Dream Again

9.夏祭り

抑えられぬ昂る気持ちのまま教会へと戻った隼人はそのまま男部屋へと直行する。

重厚な扉をそれはもう勢いよく開いてはその勢いのまま中へと入った。

例のあの日に繋がる扉もまたそのままの形で残っているのが見える。

「おいおい・・・もう少し静かに入って来られないのか？随分スッキリした顔をしやがって。」

覚悟を決めいい笑顔を見せる隼人に男もまた不敵にニヤリと笑う。

「早かったじゃないか、だが戻って来たということは・・・行くということでいいんだよな？麻衣と結婚したいという気持ちが戻ったんだな？」

「いいや、麻衣は・・・もういいんだ、やめた、あいつの気持ちは・・・もういい。」

隼人の言葉に男は困惑を隠せない。

「ならば何故戻る、お前は何のためにここに来た・・・？」

「俺は、麻衣の気持ちをどうこうしたいんじゃなくてあの日の後悔を解消しに来たんだ。」

「遠い記憶だろう？一体どんな後悔があるんだ、夏祭りか？共に笑っているいい写真に見えたが・・・。」

「写真なんてその時の一瞬の切り抜きだし笑えと言われて無理やり笑わされることさえあるでしょ、麻衣が“あの日”をどう思っているかは分からないけど、俺にとっちゃ・・・どうしてもやり直したい過去の一つだ。」

男は室内を歩きながら顎に手を当て聞く

「なるほど、ならばお前は麻衣の気持ちを得ることを目的とせず“その日”の後悔を解消するのが目的だと。」

「ああ・・・それじゃダメか？」

「いいや？実に理にかなっているし寧ろ目的がはっきりしている分一番有効なタイムリープの活用法ともいえる。」

「じゃあ・・・もう行ってもいいか？」

「許可しよう・・・。」

その瞬間、扉が開き前回と同じ暗闇と中心の渦が隼人を待ち受ける。

「よし、行ってきます。」

「健闘を祈る。」

二回目ということもあり恐怖はない

静かに闇に包まれた隼人の意識はそこで途切れた