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第二章 魔法の衆と禁じられた書
第二十二話 望んだ書と七玹騎士
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「皆様、お待たせ致しました。こちらがワタクシ推薦の書物でございます!」
ビビルベルはそれぞれ選んだ本をおれたちに渡してきた。おれの手元には表紙が革で出来た古びた手記のようなものが渡された。かなり埃っぽいしページの間に挟む用のひもは途中で千切れている。
「あなた様には青の魂色について千年前に書かれた当時の冒険者の手記を贈呈します。古いもの故、正直あまり読めたものではありませんが致し方ないでしょう」
レイには赤い表紙で分厚い本が渡された。あまりの分厚さに見ているだけでも腕が疲れそうだ。
「あなた様にはこちらの『フォルワ大陸魔物大全』を贈呈します」
レイは本を受け取ってから袋の中にしまった。
「ディール、読みたくなったら袋から取り出してね」
「ありがとう」
おれはレイに感謝の言葉を伝えるとビビルベルは最後にエルの本について説明した。
「エルフのお嬢様にはこちらの『魔導の奇跡』を贈呈します」
エルは本を受け取ると一言お礼をしてから早速読み始めている。
「この本の著者はとんでもないわね。これが世に出ていたら今頃世界の魔導のレベルは何段階も先に進んでいるはずよ」
エルは数ページ読んだだけで激しく感動していた。近くの机に本を広げて片手でページをめくりながらもう片方の手のひらに小さい風を起こしてなにやら検証しているのが分かる。ビビルベルが咳ばらいをしてから話し始めた。
「では、ワタクシの使命はこれにて終了ということで。予言が捻じ曲がることを切に願っております」
そう言うとビビルベルの半透明な姿が更に透明になっていきスッと消えていなくなってしまった。
「どこに消えたんだ⁉」
「ゴーストは使命を果たすことが出来たら成仏するのよ。出来ないゴーストは一生そのままなんだけどね」
「つまり、今のゴーストの使命って僕たちに本を渡すことだったのかな」
「その可能性が高いわね。例えば青の魂色か運命の軸とやらを持つ者に本を渡すとかじゃないかしら」
「…………ずっとおれのことを待っていたんだな。消えることも許されずに何百年も」
おれは成仏していったビビルベルに祈りをささげた。渡された本の中身を読んでみると確かにページが破れていたり血が付着していて読める箇所が少なかったがどうやらこれを書いた人物はかつて青の魂色を持つ者と接触したことがあるみたいだ。
内容は基本的に著者のくだらないジョークや愚痴のようなものばかりだったがその中に気になる文章があった。
『青の魂色は凄まじい力だ。金や黒にも匹敵するといっても過言ではない。しかし、あいつ自身も自分以外に青の魂色持ちに出会ったことがないらしい。だからこそ適正魔法を知るのに長年苦労したんだと。それにしても青の適正魔法は今まで見てきた中で一番美しく、そしておぞましいものだ』
『あいつは青の魂色に無限の可能性があると言ってたが俺にはさっぱり分からん。それにあいつがいつも言っている”継承”って何のことだ?あいつは俺たち旅の仲間とは生きている次元が違う感じがしやがる。時々気味が悪いと思う節があるのがあいつの欠点だな』
『俺の中で青の魂色について分かったことがあるとすればまずは適正魔法だ。あいつは…………だ』
肝心な部分が読み取れなかったが別の所をおれが集中して読み進めていると突然仙郷の大図書館中に爆発音のような轟音が聞こえてきた。レイが読んでいた本を閉じて聞いてくる。
「ねえ、今の何の音!」
「分からない。多分、入り口の方からだ」
「ピピヨ――――!」
バサンも異常事態に気づいて鳴きながらおれのポケットの中に戻った。エルは手に弓を持って既に警戒態勢だ。おれも本を袋の中に入れて中央から奥の方へと下がっていき本棚の後ろに隠れる。音が鳴ってからしばらくするとガチャガチャと金属同士がぶつかる音が聞こえてきた。するとおれたちが通ってきた通路からチェインメイルの鎧を身に着けて上から別の衣服を着た兵士たちがぞろぞろと入ってきた。数にして10人程度だ。
兵士たちが両端に立って控えているとさらに別の兵士が出てきた。先頭にいるのはペリドットのような緑色の鎧に茶色い短髪は綺麗にセットされている。瞳も鎧と同じ色をしている。いかにも偉そうな騎士の後ろにはプレートアーマーの三人組がいた。
既にマズそうな状況だが何よりも一番気になったのが一人の兵士が持つ旗に書かれている紋章だ。ダイヤ型の盾の中に横向きの獅子が剣を持っている。あの紋章はどこかで見たことがある。あれは確か…………そうだ!カミオン帝国の紋章だ。なんで奴らがこんなところにいるんだ?
おれたちが息を殺して静かにしていると緑の騎士が大声で話し出す。
「正体は分からないがそこにいるのは分かっているぞ。出てきたらどうだ?」
おれたちのことがバレているらしい。しかし、数までは把握できていないみたいだ。おれは二人に作戦を伝える。
「ここはおれとレイが出て行こう。エルは奴らを後ろに回って弓で狙ってみてくれ」
「それよりもあいつらは何なの?」
「あれはカミオン帝国の兵士で最悪の奴らだよ」
エルは物音を立てないように棚の間を器用に移動し始めた。おれたちは作戦通りに二人で前に出る。姿を確認した緑の騎士はニヤリと不敵に笑ってから話し出す。
「誰がいるかと思ったら、ただのガキじゃないか。こんなところで何をしている?」
おれは奴の迫力に負けじと言葉を返す。
「それはこっちのセリフだよ。カミオン帝国の連中が何でこっち側にいるんだよ」
「俺達は皇帝陛下から大切な任務を直接言い渡されたから来ただけだ。おかげさまで俺の部下はここに来るまで何十人と命を落としたけどな。今度はこっちの番だ、ガキどもがこんなところで何してる」
ここで馬鹿正直に青の魂色を調べに来ましたなんて言ったらおしまいだ。慎重に言葉を選んで返事をする。
「おれたちは凄い図書館があるって聞いたからここに魔法の勉強に来た。それだけだ」
「そうかそうか、勤勉なのは良いことだな。俺はカミオン帝国の誇り高き七玹騎士の一人、ヴァントだ。お前たちはなんて名だ」
「おれはディールだ。そしてこっちがレイ」
「お前たちは運が悪かったな~。俺達がここに来たのを知っている人間がいるのは都合が悪いんだよ。悪いがここで死んでもらうぞ」
おれたちを殺すだって。三年前にせっかく逃げることが出来たのにここでもまた奴らに命を狙われなきゃいけないのかよ。おれは絶体絶命の状況で賭けに出ることにした。
「おれたちはどこに何の本があるか既に記憶済みだ。アンタらの目的がここにある本ならそれを今すぐ燃やすことだってできるんだぞ」
おれが脅すとヴァントと名乗った男は口を手で押さえて笑いを堪えていた。
「何がおかしいんだよ」
「いや~面白いことを言うもんだからさ。ついつい笑ってしまったよ。もしもお前らが持っててくれたら探す手間が省けて楽だな~って思っただけだよ。ついでに聞くけどさ神話の時代から書かれてるって噂の真の歴史が記された書が欲しいんだけど持ってないかな?」
真の歴史書だと。まさかカミオン帝国の奴らが真の歴史書を手に入れようとしているとは思わなかった。それに奴は皇帝の直接の命令だと言っていた。カミオン帝国の皇帝の行動は毎回謎が多い。青の魂色持ちの抹殺や真の歴史の記録の入手。
おれは頭の中で精いっぱい考えてみたが謎が謎を呼ぶだけで今の状態ではカミオン帝国の真の狙いが分からずじまいだった。だけど一つだけ分かったことがある。それは家族の仇であるカミオン帝国の奴らの欲しがる真の歴史書を渡すわけにはいかないってことだ!
おれとレイは武器を構える。
「こんな所でアンタらに殺されるわけにいかないし、歴史の書を渡すわけにもいかないんだよ」
「いい度胸じゃないか!面白れえ~。お前ら、相手をしてやれ」
ヴァントの命令で後ろに控えていた兵士たちがぞろぞろと前に出てくる。
「僕は許せないよ。こいつらがしてきた非道の数々もあの日の惨劇もこれからやろうとしていることも全部!」
「おれも同じ気持ちだ。おれたちなら勝てるはずだ。もうあの頃とは違うってのを教えてやる!」
ビビルベルはそれぞれ選んだ本をおれたちに渡してきた。おれの手元には表紙が革で出来た古びた手記のようなものが渡された。かなり埃っぽいしページの間に挟む用のひもは途中で千切れている。
「あなた様には青の魂色について千年前に書かれた当時の冒険者の手記を贈呈します。古いもの故、正直あまり読めたものではありませんが致し方ないでしょう」
レイには赤い表紙で分厚い本が渡された。あまりの分厚さに見ているだけでも腕が疲れそうだ。
「あなた様にはこちらの『フォルワ大陸魔物大全』を贈呈します」
レイは本を受け取ってから袋の中にしまった。
「ディール、読みたくなったら袋から取り出してね」
「ありがとう」
おれはレイに感謝の言葉を伝えるとビビルベルは最後にエルの本について説明した。
「エルフのお嬢様にはこちらの『魔導の奇跡』を贈呈します」
エルは本を受け取ると一言お礼をしてから早速読み始めている。
「この本の著者はとんでもないわね。これが世に出ていたら今頃世界の魔導のレベルは何段階も先に進んでいるはずよ」
エルは数ページ読んだだけで激しく感動していた。近くの机に本を広げて片手でページをめくりながらもう片方の手のひらに小さい風を起こしてなにやら検証しているのが分かる。ビビルベルが咳ばらいをしてから話し始めた。
「では、ワタクシの使命はこれにて終了ということで。予言が捻じ曲がることを切に願っております」
そう言うとビビルベルの半透明な姿が更に透明になっていきスッと消えていなくなってしまった。
「どこに消えたんだ⁉」
「ゴーストは使命を果たすことが出来たら成仏するのよ。出来ないゴーストは一生そのままなんだけどね」
「つまり、今のゴーストの使命って僕たちに本を渡すことだったのかな」
「その可能性が高いわね。例えば青の魂色か運命の軸とやらを持つ者に本を渡すとかじゃないかしら」
「…………ずっとおれのことを待っていたんだな。消えることも許されずに何百年も」
おれは成仏していったビビルベルに祈りをささげた。渡された本の中身を読んでみると確かにページが破れていたり血が付着していて読める箇所が少なかったがどうやらこれを書いた人物はかつて青の魂色を持つ者と接触したことがあるみたいだ。
内容は基本的に著者のくだらないジョークや愚痴のようなものばかりだったがその中に気になる文章があった。
『青の魂色は凄まじい力だ。金や黒にも匹敵するといっても過言ではない。しかし、あいつ自身も自分以外に青の魂色持ちに出会ったことがないらしい。だからこそ適正魔法を知るのに長年苦労したんだと。それにしても青の適正魔法は今まで見てきた中で一番美しく、そしておぞましいものだ』
『あいつは青の魂色に無限の可能性があると言ってたが俺にはさっぱり分からん。それにあいつがいつも言っている”継承”って何のことだ?あいつは俺たち旅の仲間とは生きている次元が違う感じがしやがる。時々気味が悪いと思う節があるのがあいつの欠点だな』
『俺の中で青の魂色について分かったことがあるとすればまずは適正魔法だ。あいつは…………だ』
肝心な部分が読み取れなかったが別の所をおれが集中して読み進めていると突然仙郷の大図書館中に爆発音のような轟音が聞こえてきた。レイが読んでいた本を閉じて聞いてくる。
「ねえ、今の何の音!」
「分からない。多分、入り口の方からだ」
「ピピヨ――――!」
バサンも異常事態に気づいて鳴きながらおれのポケットの中に戻った。エルは手に弓を持って既に警戒態勢だ。おれも本を袋の中に入れて中央から奥の方へと下がっていき本棚の後ろに隠れる。音が鳴ってからしばらくするとガチャガチャと金属同士がぶつかる音が聞こえてきた。するとおれたちが通ってきた通路からチェインメイルの鎧を身に着けて上から別の衣服を着た兵士たちがぞろぞろと入ってきた。数にして10人程度だ。
兵士たちが両端に立って控えているとさらに別の兵士が出てきた。先頭にいるのはペリドットのような緑色の鎧に茶色い短髪は綺麗にセットされている。瞳も鎧と同じ色をしている。いかにも偉そうな騎士の後ろにはプレートアーマーの三人組がいた。
既にマズそうな状況だが何よりも一番気になったのが一人の兵士が持つ旗に書かれている紋章だ。ダイヤ型の盾の中に横向きの獅子が剣を持っている。あの紋章はどこかで見たことがある。あれは確か…………そうだ!カミオン帝国の紋章だ。なんで奴らがこんなところにいるんだ?
おれたちが息を殺して静かにしていると緑の騎士が大声で話し出す。
「正体は分からないがそこにいるのは分かっているぞ。出てきたらどうだ?」
おれたちのことがバレているらしい。しかし、数までは把握できていないみたいだ。おれは二人に作戦を伝える。
「ここはおれとレイが出て行こう。エルは奴らを後ろに回って弓で狙ってみてくれ」
「それよりもあいつらは何なの?」
「あれはカミオン帝国の兵士で最悪の奴らだよ」
エルは物音を立てないように棚の間を器用に移動し始めた。おれたちは作戦通りに二人で前に出る。姿を確認した緑の騎士はニヤリと不敵に笑ってから話し出す。
「誰がいるかと思ったら、ただのガキじゃないか。こんなところで何をしている?」
おれは奴の迫力に負けじと言葉を返す。
「それはこっちのセリフだよ。カミオン帝国の連中が何でこっち側にいるんだよ」
「俺達は皇帝陛下から大切な任務を直接言い渡されたから来ただけだ。おかげさまで俺の部下はここに来るまで何十人と命を落としたけどな。今度はこっちの番だ、ガキどもがこんなところで何してる」
ここで馬鹿正直に青の魂色を調べに来ましたなんて言ったらおしまいだ。慎重に言葉を選んで返事をする。
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「そうかそうか、勤勉なのは良いことだな。俺はカミオン帝国の誇り高き七玹騎士の一人、ヴァントだ。お前たちはなんて名だ」
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真の歴史書だと。まさかカミオン帝国の奴らが真の歴史書を手に入れようとしているとは思わなかった。それに奴は皇帝の直接の命令だと言っていた。カミオン帝国の皇帝の行動は毎回謎が多い。青の魂色持ちの抹殺や真の歴史の記録の入手。
おれは頭の中で精いっぱい考えてみたが謎が謎を呼ぶだけで今の状態ではカミオン帝国の真の狙いが分からずじまいだった。だけど一つだけ分かったことがある。それは家族の仇であるカミオン帝国の奴らの欲しがる真の歴史書を渡すわけにはいかないってことだ!
おれとレイは武器を構える。
「こんな所でアンタらに殺されるわけにいかないし、歴史の書を渡すわけにもいかないんだよ」
「いい度胸じゃないか!面白れえ~。お前ら、相手をしてやれ」
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