リバーシ!

文月

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十八章 ありのままのヒジリ

1.作戦会議再開 皆を知ろう ①.ラルシュ、ミチル

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 ヒジリは、マリアンから「自分の気持ちに素直になることも大事」を学んだ。
 ヒジリは一つ成長した。

 で、ナラフィスの許可もあって、今日は作戦会議を再開した。

 しょっぱなは‥
「すみませんでした。
 改めて、会議に参加させていただきたいと思います。
 私は‥
 あ、‥これから私は自分の事を「私」ということにしました。
 ええ、だって社会人ですから。
 社会人は男だろうと女だろうと自分の事を私っていうもんです」
 ヒジリの謝罪と謎の宣言だ。

 ‥なんの言い訳だ。
 そもそも、誰に言い訳した。
 ‥うん、何か「心境の変化」があったんだね?

 ヒジリは、すっきりと「なんかが落ちたような顔」をしている。
 そして、周りに軽く会釈すると、誰の顔も見ずに、会議の席に着いた。

 ‥何、その無我の境地みたいな表情。
 ツッコミどころ満載だけど、ヒジリが変なのは今に始まったことじゃないから、スルーしておく。

 今はそれどころじゃないしね。

 ヒジリにも何か思うところがあるんだろう‥。
 今後のことが彼女のこころの成長やら気持ち次第で「いい方向」に向かうだろう‥ってことは容易に想像できるから、ヒジリのメンタルについては、今彼女が一番信用しているマリアンに任せておこうと思う。
 ‥女子のことは女子の方がわかるだろうし。

 男子たちの「スルー能力」が上がった。

「まずは何をすればいい‥と、ヒジリは思う? 」
 ナラフィスが落ち着いた口調で聞くと、ヒジリが頷き
「まずは、皆のステータス表を作っていこうと思います。
 お‥私が知っている‥私が思う皆、自覚している能力、検索で出て来る能力‥
 それらは‥果たして同じなんでしょうか。
 検索では出てこない能力や、‥自覚していない能力もあるんじゃないでしょうか。
 そういうのを全部書き出して、改めて作戦を練っていければ‥って思っています」

「成程」
 サラージが頷く。

「ブレーンストーミングですよ。それは関係ないとか突っ込まずに‥一人一人について色々挙げて行きましょう。
 まずはラルシュから‥
 ラルシュの詮索画面を見せてもらってもいいですか? 」
 ヒジリがラルシュを見ると、ラルシュが笑顔で軽く頷いて
「ミチル、お願いします」
 って言った。
「ああ」

 ラルシュローレ(ラルシュ)
 魔法使い。

 性別:男
 
 称号:魔法創造の帝王

    ソードマスター

 スキル:最上位 意識操作(状態異常)

     最上位 威圧(状態異常)

     金属の状態異常

 攻撃魔法:火・土・風・水

 属性  :風、水、土、火(風がベース)

「なんか以前見たのと違ってる! 魔法創造の帝王なんて前には絶対なかった気がする!! 」
 ヒジリはちょっと笑ってしまった。
「それは‥ラルシュの能力が上がったか‥ミチルの詮索の力が上がったかのどちらかだろうな」
 ナラフィスが空中に書かれたステータス画面を「固定! 」と言って紙に落としながら、表情も変えず言った。
 そして、書かれた紙を見ながら、
「‥まあ、どっちもだろうな。ラルシュはいつも努力してるし‥それはミチルもだろ? 」
 って、二人を見て微かに微笑んだ。
 ミチルとラルシュが苦笑いする。

 ヒジリは
 胸がぎゅってなった。
 
 自分だけ、じゃない。
 みんなも自分の為‥皆の為に頑張っている。

 自分だけが苦しいわけでも、自分だけがあがいてるわけでもない。

 そして‥皆が自分(ヒジリ)の為にどれ程努力して、‥こころを砕いてくれているか‥。

 じん‥とした。

 ありがとう‥としか言えない。

「じゃ、次な! 先に詮索画面を全員分出しておいて、それに書き込む方がいいだろ? 」
 照れたミチルが今度は自分の胸に手を置き「詮索! 」と小さく唱える。

 ミチル
 リバーシ

 性別:男

 スキル:最上位 詮索、行動制御(状態異常)

    上級 隔離空間制作(状態異常)

 状態異常:空間の状態異常

     意識の状態異常(昏睡)
     
     感情の波紋(水・風混合)

 属性: 風、水

「ミチル‥。感情の波紋ってなんだ? 」
 ナラフィスが興味津々って顔でミチルを見る。
「血液(水)を通して、感情を揺さぶる。
 例えば、悲しみの感情を与えて‥それを血液を通して身体中に伝える‥という風と水の混合‥攻撃魔法みたいなもの」
 ミチルがふふ、って微笑んで言う。
 黒い笑いだ。
「「‥‥‥」」
「‥そう‥」
 サラージとナラフィスが固まり、ラルシュが苦笑いする。
 ヒジリは‥
「成程‥そういう使い方もあるのか‥」
 って感心している。

 地球の人って‥皆病んでるのかな‥。
 それ程‥過酷な状況を日々生き抜いてるの?? 

 ちょっと暗い気持ちになった夜の国のメンバーだった。
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