間が勝手に作り上げたものだ。そんなものに振り回されているようじゃお前は麻衣と結婚したとしてもずっと罪悪感を抱えて生きることになる。特例だ、一日やる、一旦考えろ。そして明日また答えを持ってこい、未来を捨てるならもう来なくてもいい。明日の24時まで待つ。今のお前にはなんの覇気も感じない、帰りなさい。」
その言葉を聞いた瞬間、隼人は謎の力で部屋の外に吹き飛ばされた。
「・・・・・」
壁に背中を打ち付けるも隼人は黙って教会を出る
街を歩き綺麗な青空と日差しが自分の身体を包み込むも、その全てが毒にすら感じた
じわじわと残る背中の痛みだけが現実を突きつける
「今・・・麻衣は新藤浩介さんと幸せに生きてるんだよな・・・それでいいんじゃないか・・・?」
隼人は死んだ魚のような目で歩き、気づけば近所の公園のブランコに座っていた。
そこでブランコに僅かに揺られながら隼人はどれ程の時間を過ごしただろうか・・・。
気づけば一人の女性が自分に声を掛けていた。
「ねぇはやちゃんだよね・・・どうしたの・・・?」
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