魂色物語

ガホウ

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第二章 魔法の衆と禁じられた書

第九話 ハンター協会再び

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 おれたちは村に戻って村長の家に行くと中にはまた見知らぬ人たちが来ていた。村長はその人たちと話していたがおれたちの姿を確認すると話を切り上げてこちらにやってきた。

「ホホホ、戻ってきましたか。お怪我はありませんでしたかの?ゴブリンたちはどうでしたかの?」

 いきなり色々と聞いてきたのでおれは落ち着くように言った。

「村長、落ち着いてください。話ならゆっくりしましょう。それと奥にいる人たちは誰なんですか?」
「ホホホ、すまない。この方たちはハンター協会の応援の方々じゃ」

 応援だって!いくらなんでも早すぎやしないか?おれと同じ疑問を持ったレイが質問する。

「ハンター協会の失踪に対する応援って本来もっと遅れるはずじゃないですか?」
「ホホホ、それはの……」

 村長が何かを言いかけたところで奥にいる中の一人がこちらに近づいて話に割って入ってきた。

「それに関しては私から話そう」

 そのハンターは恰幅のいい無精ひげを生やした男だった。金属製の鎧に身を包み背中には彼の背丈ほどある巨大な両刃斧を装備している。屈強そうなハンターは話し続ける。

「今回の件は本来であれば調査隊を派遣して状況を確認してから討伐に挑むはずだったのだが、功を焦った馬鹿者が勝手に出向いてしまったのを追いかけてきたという訳だ」

 つまり昨日のハンターは報酬に目が眩んだ結果の自滅という訳だ。

「君たちがゴブリンの確認に向かったと聞いていたが実際はどうだったのか教えてもらえるか」

 おれはハンターの偉そうな強気な態度に嫌気がさしながらも起きたことを事細かに教えた。

「やはり彼は亡くなったか。自業自得だな。それよりもこんな小さな子供がゴブリンヘッドを討伐するなんて聞いたことがない。君たちは本当にハンター協会に所属していないのか」
「はい、おれたちはハンター協会に入ってませんし入る予定もないですよ」

 おれがそう答えるとハンターは笑いながら返した。

「はっはっは。勧誘しようと思ったのだが先に断られてしまうとはな。まあいい、もしも入りたいと思ったならいつでもハンター協会ムオリテ支部に寄るといい。できるだけ優秀な人材は他の支部に取られたくないのでな」

 ハンターはそう言い残すとおれたちの肩を強めに叩いてから近くの別のハンターを呼んで例のハンターの死体とゴブリンたちの確認のために出て行った。

 彼らが出ていってから村長が髭を撫でながら話し始めた。

「ホホホ、そういうわけでご苦労さまじゃったの。お礼をしたいのじゃが……」
「そんな!お礼なんてとんでもないですよ。僕たちが好きでやったことですから」

 レイがそう話すと村長は奥の方の部屋に駆け足で行ってしまった。

 しばらく待っているとその部屋の扉から村長がひょいっと顔を出してこちらに来るように手招きした。おれたちは互いに首をかしげながらも村長の招く部屋に足を運んだ。

 中に入ってみるとそこはどうやら倉庫のようだった。食料品や使わなそうなズタ袋に埃の積もった本まで色んなものが置かれていた。

「ホホホ、儂は昔からヘンなモノを集めるのが好きでな。今は亡くなってしもうたが当時は女房に捨てられまいと必死に言い訳したもんじゃ」

 村長は棚から2つの品を取り出しておれたちに渡した。1つは鍋の蓋のような小型の円盾のバックラーだ。もう1つは見た感じロウソク用の取っ手のついた燭台だ。

 おれがバックラーを装備して、レイが燭台を持つと村長が説明を始めた。

「ホホホ、その盾は鉄製なのじゃがそれを感じさせない程に軽い設計になっておるぞ!」

 そう言って村長はバックラーをコンコンと叩いた。

 確かにこのバックラーは驚くほど軽い。元から小さいというのもあるがまるで装着していないみたいだ。

「ホホホ。その軽くて丈夫な盾は昔、行商人から買い取ったものでの。なんでもドワーフが作ったらしくての。興味が湧いて買ってしもうたんじゃよ」

 ドワーフといえば地下に住んでいるモノ作りが得意な種族だ。リッパとベイランドの冒険で読んだことがある。そう言われれば確かにこの盾は人間の職人では出来ない代物だろう。おれは納得した。

 村長は次に燭台を指差すと説明を始めた。

「ホホホ。その燭台はこれまた珍しい”魔宝具”での。ロウソクを指すと勝手に火が灯るんじゃ!」

 村長が段々ヒートアップしてきた気がする。興奮気味の村長がレイの持つ燭台にロウソクをさすと言った通り本当にひとりでに火が付いて薄暗い部屋の中を少しだけ明るく灯した。

「どうじゃどうじゃ!凄いじゃろ。儂のとっておきのヘンなモノを受け取ってもらえんか」

「そこまで言われたら受け取らない訳にはいかないですね。ありがたく使わせてもらいます」

 おれはそう言ってから礼をして村長と一緒に部屋を出た。でも魔宝具なのに火が付くだけなのか?そりゃあ火が無いときには活躍するんだろうけどロウソクを持ってなきゃ意味がないな。

 村の入口まで村長が見送ってくれた。村から出ようとしたその時、さっきのハンターたちが戻ってきた。ハンターの男がこちらにやって来てから喋り始める。

「先程、ゴブリンの巣を確認してきた。ゴブリン63匹及びゴブリンヘッド1匹の討伐を確認した」

 その報告におれたちは無言で腕を組みふんぞり返る。ハンターは気にせずに報告を続ける。

「これは異例なことだ。報酬は君たちが貰ったほうがいいと思うがどうする」

 その問いにレイが答える。

「報酬はこの村から支払われるんですよね。だったら既にとびきりの報酬はいただいておりますのでお気になさらず」

 レイの返答にハンターは了承した。ハンターたちはゴブリンの残党が出ないようにと村に数日残るらしい。おれたちはもう用がないので村から出ることにした。出る前にハンターたちにエルフのことを聞いてみたが期待できるような情報は一つもなかった。

「それにしてもゴブリンたちと戦うの大変だったな」

 おれはレイに聞いてみる。するとレイは魔法の燭台を持ちながら答えた。

「でも新しい魔宝具が手に入ったからよかったじゃないか。それに、村の人たちも助かったからね」

 カミオン帝国もそうだが魔物の脅威も日に日に増しているのを痛感させられるような一日だった。
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