5 / 7
五話
爆乳褐色痴女エルフ
しおりを挟む
僕は相変わらず雑用と買い出しに追われる日々を過ごしていた。そんな時、僕と工房宛に一通の手紙が届いた。何かの紋章で封蝋されている手紙は気品を感じられた。絶対にお偉いさんからの手紙だとバカでも分かる。
僕はこちらの世界の文字は読めないのが手紙を渡してくれた使用人っぽい人が差出人を伝えてくれた。先日助けたビアンカさんとメッサジェントだ。
僕宛でもあるが工房の名前も入っているのでゴドウィンに渡して読んでもらった。内容は驚愕のものであった。
結婚のパレードをするから軽トラを運転して欲しい、そう書いてあった。ビアンカさんが思い付いたらしい。
確かに荷台に立てば新郎新婦は目立つし、今まで見たことのない軽トラでのパレードは目を引くだろう。しかし軽トラ?本気なんですかビアンカさん。
日本人である僕はその感性は全く受け入れられない。いや、記憶が確かなら軽トラに乗って優勝パレードをした人がいるにはいるが。本当にそれでいいのか?
とりあえず僕の手に余るのでゴドウィンに判断を委ねた。こう言う難しい問題は上の人間に丸投げに限りのだ。
「いいじゃねーか。何が問題なんだ?」
ゴドウィンはあっさり了承した。そりゃそうだゴドウィンはこちらの世界の住人であり、僕の感性と常識に合うわけがない。
何も言えずに頭を抱えていた僕にアスカさんが話しかけた。
「ヒカルの悩みは分かるぜ、確かに軽トラでパレードは気が引けるよな」
「そうですよね!アスカさん!」
「何が問題なんじゃ?」
「馬が引く野菜とか入れてる荷台みたいな感じなんだよ、軽トラって。いくら頼みだからってお貴族様をその上に乗せるのは気が引けるんだよ」
「なるほどな」
「まあ、軽トラに装飾を施せばいいんじゃねーか?今のままだとパレードって感じでもないし」
「装飾か、ちょっと待ってろ」
ゴドウィンはそう言うと奥に引っ込んだ。そして何かを持ちドカドカ戻ってきた。
「これなんかどうだ」
ゴドウィンが持って来たのはトラックの雑誌であった。そこのデコトラのページを開き僕らに見せた。
「こんなに派手ならお前らも納得だろう。軽トラに二人を乗せて、後ろはコイツで華やかにする。完璧な式典だ」
いや、納得するわけないだろ。デコトラだぞ。見た事ねえよ。しかしそれも日本人の感性なのだろう。周りには集まったドワーフが、いいじゃないか、いいじゃないかと囃し立てる。コイツらも自分は関係ないからって好き勝手言いやがる。
「まあ、いいんじゃねーの?向こうがトラックでパレードしたいって言ってんなら」
アスカさんはなんか投げやりになってる。でもデコトラを作れるかもしれないと思っているのか、何だか嬉しそうに笑っている。アスカさんもそっち側の人間ですか。
「そうと決まればメッサジェント様に予算を貰わないとな!恥をかかせないようにド派手にしてやろう」
「「おうよ!」」
「それに事がうまく進めばトラックの量産化も夢じゃないぞ!この機会を逃すなよ!」
ゴドウィンはそう言うと早速手紙の返事を書きに行った。周りのドワーフ達も盛り上がっている。
ゴドウィンの野郎、結婚式の準備を理由に人の金でデコトラを作りたかっただけじゃないか。て言うか本当にデコトラで結婚パレードをするのか?俺は不敬で殺されたりしないのか?
結局僕の悩みは解決する事なくどんどん話は進んでいった。僕が頭を抱えてているとゴドウィン立ち止まり大声で僕を呼んだ。
「そうだ!ヒカル!手紙にはお前に操縦して欲しいって書いてあったからな!忘れんじゃねーぞ!もし失敗したら投獄じゃ済まされねーぞ!ガハハ!」
「え?」
そんな話全く聞いていない。俺がパレードで運転するの?嫌だ!嫌だ!嫌だー!小心者の僕がそんな事出来るわけがない。
「そんな重大な事を僕にやらせないで下さい!」
「仕方ねーだろ!向こうの要望だ!それにでっけートラックはアスカに運転させないといけねー!残りはオメーだけだ!」
「そんなのゴドウィンが運転すればいいじゃん!」
「あー手紙を書かないとなー。忙しい、忙しい」
わざとらしい事を言いながらゴドウィンは去って行った。悪態をつきながら叫ぶ僕にアスカは慰めの言葉をかけてくれた。
「まあ、楽しもうぜ、文化祭みたいなもだろ?」
「え、えー?」
アスカさんが楽観的なのか僕が悲観的なのか。工房内は早速バタバタと忙しくなっていった。
メッサジェントからは快い返事が来た。デコトラ制作の為に予算を組んでくれるとか。それ領民から徴収した税金だろ?そんな事に使っていいのだろうか。
もちろん、手紙の返事に沸いたのは工房のドワーフ達だ。それはもうお祭り騒ぎ。人の金で作るトラックは格別なのであろう。
そしてその割を食うのは勿論僕である。資材の買い出しに東奔西走。日が上ると駆り出されて、日が沈むまで運転している。
遂には隣町で日が沈み、車中泊まで経験した。正直宿のベッドより寝心地は良く、うるさいドワーフが周りで騒いでないので熟睡できた。
そんなどこの何に使うか分からない謎の資材を毎日の様に運んでいると一つの問題が浮上した。
「うーむ、絵が描けん」
ゴドウィンはよく分からない理由で腕を組んで悩んでいる。どうやら車体に描く絵がどうしても描けない様だ。
トラック雑誌に載っていたデコトラには歌舞伎役者や虎、龍に鯉と色んな絵が描かれていた。素人ながらも見事な絵であり、これもデコトラの魅力なんだと感じた。ただこれは結婚パレードに使うデコトラなので絵もそれ用にアレンジすべきだろう。
「ドワーフって器用だから絵も描けるんじゃないんですか?」
「ワシらはこう言う芸術みたいなもんは専門外じゃ」
「知らなかった」
工房の作業では細かな部品を簡単に作っているから何でもかんでも出来ると思ってた。そう言えばドワーフの里ってあんまり絵とか芸術品って見ないなと今更ながら気付いた。
「誰か絵を描ける知り合いとかは?」
「いるにはいるがそいつは変わりもんでな。こだわりも強く、引き受けるかは分からんのじゃ」
ゴドウィンの反応を見るに何だか乗り気ではない。あれだけ好き勝手にやってるゴドウィンが悩んでいるのを見ると、かなりの変わり者なのだろう。
「聞くだけ聞いてみたらいいじゃないですか」
「それもそうじゃの。ヒカル、アスカと一緒に領都に行ってくれ。アカンサスって言うエルフがいる」
「エルフ!」
「なんじゃ?エルフがどうかしたか?」
やばい、街では何度か見かけた事があるが恐れ多く声をかけれなかった。そんなエルフとお近づきになれるのか。
「いや、ほら珍しいから?」
僕はしどろもどろ言い訳した。
「まあな、森の中に引き篭もっていて滅多に姿は見せんがの。アカンサスは変わり者で街に住んどる。街に買い出しに来るエルフがいるが、あの街にはあいつしかエルフが住んどらんから直ぐに見つかるじゃろ」
まさか、このタイミングでエルフに会えるとは僥倖。異世界らしさが見慣れてきた僕には素晴らしい刺激だ。
「ところで何でアスカさんも?」
「アカスサスは無類の女好きでの。しかもガッチリとしたタイプが好きらしい。エルフは皆細身で好みの女がいないらしく森を出たそうだ」
「え、突然の性癖暴露?」
「ドワーフの女もガッチリしてるから五年程この里に滞在してたんじゃよ。まあ、よくよく考えてみるとドワーフはタイプじゃなかったららしいがの」
「五年過ごして出した結論がそれ?大丈夫なんですか?そのエルフ」
「変わりもんじゃが腕は確かだ」
しかしこの話の流れはアスカさんが生贄になるって事では?ここは僕が変態エルフからアスカさんを守らないといけない。
ここにきてまさかの異世界要素が変態エルフとの交渉とはこれ如何に。
そうしてアスカさんと共に領都にやって来た。元領主のゲースク・ズヤーロが捕まったが街は大きな混乱もなく穏やかである。
こうしてアスカさんと街に来るのは久しぶりで初めて異世界に来た事を思い出す。何だかんだこちらの生活にも慣れるんだなと人間の適応能力に驚かされる。
ゴドウィンの適当な指示により街で変態エルフを探しに来たがすんなり居場所が分かった。街ではかなり有名で誰もが所在地を知っていた。
トロトロと軽トラを走らせてアカンサスが住んでいると思われる家の前に着いた。中心地からだいぶ外れにある一軒家でそれなりの大きなある家は所々壊れていて、手入れをしていないのが嫌でも目につく。
「すいませーん!アカンサスさんはご在宅でしょうかー?」
アスカさんが玄関前で大声を出して呼びかけると、中からドタバタズッドンと物音を立てながら誰か近付いて来るのが聞こえた。
「女の声!!」
最低な発言が家の中から響いてくる。もう帰りたい。
勢いよく玄関が開かれるとそこには褐色の肌に長い白い髪のエルフが飛び出して来た。
そして何より目を引いたのが最低限の場所を隠す薄い布に隠れる事ができない位の爆乳である。
「アカンサスさんですか?」
アスカさんの質問にエルフは答えた。
「その通り!何の御用で?素敵なお嬢さん」
爆乳を揺らしながらアカンサスはカッコをつけた。本当に来てよかった。ありがとうゴドウィン、ありがとう異世界。
嗚呼、素晴らしきかな爆乳褐色痴女エルフ。
アカンサスさんの家の中は散らかっていた。家の外観を見て大体は想像できていたが思った以上に汚い。ドワーフは大雑把だが工房はいつも綺麗に整頓されていた。埃っぽい部屋を進むうちに何だか工房が恋しくなった。
扉が開けっぱなしの奥の部屋には、描きかけの絵や作りかけの彫刻が置いてある。
アカンサスさんは乱雑にテーブルの上に置かれた本やらコップやらをガチャガチャはじに寄せてスペースを作り、形も高さもまちまちな椅子を僕達に用意してくれた。
そこに座ってこれまた形の違うマグカップを二つ持って来て紅茶を入れてくれた。正直飲みたくない。傷んでる気がするからだ。
アカンサスさんは僕達と向かい合う形でテーブルを挟みどっしりと椅子に座った。
「改めて私に名前はアカンサス、よろしくね、お嬢ちゃん、お坊ちゃん」
「初めましてアスカと言います」
「えっと、ヒカルです。よろしくお願いします」
「ゴドウィンの紹介だって?二十年前にあったばっかりだけど何かあったの?」
出た!エルフ特有の時間感覚のズレだ!やっぱりそう言うもんなのか。
「ゴドウィンがアカンサスさんに絵を描いて貰いたいと。今日はその話し合いに参りました」
アスカさんは丁寧な言葉で話している。流石社会人、ちゃんと常識を弁えている。
「そんな風に喋らなくていいよ?もっと楽な喋り方をしてよ」
「分かった、じゃあそれで」
「うん、そっちの方が君らしくて素敵だよ」
何だこれ。アカンサスはナンパしてるのだろうか。
「それで絵は描いて貰えんの?」
「いいよ。女の子の頼みは断らない事にしてるんだ。それに最近ゴドウィンは面白い物を作っているって噂でしょ?ちょっと気になってたんだよね」
「じゃあ早速行こう、外で待ってるから」
「せっかちなお嬢さんだ。でもいいよ」
アカンサスは部屋の奥に引っ込み出掛ける準備を始めた。僕らは外で待つ事にして早々に埃っぽい家から出た。外の空気は美味しく、僕は大きく深呼吸をした。
外で待つ時間はほんの少しであった。エルフの時間感覚でもっと遅れて来ると思ったがすんなり家から出て来た。
アカンサスの格好は先程はギリギリ大事な所が隠れる程度の布から、まあまあ大事な所が隠れる程度の布になっていた。正直どっちもエロい。ここまで来るとあんまり変わらない。
つまりさっきは家用のエロい格好で、今は外用のエロい格好なのだ。外出する時に横着しないどエロいエルフである。
流石のアスカさんも苦言を呈した。
「その格好で行くのか?見えそうだぞ?」
「これはエルフの伝統衣装だから」
マジか、絶対エルフの森に行こう。
アカンサスさんは玄関先に停めてある軽トラを物珍しいそうに眺めている。
「これが最近街で噂になってる奴か!見た事のない構造をしてるなぁ!うーん面白い!」
アスカさんはさっさと運転席に乗り込んだ。
「ヒカルは荷台に乗ってくれ」
「まあ、そうですよね」
僕が荷台に上がると何故かアカンサスさんも乗って来た。
「え、いや、アカンサスさんは前に椅子があるのでそっちどうぞ」
「いやいや、ここは特等席だろ?私はこっちに乗る」
「オッケー、じゃあ出発するから」
アスカさんは何の反論をする事なく軽トラを動かした。
アカンサスさんは荷台に立ってテンションを上げながら感想を勝手に喋ってる。
「凄いねこれ!どうやって動いてるんだろ!あっ!アメリちゃん、こんにちは!今日も素敵だね」
僕は座って乗っているためアカンサスの大変魅力的な太ももが目の前にあった。そしてお尻の中も見えそうである。しかしアスカさんが運転しておりバックミラーもある。ここで不審な行動を起こせば僕の信頼は最も簡単に崩壊するだろう。
耐えろ!耐えるんだ!こんな痴女の誘惑に負けるな!
「おっと!」
軽トラが段差で揺れて体勢を崩したアカンサスさんは僕の体にまたがる様に立ち、股間を僕の顔面に押し付けた。
「ふが!」
柔らかい!太もものサンドイッチ!ご馳走様!
「ごめんよ!怪我はないかい?」
「いえ、ありません」
「ちょっと調子に乗りすぎたね」
アカンサスさんは照れ臭そうに笑いながら謝った。やめてくれ!そんな可愛らしい態度を取らないでくれ!僕の純情を弄ばないでくれ!
そうしてドワーフの里に着くまでの間、何度も太ももや股間、おっぱいまでアクシデントにより僕は触る事が出来た。
どれも柔らかく素晴らしい感触でした。そしてどれも何だか臭かった。あの汚い家と同じ匂いがした。
そして軽トラが大きく揺れた事により偶発的に隠れていた乳首が見えた気がした。多分あれは乳首だ。絶対乳首の筈だ。乳首に決まっている。お願いします。
「久しぶりだね、ゴドウィン」
「ああ、アカンサス。よく来てくれた」
「君の頼みだからね」
「アンタは昔から何も変わらないな」
「そう言う君は立派になったね。夜一人でXXXを慰めてた坊主が今や工房の親方だよ」
最低な再会の挨拶だ。アカンサスさんは僕達にはセクハラ紛いなことを言ってこなかったので、ドワーフ流のコミニュケーションをとっているのだろう。それでも最低だ。
「これが今作っているデコトラってやつだね」
アカンサスさんは絶賛製作中のデコトラを物珍しそうに隅々まで見ている。
「いいね!今まで見た事ない機構に装飾、新たな風を感じるよ!」
アカンサスさんは気に入った様で来る途中に説明した荷台の絵も描いてくれそうだ。
「それで?どんな絵を描けばいいんだい?」
「結婚パレードに使うからそれに関連するものがええな、題材はアカンサスに任せる」
「うーん、ねえアスカ。ここって本来はどんなものを描いてるの?」
「ん?ああ、ちょっと待てろ雑誌持って来る」
アスカさんは少し席を外して雑誌を持って来た。そしてデコトラ特集のページを開きアカンサスに見せた。
「こんな感じ」
それを見たアカンサスさんはピタリと止まった。ジッと雑誌を見つめて髪の毛一本も動かない。
「これは……」
「?」
「キタキタキタキタ!降って来た!インスピレーションが!創作意欲が!情熱が!今まで見た事のない画風に表現!これは面白くなってきた!」
何か色々と来たらしい。ゴドウィンは呆れている。もしかしてゴドウィンが会いたくなかったのはこのハイテンションエルフが嫌だったらのかもしれない。
「そうと決まれば描くぞ!描くぞ!うおー!誰も私の邪魔はさせない!」
誰も邪魔はしていないのに勝手に叫んでいる。アスカさんもドン引きしている。もちろん僕もだ。
その日からアカンサスさんは工房で寝泊まりを始めた。デコトラの荷台の側で寝て、起きたら叫びながら絵を描く異常行動を毎日繰り返した。
アカンサスさんが暮らし荷台が置いてあるエリアは大きな布で仕切りができて中が見えない様配慮がなされた。アカンサスさんは集中すると乳が見えようが関係なしに作業を続ける為慌てて仕切りができたのだ。
僕は買い出しに行ってたので乳が出ていたところは見ていない。しかしそれが羨ましいかと言えばそうでもなく、工房にいるドワーフ達は何だか少し元気がない。あのうるさい工房の中で更にうるさく作業をしているアカンサスさんに困っていたのだ。
お腹が減ると工房にある食材を食い散らかし。雨が降ると突然外に出て全身で雨を浴びて、びしょ濡れの状態で工房に戻ってくる。日中から酒を飲むと叫んでそこら辺のドワーフに絡み、飽きると寝て起きたと思ったら作業にお取り掛かる。
朝も昼も夜もお構いなしに暴れているアカンサスさんにドワーフは疲れきっていた。
最近では仕切りの前に食材を入れた箱を置いている。完全に暴れ神を鎮まるためのお供物だ。
ドワーフは外でできる作業はなるべく外でやって近付かない様にしている。今までそんな事無かったのに一緒に買い出しに行くドワーフも出てきた。
そんな珍しくドワーフが焦燥する日々が続いてある日、アカンサスさんが仕切りの向こうから飛び出して来た。
「理想の色が出ない!」
ドワーフ達はまた何か騒いでいると足早に去っていく。となると残るのは僕だけである。
「えっと、それはどうしたらいいんですか?買って来ますか?」
「いや、市販の物ではダメだ!鮮やかさを出すためにロックゴーレムの核が必要だ!ハンターギルドに頼んで持ってこさせよう!」
アカンサスさんはドシドシとゴドウィンの下へ向かった。しかし遠くから聞こえて来たのはゴドウィンの怒鳴り声であった。
「そんな金残っとらん!あるもんで我慢せい!」
「ならお貴族様にもっとせびりな!」
「出来るわけないだろ!」
度々無理難題を言うアカンサスさんにゴドウィンはなんとか付き合っていたが今日は要望を突っぱねている。
不毛な言い争いを大声で繰り広げる二人を心配する様にドワーフ達が集まって来た。
「今度はなんだ?」「ロックゴーレムの核が欲しいんだとよ」「そりゃ家が買えるぜ」
アスカさんも騒ぎを聞きつけやって来た。
「どうした?ヒカル?」
「なんかロックゴーレムの核が欲しいとか、凄い値段らしいです」
「何だそれ?」
「さあ?でも魔物らしいですよ?」
二人で話していると一人のドワーフが話しかけてきた。
「ロックゴーレムは岩の体の魔物でな、その中心に宝石の様に綺麗な核があるんじゃよ。剣も通らんし滅多に市場に出回らん貴重なもんじゃ」
「へー、うちのピッチングマシーンで爆破できないのか?」
「あーやばい威力の球を作ってましたよね」
アスカさんと僕がポロッと喋ると怒鳴り声が止み、アカンサスさんがバタバタと走って来た。
「その話詳しく聞かせて!」
僕の目の前で止まり、顔をめり込ませる程近くでアカンサスさんは喋っている。
あーやってしまった。直感でそれが分かった。しかし答えなければならない。
「えっと、爆弾があるんですよ。それでその魔物を倒せないかなーって。ただの素人の妄想ですよー」
「君!倒せると思うかい!」
アカンサスさんは周りで見ていたドワーフを睨みつけた。
「え、まあ、危険だが倒せるとは思うぞ」
テメー止めろ!倒せないと言え!絶対まずい事になる!早く否定しろ!
「ロックゴーレムの住処は分かっている。お前ら!魔物狩りだ!この中で魔物を狩った事がある奴は名乗りでろ!」
あ!挙手制か、よかった。なら僕は大人しく黙ってよう。僕は草、そこら辺に生えている何も語らない雑草だよ。
「この前ヒカルがサラマンダーを倒したぞ」「そうだ!そうだ!ヒカルがピッチングマシーン使うの上手いぞ!」「ヒカルがお勧めだ!」
テメーら殺す。爆殺してやる。
「なるほど勇敢なのだなヒカルは。よしそのピッチングマシーンとらを準備して討伐に行くぞ!」
アカンサスさんは僕の首を捕まえて逃がさないようにしている。ドワーフ達はせっせと軽トラの荷台にピッチングマシーンを積みこんでいる。少しは抵抗しろよ。
僕がドワーフ達を睨みつけるとウインクして舌を出して「すまんな」と小声で謝ってきた。
うるせー可愛いくねーんだよ。
僕がどうする事も出来ずドワーフ共に軽トラの荷台に放り投げられるとアスカさんが運転席に座った。
「私も協力するよ。誰かが運転しないといけねーだろ」
イケメンだった。ドワーフの誰よりもイケメンだった。
アカンサスさんも荷台に乗り込み全ての準備が終わった。終わってしまった。
軽トラは軽快に走り出した。荷台からアカンサスさんが行く先の指示を出している。
工房の外ではドワーフ達が見送りに来ている。
「頑張れよ!」「すまんな!」「達者でな!」「いよっ!男前!」「両手に花!」
まじでここから爆弾をぶち込んでやろうかと思った。後さっきからアカンサスさんの胸が当たっているが何も感じない。興奮しない。これが怒りか。凄いな人間。戦争が無くならない訳だ。
軽トラは荒野の道なき道をかっ飛ばしていた。荷台には僕とアカンサスさん、ピッチングマシーンに爆弾が入った箱、そしてツルハシを載せている。
アカンサスさんの指示の下、軽トラを走らせているが本当にこっちであっているのだろうか。街道を外れて随分経つが見えるのは大小様々な岩だけである。この景色を見ているとサラマンダーに追われた日を思い出す。
アカンサスは荷台で立ちながら遠くを見ている。ロックゴーレムを探しているのだろう。
「あの大きな岩を目指してくれ」
アカンサスさんの指示にアスカさんは従い運転していく。
僕も岩を見たが全く周りの岩との違いが分からない。何かエルフ特有の見分け方でもあるのか。
岩を目指しているうちに道に出た。先程まで荒れていた地面が少し平らになり走りやすい。なるほど、あの岩に人がいるのか。あれは家か何かのだろう。
岩に向かって走っているとアカンサスさんが止まるように指示を出した。まだ岩には到着していないがどうしたのだろう。
「よし、爆弾をあの岩に向けて放ってくれ」
「え?あの岩ですか?」
「そうだ、あれがロックゴーレムだ」
だいぶ近付いたが周りの岩との差が全く分からない。
「あの、何処が違うんですか?」
「下に何か引きずった様な跡があるだろ?これはロックゴーレムが移動した跡だ」
僕が岩に続く道と勘違いしていたのはその跡らしい。
「私だって見分けなんかつかない。だからロックゴーレムの痕跡を探してたんだ」
アカンサスさんはヤバめのエルフかと思っていたがしっかりとやる事はやるエルフであった。
「それで爆弾を撃った後はどうするんですか?」
「さあ?それで死ななかったら何度も爆発させるんじゃないのか?私ロックゴーレムを倒すなんて初めてだし」
やっぱりヤバめのエルフかもしれない。何一つ計画が無い。
「ほら、さっさとやれ!ぐずぐずしてると陽が落ちるぞ」
僕は恐る恐るピッチングマシーンを大きな岩に向けた。そしてロックゴーレムじゃないことを祈った。
爆弾が放たれ岩に直撃した。大きな爆発と共に岩が動き出す。
「大当たりだ!凄いぞヒカル!そしてやっぱりロックゴーレムのようだ」
大当たりなのはアカンサスさんだけです。まさか本当にロックゴーレムだなんて。
岩はズズズと引きずる様な大きな音を立てて起き上がった。デカい、それもかなり。
岩の手足が生えた大きな岩は僕らの方を見た。いや、目がある訳じゃ無いから見た気がしたと言うのが正確だろう。しかし明らかにこちらを見ている様な気がした。
ロックゴーレムは両手を地面に叩きつけた。凄まじい音と地鳴り、そして地面の揺れが僕達を襲った。
「ひぃ!アスカさん!出して!」
僕は呆気に取られているアスカさんに大声で指示を出した。アスカさんは直ぐに軽トラを動かした。とりあえずロックゴーレムから距離をとってくれた。
「爆弾、効いてないですよ!」
「うーん、とりあえず撃ちまくろう」
アカンサスさんは緊張感に欠ける物言いだ。そんなアカンサスさんとは裏腹にロックゴーレムは怒ったようにこちらを追いかけてくる。それも凄い足音を立てて。
「いやぁぁぁぁ!!」
「叫ぶな!男だろ!」
「無理ですって!」
あのロックゴーレムはかなり速い。あの大きな体格だから一歩一歩が大きいらしい。
「おい!これからどうすんだ?このまま逃げるのか?」
「爆弾が当たる位の丁度いい距離で走って!」
「無茶言うなよ!」
それでもアスカさんは運転してくれる。僕はとりあえずピッチングマシーンに球を込めて撃っていく。爆弾はロックゴーレムに届かずコロコロと地面を転がる。何発撃ってもロックゴーレムの動きは一向に変わらない。
ロックゴーレムは追いつけないと分かったのか動きを止めた。何だ?諦めたのか?そんな甘い考えが僕の頭をよぎった。だけどそんな訳がない。
ロックゴーレムは近くの岩を掴むとこちらに放り投げてきた。
「アスカさん!避けて!」
「だあぁぁぁぁ!!捕まってろ!!」
アスカさんはハンドルを切り思い切り軽トラの進行方向を曲げた。僕はなんとか軽トラに捕まりながら放り出されない様に踏ん張った。流石のアカンサスさんも必死に軽トラにしがみついている。
軽トラの後ろでは先程まで僕達がいた場所に岩が降ってきた。僕の血の気が一気に引いた。
「マジでどうすんだよ!これマジで死ぬぞ!」
「ロックゴーレムの周りを回る様に移動して!それでヒカルは爆弾は打ちまくって!危ない攻撃は私が警告するから!」
はぁ、見事な役割分担だ。これで成功すれば文句なしだ。
アスカさんはアカンサスさんの指示のに従い軽トラを走らせた。ロックゴーレムの周りを回る様に運転するのは楽じゃない。そもそも舗装されていない岩だらけの荒野を走っているのだ。右へ左へと蛇行しながら回っていく。
僕は回転してることにより更に爆弾が当てにくくなった。狙いが定まらない。とにかくこっちも動くしあっちも動く。そんな一進一退もしない不毛の戦闘にアカンサスさんはヤジを飛ばす。
「もっと右だ!違う!上!上!」
「それは避けろって事か!」
「違う!ヒカルに言ってる!ああ!上!」
「上ですか!」
「違う!アスカに言ってる!」
岩が上から降ってきた。
「うお!あぶね!分かりやすく指示しろよ!」
「右と左!」
「だからどっちだよ!」
「どっちも!」
「だああぁぁ!!振り落とされるなよ!」
もう、指示も何もかもぐちゃぐちゃだ。意味もなく体力と爆弾と燃料だけが無くなっていく。
「これ死ぬのも時間の問題だぞ!」
「本当ですよ!どうするんですか!」
「ちょっと待ってて!考えるから」
「早くしろよ!」
「分かった!足元を爆破させよう!」
「それはどうやるんだ?」
「アスカがロックゴーレムの足元ギリギリに近付いて、私が爆弾を撒くから!そしてたら全力で逃げて!」
「分かった!」
「嘘でしょ!」
軽トラは方向転換してロックゴーレムに向かって走り出した。もちろんロックゴーレムもただ見ている訳がない。腕を振り上げて僕達を叩き潰そうとする。
軽トラの動きは軽快だった。今までアカンサスさんの指示で動いていたアスカさんだが今は自分で目視できる。
巧みなハンドル捌きでロックゴーレムの攻撃を躱していく。僕はただ顔を伏せて祈るしか出来なかった。
「これがギリギリだ!」
「よくやった!充分だ!」
ロックゴーレムの足元ギリギリを通り抜ける軽トラからアカンサスさんは箱ごと爆弾を放り出した。そしてアスカさんに向かって叫んだ。
「全開!」
「おう!」
軽トラは更に加速してロックゴーレムから離れて行く。軽トラからぶちまけた爆弾はまだ爆発しない。
その時ロックゴーレムがこちらに向くため足踏みし大量の爆弾を踏みつけた。
「伏せな!」
アカンサスさんがそう言うと僕の頭を手で押さえて屈ませた。
軽トラの後ろからとてつもない爆発音と衝撃が僕を襲った。何より熱風が僕の背中を掠めていく。
「あっつ!あっつ!」
僕は軽トラから放り出されない様必死で掴まっている。軽トラは爆発の衝撃により後輪が少し宙に浮いている。そんな軽トラをアスカさんは必死で操作している。
後輪がズシンと大きな音を立てて地面に着地すると僕の体は一瞬宙に浮いた。そして思い切りスネをぶつけた。痛い、痛い、激痛だ。
大爆発に巻き込まれたロックゴーレムの姿は多量の爆煙に阻まれて確認出来ない。お願いだこのまま死んでくれ。
軽トラはそれなりに離れたところで停まって様子を見ている。すると煙の中からロックゴーレムが這うように現れた。明らかにこちらに向かって来てる。
「生きてる!」
もう嫌、何でそんなに元気なの。
「ヒカル!撃ちまくれ!」
「はい!」
アカンサスさんの指示に従い、ありったけの爆弾をピッチングマシーンで発射した。足を失ったロックゴーレムの動きは鈍く、爆弾は簡単に当てる事が出来た。
何発撃っただろう。当たる度にロックゴーレムの動きは鈍くなり、そして遂にロックゴーレムは動かなくなった。遠目に見てもわかるぐらいその体に大きなヒビが入っている。
軽トラはバックでロックゴーレムに近付いた。それでもロックゴーレムは動かない。
「よし、核を採掘するぞ」
僕もアカンサスさんはツルハシを持って軽トラから降りた。アスカさんは念の為運転席で待機してもらった。
僕達はロックゴーレムの目の前に来たが動かない。それにしても暑い。爆発の熱が残っている。
アカンサスさんがロックゴーレムの上に乗ると岩の塊が動き出した。
「動いてる!」
「しつこいぞ!」
そう文句を言うとアカンサスさんは持っているツルハシをロックゴーレムの体にガツガツぶつけ始めた。ヒビに的確に何度もツルハシを打ちつけている。
「早く核を寄越せ!そして私の作品になるんだ!後世まで語り継がれるのだ!何も文句はないだろ!ほらさっさと死ね!早く死ね!今すぐ死ね!」
岩に向かって叫びながらツルハシを打ちつける様は狂人である。ツルハシを振るたびに乳が揺れるが何にもエロくない。ただ怖かった。
そうして暴力的な採掘をしていると遂にロックゴーレムは動かなくなった。
ヒビの隙間から赤い光が見えた。
「やっと見つけた!」
アカンサスさんが赤い光の周りをガツガツ掘ると中から赤い宝石の様な塊が出てきた。それは綺麗であまりにも魅力的であった。
「素晴らしい!これで完成する!」
アカンサスさんは興奮のあまり僕を抱きしめた。乳圧が僕を襲う。幸せなのか、これは。
その後二人で核を取り出して軽トラに運び込んだ。二人掛かりでも重く、途中からアスカさんも参加した。そうしてやっとの事で核を荷台に載せると緊張が切れて一気に疲れが溢れてきた。
「お疲れ!アスカもヒカルもよくやってくれた。この核はかなり大きいぞ」
「そうですか、よかったです」
「それはいいんだがこれからどうやって帰るんだ?」
え?アスカさんの発言に反応して僕は周りを見渡した。
「岩だらけでどっちから来たが私分かんないんだけど、どうすんだこれ?」
確かにどっちも向いても岩しかない。それにロックゴーレムと戦うためにぐるぐる回っていたから元来た方角が全く分からなくなってしまった。
僕は気が遠くなる感覚を覚えた。まさかこんなに頑張ったのにここで野垂れ死ぬのか?そんなのあんまりだ。
「どっちって、向こうだろ?」
アカンサスさんは迷わずある方向を指差した。
「あっちでいいのか?」
「そりゃ太陽の位置とか風の流れがそうじゃないか」
さも当然の様にアカンサスさんは言った。意外にもしっかりとしたエルフであった。
そして本当に合ってた。指差した方向に進むと街道に出た。そこからは何も覚えていない。安心した為僕はぐっすり寝てしまった。
叫び声に驚き僕は目を覚ました。目を覚ますと工房におり、軽トラの荷台でそのまま寝かされていた。辺りはすっかり暗くなっている。ご丁寧に枕と布団まで用意してくれていた。
叫び声の主はアカンサスさんであった。仕切りの向こうからずっと叫んでいる。
「これだ!これだ!これだ!この色だ!凄いぞ!凄いぞ!とんでもないぞ!」
何でそんなに元気なのだろう。僕は気付かれないように軽トラから降りて帰ろうとした。
ほんの僅かな音であった。軽トラから降り時に着地音がした。それだけであった。
仕切りの向こうからアカンサスさんが飛び出して来た。
「ヒカル!起きたか!ありがとう!素晴らしい発色だ!」
「いえ、満足そうでよかったです」
「満足なんてものじゃない!本当に素晴らしい働きをしてくれた。何を隠そうロックゴーレムの核と言うのは……」
アカンサスさんはテンションそのままに語り始めた。疲れと眠気で意識朦朧としながら僕は何とか立っている。寝かせてくれ。お願いだから。
そんな願いも虚しく、アカンサスさんの興奮は冷めず、日が上るまで話し続けた。
アカンサスさんの創作活動は締め切りギリギリまで続いた。明日にはビアンカさんとメッサジェントがデコトラの視察に来る。それまでに完成しておかないといけない。
アカンサスさんは最後の仕上げに取り掛かっている、と思う。その筈だがテンションは初日も今も全く一緒で、本当に進んでいるのか分からない。
ただ「もうすぐだ!」「これで最後だ!」「完璧だ!」「すごい!すごい!すごい!」とか叫んでいるので多分そろそろ完成するんじゃないかと思っている。
ゴドウィンも心配そうにソワソワしている。こんなゴドウィンを見るのは初めてだ。
「やり切った!」
アカンサスさんが布の仕切りから飛び出して来た。
「おや?皆さんお揃いで。そんなに完成が楽しみだったかい?」
「そうじゃな、早く完成してくれと思っとったわ」
「我慢が出来ない坊やだ。早漏は誰も満足させる事が出来ないよ?」
「いいから早く見せい!」
ゴドウィンに怒られるとアカンサスさんは仕切りの布を勢いよくとった。
そこには本当にそれはそれは見事な龍が描かれていた。
え?龍?結婚式の絵を頼まれていたよね?何で龍?それもドラゴンじゃない、あの中国の龍だ。なんて言えばいいんだろう、アジアンドラゴン?オリエンタルドラゴン?何にしてもあの龍である。
デコトラには相応しく迫力あり見るもの全てを惹きつけるだろう。まさかここまで完成度の高いデコトラを異世界で見れるとは思っても見なかった。
自信満々なアカンサスさんと違い、ゴドウィンはヘナヘナとその場に座り込んだ。この事はゴドウィンも知らなかったらしい。
いくらデコトラで結婚パレードを彩ろうと考えた常識はずれなゴドウィンでさえ、荷台の絵に関してはパレードに相応しいものに変えようと思っていたらしい。
「なあ、アカンサス、その絵はなんじゃ?」
「アスカに教えてもらった伝説の魔物、龍だ!凄いカッコいいだろ!それに反対側を見てみろ!」
デコトラの反対側に回るとそこに鯉が描かれていた。ゴドウィンは気を失いそうになり支えてもらっている。
「立派な鯉だろ?縁起物らしい。こんな絵を描いたのは初めてだ!素晴らしい経験をさせてもらった!」
本当に立派な鯉だ。荒れる川を泳ぐ逞しくも美しい鯉だ。本当によく描けている。だが何故こんなになるまで放っておいたのか。誰か指摘するものはいなかったのか。
全ての元凶はあの仕切りだ。好き勝手に騒ぎ全裸で徘徊するアカンサスさんの為に用意した仕切りがいけなかったのだ。そして誰も中を確認せず腫れ物を扱う様に避けていた。責任があるとすれば工房のみんなだろう。そしてその代表はゴドウィンである。
ゴドウィンにはビアンカさんとメッサジェントに頭を下げて説明してもらおう。
「すげーな、本当にこれ結婚式に使うのか?貴族の奴ら怒らないのか?」
アスカさんも心配そうにしている。
「本当ですよね、ゴドウィンさんも大変だ」
「いや、これ頼まれたのヒカルもだろ?大丈夫か?」
あ、そうだった。あの手紙は僕と工房宛てであった。その事に気付いた僕は膝から崩れ落ちた。予算も貰い使い切った手前ごめんなさいじゃ済まされない。
僕は薄れゆく意識の中で見えたのは満足そうにはしゃいでいるアカンサスさんの姿であった。
ホウレンソウは職場の常識、それを身をもって分かる出来事であった。
僕はこちらの世界の文字は読めないのが手紙を渡してくれた使用人っぽい人が差出人を伝えてくれた。先日助けたビアンカさんとメッサジェントだ。
僕宛でもあるが工房の名前も入っているのでゴドウィンに渡して読んでもらった。内容は驚愕のものであった。
結婚のパレードをするから軽トラを運転して欲しい、そう書いてあった。ビアンカさんが思い付いたらしい。
確かに荷台に立てば新郎新婦は目立つし、今まで見たことのない軽トラでのパレードは目を引くだろう。しかし軽トラ?本気なんですかビアンカさん。
日本人である僕はその感性は全く受け入れられない。いや、記憶が確かなら軽トラに乗って優勝パレードをした人がいるにはいるが。本当にそれでいいのか?
とりあえず僕の手に余るのでゴドウィンに判断を委ねた。こう言う難しい問題は上の人間に丸投げに限りのだ。
「いいじゃねーか。何が問題なんだ?」
ゴドウィンはあっさり了承した。そりゃそうだゴドウィンはこちらの世界の住人であり、僕の感性と常識に合うわけがない。
何も言えずに頭を抱えていた僕にアスカさんが話しかけた。
「ヒカルの悩みは分かるぜ、確かに軽トラでパレードは気が引けるよな」
「そうですよね!アスカさん!」
「何が問題なんじゃ?」
「馬が引く野菜とか入れてる荷台みたいな感じなんだよ、軽トラって。いくら頼みだからってお貴族様をその上に乗せるのは気が引けるんだよ」
「なるほどな」
「まあ、軽トラに装飾を施せばいいんじゃねーか?今のままだとパレードって感じでもないし」
「装飾か、ちょっと待ってろ」
ゴドウィンはそう言うと奥に引っ込んだ。そして何かを持ちドカドカ戻ってきた。
「これなんかどうだ」
ゴドウィンが持って来たのはトラックの雑誌であった。そこのデコトラのページを開き僕らに見せた。
「こんなに派手ならお前らも納得だろう。軽トラに二人を乗せて、後ろはコイツで華やかにする。完璧な式典だ」
いや、納得するわけないだろ。デコトラだぞ。見た事ねえよ。しかしそれも日本人の感性なのだろう。周りには集まったドワーフが、いいじゃないか、いいじゃないかと囃し立てる。コイツらも自分は関係ないからって好き勝手言いやがる。
「まあ、いいんじゃねーの?向こうがトラックでパレードしたいって言ってんなら」
アスカさんはなんか投げやりになってる。でもデコトラを作れるかもしれないと思っているのか、何だか嬉しそうに笑っている。アスカさんもそっち側の人間ですか。
「そうと決まればメッサジェント様に予算を貰わないとな!恥をかかせないようにド派手にしてやろう」
「「おうよ!」」
「それに事がうまく進めばトラックの量産化も夢じゃないぞ!この機会を逃すなよ!」
ゴドウィンはそう言うと早速手紙の返事を書きに行った。周りのドワーフ達も盛り上がっている。
ゴドウィンの野郎、結婚式の準備を理由に人の金でデコトラを作りたかっただけじゃないか。て言うか本当にデコトラで結婚パレードをするのか?俺は不敬で殺されたりしないのか?
結局僕の悩みは解決する事なくどんどん話は進んでいった。僕が頭を抱えてているとゴドウィン立ち止まり大声で僕を呼んだ。
「そうだ!ヒカル!手紙にはお前に操縦して欲しいって書いてあったからな!忘れんじゃねーぞ!もし失敗したら投獄じゃ済まされねーぞ!ガハハ!」
「え?」
そんな話全く聞いていない。俺がパレードで運転するの?嫌だ!嫌だ!嫌だー!小心者の僕がそんな事出来るわけがない。
「そんな重大な事を僕にやらせないで下さい!」
「仕方ねーだろ!向こうの要望だ!それにでっけートラックはアスカに運転させないといけねー!残りはオメーだけだ!」
「そんなのゴドウィンが運転すればいいじゃん!」
「あー手紙を書かないとなー。忙しい、忙しい」
わざとらしい事を言いながらゴドウィンは去って行った。悪態をつきながら叫ぶ僕にアスカは慰めの言葉をかけてくれた。
「まあ、楽しもうぜ、文化祭みたいなもだろ?」
「え、えー?」
アスカさんが楽観的なのか僕が悲観的なのか。工房内は早速バタバタと忙しくなっていった。
メッサジェントからは快い返事が来た。デコトラ制作の為に予算を組んでくれるとか。それ領民から徴収した税金だろ?そんな事に使っていいのだろうか。
もちろん、手紙の返事に沸いたのは工房のドワーフ達だ。それはもうお祭り騒ぎ。人の金で作るトラックは格別なのであろう。
そしてその割を食うのは勿論僕である。資材の買い出しに東奔西走。日が上ると駆り出されて、日が沈むまで運転している。
遂には隣町で日が沈み、車中泊まで経験した。正直宿のベッドより寝心地は良く、うるさいドワーフが周りで騒いでないので熟睡できた。
そんなどこの何に使うか分からない謎の資材を毎日の様に運んでいると一つの問題が浮上した。
「うーむ、絵が描けん」
ゴドウィンはよく分からない理由で腕を組んで悩んでいる。どうやら車体に描く絵がどうしても描けない様だ。
トラック雑誌に載っていたデコトラには歌舞伎役者や虎、龍に鯉と色んな絵が描かれていた。素人ながらも見事な絵であり、これもデコトラの魅力なんだと感じた。ただこれは結婚パレードに使うデコトラなので絵もそれ用にアレンジすべきだろう。
「ドワーフって器用だから絵も描けるんじゃないんですか?」
「ワシらはこう言う芸術みたいなもんは専門外じゃ」
「知らなかった」
工房の作業では細かな部品を簡単に作っているから何でもかんでも出来ると思ってた。そう言えばドワーフの里ってあんまり絵とか芸術品って見ないなと今更ながら気付いた。
「誰か絵を描ける知り合いとかは?」
「いるにはいるがそいつは変わりもんでな。こだわりも強く、引き受けるかは分からんのじゃ」
ゴドウィンの反応を見るに何だか乗り気ではない。あれだけ好き勝手にやってるゴドウィンが悩んでいるのを見ると、かなりの変わり者なのだろう。
「聞くだけ聞いてみたらいいじゃないですか」
「それもそうじゃの。ヒカル、アスカと一緒に領都に行ってくれ。アカンサスって言うエルフがいる」
「エルフ!」
「なんじゃ?エルフがどうかしたか?」
やばい、街では何度か見かけた事があるが恐れ多く声をかけれなかった。そんなエルフとお近づきになれるのか。
「いや、ほら珍しいから?」
僕はしどろもどろ言い訳した。
「まあな、森の中に引き篭もっていて滅多に姿は見せんがの。アカンサスは変わり者で街に住んどる。街に買い出しに来るエルフがいるが、あの街にはあいつしかエルフが住んどらんから直ぐに見つかるじゃろ」
まさか、このタイミングでエルフに会えるとは僥倖。異世界らしさが見慣れてきた僕には素晴らしい刺激だ。
「ところで何でアスカさんも?」
「アカスサスは無類の女好きでの。しかもガッチリとしたタイプが好きらしい。エルフは皆細身で好みの女がいないらしく森を出たそうだ」
「え、突然の性癖暴露?」
「ドワーフの女もガッチリしてるから五年程この里に滞在してたんじゃよ。まあ、よくよく考えてみるとドワーフはタイプじゃなかったららしいがの」
「五年過ごして出した結論がそれ?大丈夫なんですか?そのエルフ」
「変わりもんじゃが腕は確かだ」
しかしこの話の流れはアスカさんが生贄になるって事では?ここは僕が変態エルフからアスカさんを守らないといけない。
ここにきてまさかの異世界要素が変態エルフとの交渉とはこれ如何に。
そうしてアスカさんと共に領都にやって来た。元領主のゲースク・ズヤーロが捕まったが街は大きな混乱もなく穏やかである。
こうしてアスカさんと街に来るのは久しぶりで初めて異世界に来た事を思い出す。何だかんだこちらの生活にも慣れるんだなと人間の適応能力に驚かされる。
ゴドウィンの適当な指示により街で変態エルフを探しに来たがすんなり居場所が分かった。街ではかなり有名で誰もが所在地を知っていた。
トロトロと軽トラを走らせてアカンサスが住んでいると思われる家の前に着いた。中心地からだいぶ外れにある一軒家でそれなりの大きなある家は所々壊れていて、手入れをしていないのが嫌でも目につく。
「すいませーん!アカンサスさんはご在宅でしょうかー?」
アスカさんが玄関前で大声を出して呼びかけると、中からドタバタズッドンと物音を立てながら誰か近付いて来るのが聞こえた。
「女の声!!」
最低な発言が家の中から響いてくる。もう帰りたい。
勢いよく玄関が開かれるとそこには褐色の肌に長い白い髪のエルフが飛び出して来た。
そして何より目を引いたのが最低限の場所を隠す薄い布に隠れる事ができない位の爆乳である。
「アカンサスさんですか?」
アスカさんの質問にエルフは答えた。
「その通り!何の御用で?素敵なお嬢さん」
爆乳を揺らしながらアカンサスはカッコをつけた。本当に来てよかった。ありがとうゴドウィン、ありがとう異世界。
嗚呼、素晴らしきかな爆乳褐色痴女エルフ。
アカンサスさんの家の中は散らかっていた。家の外観を見て大体は想像できていたが思った以上に汚い。ドワーフは大雑把だが工房はいつも綺麗に整頓されていた。埃っぽい部屋を進むうちに何だか工房が恋しくなった。
扉が開けっぱなしの奥の部屋には、描きかけの絵や作りかけの彫刻が置いてある。
アカンサスさんは乱雑にテーブルの上に置かれた本やらコップやらをガチャガチャはじに寄せてスペースを作り、形も高さもまちまちな椅子を僕達に用意してくれた。
そこに座ってこれまた形の違うマグカップを二つ持って来て紅茶を入れてくれた。正直飲みたくない。傷んでる気がするからだ。
アカンサスさんは僕達と向かい合う形でテーブルを挟みどっしりと椅子に座った。
「改めて私に名前はアカンサス、よろしくね、お嬢ちゃん、お坊ちゃん」
「初めましてアスカと言います」
「えっと、ヒカルです。よろしくお願いします」
「ゴドウィンの紹介だって?二十年前にあったばっかりだけど何かあったの?」
出た!エルフ特有の時間感覚のズレだ!やっぱりそう言うもんなのか。
「ゴドウィンがアカンサスさんに絵を描いて貰いたいと。今日はその話し合いに参りました」
アスカさんは丁寧な言葉で話している。流石社会人、ちゃんと常識を弁えている。
「そんな風に喋らなくていいよ?もっと楽な喋り方をしてよ」
「分かった、じゃあそれで」
「うん、そっちの方が君らしくて素敵だよ」
何だこれ。アカンサスはナンパしてるのだろうか。
「それで絵は描いて貰えんの?」
「いいよ。女の子の頼みは断らない事にしてるんだ。それに最近ゴドウィンは面白い物を作っているって噂でしょ?ちょっと気になってたんだよね」
「じゃあ早速行こう、外で待ってるから」
「せっかちなお嬢さんだ。でもいいよ」
アカンサスは部屋の奥に引っ込み出掛ける準備を始めた。僕らは外で待つ事にして早々に埃っぽい家から出た。外の空気は美味しく、僕は大きく深呼吸をした。
外で待つ時間はほんの少しであった。エルフの時間感覚でもっと遅れて来ると思ったがすんなり家から出て来た。
アカンサスの格好は先程はギリギリ大事な所が隠れる程度の布から、まあまあ大事な所が隠れる程度の布になっていた。正直どっちもエロい。ここまで来るとあんまり変わらない。
つまりさっきは家用のエロい格好で、今は外用のエロい格好なのだ。外出する時に横着しないどエロいエルフである。
流石のアスカさんも苦言を呈した。
「その格好で行くのか?見えそうだぞ?」
「これはエルフの伝統衣装だから」
マジか、絶対エルフの森に行こう。
アカンサスさんは玄関先に停めてある軽トラを物珍しいそうに眺めている。
「これが最近街で噂になってる奴か!見た事のない構造をしてるなぁ!うーん面白い!」
アスカさんはさっさと運転席に乗り込んだ。
「ヒカルは荷台に乗ってくれ」
「まあ、そうですよね」
僕が荷台に上がると何故かアカンサスさんも乗って来た。
「え、いや、アカンサスさんは前に椅子があるのでそっちどうぞ」
「いやいや、ここは特等席だろ?私はこっちに乗る」
「オッケー、じゃあ出発するから」
アスカさんは何の反論をする事なく軽トラを動かした。
アカンサスさんは荷台に立ってテンションを上げながら感想を勝手に喋ってる。
「凄いねこれ!どうやって動いてるんだろ!あっ!アメリちゃん、こんにちは!今日も素敵だね」
僕は座って乗っているためアカンサスの大変魅力的な太ももが目の前にあった。そしてお尻の中も見えそうである。しかしアスカさんが運転しておりバックミラーもある。ここで不審な行動を起こせば僕の信頼は最も簡単に崩壊するだろう。
耐えろ!耐えるんだ!こんな痴女の誘惑に負けるな!
「おっと!」
軽トラが段差で揺れて体勢を崩したアカンサスさんは僕の体にまたがる様に立ち、股間を僕の顔面に押し付けた。
「ふが!」
柔らかい!太もものサンドイッチ!ご馳走様!
「ごめんよ!怪我はないかい?」
「いえ、ありません」
「ちょっと調子に乗りすぎたね」
アカンサスさんは照れ臭そうに笑いながら謝った。やめてくれ!そんな可愛らしい態度を取らないでくれ!僕の純情を弄ばないでくれ!
そうしてドワーフの里に着くまでの間、何度も太ももや股間、おっぱいまでアクシデントにより僕は触る事が出来た。
どれも柔らかく素晴らしい感触でした。そしてどれも何だか臭かった。あの汚い家と同じ匂いがした。
そして軽トラが大きく揺れた事により偶発的に隠れていた乳首が見えた気がした。多分あれは乳首だ。絶対乳首の筈だ。乳首に決まっている。お願いします。
「久しぶりだね、ゴドウィン」
「ああ、アカンサス。よく来てくれた」
「君の頼みだからね」
「アンタは昔から何も変わらないな」
「そう言う君は立派になったね。夜一人でXXXを慰めてた坊主が今や工房の親方だよ」
最低な再会の挨拶だ。アカンサスさんは僕達にはセクハラ紛いなことを言ってこなかったので、ドワーフ流のコミニュケーションをとっているのだろう。それでも最低だ。
「これが今作っているデコトラってやつだね」
アカンサスさんは絶賛製作中のデコトラを物珍しそうに隅々まで見ている。
「いいね!今まで見た事ない機構に装飾、新たな風を感じるよ!」
アカンサスさんは気に入った様で来る途中に説明した荷台の絵も描いてくれそうだ。
「それで?どんな絵を描けばいいんだい?」
「結婚パレードに使うからそれに関連するものがええな、題材はアカンサスに任せる」
「うーん、ねえアスカ。ここって本来はどんなものを描いてるの?」
「ん?ああ、ちょっと待てろ雑誌持って来る」
アスカさんは少し席を外して雑誌を持って来た。そしてデコトラ特集のページを開きアカンサスに見せた。
「こんな感じ」
それを見たアカンサスさんはピタリと止まった。ジッと雑誌を見つめて髪の毛一本も動かない。
「これは……」
「?」
「キタキタキタキタ!降って来た!インスピレーションが!創作意欲が!情熱が!今まで見た事のない画風に表現!これは面白くなってきた!」
何か色々と来たらしい。ゴドウィンは呆れている。もしかしてゴドウィンが会いたくなかったのはこのハイテンションエルフが嫌だったらのかもしれない。
「そうと決まれば描くぞ!描くぞ!うおー!誰も私の邪魔はさせない!」
誰も邪魔はしていないのに勝手に叫んでいる。アスカさんもドン引きしている。もちろん僕もだ。
その日からアカンサスさんは工房で寝泊まりを始めた。デコトラの荷台の側で寝て、起きたら叫びながら絵を描く異常行動を毎日繰り返した。
アカンサスさんが暮らし荷台が置いてあるエリアは大きな布で仕切りができて中が見えない様配慮がなされた。アカンサスさんは集中すると乳が見えようが関係なしに作業を続ける為慌てて仕切りができたのだ。
僕は買い出しに行ってたので乳が出ていたところは見ていない。しかしそれが羨ましいかと言えばそうでもなく、工房にいるドワーフ達は何だか少し元気がない。あのうるさい工房の中で更にうるさく作業をしているアカンサスさんに困っていたのだ。
お腹が減ると工房にある食材を食い散らかし。雨が降ると突然外に出て全身で雨を浴びて、びしょ濡れの状態で工房に戻ってくる。日中から酒を飲むと叫んでそこら辺のドワーフに絡み、飽きると寝て起きたと思ったら作業にお取り掛かる。
朝も昼も夜もお構いなしに暴れているアカンサスさんにドワーフは疲れきっていた。
最近では仕切りの前に食材を入れた箱を置いている。完全に暴れ神を鎮まるためのお供物だ。
ドワーフは外でできる作業はなるべく外でやって近付かない様にしている。今までそんな事無かったのに一緒に買い出しに行くドワーフも出てきた。
そんな珍しくドワーフが焦燥する日々が続いてある日、アカンサスさんが仕切りの向こうから飛び出して来た。
「理想の色が出ない!」
ドワーフ達はまた何か騒いでいると足早に去っていく。となると残るのは僕だけである。
「えっと、それはどうしたらいいんですか?買って来ますか?」
「いや、市販の物ではダメだ!鮮やかさを出すためにロックゴーレムの核が必要だ!ハンターギルドに頼んで持ってこさせよう!」
アカンサスさんはドシドシとゴドウィンの下へ向かった。しかし遠くから聞こえて来たのはゴドウィンの怒鳴り声であった。
「そんな金残っとらん!あるもんで我慢せい!」
「ならお貴族様にもっとせびりな!」
「出来るわけないだろ!」
度々無理難題を言うアカンサスさんにゴドウィンはなんとか付き合っていたが今日は要望を突っぱねている。
不毛な言い争いを大声で繰り広げる二人を心配する様にドワーフ達が集まって来た。
「今度はなんだ?」「ロックゴーレムの核が欲しいんだとよ」「そりゃ家が買えるぜ」
アスカさんも騒ぎを聞きつけやって来た。
「どうした?ヒカル?」
「なんかロックゴーレムの核が欲しいとか、凄い値段らしいです」
「何だそれ?」
「さあ?でも魔物らしいですよ?」
二人で話していると一人のドワーフが話しかけてきた。
「ロックゴーレムは岩の体の魔物でな、その中心に宝石の様に綺麗な核があるんじゃよ。剣も通らんし滅多に市場に出回らん貴重なもんじゃ」
「へー、うちのピッチングマシーンで爆破できないのか?」
「あーやばい威力の球を作ってましたよね」
アスカさんと僕がポロッと喋ると怒鳴り声が止み、アカンサスさんがバタバタと走って来た。
「その話詳しく聞かせて!」
僕の目の前で止まり、顔をめり込ませる程近くでアカンサスさんは喋っている。
あーやってしまった。直感でそれが分かった。しかし答えなければならない。
「えっと、爆弾があるんですよ。それでその魔物を倒せないかなーって。ただの素人の妄想ですよー」
「君!倒せると思うかい!」
アカンサスさんは周りで見ていたドワーフを睨みつけた。
「え、まあ、危険だが倒せるとは思うぞ」
テメー止めろ!倒せないと言え!絶対まずい事になる!早く否定しろ!
「ロックゴーレムの住処は分かっている。お前ら!魔物狩りだ!この中で魔物を狩った事がある奴は名乗りでろ!」
あ!挙手制か、よかった。なら僕は大人しく黙ってよう。僕は草、そこら辺に生えている何も語らない雑草だよ。
「この前ヒカルがサラマンダーを倒したぞ」「そうだ!そうだ!ヒカルがピッチングマシーン使うの上手いぞ!」「ヒカルがお勧めだ!」
テメーら殺す。爆殺してやる。
「なるほど勇敢なのだなヒカルは。よしそのピッチングマシーンとらを準備して討伐に行くぞ!」
アカンサスさんは僕の首を捕まえて逃がさないようにしている。ドワーフ達はせっせと軽トラの荷台にピッチングマシーンを積みこんでいる。少しは抵抗しろよ。
僕がドワーフ達を睨みつけるとウインクして舌を出して「すまんな」と小声で謝ってきた。
うるせー可愛いくねーんだよ。
僕がどうする事も出来ずドワーフ共に軽トラの荷台に放り投げられるとアスカさんが運転席に座った。
「私も協力するよ。誰かが運転しないといけねーだろ」
イケメンだった。ドワーフの誰よりもイケメンだった。
アカンサスさんも荷台に乗り込み全ての準備が終わった。終わってしまった。
軽トラは軽快に走り出した。荷台からアカンサスさんが行く先の指示を出している。
工房の外ではドワーフ達が見送りに来ている。
「頑張れよ!」「すまんな!」「達者でな!」「いよっ!男前!」「両手に花!」
まじでここから爆弾をぶち込んでやろうかと思った。後さっきからアカンサスさんの胸が当たっているが何も感じない。興奮しない。これが怒りか。凄いな人間。戦争が無くならない訳だ。
軽トラは荒野の道なき道をかっ飛ばしていた。荷台には僕とアカンサスさん、ピッチングマシーンに爆弾が入った箱、そしてツルハシを載せている。
アカンサスさんの指示の下、軽トラを走らせているが本当にこっちであっているのだろうか。街道を外れて随分経つが見えるのは大小様々な岩だけである。この景色を見ているとサラマンダーに追われた日を思い出す。
アカンサスは荷台で立ちながら遠くを見ている。ロックゴーレムを探しているのだろう。
「あの大きな岩を目指してくれ」
アカンサスさんの指示にアスカさんは従い運転していく。
僕も岩を見たが全く周りの岩との違いが分からない。何かエルフ特有の見分け方でもあるのか。
岩を目指しているうちに道に出た。先程まで荒れていた地面が少し平らになり走りやすい。なるほど、あの岩に人がいるのか。あれは家か何かのだろう。
岩に向かって走っているとアカンサスさんが止まるように指示を出した。まだ岩には到着していないがどうしたのだろう。
「よし、爆弾をあの岩に向けて放ってくれ」
「え?あの岩ですか?」
「そうだ、あれがロックゴーレムだ」
だいぶ近付いたが周りの岩との差が全く分からない。
「あの、何処が違うんですか?」
「下に何か引きずった様な跡があるだろ?これはロックゴーレムが移動した跡だ」
僕が岩に続く道と勘違いしていたのはその跡らしい。
「私だって見分けなんかつかない。だからロックゴーレムの痕跡を探してたんだ」
アカンサスさんはヤバめのエルフかと思っていたがしっかりとやる事はやるエルフであった。
「それで爆弾を撃った後はどうするんですか?」
「さあ?それで死ななかったら何度も爆発させるんじゃないのか?私ロックゴーレムを倒すなんて初めてだし」
やっぱりヤバめのエルフかもしれない。何一つ計画が無い。
「ほら、さっさとやれ!ぐずぐずしてると陽が落ちるぞ」
僕は恐る恐るピッチングマシーンを大きな岩に向けた。そしてロックゴーレムじゃないことを祈った。
爆弾が放たれ岩に直撃した。大きな爆発と共に岩が動き出す。
「大当たりだ!凄いぞヒカル!そしてやっぱりロックゴーレムのようだ」
大当たりなのはアカンサスさんだけです。まさか本当にロックゴーレムだなんて。
岩はズズズと引きずる様な大きな音を立てて起き上がった。デカい、それもかなり。
岩の手足が生えた大きな岩は僕らの方を見た。いや、目がある訳じゃ無いから見た気がしたと言うのが正確だろう。しかし明らかにこちらを見ている様な気がした。
ロックゴーレムは両手を地面に叩きつけた。凄まじい音と地鳴り、そして地面の揺れが僕達を襲った。
「ひぃ!アスカさん!出して!」
僕は呆気に取られているアスカさんに大声で指示を出した。アスカさんは直ぐに軽トラを動かした。とりあえずロックゴーレムから距離をとってくれた。
「爆弾、効いてないですよ!」
「うーん、とりあえず撃ちまくろう」
アカンサスさんは緊張感に欠ける物言いだ。そんなアカンサスさんとは裏腹にロックゴーレムは怒ったようにこちらを追いかけてくる。それも凄い足音を立てて。
「いやぁぁぁぁ!!」
「叫ぶな!男だろ!」
「無理ですって!」
あのロックゴーレムはかなり速い。あの大きな体格だから一歩一歩が大きいらしい。
「おい!これからどうすんだ?このまま逃げるのか?」
「爆弾が当たる位の丁度いい距離で走って!」
「無茶言うなよ!」
それでもアスカさんは運転してくれる。僕はとりあえずピッチングマシーンに球を込めて撃っていく。爆弾はロックゴーレムに届かずコロコロと地面を転がる。何発撃ってもロックゴーレムの動きは一向に変わらない。
ロックゴーレムは追いつけないと分かったのか動きを止めた。何だ?諦めたのか?そんな甘い考えが僕の頭をよぎった。だけどそんな訳がない。
ロックゴーレムは近くの岩を掴むとこちらに放り投げてきた。
「アスカさん!避けて!」
「だあぁぁぁぁ!!捕まってろ!!」
アスカさんはハンドルを切り思い切り軽トラの進行方向を曲げた。僕はなんとか軽トラに捕まりながら放り出されない様に踏ん張った。流石のアカンサスさんも必死に軽トラにしがみついている。
軽トラの後ろでは先程まで僕達がいた場所に岩が降ってきた。僕の血の気が一気に引いた。
「マジでどうすんだよ!これマジで死ぬぞ!」
「ロックゴーレムの周りを回る様に移動して!それでヒカルは爆弾は打ちまくって!危ない攻撃は私が警告するから!」
はぁ、見事な役割分担だ。これで成功すれば文句なしだ。
アスカさんはアカンサスさんの指示のに従い軽トラを走らせた。ロックゴーレムの周りを回る様に運転するのは楽じゃない。そもそも舗装されていない岩だらけの荒野を走っているのだ。右へ左へと蛇行しながら回っていく。
僕は回転してることにより更に爆弾が当てにくくなった。狙いが定まらない。とにかくこっちも動くしあっちも動く。そんな一進一退もしない不毛の戦闘にアカンサスさんはヤジを飛ばす。
「もっと右だ!違う!上!上!」
「それは避けろって事か!」
「違う!ヒカルに言ってる!ああ!上!」
「上ですか!」
「違う!アスカに言ってる!」
岩が上から降ってきた。
「うお!あぶね!分かりやすく指示しろよ!」
「右と左!」
「だからどっちだよ!」
「どっちも!」
「だああぁぁ!!振り落とされるなよ!」
もう、指示も何もかもぐちゃぐちゃだ。意味もなく体力と爆弾と燃料だけが無くなっていく。
「これ死ぬのも時間の問題だぞ!」
「本当ですよ!どうするんですか!」
「ちょっと待ってて!考えるから」
「早くしろよ!」
「分かった!足元を爆破させよう!」
「それはどうやるんだ?」
「アスカがロックゴーレムの足元ギリギリに近付いて、私が爆弾を撒くから!そしてたら全力で逃げて!」
「分かった!」
「嘘でしょ!」
軽トラは方向転換してロックゴーレムに向かって走り出した。もちろんロックゴーレムもただ見ている訳がない。腕を振り上げて僕達を叩き潰そうとする。
軽トラの動きは軽快だった。今までアカンサスさんの指示で動いていたアスカさんだが今は自分で目視できる。
巧みなハンドル捌きでロックゴーレムの攻撃を躱していく。僕はただ顔を伏せて祈るしか出来なかった。
「これがギリギリだ!」
「よくやった!充分だ!」
ロックゴーレムの足元ギリギリを通り抜ける軽トラからアカンサスさんは箱ごと爆弾を放り出した。そしてアスカさんに向かって叫んだ。
「全開!」
「おう!」
軽トラは更に加速してロックゴーレムから離れて行く。軽トラからぶちまけた爆弾はまだ爆発しない。
その時ロックゴーレムがこちらに向くため足踏みし大量の爆弾を踏みつけた。
「伏せな!」
アカンサスさんがそう言うと僕の頭を手で押さえて屈ませた。
軽トラの後ろからとてつもない爆発音と衝撃が僕を襲った。何より熱風が僕の背中を掠めていく。
「あっつ!あっつ!」
僕は軽トラから放り出されない様必死で掴まっている。軽トラは爆発の衝撃により後輪が少し宙に浮いている。そんな軽トラをアスカさんは必死で操作している。
後輪がズシンと大きな音を立てて地面に着地すると僕の体は一瞬宙に浮いた。そして思い切りスネをぶつけた。痛い、痛い、激痛だ。
大爆発に巻き込まれたロックゴーレムの姿は多量の爆煙に阻まれて確認出来ない。お願いだこのまま死んでくれ。
軽トラはそれなりに離れたところで停まって様子を見ている。すると煙の中からロックゴーレムが這うように現れた。明らかにこちらに向かって来てる。
「生きてる!」
もう嫌、何でそんなに元気なの。
「ヒカル!撃ちまくれ!」
「はい!」
アカンサスさんの指示に従い、ありったけの爆弾をピッチングマシーンで発射した。足を失ったロックゴーレムの動きは鈍く、爆弾は簡単に当てる事が出来た。
何発撃っただろう。当たる度にロックゴーレムの動きは鈍くなり、そして遂にロックゴーレムは動かなくなった。遠目に見てもわかるぐらいその体に大きなヒビが入っている。
軽トラはバックでロックゴーレムに近付いた。それでもロックゴーレムは動かない。
「よし、核を採掘するぞ」
僕もアカンサスさんはツルハシを持って軽トラから降りた。アスカさんは念の為運転席で待機してもらった。
僕達はロックゴーレムの目の前に来たが動かない。それにしても暑い。爆発の熱が残っている。
アカンサスさんがロックゴーレムの上に乗ると岩の塊が動き出した。
「動いてる!」
「しつこいぞ!」
そう文句を言うとアカンサスさんは持っているツルハシをロックゴーレムの体にガツガツぶつけ始めた。ヒビに的確に何度もツルハシを打ちつけている。
「早く核を寄越せ!そして私の作品になるんだ!後世まで語り継がれるのだ!何も文句はないだろ!ほらさっさと死ね!早く死ね!今すぐ死ね!」
岩に向かって叫びながらツルハシを打ちつける様は狂人である。ツルハシを振るたびに乳が揺れるが何にもエロくない。ただ怖かった。
そうして暴力的な採掘をしていると遂にロックゴーレムは動かなくなった。
ヒビの隙間から赤い光が見えた。
「やっと見つけた!」
アカンサスさんが赤い光の周りをガツガツ掘ると中から赤い宝石の様な塊が出てきた。それは綺麗であまりにも魅力的であった。
「素晴らしい!これで完成する!」
アカンサスさんは興奮のあまり僕を抱きしめた。乳圧が僕を襲う。幸せなのか、これは。
その後二人で核を取り出して軽トラに運び込んだ。二人掛かりでも重く、途中からアスカさんも参加した。そうしてやっとの事で核を荷台に載せると緊張が切れて一気に疲れが溢れてきた。
「お疲れ!アスカもヒカルもよくやってくれた。この核はかなり大きいぞ」
「そうですか、よかったです」
「それはいいんだがこれからどうやって帰るんだ?」
え?アスカさんの発言に反応して僕は周りを見渡した。
「岩だらけでどっちから来たが私分かんないんだけど、どうすんだこれ?」
確かにどっちも向いても岩しかない。それにロックゴーレムと戦うためにぐるぐる回っていたから元来た方角が全く分からなくなってしまった。
僕は気が遠くなる感覚を覚えた。まさかこんなに頑張ったのにここで野垂れ死ぬのか?そんなのあんまりだ。
「どっちって、向こうだろ?」
アカンサスさんは迷わずある方向を指差した。
「あっちでいいのか?」
「そりゃ太陽の位置とか風の流れがそうじゃないか」
さも当然の様にアカンサスさんは言った。意外にもしっかりとしたエルフであった。
そして本当に合ってた。指差した方向に進むと街道に出た。そこからは何も覚えていない。安心した為僕はぐっすり寝てしまった。
叫び声に驚き僕は目を覚ました。目を覚ますと工房におり、軽トラの荷台でそのまま寝かされていた。辺りはすっかり暗くなっている。ご丁寧に枕と布団まで用意してくれていた。
叫び声の主はアカンサスさんであった。仕切りの向こうからずっと叫んでいる。
「これだ!これだ!これだ!この色だ!凄いぞ!凄いぞ!とんでもないぞ!」
何でそんなに元気なのだろう。僕は気付かれないように軽トラから降りて帰ろうとした。
ほんの僅かな音であった。軽トラから降り時に着地音がした。それだけであった。
仕切りの向こうからアカンサスさんが飛び出して来た。
「ヒカル!起きたか!ありがとう!素晴らしい発色だ!」
「いえ、満足そうでよかったです」
「満足なんてものじゃない!本当に素晴らしい働きをしてくれた。何を隠そうロックゴーレムの核と言うのは……」
アカンサスさんはテンションそのままに語り始めた。疲れと眠気で意識朦朧としながら僕は何とか立っている。寝かせてくれ。お願いだから。
そんな願いも虚しく、アカンサスさんの興奮は冷めず、日が上るまで話し続けた。
アカンサスさんの創作活動は締め切りギリギリまで続いた。明日にはビアンカさんとメッサジェントがデコトラの視察に来る。それまでに完成しておかないといけない。
アカンサスさんは最後の仕上げに取り掛かっている、と思う。その筈だがテンションは初日も今も全く一緒で、本当に進んでいるのか分からない。
ただ「もうすぐだ!」「これで最後だ!」「完璧だ!」「すごい!すごい!すごい!」とか叫んでいるので多分そろそろ完成するんじゃないかと思っている。
ゴドウィンも心配そうにソワソワしている。こんなゴドウィンを見るのは初めてだ。
「やり切った!」
アカンサスさんが布の仕切りから飛び出して来た。
「おや?皆さんお揃いで。そんなに完成が楽しみだったかい?」
「そうじゃな、早く完成してくれと思っとったわ」
「我慢が出来ない坊やだ。早漏は誰も満足させる事が出来ないよ?」
「いいから早く見せい!」
ゴドウィンに怒られるとアカンサスさんは仕切りの布を勢いよくとった。
そこには本当にそれはそれは見事な龍が描かれていた。
え?龍?結婚式の絵を頼まれていたよね?何で龍?それもドラゴンじゃない、あの中国の龍だ。なんて言えばいいんだろう、アジアンドラゴン?オリエンタルドラゴン?何にしてもあの龍である。
デコトラには相応しく迫力あり見るもの全てを惹きつけるだろう。まさかここまで完成度の高いデコトラを異世界で見れるとは思っても見なかった。
自信満々なアカンサスさんと違い、ゴドウィンはヘナヘナとその場に座り込んだ。この事はゴドウィンも知らなかったらしい。
いくらデコトラで結婚パレードを彩ろうと考えた常識はずれなゴドウィンでさえ、荷台の絵に関してはパレードに相応しいものに変えようと思っていたらしい。
「なあ、アカンサス、その絵はなんじゃ?」
「アスカに教えてもらった伝説の魔物、龍だ!凄いカッコいいだろ!それに反対側を見てみろ!」
デコトラの反対側に回るとそこに鯉が描かれていた。ゴドウィンは気を失いそうになり支えてもらっている。
「立派な鯉だろ?縁起物らしい。こんな絵を描いたのは初めてだ!素晴らしい経験をさせてもらった!」
本当に立派な鯉だ。荒れる川を泳ぐ逞しくも美しい鯉だ。本当によく描けている。だが何故こんなになるまで放っておいたのか。誰か指摘するものはいなかったのか。
全ての元凶はあの仕切りだ。好き勝手に騒ぎ全裸で徘徊するアカンサスさんの為に用意した仕切りがいけなかったのだ。そして誰も中を確認せず腫れ物を扱う様に避けていた。責任があるとすれば工房のみんなだろう。そしてその代表はゴドウィンである。
ゴドウィンにはビアンカさんとメッサジェントに頭を下げて説明してもらおう。
「すげーな、本当にこれ結婚式に使うのか?貴族の奴ら怒らないのか?」
アスカさんも心配そうにしている。
「本当ですよね、ゴドウィンさんも大変だ」
「いや、これ頼まれたのヒカルもだろ?大丈夫か?」
あ、そうだった。あの手紙は僕と工房宛てであった。その事に気付いた僕は膝から崩れ落ちた。予算も貰い使い切った手前ごめんなさいじゃ済まされない。
僕は薄れゆく意識の中で見えたのは満足そうにはしゃいでいるアカンサスさんの姿であった。
ホウレンソウは職場の常識、それを身をもって分かる出来事であった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
異世界で貧乏神を守護神に選ぶのは間違っているのだろうか?
石のやっさん
ファンタジー
異世界への転移、僕にはもう祝福を受けた女神様が居ます!
主人公の黒木翼はクラスでは浮いた存在だった。
黒木はある理由から人との関りを最小限に押さえ生活していた。
そんなある日の事、クラス全員が異世界召喚に巻き込まれる。
全員が女神からジョブやチートを貰うなか、黒木はあえて断り、何も貰わずに異世界に行く事にした。
その理由は、彼にはもう『貧乏神』の守護神が居たからだ。
この物語は、貧乏神に恋する少年と少年を愛する貧乏神が異世界で暮す物語。
貧乏神の解釈が独自解釈ですので、その辺りはお許し下さい。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる