13 / 56
第一幕 2場 別離と決意
第13話 奇襲作戦
しおりを挟む
話はとんとん拍子に進んでいき、この場にいるメンバーで奇襲攻撃に向かうことになった。もちろん、魔王は城に残るわけだが……
『どうしたのーユーマ』
首飾りに擬態しているハリィが俺に問いかけてきた。
どうやら寄生中の彼には俺の感情が筒抜けになっているようだ。
俺は何でもないと答えたけれど……
今の俺は二つの気持ちを天秤にかけていた。一つはミュータスさんと合流して魔王軍と戦うという選択。そしてもう一つは戦いの隙に戦場から抜け出して村へ帰るという選択。いずれの選択も、アリシアの気持ちを裏切ることになる。だから、俺の胸はちくりと痛かった。
そんな俺に天罰が下った。
太陽が西の地平線に沈もうとしている。上空15メートルから眺めるこの夕陽を俺は生涯忘れることはないだろう――
俺は空を飛んでいる。いや、正確には空を跳んでいた。
アリシアに腕を掴まれ、森の木の遙か上空に舞う俺。
やがて俺達の身体は上昇する勢いが無くなり、下降を始める。
アリシアは抜群の視力と運動神経で次の着地点――丈夫そうな木の枝に両足を付いて、枝のしなりの反動を利用して再び空中へジャンプ。
俺は木の枝に身体を激しくぶつけて細い枝が脇腹に刺さりつつも、アリシアに腕を引っ張られて上空へ。
「アリシアぁぁぁー! もっと優しくぅぅぅー!」
「えっ!? なあにユーマ、良く聞こえないわ?」
最高到達地点に上がると、眼下に広がる森の先に大きな湖が見えた。
夕陽のオレンジ色が水面に反射してとても幻想的な風景だ。
うわー、眺め最高――――! と言いたいところだが……
すぐに地獄のような再ジャンプの儀に突入する。
木の幹に全身を強打して、アリシアにぐいっと引っ張られて上空へ。
ジャンプを繰り返すたびに俺の意識は遠のいていくのだ。
確かにこの方法は速い! しかし俺の身がもたないぞ!
ようやく森を抜け、湖が眼下に見えてきた。
湖には幾つもの浮島があり、それを足場にして軽やかにジャンプする。
「うぎゃぁぁぁー! な、何かが俺の足に噛みついたぁぁぁー!!」
「ああ、それはビバビバよ。人間の血と肉が好物だから気を付けてねっ!」
「それを先に言ってくれよぉぉぉー!」
浮島の上には無数の茶色い生物が口を開けて待ち構えている。
【鑑定】してみると――
――――――
[名称]ビバビバ
[種族]魔獣
[状態]食欲旺盛
[スキル]――
[特徴]水面に浮かぶ巣に生息/人間の血肉を喰らう
――――――
うん、確かにそう言うことらしい。
アリシアが浮島に着地して再びジャンプするまでのほんの僅かの間に、俺は何匹ものビバビバに足をかじられて悲惨な目に遭った。
朦朧《もうろう》とした意識の中、湖の湖畔に降り立った。振り向くと、迷彩柄の戦闘服姿のバラチンと、長い鼻のエレファンの重い身体を抱えた黒装束の魔人二人も浮島を軽やかにジャンプしてこちらに向かっていた。
「まあ、ユーマどうしたの? あなたって本当に弱いのねっ!」
アリシアが満身創痍の俺を見て、呆れたように言い放った。
白衣を着たエレファンが俺の脇腹に刺さった枝を引っこ抜き、その傷口と足の噛み傷につーんと刺激臭のある薬を塗った。最後にペタッと薄茶色のテープを貼ると、すぐに血が痛みが止まった。
「わての消毒のお陰で治りが速いのですゾウー! ふわっふわっふわっ……」
す、すごい!
魔族の医療技術って人間以上なんじゃないの?
『どうしたのーユーマ』
首飾りに擬態しているハリィが俺に問いかけてきた。
どうやら寄生中の彼には俺の感情が筒抜けになっているようだ。
俺は何でもないと答えたけれど……
今の俺は二つの気持ちを天秤にかけていた。一つはミュータスさんと合流して魔王軍と戦うという選択。そしてもう一つは戦いの隙に戦場から抜け出して村へ帰るという選択。いずれの選択も、アリシアの気持ちを裏切ることになる。だから、俺の胸はちくりと痛かった。
そんな俺に天罰が下った。
太陽が西の地平線に沈もうとしている。上空15メートルから眺めるこの夕陽を俺は生涯忘れることはないだろう――
俺は空を飛んでいる。いや、正確には空を跳んでいた。
アリシアに腕を掴まれ、森の木の遙か上空に舞う俺。
やがて俺達の身体は上昇する勢いが無くなり、下降を始める。
アリシアは抜群の視力と運動神経で次の着地点――丈夫そうな木の枝に両足を付いて、枝のしなりの反動を利用して再び空中へジャンプ。
俺は木の枝に身体を激しくぶつけて細い枝が脇腹に刺さりつつも、アリシアに腕を引っ張られて上空へ。
「アリシアぁぁぁー! もっと優しくぅぅぅー!」
「えっ!? なあにユーマ、良く聞こえないわ?」
最高到達地点に上がると、眼下に広がる森の先に大きな湖が見えた。
夕陽のオレンジ色が水面に反射してとても幻想的な風景だ。
うわー、眺め最高――――! と言いたいところだが……
すぐに地獄のような再ジャンプの儀に突入する。
木の幹に全身を強打して、アリシアにぐいっと引っ張られて上空へ。
ジャンプを繰り返すたびに俺の意識は遠のいていくのだ。
確かにこの方法は速い! しかし俺の身がもたないぞ!
ようやく森を抜け、湖が眼下に見えてきた。
湖には幾つもの浮島があり、それを足場にして軽やかにジャンプする。
「うぎゃぁぁぁー! な、何かが俺の足に噛みついたぁぁぁー!!」
「ああ、それはビバビバよ。人間の血と肉が好物だから気を付けてねっ!」
「それを先に言ってくれよぉぉぉー!」
浮島の上には無数の茶色い生物が口を開けて待ち構えている。
【鑑定】してみると――
――――――
[名称]ビバビバ
[種族]魔獣
[状態]食欲旺盛
[スキル]――
[特徴]水面に浮かぶ巣に生息/人間の血肉を喰らう
――――――
うん、確かにそう言うことらしい。
アリシアが浮島に着地して再びジャンプするまでのほんの僅かの間に、俺は何匹ものビバビバに足をかじられて悲惨な目に遭った。
朦朧《もうろう》とした意識の中、湖の湖畔に降り立った。振り向くと、迷彩柄の戦闘服姿のバラチンと、長い鼻のエレファンの重い身体を抱えた黒装束の魔人二人も浮島を軽やかにジャンプしてこちらに向かっていた。
「まあ、ユーマどうしたの? あなたって本当に弱いのねっ!」
アリシアが満身創痍の俺を見て、呆れたように言い放った。
白衣を着たエレファンが俺の脇腹に刺さった枝を引っこ抜き、その傷口と足の噛み傷につーんと刺激臭のある薬を塗った。最後にペタッと薄茶色のテープを貼ると、すぐに血が痛みが止まった。
「わての消毒のお陰で治りが速いのですゾウー! ふわっふわっふわっ……」
す、すごい!
魔族の医療技術って人間以上なんじゃないの?
0
あなたにおすすめの小説
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる