魔族転身 ~俺は人間だけど救世主になったので魔王とその娘を救います! 鑑定・剥奪・リメイクの3つのスキルで!~

とら猫の尻尾

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第三幕 8場 目覚めの刻(最終場)

第52話 ユーマのくせに

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「あー、分かったから俺にまとわりつくな! それよりもビリーを叩き起こせ!」

「えっ!?」
「よ、よし分かった」

 俺の指示に素直に従うジョンとリッキーはビリーの体を激しく揺り動かす。
 すると、唸り声を上げて目を覚ました。 

 俺は鎖で生成させたドーム型バリアを両手で支えながら、

「魔導士の攻撃が止むと同時にこのバリアを解除する! おまえらはできる限り遠くへ逃げろ! その後のことは知らないからな!」

 そう、俺にはこいつらを助ける義務はない。
 学生時代の最低の思い出と共に、全て無かったものと考えよう。
 俺はそう考えていた。

 それなのに――

「ユーマのくせに生意気なんだよ……おまえ一人にカッコ良いことはさせないぞ」

 何を思ったかビリーは俺に絡んできた。

「僕も戦うぜ。なんたって俺は村で一番の魔法の使い手だからさ!」
「む、無理だって……」
「止めておけよビリー。素直にユーマに任せて逃げようぜ!」
「君たちは逃げるがいいさ。僕は逃げないで戦う!」

 ビリーは強情だ。
 俺とは真逆な性格。
 だから……
 いつも鬱陶しいんだ……

 魔導士の隊長の攻撃が一息ついたその瞬間。

「よし! バリアを解除するぞ、あとは勝手にしろ!」

 俺は宣言した。
 3人は軽く頷き、ごくりと唾を飲む音が聞こえた。
 
 どんな魔法でも呼吸と同じく一瞬の隙ができるものだ。
 俺はこの瞬間を待っていた。

「無駄無駄無駄ぁぁぁー! 吾輩の魔法は一つではなーい!」

 隊長は後ずさりしながら杖を光の剣に変換した。
 接近戦用の魔法に切り替えてきたのだ。

 接近戦なら俺は負けない!
 俺は魔剣ユーマを生成する。

『ユーマ、逃げてー』

 再びハリィの声。
 隊長の紫色の唇の端が吊り上がる。
 彼の体が赤く光り出す。

 俺を油断させるためにわざと隙を作っていたのか!?
 俺はまんまと騙されたのか!

 驚愕する俺の脇を衝撃波がすり抜けていく。

「うおっ?」

 隊長がよろけた。
 衝撃波は隊長の足元をすくうように地面の草をなぎ払っていた。
 
「行けぇぇぇ――、ユーマ――!」

 ビリーの声。
 学年一の魔法の秀才。
 俺の幼馴染みのマーレイに告白してフラれてた経験のあるビリー。
 奴は俺に嫉妬していたんだろう。
 でも、俺もフラれたからもう相子あいこだ!

  
「魔剣ユーマァァァ――ッ!」

 力を入れた両手に魔剣が生成され、俺は斜めに斬りかかる。
 隊長の杖は輝きを増し、魔剣を跳ね返す。
 流れるような動きで杖を持ち替え、隊長は反撃に出る。

 隊長がもつ【魔力吸引】の能力ちからがある限り俺に勝機はない。
 
「ユーマ下がって!」

 上空からアリシアの声。
 俺は咄嗟に身を屈める。

 アリシアは回転させながら双剣で斬りかかる。
 その連続攻撃を隊長は易々といなしていくが――

 赤い光の破壊エネルギーが迫ってきた。

「ユーマ殿――」

 カルバスに抱えられて俺はその場を脱出。
 アリシアも寸前のタイミングで離脱。

 アリシアを狙っていた魔導士の攻撃が隊長に命中。
 隊長は杖を頭上でぐるぐる回転させて破壊エネルギーを回避した。

「貴様らどこを狙っているのだ! 吾輩の邪魔をするのではなーい!」

 隊長は怒鳴り散らした。

 しかし――

「うおっ!?」

 彼は体に異変を感じている。
 白いローブの周りから赤い光が放射されている。
 自らローブをめくると光が更に拡散されていく。

「な、なにが起こったのです?」

 カリンの声。
 カリンと行動していたウォルフが俺の手を握ってくる。

「あの苦しみ方は異常でござるな」
「ユーマ、あの人間に何かした?」
「奴の特殊スキル【魔力吸引】を【剥奪】したが……」

 それが関係あるというのか?
 村人はもちろん、敵の魔導士もこの事態に戸惑っているようだ。

『蓄えすぎた魔力がスキルを失って暴走してるのじゃ! すぐに逃げるがいい!』

 ハリィが悪魔ルルシェの声色そのままで俺に語った。
 これはそれほどの緊急事態。

 俺達は逃げても村人はどうなる?
 いや、俺達は魔族。
 関係ない。
 逃げるのが正解。
 なら早いほうがいい。

 しかし……

 本当にそれでいいのか?

 隊長の体から光が放出されて――

『ユーマ、男の身体に溜まっていたエネルギーが一気に噴き出るよー』

「くそっ!」

 俺は隊長に向かって走り出す。
 悪魔ルルシェの悲鳴のような叫び声が頭の中に響き渡っていた。


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