相生様が偽物だということは誰も気づいていない。

文月

文字の大きさ
51 / 54
六章.迷い、戸惑い

5.夢の代償

しおりを挟む
「は? えええ? 」
 ‥え? なにそれ冗談? 自分の子供にそんな冗談言う? 普通。
「とにかく、こんな話、西遠寺や電話では出来ないから、直接会って話さないといけないって思って」
「ええ!? 」
 桜の表情やらで、さっきからの桜の発言はどうも冗談ではないらしいことが知れて、四朗は混乱を深める。
「だって‥。ごめんなさい。あなたに言ってなかったことがあるの」
 そして、混乱しているのは何も四朗だけではなかった。
 言っている桜本人も、いっぱいいっぱいだった。
 職業柄たくさんの人と接してきたし、色々人とは違う事例に当たることも多かった。しかしながら、人に面と向かって、余命宣告をするようなことは、今までなかった。(危険な除霊云々は、桜の仕事ではないわけだし)
 ましてや、相手は自分の最愛の息子である。
 ‥正確に言うと、最愛の人との息子である。
 別れたとはいえ、その離婚にはちっとも自分の意思なんて考慮されてない。正直言って未練たらたらだ。
 だから、今目の前にいる「あの人」にそっくりな息子を見ていると、胸が張り裂けそうに痛んだ。
 そっくり、だけど、性格は違う。あの人はもっと、「スマート」で女の扱いが上手かった(つまり、天性の女たらしなんだ)。だけど、四朗(息子)は‥。今まで、西遠寺の家で見て来た四朗は‥全然スマートじゃなくって、不器用で女心なんてちっともわかってない‥ジャガイモみたいな「ただの子供」だった。
 正直、再会したときは、かなりびっくりした。
 懐かしいとも、「やっと会えた」とも思わなかった。ただ、「びっくりした」。
 腹心の部下に説明を受けたら‥あんな荒唐無稽な話をだけど、一瞬で理解して「そういうこともあるだろうね」って納得する頭の良さと柔らかさ(と、あと常識のなさ)。流石は西遠寺の直流。流石は私とあの人の「息子」って思った。だけど‥ポカンとした顔で自分を見上げる素朴な表情。顔が顔だから馬鹿面って程でもないんだけどね‥。
 まあ‥
 なに、この間抜け面。エレガントさや、スマートさの欠片もない。
 ‥私が育ててたら、こんなことにはならなかったのに。後妻さんがこんな感じ(純朴)だったのかしら?? この子ホントに相生の仕事出来るようになるの?? (※ 相生の仕事はちょっと「そういうとこ」ある)
 って位は思った。
 そのことに残念な気持ちになった反面‥ちょっとほっとした。
 だって、ホントにそっくりに育ってたら、私はこの子の中にあの人を見てしまい、‥きっと辛くなってた。
 目の前で青ざめてる四朗を見ていると‥なぜかそんなことを思い出した。
 ‥私にも人並みの「子を思う親心」みたいなものがあったのかしら? って思った。(← それは桜の気のせい。どう考えてもそういう感情ではない)
 基本的に桜は四朗(父)が一番で他は結構どうでもいい。
 (そんなことを桜が考えてるなんて思いもしない)四朗が息を飲む。

 俺が‥死ぬ? 
 一体、自分に知らされていない自分の命に係わるようなこととはなんだろう。
 持病とかだろうか。今はそれが発症してないけど、西遠寺一族の遺伝的な病気で、成長したら発症する系の‥?
 ‥好きな子云々ってのは、あれか。「君を残して死ねない」系の「心残り」を持てってこと? 逆にそういうのが無いと精神的にまいって死んじゃうってこと? 
 四朗の背中に嫌な汗が流れた。

 一方桜は、自分をじっと見ている四朗に気付き、「あらやだぼうっとしてたわ」と、はっとなった。
 ‥そうそう次の言葉を言わなきゃいけないのよね。
 そして、ぼうっとしてたことを誤魔化すように、深く息をつき‥厳かな雰囲気で

「四朗。あなたは人間じゃ‥あなたの魂は人間のそれとは違うの」

 って言った。
 よし。ことが重大だから言いにくくてちょっと間が開いた、と思ってもらえたかしら。
「え!? 」
 四朗が目を見開く。
 ‥え? 何急に話が?? 俺が人間じゃない? ‥じゃあなんだよ?? 
 うん? 流石の四朗も驚いたみたい? この子の驚いた顔とか初めて見たわ。‥この子でも驚くことあるんだ。
 流石に‥ちょっと急だったかな。‥どういう言い方したらよかったんだろ。
 桜が眉を寄せて次の言葉を考えていると、
「桜様‥その説明ではわかりかねるかと‥」
 冷静な第三者の声が、桜の言葉を遮った。
 どうやら、離れた処で控えていたらしい。桐江という桜付きの女中だ。
 桐江は、この頃四朗や紅葉の世話をしている菊子の先輩であり、桜にとっては一番信用がおける女中だった。
 そう、あの(桜と四朗(父)の)結婚を手伝った女中だ。
「恐れながら。桜様にはおっしゃりにくいと思いますので私が代わって説明させていただきます」
 桐江の畏まった様子に四朗の表情が更に悪くなる。

「四朗様は、桜様の臣霊だったんです」

 ほら、あなただってそんな説明になるでしょ? 
 桜は、ドヤ顔を桐江に向けた。

「‥は? 」
 四朗が眉を寄せて、桐江を見る。桐江は何度か頷いて「驚かれるのも無理ないです」と呟くと、「説明しますね」と四朗を真っすぐに見つめた。
 だけどその説明は、
御子おこ様の魂が呼べない桜様が御子様を望まれたのです。‥呼べないならば、中にあるものを使うしかなかったのです」
 という、なんのことかさっぱりわからないものだった。
 ‥ちょっとまて、何を言っているんだ? 中にあった、なんだって? そもそも、呼ぶってなんだ?
「魂を呼ぶ? 」
 混乱した四朗はしかしながら、一つずつ聞いて頭を整理しようとした。
 桐江は頷いて
「人間として生まれてきたときには、肉体と精神がありますよね。その精神‥つまり魂は、もともと母体の中に含まれていたものじゃない‥。一人の身体には一人分の魂しか入れませんからね。それはどこかから、呼ばれてきたものなのです」
 って言った。
 母体の中に元々子供の魂はない‥まあ、それはそうだろう。そうだとしたら、一体いつから入ってるんだって話だよね。‥受精した時か? 
 まあ‥とにかくいつか分からないが、胎内に子供の肉体が作られ、その中に子供の魂が宿る。
 その魂は、何者かが「どこかから呼ぶ」。どこだよ‥。それは‥まあ、聞いても仕方がない事なんだろう。
 そんなことは「誰も」分からない。
「誰が呼ぶんだ? 」
 四朗が神妙な顔で聞いた(聞いても無駄だってことは、だけど四朗だってわかってる)
「そうですね。母親の場合が多いですかね。ご両親だったら素敵ですね」
 ふふっと桐江が微笑む。
「‥‥‥」
 四朗はそれ以上の追及は止めた。(何「イイ話みたいな感じ」にしてるんだ‥。四朗ドン引きだ)
 ‥それより。
「ということは‥整理しますね。
 普通の子供の魂は母親なりが呼びこんで胎内の子供の肉体に宿る。だけど「普通じゃない」母さんは子供の魂が呼べない。呼べないから、「中にあるものをつかった」。その中にあったってものが母さんの臣霊であり、‥俺だったってこと? 」
 俺はつまり‥「親に望まれて呼ばれた魂」を身に宿した普通の子供ではなく、身体は母親が作った子供ではあるが、その魂は母親のつくった臣霊‥つまり作りものだっていわれたわけだ。
「‥‥‥」
 あまりに酷くない? 
 俺は途端に白けて、ちらりとその視線を母親に送った。母親のいつもと変わらない白けた表情を見たいって思ったんだ。
 いつも通りの白けた表情で「何言ってんの桐江」っていう言葉を聞きたいって思った。だけど、桜は苦笑いして頷いた。
 ‥え? 

「‥本当はこんな話する気は無かったの。一生ね。しないで済むって思ってた。臣霊はロボットじゃなくって、自分の意思があるから。私の元を離れて自分の意思で動けば、‥きっと普通の子供と変わらない生活をするようになるって‥思ったのよ。
 確かに、最初はちょっと違ったけど、最終的には普通の子供みたいになる‥
 そういうことってよくあるじゃない? ドラマやなんかで‥普通じゃないきっかけで付き合ったカップルが、最後にはホントのカップルになるって言うね? ええと‥あれよ。瓢箪から駒って‥」
 と、桜の口調がまたまどろっこしくなった。
 もう‥黙って。何なの。どうでもいいわ‥。俺は‥偽物ってことね。
 偽物だから、もうすぐ死ぬってことね。
「もうはっきり結論だけ言ってください。俺は、偽物だから‥世の道理に合わないから長くは生きられないってことなんでしょ? ‥それで、いつ死ぬんですか? 」
 諦めたように大きく息を一つはくと、四朗が桜を見た。
「何諦めてるのよ! 生きる努力しなさいよ! 私は貴方をそんな子に育てた覚えはないわよ!? 」
 桜が四朗を睨む。だけど、四朗からしてみたら「俺は貴女に育てられた覚えはないんだが」って感じなんだ。
「どうしろって言うんです」
 四朗がため息をつく。
 桜は怒りの為、かっと顔を赤らめて、
「臣霊の本質とは! マスターの指令を守ること。それが臣霊の生きる意味なの。臣霊にとってマスターが総てだから。だから、守るの。命令じゃなくって、臣霊にとってマスターが総てだから守るの。
 貴方は私の臣霊だったけど、私の胎内から「私の子供」として生まれた。
 その地点で貴方は「完全なる臣霊」じゃなくなった。
 だから、貴方は貴方の‥貴方自身で貴方のマスターを見つけなさい。 
 これから先、貴方が命をかけて守りたいって思えるマスターを見つけなさい! 
 ってか‥
 見つけないと死ぬわ! 」
 と、叫んだ。
 自分でも信じられない程、腹が立った。
 目に、ジワリと涙が浮かんできたのが分かり、桜は慌ててそれを手の甲で乱暴に拭った。
 自分の母親の口からはっきりと聞かされた余命宣告に、四朗の心臓が一つ‥どくんと強く鳴った。
 さっき自分でも言ったことなのに、‥人から聞かされると更に真実味が増し、「それが真実だ」と自覚させられた。
「‥今は貴方を育んできた周りのみんなの愛情だとかで、辛うじて生かされている。だけど、あなた自身の精神力は余りにも儚い」
 桜は四朗の横に来て、その肩に顔を伏せた。
 桜は普段なら(冗談だって)そんなことする人間じゃない。四朗だって通常時なら「ちょっとなんですか」って迷惑そうに払いのけるだろう。だけど‥今はそんな時ではない。
 若干煩わしそうにしながらも、四朗は桜をそのままにしてあげた。
 ‥親孝行って奴だ。
 桜は、ぼそぼそと話を続ける。
「離婚して、貴方とマスターである私が離れる際に、貴方には自分が臣霊であるという記憶を封印する措置をとったの。
 貴方は私の臣霊であるが故、私以外に誰にも心を開くことがない‥そう思ったから。そうして、貴方自身で学び、周りの人々から愛情を受けて、人格をつくっていく過程で貴方の封印を徐々に解いていく。そう決めてた。あの時、貴方を呼んだ目的はそれもあったのよ」
 まるで、懺悔をするみたいに、はじめは淡々と、そして徐々に苦しげにその表情を曇らせながら桜は話し始めた。その間、桜の顔は(見かけは紅葉の顔)はずっと、四朗の肩にうずめられたままだった。
「ホントはね、‥十歳の時会ったら、その時には私(旧マスター)以外の誰か大事な人が出来てるかも。‥そう思ってたの。だけど、なかった。その後も‥貴方はまるで何もかも悟ってるみたいに‥淡々と毎日を過ごしていた‥。貴方はホントに誰に対しても一定以上近づくことをしなかった」
 四朗の肩にかかる体重が少し重くなり、四朗は目線だけ桜を見た。桜の顔は伏せられていて、四朗にはその表情はわからなかった。
 四朗はそれを黙って聞いていた。目の前で苦しむ桜に手を差し伸べることはしなかった。「大丈夫? 」と心配することもまた、しなかった。「俺は大丈夫ですよ」と安心させることも、また。
 桜を心配する気持ちは少し、自分の胸を占める感情の大部分は‥そこまでする義理はない‥だった。
 ホントは怒って、罵倒したっておかしくないくらいのことだ。‥だけど、そこまでする気力はなかった。
「それを、貴方はそういう年頃だからだろうって‥私は深刻に考えることをしなかった」
 桜の声は、いっそ、冷淡にも聞こえる程‥静かなものになった。
 懺悔をしてるのかも? ってさっきは思ったけど‥どうやら‥そうでもないらしい。ただ、背負っていた荷物を降ろして楽になろうとしている‥そんな風にも見えた。
 四朗は、今更桜からの「親の愛」なんて期待なんかしない。謝罪も。‥ただ、桜の話がどこに行きつくのか、自分はその上でどうすることが望まれているのか、と冷静に聞いていた。
 心臓は煩いほどに鳴っているのに、反対に心は静かだった。
 体中のすべてが耳になったように、自分の心臓の音と桜の声だけが聞こえていた。
 そして、少しの沈黙の後、ポツリと漏らされた‥肩に吸い込まれた桜の言葉。

「でも、違ってた。貴方は‥人を愛するこころを知らないんだ。‥私のせいで」

 ああ、そうか。俺には愛情という感情がなかったんだ。だから、今まで「好き」って感情がわからなかったんだ。
 何故ならば、普通の人間じゃないから。
 普通の人間なら当たり前に知り得る感情を‥俺は知らなくても「当たり前」なんだ。なるほど、それがわかってよかった。
 だけど‥それは「俺のせい」ではない。俺が冷淡な人間だから知らないんじゃない。
 ‥母さんのせいで、俺は「知り得ない」んだ。仕方がないことだったんだ。
 澄み切った心でそれを理解したら、それだけで、今までの罪悪感から解放された気がした。
 今までずっと、罪悪感を感じていた。家族や友人から愛を与えられてもそれが理解できなかった。愛を返すことが出来なかった。‥自分が酷く冷酷な人間に思えて辛かった。だけど‥それは俺のせいじゃなかったんだ。
「‥貴方‥貴方の元になった臣霊を「作った」時の私は余りにも潔癖過ぎて‥臣霊に尊敬の念以外の感情‥例えば、恋愛感情を持たせることを良しとしなかった。
 それどころか、性別‥外観上の性別さえ与えようとしなかった。
 貴方が‥男性器を持たずに生まれたのも‥多分そのせい」
 だけど、桜は「その時のこと(のちに四朗になる臣霊をつくったときのこと)」を忘れていた。そして、その臣霊を核(魂)に持つ四朗もまた、恋愛感情を持たずに生まれて来た。
 四朗が今後生きていくためには、‥新たなマスターを見つけるしかないというのに‥。
「尊敬する人じゃダメなんですかね」
 少しの沈黙の後、肩越しに聞こえた息子の声は‥拍子抜けするほど、いつも通りだった。(さっき、長年の「もやもや」から解放されたから、びっくりするほどスッキリしてるんだ。四朗は基本単純であっさりしている)
「☆」
 ‥全くこの子ったら‥
 拍子抜けしたら、なんだかいつまでもこうしてるのがバカみたいに思えて来た。
 桜は、ふう‥と小さく息を吐いて苦笑いして、
「尊敬するってだけの人に命までかけられる? でも、もしそうだというなら‥いいんじゃない? 貴方が命までかけられるって思えば‥いい‥」
 そう言って、四朗の肩から頭を上げた。
 そして、自分の涙のせいでしんめりした四朗のシャツの皺をちょっと払って、すたすたと無言で四朗から離れた。
 予想外の母親の行動に、ポカンと四朗が桜を見る。桜は、小さく深呼吸して息を整えると、
「いい? 四朗今すぐつくなさい。愛する人でも尊敬する人でもいいから。
 貴方が命をかけてでも守りたいって人を‥! 」
 険しい表情でびしっと四朗を指さして、言った。
 やっぱり紅葉の姿で‥
 ふふ、
 四朗は、思わず笑いがこぼれた。
 ‥こんなことそんなポーズで言う紅葉ちゃん見たことないぞ。
 そんな場合じゃないのに‥だけど、そんな風に思った。

 あの頃の私は、只がむしゃらに、あの人(四朗父)のことだけが好きだった。
 あの人との子供が欲しいって思った。
 その結果‥四朗は‥

 夢の代償を一方的に押し付けた四朗に対して、謝罪の気持ちはある。だけど‥後悔はしてない。きっと、何回やり直しても、自分はそうしただろう。
 自分の人生におけるたった一つの我が儘‥今までの自分の人生は、その為のものだったって思えるし、‥結婚して四朗が生まれたという「事実」それだけが今後の自分が生きていく唯一の意味だとも思える。
 たった一つ手に残った唯一の結晶。それが四朗だから。
 自分とあの人との子供。それ以外の意味はない。
 自分は冷たい母親だ。子供に対する愛情も‥きっと他の母親に劣るだろう。
 ‥だけど、ただ‥四朗には生きていてほしいと思ったのは、あの人の息子だからじゃなく、まして自分の子供だからではなく‥四朗だからだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...