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第一章 燻る火種と冒険の始まり
第十二話 秘策と再出発
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この場所は既に大混乱といった状況だ。壁は吹き飛んできたし、鳥野郎はずっと飛び回っている。だが、どちらももう虫の息だ。タイミングさえあれば倒すことが出来るはずだ。おれはレイと連携する。
「レイ、猿野郎を階段で抑えといてくれ」
「分かった。ディールはどうするんだい?」
「鳥野郎を猿野郎にぶつけるんだよ!」
おれは急いでレイが戦っている横をすり抜けて階段を駆け上がり飛び回っている鳥野郎が近づくのを待つ。鳥野郎は一見適当に飛んでいるようだが実際はホールの中を円を描くように飛んでいた。鳥野郎が接近した絶好のタイミングでおれは飛び移る。暴れまわる鳥野郎に振り落とされないように必死でしがみつくがただしがみついているだけじゃ意味がない。こいつを操作して猿野郎にぶつけてやらなければいけない。階段ではレイが猿野郎と戦闘している。
「この鳥野郎め言うこと聞きやがれ!」
「あらまぁあらまぁ~目が回るわぁ」
こうなれば無理やりにでもぶつけてやる。おれは鳥野郎が猿野郎に向いていることを確認した上で鳥野郎が曲がる瞬間をうかがう。少しづつ近づいていく。…………今だ。おれは鳥野郎が曲がる直前に蹴り飛ばして無理やり軌道を変えさせる。
「レイ、伏せろ!」
おれの声でレイは咄嗟に階段に伏せた。鳥野郎は真っ直ぐ猿野郎へと向かって突進するがおれは蹴り飛ばした勢いで空中から床へと落下してしまった。何とか受け身を取ったがそれでも怪我続きの身体には堪える。
「ギャァァァッ!!!」
どうやら土壇場の作戦が成功したみたいだ。化け物同士でぶつかった。あんな威力の突進をまともに食らったんだしばらくは動けないだろ。と思っていたがなんと鳥野郎が今の衝突でぐるぐるの混乱状態が治ってしまったようだ。少しづつだが身体を起こし始める。
「…………あらまぁあらまぁ。まさかここまで追いつめられるとはねぇ。基礎魔法も魂色の適正魔法も使えないような子供のくせにィ」
「これだけやってもまだ足りないのか。もうあれでしか倒せない!レイー頼む」
「分かった!任せて」
レイは階段の上の方から最後の爆破石を手に取って起き上がろうとする鳥野郎に向かって投げる。
「そんなノロい石ころに当たるわけないでしょぉ!」
「外しちゃった!どうしよう………………何てね」
「あらまぁあらまぁ。死ぬのはお前からよぉ。自称青の子供ォ‼」
鳥野郎はこちらに突進してくる。
「そいつはどうかな?おれたちの勝ちだよ……”ボミット”!!!」
「何ィィィッ⁉」
ドッカ――――ン!!!
あの時爆破石を避けられた瞬間。実はあいつが避けたんじゃなくておれが魔法の小瓶で吸い込んだんだ。爆破石が直撃した鳥野郎は煙を上げながら落下した。爆破石の爆発は猿野郎も巻き込んでいた。
「私たち”煌魔族”が負けるなんてぇありえないわぁ。絶対に許さないわよォォォ!」
そう言い残すと化け物たちはたちまち灰となって消滅した。
おれたちはその場に倒れ込むようにして座る。息もとっくに切れてるし身体中が痛い。だけどおれたちは確かに勝ったんだ、人喰いの化け物に!おれたちは腕を高く掲げて勝利を喜んでお互いに無事を確認する。痛みが酷くて立ち上がれないおれを見かねてレイがこちらにやって来た。
「ひどい傷じゃないか!急いで手当をしよう」
「あいつら強かったからな」
「そうだね、肩貸すよ」
「ありがとうな」
道中で拾っていた薬草や家の中の物を使って応急手当をする。ようやく立ち上がれるようになったのでおれたちは2階の何もない部屋の奥にいる捕らわれた子供を助けに行くことにした。
檻の中で子供は相変わらず怯えていたがおれたちの姿を確認すると少しだけホッとした表情を見せた。
「この子が捕まっていたという子だね」
「そうさ。この子がいなかったらあいつらの正体に気づけなかった」
「あの……すごい音がしていたんですが何があったんですか?」
「あの化け物たちはおれたちが倒したよ。お前の友達の仇はしっかりとったから安心しな」
「本当にありがとうございます。もう助からないかと思いました」
「すぐに檻から出してやるから待っててくれ」
「ディール、鍵ってこれじゃないかな」
レイが部屋の中から見つけた鍵を使って捕らわれていた子供を檻から解放した。子供は随分と弱っていたのでおれたちは下の食事場へと運ぶ。調理場を使って野草やキノコを使ったスープを作っておれたちは食事をとった。この子供は見る限りおれたちと同じぐらいの年だろう。おれたちは会話の中で彼の素性を聞いた。名前はオーケンでこの森の近くの村に住んでいることや亡くなってしまった友達のことまで話してくれた。辛いことを話す彼の瞳からは枯れてしまったのか涙は流れていなかった。食事を終えた後オーケンは応接室で横になってぐっすりと眠った。おれたちは2階の謎の空間に何か使えそうなものがないか探索することにした。
「写真ばっかりで何もなさそうだね」
「これ使えるんじゃないか?」
「それは……使えそうだね」
おれは正に相”棒”として使っていたゴブリンの手作り棍棒がボロボロになってしまったもんだから代わりに今後使えそうな武器を見つけた。腰から踝程の長さの片手剣だ。おれが扱うには大ぶりな気がしたがあんまり重くはないし他に使えそうなものがなかったので従来の片手剣としてではなく両手剣として使うことにした。
武器のほかにも旅に使えそうなものがいくつかあったので拾っておいた。拾ったものの中にまだ新しい帽子があったので拾うと名前が書いてありその名はオーケンの友達の名前であった。
「これってもしかしてオーケンの友達の遺品かな」
「そうだろうな。持って行ってあげようぜ」
応接室に行くとオーケンは目を覚ましていた。おれが帽子を差し出すとオーケンは手に取って名前を見るまでもなくそれが友人の物であることを理解した。
オーケンは大粒の涙を流して感謝の言葉を述べる。
「これは……あいつのお気に入りの帽子なんです。誕生日にぼくがプレゼントしてから毎日被ってくれていて……見つけてくれてありがとうございます」
「そうか、じゃあ村に持って帰ってあげないとな。準備したらこの森を抜けるために出発するぞ」
おれたちは3人で屋敷を出た。そして来た時とは反対側に向かって森の中を進んでいくことにした。
「そういえばあと半分ぐらいって言ってたよな」
「そうだね。ということはあともう数日はかかるかもね」
オーケンはおれたちとは少し距離を取って歩いていた。やっぱり一人で考える時間が欲しいんだろうか。友人を失う気持ちなんておれは知りたくないし理解したくもない。だからこそオーケンに寄り添ってやることはできなかった。その分レイが気にかけてくれていた。
何日か野宿を繰り返しながら進んでいるとようやく森の出口が見えてきた。おれたちは出口が見えると一斉にそこに向かって走り出す。森を抜けると美しい青空が広がっていた。
「やっと出られたぞ!」
「大変だったねディール、オーケン」
「そうですね。村はここからそう遠くない南東の方角にあります」
「よし、じゃあ陽が落ちない内にたどり着こう」
おれたちは地図でおおよその位置を把握して言われた通りの方角へと進んでいった。歩きすぎでもう足がパンパンだった。昼頃にはオーケンの住む村に到着できた。オーケンの姿を確認した村人たちが一斉に集まりオーケンの心配をしている。
「今までどこに行っていたんだオーケン!もう何日もいなくなってて両親が心配して何度も村を飛び出してお前を探していたんだぞ。今は家にいるだろうからすぐに顔を見せてあげなさい」
「分かったよ。それと、ヨリスのことなんだけど……うぅ……」
「ヨリスがどうかしたのか?そういえばここにはいないようだが」
オーケンは何とか話そうとしているが言葉が詰まって話すことが出来ていないようだ。おれは助け舟を出すことにする。
「オーケン、親の所に行って来いよ。説明ならおれたちがしておくから」
オーケンはうなずくと走って自分の家へと向かっていった。それからおれたちはあの屋敷で戦った化け物のこと、オーケンの友人であるヨリスが亡くなってしまったことを包み隠さずにすべて話した。村人たちは皆顔を伏せて悲しそうな表情をしていたが、その中で膝から崩れ落ちる二人の男女がいた。多分、ヨリスの両親だろう。
「すべて話してくれて、何よりオーケンを救っていただき村人一同感謝する。本当にありがとう」
村長らしき人がそう言うとその場にいた村人全員が頭を下げてお礼の言葉を述べていた。
「まさかあの”神隠しの森”に入って生きて帰ってさらにはその神隠しの元凶まで倒してしまうとはいったい何者なんじゃ!」
「運が味方しただけですよ」
「何と謙虚な!」
村人たちに一生分のお礼を言われた辺りで村長が皆の話を遮って会話に入ってきた。
「ところで話は変わるがこれから先はどうするおつもりかの?」
「おれたちは……旅を続けようと思ってます」
「でしたら今日一日は泊っていってくだされ。礼を言い足りないのでな」
「どうするんだい?ディール」
「できれば休みたいけど、ここに居たってのがバレたらカミオン帝国が来た時に危険だろ。だから先に進もうと思う」
「僕もそれがいいと思うよ。村のみなさんのご厚意はありがたいけどね」
おれたちは泊れないということを告げた。村人たちは残念そうな顔をしていたが危険に巻き込むわけにはいかない。村人たちから見送られて村から出発しようとするとオーケンが追いかけてきた。
「本当に、ほんっとうにありがとうございました。ディー……」
「何かな?オーケン」
おれたちの名前を言おうとしたオーケンの口を手でふさぎこみ小声で伝える。
「オーケン、僕たちの名前は誰にも教えないでいて欲しいんだ。僕たちのことはそうだな……リッパとベイランドということにしておいてくれないかい」
オーケンはもごもごとしながら首を縦に振った。
「じゃあ皆さん、食料とか色々とありがとうございました」
「お二人ともどうかお元気で」
「じゃあなーオーケン!また会おうなー」
オーケンは両親らしき人と話している。
「オーケン、あの二人と何を話していたんだい?」
「ああ!名前を聞いていなかったから聞いてきたんだ。リッパとベイランドだってさ」
「リッパ?ベイランド?って……ハハハそれは昔からあるおとぎ話の登場人物じゃないか。愉快な二人だな」
おれたちは村人たちに手を振られながら今度こそロオの街に向けて出発した。
「レイ、猿野郎を階段で抑えといてくれ」
「分かった。ディールはどうするんだい?」
「鳥野郎を猿野郎にぶつけるんだよ!」
おれは急いでレイが戦っている横をすり抜けて階段を駆け上がり飛び回っている鳥野郎が近づくのを待つ。鳥野郎は一見適当に飛んでいるようだが実際はホールの中を円を描くように飛んでいた。鳥野郎が接近した絶好のタイミングでおれは飛び移る。暴れまわる鳥野郎に振り落とされないように必死でしがみつくがただしがみついているだけじゃ意味がない。こいつを操作して猿野郎にぶつけてやらなければいけない。階段ではレイが猿野郎と戦闘している。
「この鳥野郎め言うこと聞きやがれ!」
「あらまぁあらまぁ~目が回るわぁ」
こうなれば無理やりにでもぶつけてやる。おれは鳥野郎が猿野郎に向いていることを確認した上で鳥野郎が曲がる瞬間をうかがう。少しづつ近づいていく。…………今だ。おれは鳥野郎が曲がる直前に蹴り飛ばして無理やり軌道を変えさせる。
「レイ、伏せろ!」
おれの声でレイは咄嗟に階段に伏せた。鳥野郎は真っ直ぐ猿野郎へと向かって突進するがおれは蹴り飛ばした勢いで空中から床へと落下してしまった。何とか受け身を取ったがそれでも怪我続きの身体には堪える。
「ギャァァァッ!!!」
どうやら土壇場の作戦が成功したみたいだ。化け物同士でぶつかった。あんな威力の突進をまともに食らったんだしばらくは動けないだろ。と思っていたがなんと鳥野郎が今の衝突でぐるぐるの混乱状態が治ってしまったようだ。少しづつだが身体を起こし始める。
「…………あらまぁあらまぁ。まさかここまで追いつめられるとはねぇ。基礎魔法も魂色の適正魔法も使えないような子供のくせにィ」
「これだけやってもまだ足りないのか。もうあれでしか倒せない!レイー頼む」
「分かった!任せて」
レイは階段の上の方から最後の爆破石を手に取って起き上がろうとする鳥野郎に向かって投げる。
「そんなノロい石ころに当たるわけないでしょぉ!」
「外しちゃった!どうしよう………………何てね」
「あらまぁあらまぁ。死ぬのはお前からよぉ。自称青の子供ォ‼」
鳥野郎はこちらに突進してくる。
「そいつはどうかな?おれたちの勝ちだよ……”ボミット”!!!」
「何ィィィッ⁉」
ドッカ――――ン!!!
あの時爆破石を避けられた瞬間。実はあいつが避けたんじゃなくておれが魔法の小瓶で吸い込んだんだ。爆破石が直撃した鳥野郎は煙を上げながら落下した。爆破石の爆発は猿野郎も巻き込んでいた。
「私たち”煌魔族”が負けるなんてぇありえないわぁ。絶対に許さないわよォォォ!」
そう言い残すと化け物たちはたちまち灰となって消滅した。
おれたちはその場に倒れ込むようにして座る。息もとっくに切れてるし身体中が痛い。だけどおれたちは確かに勝ったんだ、人喰いの化け物に!おれたちは腕を高く掲げて勝利を喜んでお互いに無事を確認する。痛みが酷くて立ち上がれないおれを見かねてレイがこちらにやって来た。
「ひどい傷じゃないか!急いで手当をしよう」
「あいつら強かったからな」
「そうだね、肩貸すよ」
「ありがとうな」
道中で拾っていた薬草や家の中の物を使って応急手当をする。ようやく立ち上がれるようになったのでおれたちは2階の何もない部屋の奥にいる捕らわれた子供を助けに行くことにした。
檻の中で子供は相変わらず怯えていたがおれたちの姿を確認すると少しだけホッとした表情を見せた。
「この子が捕まっていたという子だね」
「そうさ。この子がいなかったらあいつらの正体に気づけなかった」
「あの……すごい音がしていたんですが何があったんですか?」
「あの化け物たちはおれたちが倒したよ。お前の友達の仇はしっかりとったから安心しな」
「本当にありがとうございます。もう助からないかと思いました」
「すぐに檻から出してやるから待っててくれ」
「ディール、鍵ってこれじゃないかな」
レイが部屋の中から見つけた鍵を使って捕らわれていた子供を檻から解放した。子供は随分と弱っていたのでおれたちは下の食事場へと運ぶ。調理場を使って野草やキノコを使ったスープを作っておれたちは食事をとった。この子供は見る限りおれたちと同じぐらいの年だろう。おれたちは会話の中で彼の素性を聞いた。名前はオーケンでこの森の近くの村に住んでいることや亡くなってしまった友達のことまで話してくれた。辛いことを話す彼の瞳からは枯れてしまったのか涙は流れていなかった。食事を終えた後オーケンは応接室で横になってぐっすりと眠った。おれたちは2階の謎の空間に何か使えそうなものがないか探索することにした。
「写真ばっかりで何もなさそうだね」
「これ使えるんじゃないか?」
「それは……使えそうだね」
おれは正に相”棒”として使っていたゴブリンの手作り棍棒がボロボロになってしまったもんだから代わりに今後使えそうな武器を見つけた。腰から踝程の長さの片手剣だ。おれが扱うには大ぶりな気がしたがあんまり重くはないし他に使えそうなものがなかったので従来の片手剣としてではなく両手剣として使うことにした。
武器のほかにも旅に使えそうなものがいくつかあったので拾っておいた。拾ったものの中にまだ新しい帽子があったので拾うと名前が書いてありその名はオーケンの友達の名前であった。
「これってもしかしてオーケンの友達の遺品かな」
「そうだろうな。持って行ってあげようぜ」
応接室に行くとオーケンは目を覚ましていた。おれが帽子を差し出すとオーケンは手に取って名前を見るまでもなくそれが友人の物であることを理解した。
オーケンは大粒の涙を流して感謝の言葉を述べる。
「これは……あいつのお気に入りの帽子なんです。誕生日にぼくがプレゼントしてから毎日被ってくれていて……見つけてくれてありがとうございます」
「そうか、じゃあ村に持って帰ってあげないとな。準備したらこの森を抜けるために出発するぞ」
おれたちは3人で屋敷を出た。そして来た時とは反対側に向かって森の中を進んでいくことにした。
「そういえばあと半分ぐらいって言ってたよな」
「そうだね。ということはあともう数日はかかるかもね」
オーケンはおれたちとは少し距離を取って歩いていた。やっぱり一人で考える時間が欲しいんだろうか。友人を失う気持ちなんておれは知りたくないし理解したくもない。だからこそオーケンに寄り添ってやることはできなかった。その分レイが気にかけてくれていた。
何日か野宿を繰り返しながら進んでいるとようやく森の出口が見えてきた。おれたちは出口が見えると一斉にそこに向かって走り出す。森を抜けると美しい青空が広がっていた。
「やっと出られたぞ!」
「大変だったねディール、オーケン」
「そうですね。村はここからそう遠くない南東の方角にあります」
「よし、じゃあ陽が落ちない内にたどり着こう」
おれたちは地図でおおよその位置を把握して言われた通りの方角へと進んでいった。歩きすぎでもう足がパンパンだった。昼頃にはオーケンの住む村に到着できた。オーケンの姿を確認した村人たちが一斉に集まりオーケンの心配をしている。
「今までどこに行っていたんだオーケン!もう何日もいなくなってて両親が心配して何度も村を飛び出してお前を探していたんだぞ。今は家にいるだろうからすぐに顔を見せてあげなさい」
「分かったよ。それと、ヨリスのことなんだけど……うぅ……」
「ヨリスがどうかしたのか?そういえばここにはいないようだが」
オーケンは何とか話そうとしているが言葉が詰まって話すことが出来ていないようだ。おれは助け舟を出すことにする。
「オーケン、親の所に行って来いよ。説明ならおれたちがしておくから」
オーケンはうなずくと走って自分の家へと向かっていった。それからおれたちはあの屋敷で戦った化け物のこと、オーケンの友人であるヨリスが亡くなってしまったことを包み隠さずにすべて話した。村人たちは皆顔を伏せて悲しそうな表情をしていたが、その中で膝から崩れ落ちる二人の男女がいた。多分、ヨリスの両親だろう。
「すべて話してくれて、何よりオーケンを救っていただき村人一同感謝する。本当にありがとう」
村長らしき人がそう言うとその場にいた村人全員が頭を下げてお礼の言葉を述べていた。
「まさかあの”神隠しの森”に入って生きて帰ってさらにはその神隠しの元凶まで倒してしまうとはいったい何者なんじゃ!」
「運が味方しただけですよ」
「何と謙虚な!」
村人たちに一生分のお礼を言われた辺りで村長が皆の話を遮って会話に入ってきた。
「ところで話は変わるがこれから先はどうするおつもりかの?」
「おれたちは……旅を続けようと思ってます」
「でしたら今日一日は泊っていってくだされ。礼を言い足りないのでな」
「どうするんだい?ディール」
「できれば休みたいけど、ここに居たってのがバレたらカミオン帝国が来た時に危険だろ。だから先に進もうと思う」
「僕もそれがいいと思うよ。村のみなさんのご厚意はありがたいけどね」
おれたちは泊れないということを告げた。村人たちは残念そうな顔をしていたが危険に巻き込むわけにはいかない。村人たちから見送られて村から出発しようとするとオーケンが追いかけてきた。
「本当に、ほんっとうにありがとうございました。ディー……」
「何かな?オーケン」
おれたちの名前を言おうとしたオーケンの口を手でふさぎこみ小声で伝える。
「オーケン、僕たちの名前は誰にも教えないでいて欲しいんだ。僕たちのことはそうだな……リッパとベイランドということにしておいてくれないかい」
オーケンはもごもごとしながら首を縦に振った。
「じゃあ皆さん、食料とか色々とありがとうございました」
「お二人ともどうかお元気で」
「じゃあなーオーケン!また会おうなー」
オーケンは両親らしき人と話している。
「オーケン、あの二人と何を話していたんだい?」
「ああ!名前を聞いていなかったから聞いてきたんだ。リッパとベイランドだってさ」
「リッパ?ベイランド?って……ハハハそれは昔からあるおとぎ話の登場人物じゃないか。愉快な二人だな」
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