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十八章 ありのままのヒジリ
3.変えたくないこと。
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「神の調節か‥」
ヒジリが呟いた。
ナラフィスによると「そういう調節」は昔からあったらしい。
だけど、今ほど調査の技術なんかが無かったから
悪いことがあると、「神罰が下った」
いいことがあると「神の奇跡」
とか‥ふわっとした言葉で表現された‥ってこと。
「つまり、人智で計り知れないし、人間には何も出来ないことだから‥神の調整っていわれてきた。だけど、それは周期的なもんで、別にイレギュラーな出来事でもないと‥」
ミチルが腕を組んで考える様な仕草をする。
「なら何もしなくても‥なるようになれで任せておいてもいいってこと? 」
ヒジリが首を傾げると、
「あちらさんもそうしてくれたらそうなっただろうね」
ナラフィスが眉を寄せて苦笑いした。
つまり、何もしなかったら悪い様にならないけど、それを「自分の都合のいい様に動かす者」がいれば、‥無事では済まないって話。
「調整って言うのは‥いわば、大きな変化だ。それを乗り切らなければいけない試練とみるか、降ってわいたビックチャンスと見るかは‥人それぞれだよな」
つまり、王国は無事に乗り切りたくって、
反政府組織は「これを利用して国を変えたい‥国の支配者に成り代わりたい」
って思ってるってこと。
「ビックチャンスで済むかどうかすら分かってないのに、人間の欲望ってのは恐ろしいね」
ミチルが呆れ顔で言うと、ヒジリも頷いて
「まあ‥なあ。人間ってのは私利私欲の為に今までも散々自然界に介入して来たよな~。
そのせいでホントは起こらなかった自然災害なんかっが起こったりもして‥だけど、そういうの見てると「神の怒り」ってのもあるんじゃないかなって思うよな」
って苦笑いする。それで「ってことはつまり‥」と首を傾げると
「人間が余計なことしなかったら本来自然界にはイレギュラーなんか存在しないってこと? 」
そういうことじゃない? って「気付いちゃったんだけど! 」って顔をする。
ナラフィスは苦笑いして
「それはないだろ。イレギュラーはいつの時代でも確実に存在する。
そしてそのイレギュラーが起爆剤となって時代を変えたりするじゃないか。
‥悪いイレギュラーだけじゃない」
って、この国の伝説の話をいくつか出して来た。
「デュカとリゼリアの話だってそうだ。イレギュラーだから伝説になった」
あれが史実に残る最初の調整だったのかもしれない。
‥勿論それ以前にもあったんだろうけどね。
「異世界から全く違う価値観やら能力を持つ人間を入れるってのは、最も簡単な方法だろうからね」
ナラフィスの言葉に、そこにいた全員が納得した様子で頷いた。
「変わらないことと変わること‥
変えたいことと変えたくないこと‥」
ポツリとこころに急に浮かんだ言葉をそのまま口にした。
全員の視線がヒジリに集まる。
「変わらないこと変わることについては今急に「これ」っていうのは浮かばないんだけど‥
変えたくないこと‥ってのは一つ浮かんだ。
長男に八割の力、その後生まれた一番初めのリバーシに残りの一割、そして魔法使いに一割。
これは‥きっと神的に変えたくないことなんだろうね」
皆に注目されてちょっと驚きはしたものの‥比較的落ち着いて話すことが出来たのは社会人の経験があったからだろうか?
「‥そうなんだろうね」
ナラフィスが頷き
「だけど、それは王族だけの話だ。庶民にはそういう「きまり」はない」
と付け加え、ヒジリも頷く。
確かに自分は一人っ子だし、両親ともそんなに兄弟が多いわけでは無い。
王族って、結構子沢山だよね。
王族だけ‥
なんとなく、さっき聞いた話が頭に浮かんだ。
サラージとラルシュの父親が長男で八割の力を受け継いでいて、次男のナラフィスの父親は一割の力を受け継いだリバーシ‥。じゃあ‥魔法使いは? 。
そんなヒジリの考えを読んだみたいに、
「父には弟‥僕からしたら魔法使いの叔父さんがいたらしいけど、幼いうちに亡くなったらしい」
ってナラフィスが言った。
そっか‥
そう言う事も‥あるわな‥。当たり前に。
変えたくはないけど、人の生死まではどうしようもないわな。
神でさえも‥。
‥でも、何か引っかかる。ナラフィス先生の言い方が‥「らしい」? ホントは‥違うかもしれないってこと?
ヒジリが呟いた。
ナラフィスによると「そういう調節」は昔からあったらしい。
だけど、今ほど調査の技術なんかが無かったから
悪いことがあると、「神罰が下った」
いいことがあると「神の奇跡」
とか‥ふわっとした言葉で表現された‥ってこと。
「つまり、人智で計り知れないし、人間には何も出来ないことだから‥神の調整っていわれてきた。だけど、それは周期的なもんで、別にイレギュラーな出来事でもないと‥」
ミチルが腕を組んで考える様な仕草をする。
「なら何もしなくても‥なるようになれで任せておいてもいいってこと? 」
ヒジリが首を傾げると、
「あちらさんもそうしてくれたらそうなっただろうね」
ナラフィスが眉を寄せて苦笑いした。
つまり、何もしなかったら悪い様にならないけど、それを「自分の都合のいい様に動かす者」がいれば、‥無事では済まないって話。
「調整って言うのは‥いわば、大きな変化だ。それを乗り切らなければいけない試練とみるか、降ってわいたビックチャンスと見るかは‥人それぞれだよな」
つまり、王国は無事に乗り切りたくって、
反政府組織は「これを利用して国を変えたい‥国の支配者に成り代わりたい」
って思ってるってこと。
「ビックチャンスで済むかどうかすら分かってないのに、人間の欲望ってのは恐ろしいね」
ミチルが呆れ顔で言うと、ヒジリも頷いて
「まあ‥なあ。人間ってのは私利私欲の為に今までも散々自然界に介入して来たよな~。
そのせいでホントは起こらなかった自然災害なんかっが起こったりもして‥だけど、そういうの見てると「神の怒り」ってのもあるんじゃないかなって思うよな」
って苦笑いする。それで「ってことはつまり‥」と首を傾げると
「人間が余計なことしなかったら本来自然界にはイレギュラーなんか存在しないってこと? 」
そういうことじゃない? って「気付いちゃったんだけど! 」って顔をする。
ナラフィスは苦笑いして
「それはないだろ。イレギュラーはいつの時代でも確実に存在する。
そしてそのイレギュラーが起爆剤となって時代を変えたりするじゃないか。
‥悪いイレギュラーだけじゃない」
って、この国の伝説の話をいくつか出して来た。
「デュカとリゼリアの話だってそうだ。イレギュラーだから伝説になった」
あれが史実に残る最初の調整だったのかもしれない。
‥勿論それ以前にもあったんだろうけどね。
「異世界から全く違う価値観やら能力を持つ人間を入れるってのは、最も簡単な方法だろうからね」
ナラフィスの言葉に、そこにいた全員が納得した様子で頷いた。
「変わらないことと変わること‥
変えたいことと変えたくないこと‥」
ポツリとこころに急に浮かんだ言葉をそのまま口にした。
全員の視線がヒジリに集まる。
「変わらないこと変わることについては今急に「これ」っていうのは浮かばないんだけど‥
変えたくないこと‥ってのは一つ浮かんだ。
長男に八割の力、その後生まれた一番初めのリバーシに残りの一割、そして魔法使いに一割。
これは‥きっと神的に変えたくないことなんだろうね」
皆に注目されてちょっと驚きはしたものの‥比較的落ち着いて話すことが出来たのは社会人の経験があったからだろうか?
「‥そうなんだろうね」
ナラフィスが頷き
「だけど、それは王族だけの話だ。庶民にはそういう「きまり」はない」
と付け加え、ヒジリも頷く。
確かに自分は一人っ子だし、両親ともそんなに兄弟が多いわけでは無い。
王族って、結構子沢山だよね。
王族だけ‥
なんとなく、さっき聞いた話が頭に浮かんだ。
サラージとラルシュの父親が長男で八割の力を受け継いでいて、次男のナラフィスの父親は一割の力を受け継いだリバーシ‥。じゃあ‥魔法使いは? 。
そんなヒジリの考えを読んだみたいに、
「父には弟‥僕からしたら魔法使いの叔父さんがいたらしいけど、幼いうちに亡くなったらしい」
ってナラフィスが言った。
そっか‥
そう言う事も‥あるわな‥。当たり前に。
変えたくはないけど、人の生死まではどうしようもないわな。
神でさえも‥。
‥でも、何か引っかかる。ナラフィス先生の言い方が‥「らしい」? ホントは‥違うかもしれないってこと?
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