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二章 別に生活に支障を感じなかった特異なリバーシ
7.思い出す、‥推測する。
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「それだけじゃなかった‥気がする。
俺の場合はね‥」
俺が眠りにつく前の最後の記憶‥
「ヒジリを助けて! 」
って叫んだナツミの声‥。
「ヒジリを奴らの思い通りになんてさせない! ヒジリの体を奴らに絶対渡さないで! 」
って‥そんな声が聞こえて
俺は眠りについた。
‥だからそれ以降の事を知らない。
眠らないはずのリバーシが眠りについた‥ってちょっとおかしな話だけど‥。
「俺は‥今までの俺と変わってしまわないといけなかったんだ‥ナツミは俺を助けようとしてた‥そしてこのブレスレットを着けた‥」
否、着けてくれた。
俺を守ろうと。
‥このブレスレットがどういうシロモノかは分からない。入手ルートも分からないし。
ただ、ナツミが作ったものとは違うってことくらいは分かる。だって、子供だったナツミが手に入れられるような材料じゃない。
あの頃、ナツミが作ってた魔道具なんてせいぜいクズ魔石をひもに通した程度のものだった。
だけど、あのブレスレットはプラチナとも銀ともつかないような高級品だ。
‥材料の提供を受けてナツミが作ったとか?
誰から提供を受けるんだ。ありえない。
でも‥買えるようなもんじゃ絶対にない。絶対お高い。
そして、そのお高いものを俺につけて‥でも、そのせいで俺は眠ってしまった。なぜならあれは「危険な魔道具」だったから。
じゃあ、ナツミは俺を眠らせて‥危険に晒すのが目的だったのか?
それは否だ。
ナツミは言ったんだ。
俺を助けてって。
俺を「奴らの思い通りにさせない」為に眠らせて、その体を「隠すために」ラルシュに託した。
記憶を整理するとそういうことになる‥。
なぜラルシュか。
ラルシュなら何とかしてくれるだろうから。
‥でも、ナツミはなぜラルシュが分かった?
これも疑問だが、とにかく先に考察を進めよう‥。
ブレスレットは、ナツミにとっては期間限定の隠れ蓑程度のものだった。
ナツミは‥スパルタなんだ。「自分の事は自分で何とかしろ」って、‥俺をバシバシしごいてた。(そういえば、ナツミってそういう子だった)だけど、ナツミから見て、「奴ら」は「あの時の」俺の手には到底負えないような敵だった。だから、力をつけるまで‥ナツミが俺を逃がそうとした相手に勝てるようになるまで‥俺を隠さないといけないって‥。
‥それほどの敵。
絶対に見つかってはいけない。
だから
眠らせた。
‥姿を変えて、異世界である地球に魂を送ったのは、ラルシュだろうか。
ラルシュの独断だったのか、ナツミとそういう話をしたのかはよくわからない。
兎に角、俺はここにいてはいけなかった。
そして、誰にも、俺であることを気付かれてはならなかった。
‥女だった俺が男の姿をしてるのはそういう意味だろう。
あと‥
漢字。
ミチルがさっき俺に漢字があるって驚いて「ああ、その拘束具だけじゃなくて、名前もか‥。見つかんないはずだ」って言ってた。
漢字ってのに、なんかあるんだろう。
言霊みたいな感じかな?
そんな風に俺は守られてきた。
でも、そのうちそんなこと忘れて‥
ただ
「‥誰かに気付かれたいって思ってた‥のかもしれない。俺に気付いて‥って」
花が、その色で香りで自分の存在をアピールするように‥
俺も‥その存在を誰かに見つけて欲しかった。
ただ、ぽっかりと‥寂しかったから‥。
誰かに?
‥ナツミに。
ナツミは‥俺のことなんて忘れてしまっているのかもしれない‥。だから、‥俺のこと思い出してって‥。
「ナツミに‥ナツミに思い出してほしかった‥」
ポツリとつぶやいた声は‥きっと誰にも聞かれていないだろう。
まだ薄暗い窓の外が、ほんのり紫色を帯びてきた。
‥この感覚だったら、多分‥5時前ってところだろうか?
「ああ‥。朝だな。今日はここまでだ」
俺の目線の先を見たミチルが頷く。
ミチルがほんのりと緑‥オリーブ色に発光している。
‥もうそんなこと位で驚かない。
俺の場合はね‥」
俺が眠りにつく前の最後の記憶‥
「ヒジリを助けて! 」
って叫んだナツミの声‥。
「ヒジリを奴らの思い通りになんてさせない! ヒジリの体を奴らに絶対渡さないで! 」
って‥そんな声が聞こえて
俺は眠りについた。
‥だからそれ以降の事を知らない。
眠らないはずのリバーシが眠りについた‥ってちょっとおかしな話だけど‥。
「俺は‥今までの俺と変わってしまわないといけなかったんだ‥ナツミは俺を助けようとしてた‥そしてこのブレスレットを着けた‥」
否、着けてくれた。
俺を守ろうと。
‥このブレスレットがどういうシロモノかは分からない。入手ルートも分からないし。
ただ、ナツミが作ったものとは違うってことくらいは分かる。だって、子供だったナツミが手に入れられるような材料じゃない。
あの頃、ナツミが作ってた魔道具なんてせいぜいクズ魔石をひもに通した程度のものだった。
だけど、あのブレスレットはプラチナとも銀ともつかないような高級品だ。
‥材料の提供を受けてナツミが作ったとか?
誰から提供を受けるんだ。ありえない。
でも‥買えるようなもんじゃ絶対にない。絶対お高い。
そして、そのお高いものを俺につけて‥でも、そのせいで俺は眠ってしまった。なぜならあれは「危険な魔道具」だったから。
じゃあ、ナツミは俺を眠らせて‥危険に晒すのが目的だったのか?
それは否だ。
ナツミは言ったんだ。
俺を助けてって。
俺を「奴らの思い通りにさせない」為に眠らせて、その体を「隠すために」ラルシュに託した。
記憶を整理するとそういうことになる‥。
なぜラルシュか。
ラルシュなら何とかしてくれるだろうから。
‥でも、ナツミはなぜラルシュが分かった?
これも疑問だが、とにかく先に考察を進めよう‥。
ブレスレットは、ナツミにとっては期間限定の隠れ蓑程度のものだった。
ナツミは‥スパルタなんだ。「自分の事は自分で何とかしろ」って、‥俺をバシバシしごいてた。(そういえば、ナツミってそういう子だった)だけど、ナツミから見て、「奴ら」は「あの時の」俺の手には到底負えないような敵だった。だから、力をつけるまで‥ナツミが俺を逃がそうとした相手に勝てるようになるまで‥俺を隠さないといけないって‥。
‥それほどの敵。
絶対に見つかってはいけない。
だから
眠らせた。
‥姿を変えて、異世界である地球に魂を送ったのは、ラルシュだろうか。
ラルシュの独断だったのか、ナツミとそういう話をしたのかはよくわからない。
兎に角、俺はここにいてはいけなかった。
そして、誰にも、俺であることを気付かれてはならなかった。
‥女だった俺が男の姿をしてるのはそういう意味だろう。
あと‥
漢字。
ミチルがさっき俺に漢字があるって驚いて「ああ、その拘束具だけじゃなくて、名前もか‥。見つかんないはずだ」って言ってた。
漢字ってのに、なんかあるんだろう。
言霊みたいな感じかな?
そんな風に俺は守られてきた。
でも、そのうちそんなこと忘れて‥
ただ
「‥誰かに気付かれたいって思ってた‥のかもしれない。俺に気付いて‥って」
花が、その色で香りで自分の存在をアピールするように‥
俺も‥その存在を誰かに見つけて欲しかった。
ただ、ぽっかりと‥寂しかったから‥。
誰かに?
‥ナツミに。
ナツミは‥俺のことなんて忘れてしまっているのかもしれない‥。だから、‥俺のこと思い出してって‥。
「ナツミに‥ナツミに思い出してほしかった‥」
ポツリとつぶやいた声は‥きっと誰にも聞かれていないだろう。
まだ薄暗い窓の外が、ほんのり紫色を帯びてきた。
‥この感覚だったら、多分‥5時前ってところだろうか?
「ああ‥。朝だな。今日はここまでだ」
俺の目線の先を見たミチルが頷く。
ミチルがほんのりと緑‥オリーブ色に発光している。
‥もうそんなこと位で驚かない。
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