136 / 248
十三章 乙女ゲームじゃなくって‥
9.庶民派
しおりを挟む
(side ナツカ)
「ラルシュ様の侍従様なのに、俺にいつもついてていいのかな~」
ヒジリの呟きを、拾ったのは
「ヒジリがラルシュの婚約者だからじゃないか」
ナラフィスだった。
今日は、「通常の」勉強をしている。
あのあと、サラージ様の特別講習は「あやふやなまま」終わった。
‥だけど、あの講習に終わりがあったかどうかは不明だ。
「どうぞお構いなく。私はいないものと思っていただいたらいいですよ。ヒジリ様、ナラフィス様」
にこり、といつもの笑顔を向ける。
人受けのする笑顔は貴族のマナーとして必須だ。反対意見を言う際も、同意する際も、自分の気持ちをストレートに表情に出すのは「良くない」。
「行儀が良くない」、と子供の頃は学び、青年時代は「足元をみられるぞ、それは「立場上良くない」ことだ」といわれてきたし、私もそう思っている。
弱みを見せれば付け込まれる。
貴族としてそれはあってはならないことだ。
特に私は王子殿下の侍従だ。王子殿下にご迷惑がかかることになる。
個人の問題、では済まされない。
貴族だから‥っていわなくても、例えどんな立場の人間であっても、これは「社会人のマナー」として当然身に着けておくべきだって思う。
自分の感情を「一時の感情で」表情や‥まして言葉に出してしまうと、後で後悔しますからね。
「一時の感情で」かっとなって言い返してしまい、あとで後悔することや、喜びに任せて羽目を外して、あとで恥ずかしい‥ってことあるでしょ? ‥あの時の恥ずかしさとか気まずさったら‥ない。
「あの時は言い過ぎた、そんなこと‥ホントは思ってない」
って後で誤ったところで「実は常日頃そう思ってるんだろ」って思われるだろうし、(喜びに任せて羽目を外した)醜態のことを‥後々どう言われるかなんて分からない。
「すました顔してあいつは実はあんなやつなんだ」
って言いふらされたとしても、文句はいえない‥。(だって、自分が悪いんだから‥それは仕方ない)
そうして表情をコントろーする術を「訓練してきた」わけであって、別に元から感情が乏しい方だったわけでは無い。
そういう「後からの努力」をラルシュ様とサラージ様はさっさと見破って「お前、結構面白いな! 俺たちの前では、普通にしててもいいぜ! (by サラージ)」って言われた時には、驚きもしたが‥嬉しかったのは本当だ。
‥だけど、サラージ様はちょっと(感情のコントロールが)下手過ぎると思いますよ!
「あの‥敬語とか‥なんか俺相手に申し訳ないなって‥」
ヒジリは私に対して、敬語を使う。
サラージ様やラルシュ様に対してよりも、遠慮した口調で話す。
‥親しいから、とか、サラージ様たちが話しやすいから、とかじゃないぞ?!
サラージ様たちは王子様だぞ!? 普通だったら、「恐れ多くて」言葉すら交わせられないようなお方たちなんだぞ? 「住む世界」が違うんだ。
‥そういうこと、地球暮らしの長い平民のヒジリは分からないかもしれないけど‥同じ平民でもこの国にずっと住んでいるナラフィスなら分かりそうなもんなのに‥。
まったくこの二人は!
とはいえ‥。
ヒジリはラルシュローレ様の婚約者、ナラフィスはラルシュローレ様たちのご学友。
身分は関係なく、王子殿下の大切な人たちだ。
だから、私は二人を呼ぶ際は、勿論「ヒジリ様」「ナラフィス様」って呼ぶ。(心の中でどう呼んでいるか‥までは勘弁してほしい)
「婚約者ねえ‥。俺が‥ああじゃなかったら、ラルシュ様にこんなご迷惑をおかけしなかった‥と思うと、罪悪感しかないですよ」
ヒジリがため息をつく。
独り言っていうか、ナラフィスに(私にも、か? )聞かせるために、呟いたって感じ。
‥まったくだ、と思う。
(勿論声には出さないけど)
私は
「そんなこと思われる必要は全くないですよ」
って「お決まりの文句」を何時もの笑顔で言う。
「でも、まあ‥めぐり合わせだよね。そういうの。全く接点は無い者たちが出会ったり、全く性格が違ったのに‥いつの間にか仲良くなったり」
ぽつりと呟いたのはナラフィスだ。
「そういえば、ナラフィスさんとラルシュ様って性格とか全然違いそうですよね。ナラフィスさんってもともとサラージ様から接触して‥出会ったんでしょ? 」
ヒジリが首を傾げた。
‥何その話、聞いたことない。
ラルシュローレ様と同級生って伺ってたけど、「もともとサラージ様から接触」? どういうことだろう。
「それね~。サラージはそう信じてるから、わざわざ訂正するのも何かな~って思って放ってたんだけど‥。
あれね、サラージは「こっそり平民の振りして出かけて」僕と出会った‥って思ってるみたいだけど、‥皆知ってて会ったんだからね。王子がそんな護衛もなしで「知らないやつ」と会えないよね」
‥サラージ様が「誰と」会うのか、皆知ってたってこと?
皆って‥誰だ?
ヒジリもそう思ったらしく
「皆って誰? 」
って聞いてくれた。(よかった、まさかここで私が聞くわけにはいかないから‥)
「皆は皆さ。陛下も、僕の父上も」
陛下も、ナラフィスの父上も?? なんでそこでナラフィスの父上?
「サラージが僕の論文読んで興味を持ったって言って、そもそもサラージが読む本は「王子殿下が読むべき本」だけで、そんな興味を持つ要素がある様な本はない。
発表された論文は、それを検証する学者が何人もいてその人たちが「間違いない」って太鼓判を押して‥初めて本になる。王子殿下が読むのはすでに本になったもので、論文の段階で王子殿下の目に入るってことはまずありえない。それに、僕の論文は世間一般に皆が興味あるジャンルでもなかったから、本来なら、本になることはないような類だったんだ。正しいとは思ってるよ。それは自信がある。だけど、誰も太鼓判を押す人間がいなければ、ね」
首を傾げてるヒジリと(私を)置いてけぼりにして、ナラフィスは話を進める。
多分、この話の先に「皆」= 陛下とナラフィスの父上 の答えがあるんだろう。多分‥この話の先にしか、ないんだろう。
「‥そんな論文がなぜ、サラージ様の目に留まった? 」
ヒジリが質問した。
ナラフィスが満足そうに頷く。
それは、ヒジリの質問が「完全に的を得ていた」からだろう。
「陛下に直接父上が渡したからさ。
あれは、父上が「息子ってばこんな論文もう書いてるんだよ~。すごいでしょ~」って見せびらかすために城にもっていった論文だったんだ」
陛下にナラフィスの父上が見せびらかす‥。
「ナラフィスの父上って一体? 」
ヒジリが首を傾げる。
ハイ! ビンゴ! その質問待ってました! だけど、‥そこで首を傾げるって反応は‥私とちがうな~。私は‥
何か嫌な予感がしてるよ。
「陛下の弟」
ね!
「だから、城にフリーパスだったんだよ。僕」
‥ナラフィス様‥庶民派すぎるでしょう‥。
サラージ様やラルシュ様の従兄弟でいらっしゃるんですね‥。
「あ、でも、僕の家は一応は公爵家だけど、研究馬鹿の集まりだし、社交界とか一切出ないし、既に嫁に行ってる妹とかも、地方の普通の騎士とかと結婚してるし、そんな貴族貴族してない。
そういうの性に合わないし、無理。出来ない」
ナラフィス様がにっこり微笑まれた。
ナラフィス様曰く、父上は王弟だけど、継承権はないし(※生まれながらの次期王以外は、王に絶対にならない)政治にも興味はない(だけど、城に残って王を助ける王弟も多い)。
研究で王家の手伝いをするといった第二王子に当時の王(前王)が、城から出るにあたって研究施設だとか研究費だとか随分援助した、らしい。それ以降、城にも寄り付かず、父上は大好きな研究ばかりしている、らしい。
因みに、前王の葬式には一貴族として参列したらしい。
それ以降は、それこそ、表舞台に一切出ずに‥ひっそりと暮らして来た。
そして、研究員の女性の一人(平民)と結婚したらしい。
因みに、住居は「お屋敷」ではなく、中堅貴族クラスの邸宅‥らしい。(そして、その部屋のほとんどが研究室だというのだ)
「だから、貴族と言いながら貴族らしくないんだ」
へへ、ってナラフィス様が照れたように‥笑う。
そして、ちょっと改まって‥ヒジリを真顔で見ると
「だから、ヒジリもいままで通り接してもらいたい。‥って、ヒジリはそんなの気にしないよな」
っておっしゃった。
ヒジリは
「‥まあ、俺にはそういうのわかんないしな」
って苦笑いした。
苦笑いで「分からない」で済むか!
‥私は‥気にするようにします‥。
「ラルシュ様の侍従様なのに、俺にいつもついてていいのかな~」
ヒジリの呟きを、拾ったのは
「ヒジリがラルシュの婚約者だからじゃないか」
ナラフィスだった。
今日は、「通常の」勉強をしている。
あのあと、サラージ様の特別講習は「あやふやなまま」終わった。
‥だけど、あの講習に終わりがあったかどうかは不明だ。
「どうぞお構いなく。私はいないものと思っていただいたらいいですよ。ヒジリ様、ナラフィス様」
にこり、といつもの笑顔を向ける。
人受けのする笑顔は貴族のマナーとして必須だ。反対意見を言う際も、同意する際も、自分の気持ちをストレートに表情に出すのは「良くない」。
「行儀が良くない」、と子供の頃は学び、青年時代は「足元をみられるぞ、それは「立場上良くない」ことだ」といわれてきたし、私もそう思っている。
弱みを見せれば付け込まれる。
貴族としてそれはあってはならないことだ。
特に私は王子殿下の侍従だ。王子殿下にご迷惑がかかることになる。
個人の問題、では済まされない。
貴族だから‥っていわなくても、例えどんな立場の人間であっても、これは「社会人のマナー」として当然身に着けておくべきだって思う。
自分の感情を「一時の感情で」表情や‥まして言葉に出してしまうと、後で後悔しますからね。
「一時の感情で」かっとなって言い返してしまい、あとで後悔することや、喜びに任せて羽目を外して、あとで恥ずかしい‥ってことあるでしょ? ‥あの時の恥ずかしさとか気まずさったら‥ない。
「あの時は言い過ぎた、そんなこと‥ホントは思ってない」
って後で誤ったところで「実は常日頃そう思ってるんだろ」って思われるだろうし、(喜びに任せて羽目を外した)醜態のことを‥後々どう言われるかなんて分からない。
「すました顔してあいつは実はあんなやつなんだ」
って言いふらされたとしても、文句はいえない‥。(だって、自分が悪いんだから‥それは仕方ない)
そうして表情をコントろーする術を「訓練してきた」わけであって、別に元から感情が乏しい方だったわけでは無い。
そういう「後からの努力」をラルシュ様とサラージ様はさっさと見破って「お前、結構面白いな! 俺たちの前では、普通にしててもいいぜ! (by サラージ)」って言われた時には、驚きもしたが‥嬉しかったのは本当だ。
‥だけど、サラージ様はちょっと(感情のコントロールが)下手過ぎると思いますよ!
「あの‥敬語とか‥なんか俺相手に申し訳ないなって‥」
ヒジリは私に対して、敬語を使う。
サラージ様やラルシュ様に対してよりも、遠慮した口調で話す。
‥親しいから、とか、サラージ様たちが話しやすいから、とかじゃないぞ?!
サラージ様たちは王子様だぞ!? 普通だったら、「恐れ多くて」言葉すら交わせられないようなお方たちなんだぞ? 「住む世界」が違うんだ。
‥そういうこと、地球暮らしの長い平民のヒジリは分からないかもしれないけど‥同じ平民でもこの国にずっと住んでいるナラフィスなら分かりそうなもんなのに‥。
まったくこの二人は!
とはいえ‥。
ヒジリはラルシュローレ様の婚約者、ナラフィスはラルシュローレ様たちのご学友。
身分は関係なく、王子殿下の大切な人たちだ。
だから、私は二人を呼ぶ際は、勿論「ヒジリ様」「ナラフィス様」って呼ぶ。(心の中でどう呼んでいるか‥までは勘弁してほしい)
「婚約者ねえ‥。俺が‥ああじゃなかったら、ラルシュ様にこんなご迷惑をおかけしなかった‥と思うと、罪悪感しかないですよ」
ヒジリがため息をつく。
独り言っていうか、ナラフィスに(私にも、か? )聞かせるために、呟いたって感じ。
‥まったくだ、と思う。
(勿論声には出さないけど)
私は
「そんなこと思われる必要は全くないですよ」
って「お決まりの文句」を何時もの笑顔で言う。
「でも、まあ‥めぐり合わせだよね。そういうの。全く接点は無い者たちが出会ったり、全く性格が違ったのに‥いつの間にか仲良くなったり」
ぽつりと呟いたのはナラフィスだ。
「そういえば、ナラフィスさんとラルシュ様って性格とか全然違いそうですよね。ナラフィスさんってもともとサラージ様から接触して‥出会ったんでしょ? 」
ヒジリが首を傾げた。
‥何その話、聞いたことない。
ラルシュローレ様と同級生って伺ってたけど、「もともとサラージ様から接触」? どういうことだろう。
「それね~。サラージはそう信じてるから、わざわざ訂正するのも何かな~って思って放ってたんだけど‥。
あれね、サラージは「こっそり平民の振りして出かけて」僕と出会った‥って思ってるみたいだけど、‥皆知ってて会ったんだからね。王子がそんな護衛もなしで「知らないやつ」と会えないよね」
‥サラージ様が「誰と」会うのか、皆知ってたってこと?
皆って‥誰だ?
ヒジリもそう思ったらしく
「皆って誰? 」
って聞いてくれた。(よかった、まさかここで私が聞くわけにはいかないから‥)
「皆は皆さ。陛下も、僕の父上も」
陛下も、ナラフィスの父上も?? なんでそこでナラフィスの父上?
「サラージが僕の論文読んで興味を持ったって言って、そもそもサラージが読む本は「王子殿下が読むべき本」だけで、そんな興味を持つ要素がある様な本はない。
発表された論文は、それを検証する学者が何人もいてその人たちが「間違いない」って太鼓判を押して‥初めて本になる。王子殿下が読むのはすでに本になったもので、論文の段階で王子殿下の目に入るってことはまずありえない。それに、僕の論文は世間一般に皆が興味あるジャンルでもなかったから、本来なら、本になることはないような類だったんだ。正しいとは思ってるよ。それは自信がある。だけど、誰も太鼓判を押す人間がいなければ、ね」
首を傾げてるヒジリと(私を)置いてけぼりにして、ナラフィスは話を進める。
多分、この話の先に「皆」= 陛下とナラフィスの父上 の答えがあるんだろう。多分‥この話の先にしか、ないんだろう。
「‥そんな論文がなぜ、サラージ様の目に留まった? 」
ヒジリが質問した。
ナラフィスが満足そうに頷く。
それは、ヒジリの質問が「完全に的を得ていた」からだろう。
「陛下に直接父上が渡したからさ。
あれは、父上が「息子ってばこんな論文もう書いてるんだよ~。すごいでしょ~」って見せびらかすために城にもっていった論文だったんだ」
陛下にナラフィスの父上が見せびらかす‥。
「ナラフィスの父上って一体? 」
ヒジリが首を傾げる。
ハイ! ビンゴ! その質問待ってました! だけど、‥そこで首を傾げるって反応は‥私とちがうな~。私は‥
何か嫌な予感がしてるよ。
「陛下の弟」
ね!
「だから、城にフリーパスだったんだよ。僕」
‥ナラフィス様‥庶民派すぎるでしょう‥。
サラージ様やラルシュ様の従兄弟でいらっしゃるんですね‥。
「あ、でも、僕の家は一応は公爵家だけど、研究馬鹿の集まりだし、社交界とか一切出ないし、既に嫁に行ってる妹とかも、地方の普通の騎士とかと結婚してるし、そんな貴族貴族してない。
そういうの性に合わないし、無理。出来ない」
ナラフィス様がにっこり微笑まれた。
ナラフィス様曰く、父上は王弟だけど、継承権はないし(※生まれながらの次期王以外は、王に絶対にならない)政治にも興味はない(だけど、城に残って王を助ける王弟も多い)。
研究で王家の手伝いをするといった第二王子に当時の王(前王)が、城から出るにあたって研究施設だとか研究費だとか随分援助した、らしい。それ以降、城にも寄り付かず、父上は大好きな研究ばかりしている、らしい。
因みに、前王の葬式には一貴族として参列したらしい。
それ以降は、それこそ、表舞台に一切出ずに‥ひっそりと暮らして来た。
そして、研究員の女性の一人(平民)と結婚したらしい。
因みに、住居は「お屋敷」ではなく、中堅貴族クラスの邸宅‥らしい。(そして、その部屋のほとんどが研究室だというのだ)
「だから、貴族と言いながら貴族らしくないんだ」
へへ、ってナラフィス様が照れたように‥笑う。
そして、ちょっと改まって‥ヒジリを真顔で見ると
「だから、ヒジリもいままで通り接してもらいたい。‥って、ヒジリはそんなの気にしないよな」
っておっしゃった。
ヒジリは
「‥まあ、俺にはそういうのわかんないしな」
って苦笑いした。
苦笑いで「分からない」で済むか!
‥私は‥気にするようにします‥。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる