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8.やり直し
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脳内で誰より聞き覚えのある声に、反射的に顔を上げればそこには今一番会いたくて会いたくない人がそこに立っていた
「麻衣・・・どうした、こんな公園で何をしてる?浩介さんは・・・どうした?」
「横、いい?」
「あ、あぁ・・・。」
麻衣は静かに隼人の横のブランコに座る。
「夫は・・・ああいや浩介さんは、今お仕事に行ってるよ。」
「そっか、でも麻衣はなんでここに?」
お互いに顔を合わせることもなくまっすぐ前を見て話す二人。
「実はね、結婚式を終えてから不思議な体験をしたんだ。あのね、はやちゃんが私の中でなんだか特別な人に感じられるようになったの。結婚すると気持ちって変わるのかな?変だよね特別な人って、私結婚したのにさ・・・何だか浮気でもしてるみたいだよね、なんて・・・あははっ」
「(まさか過去を変えたから・・・?それが中途半端だから混濁のようなものが起きてる・・・?)」
ゴクリと生唾を飲んだ隼人は麻衣の話に相槌を打つことも返答をすることもなく黙って聞く。
「急に思い出したんだけど、覚えてる?私小学生の頃にはやちゃんに告白してるんだ、でもあの時のはやちゃんの答えって・・・それだけが思い出せないんだよね、はやちゃん何て言ってくれたのかな。」
横を見れば真剣な表情の麻衣がこちらを見つめている。
「(確かにあの時“俺も麻衣のことが好きだ”と言ったはずだが・・・シャッター音で聞こえてなかったんだな。)」
答えに困る隼人、“俺も好きだと言った”と言ってしまえば今(現在)も変わるのだろうか・・・。
そもそも麻衣はこれを“思い出した”のではない、記憶の上書きをされただけ。
「過去を変えることがこれほど未来にも影響を出すなんてな・・・ごめんな、麻衣。」
「え・・・?過去を変える・・・?」
ボソッと言ったつもりだったがどうやら麻衣の耳にも届いていたらしい。
「いや、何でもないよ・・・説明しても理解できる範疇の話じゃない。」
フーッと大きく息を吐いた隼人は紡ぎ出す言葉の選択と、覚悟を決める
「俺はあの時、お前のことなんて好きじゃない、そう言った。それは今も昔も変わらない。」
本当はこんなこと口が裂けても言いたくない、でも・・・仕方がなかった。
笑顔でそう答える隼人に麻衣は勢いよくブランコから立ち上がり笑顔で答える。
「なんだやっぱりそっかー!よかった!だって私達姉弟みたいなもんだもんね!付き合うとか結婚とか想像もできないよね!ごめんね、なんか急に昔話なんかして・・・特別な気持ちとか勘違いだすっきりしたー!じゃあこれからもはやちゃんとは仲のいい姉弟ってことでよろしくね!」
スッキリとした笑顔の麻衣がそこに立っている。
「はは・・・おい、姉弟ってどっちが上だよ?俺が兄貴に決まってるよな?」
「そんな訳ないじゃん!私がお姉ちゃんですー!」
くだらない談笑をして、10分程度が過ぎた頃
「うん、それじゃごめんねはやちゃん、私いくところあるからこの辺でね。」
「あぁ・・・早く行けよ、ああそうだ改めて結婚おめでとう麻衣。」
「うん、ありがとう!バイバイはやちゃん!」
麻衣は去って行った。
それを見送った隼人は再びブランコに座る。
「これで・・・よかったんだよな、うん、よかった。過去を変えた部分の清算も出来たはずだ。これで麻衣が俺のやらかしを引きずることもない。」
地面を足で蹴り大きくブランコを揺らす。
「ブランコなんて、いつぶりだろうな・・・?」
前後に大きく動きながら色々と考える。
「あぁ・・・あの人にも謝りに行かなきゃな、あ・・・でも・・・もう一度・・・いや・・・。」
残された一回のタイムリープを考える。
「あの祭りの日って・・・確か・・・そうだった、よな?じゃあやっぱり・・・」
ズザザッとブランコを足で止めた隼人はブランコから勢いよく駆け出した。
「うん、行く必要がある、行こうあの日に!」
恋愛感情はまだ捨てきれない、だが隼人にはそれ以上にまだ“あの日”やり残したことがあった。
「だいぶ早く思い切れてよかった・・・そしてせっかくのもう一度だけあるチャンスを無駄にしないで良かった。前提は崩れたけど、想いは届かなくてもあの日の悲しい記憶だけは・・・!」
最後のタイムスリップが形と意味を変えて・・・今始まる!
「麻衣・・・どうした、こんな公園で何をしてる?浩介さんは・・・どうした?」
「横、いい?」
「あ、あぁ・・・。」
麻衣は静かに隼人の横のブランコに座る。
「夫は・・・ああいや浩介さんは、今お仕事に行ってるよ。」
「そっか、でも麻衣はなんでここに?」
お互いに顔を合わせることもなくまっすぐ前を見て話す二人。
「実はね、結婚式を終えてから不思議な体験をしたんだ。あのね、はやちゃんが私の中でなんだか特別な人に感じられるようになったの。結婚すると気持ちって変わるのかな?変だよね特別な人って、私結婚したのにさ・・・何だか浮気でもしてるみたいだよね、なんて・・・あははっ」
「(まさか過去を変えたから・・・?それが中途半端だから混濁のようなものが起きてる・・・?)」
ゴクリと生唾を飲んだ隼人は麻衣の話に相槌を打つことも返答をすることもなく黙って聞く。
「急に思い出したんだけど、覚えてる?私小学生の頃にはやちゃんに告白してるんだ、でもあの時のはやちゃんの答えって・・・それだけが思い出せないんだよね、はやちゃん何て言ってくれたのかな。」
横を見れば真剣な表情の麻衣がこちらを見つめている。
「(確かにあの時“俺も麻衣のことが好きだ”と言ったはずだが・・・シャッター音で聞こえてなかったんだな。)」
答えに困る隼人、“俺も好きだと言った”と言ってしまえば今(現在)も変わるのだろうか・・・。
そもそも麻衣はこれを“思い出した”のではない、記憶の上書きをされただけ。
「過去を変えることがこれほど未来にも影響を出すなんてな・・・ごめんな、麻衣。」
「え・・・?過去を変える・・・?」
ボソッと言ったつもりだったがどうやら麻衣の耳にも届いていたらしい。
「いや、何でもないよ・・・説明しても理解できる範疇の話じゃない。」
フーッと大きく息を吐いた隼人は紡ぎ出す言葉の選択と、覚悟を決める
「俺はあの時、お前のことなんて好きじゃない、そう言った。それは今も昔も変わらない。」
本当はこんなこと口が裂けても言いたくない、でも・・・仕方がなかった。
笑顔でそう答える隼人に麻衣は勢いよくブランコから立ち上がり笑顔で答える。
「なんだやっぱりそっかー!よかった!だって私達姉弟みたいなもんだもんね!付き合うとか結婚とか想像もできないよね!ごめんね、なんか急に昔話なんかして・・・特別な気持ちとか勘違いだすっきりしたー!じゃあこれからもはやちゃんとは仲のいい姉弟ってことでよろしくね!」
スッキリとした笑顔の麻衣がそこに立っている。
「はは・・・おい、姉弟ってどっちが上だよ?俺が兄貴に決まってるよな?」
「そんな訳ないじゃん!私がお姉ちゃんですー!」
くだらない談笑をして、10分程度が過ぎた頃
「うん、それじゃごめんねはやちゃん、私いくところあるからこの辺でね。」
「あぁ・・・早く行けよ、ああそうだ改めて結婚おめでとう麻衣。」
「うん、ありがとう!バイバイはやちゃん!」
麻衣は去って行った。
それを見送った隼人は再びブランコに座る。
「これで・・・よかったんだよな、うん、よかった。過去を変えた部分の清算も出来たはずだ。これで麻衣が俺のやらかしを引きずることもない。」
地面を足で蹴り大きくブランコを揺らす。
「ブランコなんて、いつぶりだろうな・・・?」
前後に大きく動きながら色々と考える。
「あぁ・・・あの人にも謝りに行かなきゃな、あ・・・でも・・・もう一度・・・いや・・・。」
残された一回のタイムリープを考える。
「あの祭りの日って・・・確か・・・そうだった、よな?じゃあやっぱり・・・」
ズザザッとブランコを足で止めた隼人はブランコから勢いよく駆け出した。
「うん、行く必要がある、行こうあの日に!」
恋愛感情はまだ捨てきれない、だが隼人にはそれ以上にまだ“あの日”やり残したことがあった。
「だいぶ早く思い切れてよかった・・・そしてせっかくのもう一度だけあるチャンスを無駄にしないで良かった。前提は崩れたけど、想いは届かなくてもあの日の悲しい記憶だけは・・・!」
最後のタイムスリップが形と意味を変えて・・・今始まる!
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