チェンジソルジャーザーガ

ガトリングレックス

文字の大きさ
1 / 46
目覚める戦士編

第1話 目覚める戦士

しおりを挟む
「ここは………一体?」

彼はぽつんと1人で立っている。
そこは異空間の中で発した声が響き渡る。
すると突然次元の裂け目が出現、黄色き斑点模様をした蜘蛛くもの怪人が姿を現した。

「お前の様なザコなど、この世に必要ない。殺してくれるわぁ!」

悠長ゆうちょうに喋る蜘蛛くも怪人は彼に糸を発射し、捕らえようとする。
その時頭の中でスパークが発生、何かを思い出したかの様に右手で左手首をかざす。
バチバチと電気が発生し、銀色の腕輪が現れる。
赤き装甲を纏っていく最中糸が左腕を捕まえ、発射した口から緑色の毒液が物凄いスピードで染み出す。
だが腕輪はその毒素を吸収、姿を変えた彼の姿はまさに勇ましき戦士、複眼に映るは怪人の醜い姿。

「お前はまさか! バカな! この時代にあの憎き戦士がいるはずがない!」

なにやら怯えた様子の蜘蛛くも怪人が1歩2歩と下がって行くのを見て脳が再びスパークする。
倒す相手と認識し走り出した彼は一気に距離を詰め、凄まじい勢いで鉄拳を繰り出した。
大きく吹き飛ばされた怪人の体はさっき吸収された自分の毒に侵され、動けなくなる。

「お前が人間の敵なら………」

ゆっくりと近づく赤き戦士は足底に破壊のエネルギーを蓄積ちくせきさせ、恐怖に背筋が凍った蜘蛛くも怪人の腹を重く踏みつけた。

「グ………グオォォォォォォ!?」

あまりの破壊力に悲鳴を上げながら爆散する姿を視界に入れた時、彼は使命を完全に思い出した。

「俺は怪人達と戦っていた。それを忘れていたのをこの腕輪が夢の中で思い出させてくれた。目覚めるんだ。戦えない人達のために」

その言葉に答える様に腕輪が強く白光すると、目を覚ますことに成功した。

あれから何日が経ったのだろうか。
リハビリが必要と診断されようが腕輪の力で鈍った体はすぐに回復する。
寝ていた場所は強化プラスチックのカプセルだと確認すると、そこは見慣れない光景だった。

まるで監獄を模した鉄格子が道を塞ぎ、完全に施錠されている。

「どう言うことだ? 仕方ない。悪いが壊させてもらう」

そう言って右手で左手首をかざす。
腕輪が出現し電気が彼の体を覆い込むと、赤き装甲を持つ戦士に姿を変えた。

銀色の2本角に赤い複眼、古代文字が刻まれた装甲の裏に白き皮膚がある。
胸下部分には黒曜石を思わせるコアが存在し、全身の強化を管理しているのだ。

カプセルを蹴りで粉々に砕き立ち上がると、鉄格子の金属成分を吸収し脆くなったところで、拳で殴り破壊する。
外へ出るため次々と鍵が閉められたドアを粉砕して行く。

「こんなにも強固な場所に閉じ込められるとは。怪人が暗躍しているに違いない」

エレベーターをこじ開け下に降りて行き1階に到着すると、そこには警備員3人が警棒を構えていた。

「ばっ、化け物!?」

「化け物? 違う! 俺は人間だ!」

「騙されるか! 見た目もそうだが、この厳重な設備から脱出できるもんかよ!」

警備員の言葉を汲み取ると、どうやらここは何かの研究施設の様だ。

「とにかくここから出させてもらう。邪魔しないでくれ」

そう言って跳躍し警備員を飛び越えると、閉じた出入り口を突き破る。
外へ脱出した戦士は再び高く飛び上がり、ビルからビルへ飛び移って行った。

変身を解除し街中の人込みに紛れると、服装などを見て今の時代を認識する。

(時代はそこまで進んでないみたいだ。でもなぜ俺は研究施設に保管されていたんだろう?)

現在現金も電話機器などを持っていない彼はどうすればいいか戸惑いながらも、使命を全うするため動き出す。
まずは知り合いが刑事をしている警察署に向かい、安心を確保したい。

それにしてもここはどこなのだろうか。
考えを整理しながら息を整え、その場を後にした。


そこは勇ましき戦士が言う怪人………いや、新たに暗躍する残忍な堕天使達が住まう場所〈ダークネスリングゾーン〉

「神はこう言った。人間を守るのが我らの使命だと。だがそれは違った! 禍々しい化け物となった人間は悪魔と化し、自ら争いを望んだ! 忌まわしき戦士が復活した今! である者達を皆ほふる時である! 行け同胞達よ! 今こそ立ち上がれ!」

超級堕天使の1人の男性、戦争への絶望者の異名を持つウォーノウは戦いを止めない人間に失望した部下達の指揮を高め、下界に降りさせて行く。

「人間など下界の害虫に過ぎません。すぐに絶滅させ、この世をやり直すのです」

超級堕天使の1人の美しき女性、やり直し繰り返す者の異名で言われるゼッツの一言が人間に希望を見出せない部下達が静かに下界へ向かって行く。

「強者、金持ち。弱者、奴隷。平等、なし。全部、滅ぼせ」

超級堕天使の1人片言の少女、吊り合いの依存の異名で恐れられるバラダザの命令に貴族と貧困層を生んだ神とそれを受け入れた人間をしかばねに化そうと部下達が咆哮を上げた。

「戦え! 俺達が使い捨てではなく、戦い続ける強者だと示せ! 人間の強者と戦い合いその実力を神々に知らしめるのだ!」

超級堕天使が1人、捨てられぬポーンを異名とし戦いにえたファパー。
それに対して部下達はそれに応え、右拳を突き上げた。

だが彼らは知らない。
神が加護、変わる戦士チェンジソルジャーの力を1人の人間に授けたことを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...