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死のクラスマッチ開幕
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カーン、、、カーン、、、……。
8時40分の鐘がなる。
今日もまた一日が始まる。
私立青龍第一平和学園の二年B組の延健之介(のべけんのすけ)は、自分の席に座って、担任がクラスに入ってくるのを待った。
なんといっても今日からは新クラス。
二年になってクラス替えがあり、一年生の頃から知っている人もいるが、同じクラスの8割位の人は知らなかった。
自称「陰キャの中のダイヤの原石」である健之介は、クラスの和を重んじ、初対面のクラスの人と仲良くすることが使命なのである。
そんな健之介だが、始まってそうそう一番前の席になってしまった。
不幸中の幸い、窓際だったため、外を見ながらぼーっとすることもできるが、当分の間は、先生からロックオンされるのかと思うと新学期から憂鬱な気分でいっぱいである。
「ふわぁ~~眠い……」
健之介が後ろを振り向くと、ほとんどの人が知らない顔だった。
健之介と同じように、腕を枕にして寝ている人、鏡を見ながら髪の毛をいじっている女子、そして、美少女フィギュアをいじって鼻息を立てているおっさん風の人もいた。
去年もクラスが同じだった人が、席の近くにおらず、横の席の人も初対面の女子だったため、声をかけるのが怖く、健之介は、窓から外を眺めることにした。
校舎の構造上、窓から外を見ると、校門が目に入り、学校への人の出入りを、上から確認することが出来る。
8時50分になったが、先生は現れない。
去年までは、通常、45分くらいには、先生が教室に入ってきて、ホームルームを行うというのが常だった。
そのため、この時間帯まで先生が誰も来ないのは違和感がある。
担任発表を盛大に行うためか?とも思ったが、放送もかかりそうな雰囲気ではなく、沈黙が続いている。
後ろの方の席では、先生が来ないことへの歓喜の声が聞こえてくるが、健之介は、このことを喜べなかった。
「なにか、本当に嫌な予感を感じる…」
さらに10分経っても誰も廊下に現れず、ついに9時になろうとしていた。
「やったあ、先生たちが何してるかはしらねーけど、俺たちの自由時間が増えて嬉しいぜー!」
こうしていると、他クラスの様子も見ようとして、一人の男子が席を立ち上がった瞬間、放送が響いた。
ピンポンパンポーン……。
「みなさま、おはようございます。昨日の夜は良く眠れましたか?」
声の高い不気味で気持ちの悪い声が学校中に響く。
その声を聞いて、健之介は違和感を感じた。
こんな声の人が先生の中ににいただろうかと。
さらに放送は続く。
「改めまして、みなさまにお知らせがございます。先生が来ないという違和感を感じていたみんな、正解です。今日からこの学校は、私たち、仮面マスク集団が乗っ取りました。国家転覆ならぬ、校舎転覆ですね。ほほほほほ」
クラスの人たちの顔が強張っていく。
「嘘でしょ?!」と叫ぶ女子、「どうせドッキリだろ」と何も信じていない男子、「おもしれ~~」と興奮している人と反応は様々だった。
「お、みなさんの反応は様々で面白いですねえ。あ~ごめんなさい、カメラでみなさんの教室を監視させて頂いております。ぐふふふふ。……ところで、そろそろ本題と移りましょうか。皆さんには今から「殺し合い」をしていただきます。おっと、これは冗談ではありませんよ。本当にあなたたちは自分たちの手で他の人達を殺めていただきます」
「なんだってえ?!」「馬鹿なことを言っているんじゃないわよ!」「お?ゲーム?面白そーじゃん」
クラスの人たちは、立ち上がって放送の聞こえてくるスピーカーに叫んでいる。
その中には、瞳に涙を浮かべながら必死に「やめて!」と訴えている女子もいた。
スピーカーからは、さらに不気味な声が続く。
「落ち着いて落ち着いてみなさん。大丈夫ですよお。我々ゲームマスターたちが、各クラスに武器一式をお届けいたしますので、ご安心下さい」
「そーいう問題じゃないだろ!!」
「教室でつぶしあいをしろっていうのー!」
クラスメイトの声は、どんどん大きくなっていき、さらには机の上に乗って、スピーカーをたたこうとする連中まで現れた。
「おっと、勘違い♪勘違い♪みなさんには教室でつぶしあいをして頂く必要はありませんよ。教室内を見回してみて下さい。その顔が、あなた達の仲間たちの顔です。この殺し合いは、ただの殺し合いではありません。「クラスマッチ」です。もちろん、裏切りも構いません。ただ、一年生二年生三年生全員合わせて20人までしかこの学校から脱出することはできません。クラスで行われるミニゲームとかもございますので、最初はクラスで行動するのがおすすめですよ。まあ、クラスでも全員が脱出できる訳ではないんですけどね。ぐふふ。まあ、今から各教室に物資が送られてくると思いますので、精一杯戦って下さい!それでは、殺し合いクラスマッチ、開催です!」
この放送が終わった瞬間、キーンコーンカーンコーンと鐘の音が鳴り響いた。
廊下から何者かが物資を運んでいる音がした。
あまりの衝撃に、先程まで荒れていたクラス内は、絶望の色に溢れ、みんな座りこんで黙っていた。
本当に、、、やるのか?
クラスがざわざわとしているまま、教室のドアがバンと開き、救援物資が運ばれてきた。
黒色の点が目の部分に塗られている白いマスクをつけた人二人、がガラガラと段ボールを二箱運んできた。
「お、おいお前たち、な、何を考えているんだ!おい、聞いてんのかよ!」
クラスの陽キャ代表、辻義隆(つじよしたか)が、仮面の二人組に言ったが、そんなことは全く気にせずに教室を出ていき、隣のクラスに物資を運びに行った。
教卓の前ににぽつんと置かれた2つの段ボールが禍々しい雰囲気を纏っていた。
クラスの全員は、その段ボールを囲んで、お互いに目をやり、だれが箱を開けるのかを目で訴えあっていた。
「こ、これどうするの?」
クラスの陽キャ女子であり、スタイル抜群、モデル志望の酒井桃果(さかいももか)が、段ボールを指さしながら言った。
しかし、誰も段ボールに手を出さない。
さらに酒井は続ける。
「だれか開けてよぉー?ほら、私たち女の子は~、か弱いからさあ、こーゆうの怖くてあげられないよお~」
猫なで声で言う酒井のことを、健之介は、馬鹿だなあと思いながら見ていたが、辻と、その金魚のフンの嶺井康人(みねいやすひと)が、右手を上げた。
「はーい!じゃあ、僕が推薦しまーす!クラスの超カリスマ、藤田怜真(ふじたれいま)くんでーす!ぱちぱちぱちぱちー!」
辻に指を刺された怜真は、長い天然パーマの前髪をゆらゆらと揺らしながら、首を横に振って嫌がった。
しかし、クラスのほぼ全員が怜真を見たことで、怜真は、緊張して声が出なくなってしまった。
その様子を見て、辻や嶺井、それに、酒井といった女子の連中が一斉に笑い出した。
怜真は、眼鏡の位置を正すと、ぼそぼそと声を出した。
「ど、どうして、ぼ、僕、なの?」
「うるせえ!さっさと開けろよ!」
先程まで笑っていたクラスメイトの表情は、ゴミを見下す眼差しに変わった。
それでも、その場を動こうとしない怜真に怒った辻は、怜真のケツを蹴った。
「はやくしろ!みんな待っているんだ!どうせフィギュアいじるくらいしかすることのない陰キャなんだから、この怪しい段ボール開けることくらい出来るだろ!」
「うぅ……」
「まだわからないのか!次はグーパンでお前の腹をえぐるからな!やられない内に開けたほうがいいんじゃないか?」
「わ、分かったよ、開けるよ……」
怜真がそう言うと、クラス中で歓喜の拍手が上がった。
しかし、それは、怜真へのいじめの一環であり、じりじりと新クラスから孤立させようとしているのである。
怜真は、自分の工具箱からカッターを取り出すと、段ボールの開け口を切り裂いて中の物を取り出した。
「ん?なんじゃこりゃ?」
一つの段ボールからは、布切れのような黒色の服がでてきた。
それを見た辻は首を傾げていたが、その横にいた嶺井が説明を始めた。
「これ、多分戦いの時につける簡易的な防具じゃない?えーっと、げっ、20枚しか入っていないよー!」
その防具が20枚しか入っていないことを確認した嶺井は、にやにやしながら怜真とその他の陰キャたち、そして、健之介の方を見た。
「これ、誰が着ればいいのかなぁ~?いやぁ~、このクラスって、確か30人だったよなぁ?10人の人は残念ながら着ることができないんじゃないかなあ?」
それを聞いた酒井たち陽キャ女子は、その言葉を真に受けて、あたあたとしだした。
「え、私たち、この防具つけちゃだめなの?ねーえ、私たちだって生き残りたいのよ?ねーえ!」
「あざとくやれば助かるとでも思っているのかなあ。このブス女は」と言ってやりたかった健之介だったが、もう一つの段ボールの中に入っているものを見て、そんな迂闊なことは言えなくなった。
もう一つの段ボールには、なんと、拳銃やナイフが、入っていたのである。
「うおお!すげえ!」
「本物じゃねえかこれ!」
武器を囲んでいる陽キャたちは、その段ボールの中身を見て大興奮。
そして、辻は中に入っていた拳銃を二丁取り出し、酒井に構えてみせた。
「どうだ?かっこいいだろ?」
調子に乗る辻を見て、嶺井も銃を取り出す。
「もう、銃口こっち向けるのやめてよぉ~。ねぇ~撃つならこの用済み男にしようよ~~」
酒井は、満面の笑みを浮かべながら怜真を指差す。
怜真は、本当に撃たれると思ったのか、自身の頭を両手で掴んでかがんでいる。
「お前を撃ったりはしねーよ!一応俺は仲間には手を出さない主義なんだ。しかも、こんなに可愛い女の子なんだぜ……桃果……」
辻は酒井に顔を近づけて言った。
教室中でから「キャーキャー」や、「ヒューヒュー」と二人を冷やかす声が上がる。
「ここで私に告白?あぁ……こんな状況でよくそんなことできるわね?」
「俺じゃだめなのか……?」
辻がそう言ったところで、クラスは一気に緊張感に包まれ、誰も一言も発さなくなった。
「じゃあ、今から隣のクラスに突撃していって、一人でぜ~んいん残らず倒してきて、私のところに戻ってきてくれたら、つきあってあげてもい~いよ!」
「本当か!?」
その言葉を聞き、クラスは盛り上がりを再び取り戻し、騒ぎは最高潮まで達した。
「よし、行くぞ!嶺井!隣のクラスに突撃だぁ!」
「えっ?なんで俺まで?」
「お前は俺の金魚のフンだろ?どこでもついてこいよ!」
「…………はいはい…」
こうして、クラスの陽キャたちは、この歓声のまま二人を隣のクラスまで見送った。
「じゃあ、行ってくるぜ!」
二人はゆっくりと歩いて廊下に出ていった。
出ていった瞬間は、みんなが盛り上がった様子でいたが、ほんの次のタイミングでクラスは絶叫に巻き込まれた。
バン
という音とともに、男たちの死体が転がってきたからだ。
8時40分の鐘がなる。
今日もまた一日が始まる。
私立青龍第一平和学園の二年B組の延健之介(のべけんのすけ)は、自分の席に座って、担任がクラスに入ってくるのを待った。
なんといっても今日からは新クラス。
二年になってクラス替えがあり、一年生の頃から知っている人もいるが、同じクラスの8割位の人は知らなかった。
自称「陰キャの中のダイヤの原石」である健之介は、クラスの和を重んじ、初対面のクラスの人と仲良くすることが使命なのである。
そんな健之介だが、始まってそうそう一番前の席になってしまった。
不幸中の幸い、窓際だったため、外を見ながらぼーっとすることもできるが、当分の間は、先生からロックオンされるのかと思うと新学期から憂鬱な気分でいっぱいである。
「ふわぁ~~眠い……」
健之介が後ろを振り向くと、ほとんどの人が知らない顔だった。
健之介と同じように、腕を枕にして寝ている人、鏡を見ながら髪の毛をいじっている女子、そして、美少女フィギュアをいじって鼻息を立てているおっさん風の人もいた。
去年もクラスが同じだった人が、席の近くにおらず、横の席の人も初対面の女子だったため、声をかけるのが怖く、健之介は、窓から外を眺めることにした。
校舎の構造上、窓から外を見ると、校門が目に入り、学校への人の出入りを、上から確認することが出来る。
8時50分になったが、先生は現れない。
去年までは、通常、45分くらいには、先生が教室に入ってきて、ホームルームを行うというのが常だった。
そのため、この時間帯まで先生が誰も来ないのは違和感がある。
担任発表を盛大に行うためか?とも思ったが、放送もかかりそうな雰囲気ではなく、沈黙が続いている。
後ろの方の席では、先生が来ないことへの歓喜の声が聞こえてくるが、健之介は、このことを喜べなかった。
「なにか、本当に嫌な予感を感じる…」
さらに10分経っても誰も廊下に現れず、ついに9時になろうとしていた。
「やったあ、先生たちが何してるかはしらねーけど、俺たちの自由時間が増えて嬉しいぜー!」
こうしていると、他クラスの様子も見ようとして、一人の男子が席を立ち上がった瞬間、放送が響いた。
ピンポンパンポーン……。
「みなさま、おはようございます。昨日の夜は良く眠れましたか?」
声の高い不気味で気持ちの悪い声が学校中に響く。
その声を聞いて、健之介は違和感を感じた。
こんな声の人が先生の中ににいただろうかと。
さらに放送は続く。
「改めまして、みなさまにお知らせがございます。先生が来ないという違和感を感じていたみんな、正解です。今日からこの学校は、私たち、仮面マスク集団が乗っ取りました。国家転覆ならぬ、校舎転覆ですね。ほほほほほ」
クラスの人たちの顔が強張っていく。
「嘘でしょ?!」と叫ぶ女子、「どうせドッキリだろ」と何も信じていない男子、「おもしれ~~」と興奮している人と反応は様々だった。
「お、みなさんの反応は様々で面白いですねえ。あ~ごめんなさい、カメラでみなさんの教室を監視させて頂いております。ぐふふふふ。……ところで、そろそろ本題と移りましょうか。皆さんには今から「殺し合い」をしていただきます。おっと、これは冗談ではありませんよ。本当にあなたたちは自分たちの手で他の人達を殺めていただきます」
「なんだってえ?!」「馬鹿なことを言っているんじゃないわよ!」「お?ゲーム?面白そーじゃん」
クラスの人たちは、立ち上がって放送の聞こえてくるスピーカーに叫んでいる。
その中には、瞳に涙を浮かべながら必死に「やめて!」と訴えている女子もいた。
スピーカーからは、さらに不気味な声が続く。
「落ち着いて落ち着いてみなさん。大丈夫ですよお。我々ゲームマスターたちが、各クラスに武器一式をお届けいたしますので、ご安心下さい」
「そーいう問題じゃないだろ!!」
「教室でつぶしあいをしろっていうのー!」
クラスメイトの声は、どんどん大きくなっていき、さらには机の上に乗って、スピーカーをたたこうとする連中まで現れた。
「おっと、勘違い♪勘違い♪みなさんには教室でつぶしあいをして頂く必要はありませんよ。教室内を見回してみて下さい。その顔が、あなた達の仲間たちの顔です。この殺し合いは、ただの殺し合いではありません。「クラスマッチ」です。もちろん、裏切りも構いません。ただ、一年生二年生三年生全員合わせて20人までしかこの学校から脱出することはできません。クラスで行われるミニゲームとかもございますので、最初はクラスで行動するのがおすすめですよ。まあ、クラスでも全員が脱出できる訳ではないんですけどね。ぐふふ。まあ、今から各教室に物資が送られてくると思いますので、精一杯戦って下さい!それでは、殺し合いクラスマッチ、開催です!」
この放送が終わった瞬間、キーンコーンカーンコーンと鐘の音が鳴り響いた。
廊下から何者かが物資を運んでいる音がした。
あまりの衝撃に、先程まで荒れていたクラス内は、絶望の色に溢れ、みんな座りこんで黙っていた。
本当に、、、やるのか?
クラスがざわざわとしているまま、教室のドアがバンと開き、救援物資が運ばれてきた。
黒色の点が目の部分に塗られている白いマスクをつけた人二人、がガラガラと段ボールを二箱運んできた。
「お、おいお前たち、な、何を考えているんだ!おい、聞いてんのかよ!」
クラスの陽キャ代表、辻義隆(つじよしたか)が、仮面の二人組に言ったが、そんなことは全く気にせずに教室を出ていき、隣のクラスに物資を運びに行った。
教卓の前ににぽつんと置かれた2つの段ボールが禍々しい雰囲気を纏っていた。
クラスの全員は、その段ボールを囲んで、お互いに目をやり、だれが箱を開けるのかを目で訴えあっていた。
「こ、これどうするの?」
クラスの陽キャ女子であり、スタイル抜群、モデル志望の酒井桃果(さかいももか)が、段ボールを指さしながら言った。
しかし、誰も段ボールに手を出さない。
さらに酒井は続ける。
「だれか開けてよぉー?ほら、私たち女の子は~、か弱いからさあ、こーゆうの怖くてあげられないよお~」
猫なで声で言う酒井のことを、健之介は、馬鹿だなあと思いながら見ていたが、辻と、その金魚のフンの嶺井康人(みねいやすひと)が、右手を上げた。
「はーい!じゃあ、僕が推薦しまーす!クラスの超カリスマ、藤田怜真(ふじたれいま)くんでーす!ぱちぱちぱちぱちー!」
辻に指を刺された怜真は、長い天然パーマの前髪をゆらゆらと揺らしながら、首を横に振って嫌がった。
しかし、クラスのほぼ全員が怜真を見たことで、怜真は、緊張して声が出なくなってしまった。
その様子を見て、辻や嶺井、それに、酒井といった女子の連中が一斉に笑い出した。
怜真は、眼鏡の位置を正すと、ぼそぼそと声を出した。
「ど、どうして、ぼ、僕、なの?」
「うるせえ!さっさと開けろよ!」
先程まで笑っていたクラスメイトの表情は、ゴミを見下す眼差しに変わった。
それでも、その場を動こうとしない怜真に怒った辻は、怜真のケツを蹴った。
「はやくしろ!みんな待っているんだ!どうせフィギュアいじるくらいしかすることのない陰キャなんだから、この怪しい段ボール開けることくらい出来るだろ!」
「うぅ……」
「まだわからないのか!次はグーパンでお前の腹をえぐるからな!やられない内に開けたほうがいいんじゃないか?」
「わ、分かったよ、開けるよ……」
怜真がそう言うと、クラス中で歓喜の拍手が上がった。
しかし、それは、怜真へのいじめの一環であり、じりじりと新クラスから孤立させようとしているのである。
怜真は、自分の工具箱からカッターを取り出すと、段ボールの開け口を切り裂いて中の物を取り出した。
「ん?なんじゃこりゃ?」
一つの段ボールからは、布切れのような黒色の服がでてきた。
それを見た辻は首を傾げていたが、その横にいた嶺井が説明を始めた。
「これ、多分戦いの時につける簡易的な防具じゃない?えーっと、げっ、20枚しか入っていないよー!」
その防具が20枚しか入っていないことを確認した嶺井は、にやにやしながら怜真とその他の陰キャたち、そして、健之介の方を見た。
「これ、誰が着ればいいのかなぁ~?いやぁ~、このクラスって、確か30人だったよなぁ?10人の人は残念ながら着ることができないんじゃないかなあ?」
それを聞いた酒井たち陽キャ女子は、その言葉を真に受けて、あたあたとしだした。
「え、私たち、この防具つけちゃだめなの?ねーえ、私たちだって生き残りたいのよ?ねーえ!」
「あざとくやれば助かるとでも思っているのかなあ。このブス女は」と言ってやりたかった健之介だったが、もう一つの段ボールの中に入っているものを見て、そんな迂闊なことは言えなくなった。
もう一つの段ボールには、なんと、拳銃やナイフが、入っていたのである。
「うおお!すげえ!」
「本物じゃねえかこれ!」
武器を囲んでいる陽キャたちは、その段ボールの中身を見て大興奮。
そして、辻は中に入っていた拳銃を二丁取り出し、酒井に構えてみせた。
「どうだ?かっこいいだろ?」
調子に乗る辻を見て、嶺井も銃を取り出す。
「もう、銃口こっち向けるのやめてよぉ~。ねぇ~撃つならこの用済み男にしようよ~~」
酒井は、満面の笑みを浮かべながら怜真を指差す。
怜真は、本当に撃たれると思ったのか、自身の頭を両手で掴んでかがんでいる。
「お前を撃ったりはしねーよ!一応俺は仲間には手を出さない主義なんだ。しかも、こんなに可愛い女の子なんだぜ……桃果……」
辻は酒井に顔を近づけて言った。
教室中でから「キャーキャー」や、「ヒューヒュー」と二人を冷やかす声が上がる。
「ここで私に告白?あぁ……こんな状況でよくそんなことできるわね?」
「俺じゃだめなのか……?」
辻がそう言ったところで、クラスは一気に緊張感に包まれ、誰も一言も発さなくなった。
「じゃあ、今から隣のクラスに突撃していって、一人でぜ~んいん残らず倒してきて、私のところに戻ってきてくれたら、つきあってあげてもい~いよ!」
「本当か!?」
その言葉を聞き、クラスは盛り上がりを再び取り戻し、騒ぎは最高潮まで達した。
「よし、行くぞ!嶺井!隣のクラスに突撃だぁ!」
「えっ?なんで俺まで?」
「お前は俺の金魚のフンだろ?どこでもついてこいよ!」
「…………はいはい…」
こうして、クラスの陽キャたちは、この歓声のまま二人を隣のクラスまで見送った。
「じゃあ、行ってくるぜ!」
二人はゆっくりと歩いて廊下に出ていった。
出ていった瞬間は、みんなが盛り上がった様子でいたが、ほんの次のタイミングでクラスは絶叫に巻き込まれた。
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という音とともに、男たちの死体が転がってきたからだ。
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