Happy nation

文月

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八章 明日へ

12.フミカの兄弟は、フミカの子供より年下なんだってさ。

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 夏は‥、あっという間に夏が来たから忘れてたよ‥。
 いや、違う違う。嘘嘘。忘れてたんじゃない。
 ‥あ、違う、それも、違う。
 でも、忘れちゃうほど忙しかったってわけでもない。だから! 気を遣わないで! ‥忙しくなかったかって言われたら微妙だけど‥でも、それ程じゃない。
 ‥あれだ。‥こっちの夏は過ごしにくいよ。

「サカマキさん、夏嫌いだったもんね」

 くすくすって桜子が笑った。
 ‥うん。そうなんだ‥ごめん。(桜子は‥そりゃ知ってるよね‥)
 ああそうだ。俺ね、引っ越ししたんだ。(‥話、変えちゃおう)

「引っ越ししたんだね! 新居? アララキさんと一緒に住んでるの? 」

 ‥桜子、生温かい顔で見ないでくれ。

「アララキさん喜んでるだろうな~って思って。アララキさん、サカマキさん大好きだもんねぇ」

 桜子がうっとりとした顔で、何かを想像している。(きっと、新妻loveなアララキを微笑ましいとか思ってるんだろう。でも、あれは‥微笑ましいってレベルじゃないぞ。‥鬱陶しいから、話題にもしたくないが‥)
(‥想像に難くないだろうが、ベタベタっぷりが子供のころ一緒に住んでた時の比じゃない。おはようおやすみのちゅーどころじゃない。お帰りのちゅーや行ってらっしゃいのちゅーを要求されたりしてるぞ!! お帰りも行ってらっしゃいもほぼ二人とも同じ時間じゃないか!! しかも、城から俺が帰るのを待ち伏せしてたりするぞ? )
 ‥うん。昔住んでた村にね、戻った。
 俺たちが戻る場所は‥あそこしかない‥しね。
 皆変わらなくてさ。‥子供の時に戻ったみたいだよ。父さんや母さんたちも喜んでくれた。兄妹たちは村の外に出てたりして、村に残ってる者は少なかったけどね。‥でも、残ってる子たちは‥喜んでくれた。
 アララキが王様だって、全然お構いなしなの。
 なんか、それが嬉しかった。

「ご両親? 」

 ん? ああ、育てのね。村の大人は皆父さんや、母さんみたい代わりに子供の事育ててくれた。俺の村はね、孤児が多かったんだ。多かったというか‥父さんたちがほっとけずに拾って来たり、誘拐された子供を助けて、‥引き取り手が現れずにそのまま‥とかね。

「誘拐された子供を親が引き取りに来ないの!? 」

 桜子は「信じられない! 」って顔してる。そうだよね。日本じゃ考えられないよね。
 あっちはね、そんなんじゃないんだ。
 よっぽど金持ちだったり、腕に自信があったりしない限り普通の親は諦めるね。
 だって、誘拐犯は凶悪なんだもの。そんなことばっかりしてるから、慣れてるしね。
 それにね、子沢山で、「一人くらいいいか」って親は多いよ? 子供を育てるのもお金がかかるからね。まあ、‥誘拐される子供は「利用価値がある」子供が多いんだけど、「そういう風に子供を利用する予定がない」子供なら、いらないか‥ってなる親もおおいぞ。

「そう言う風? 」

 うん? ああ、大概誘拐される子供っていうのは、娼館に売られる様な「見目のいい」子供が多いんだ。変態貴族に売ったりね。そういう方が、お金になるからね。だけど、農村で利用価値があるのは「見目のいい子供」じゃなくて、力が強くて働き手になる子供だ。だから、将来力仕事の戦力にならない様な子供だったし、いいかって‥そういうこと。

「酷い‥」

 ‥貧しい村なんてそんなもんだよ。誘拐されなくても、はしたな金で売りに出してたかもしれないしな。育てる金を思えばね。

「‥‥サカマキさんも、誘拐されて‥助けられたの? 」

 いいや、俺は、森に捨てられてたところをカツラギとアララキに拾われたんだ。それで、サカマキが「僕がちゃんと面倒みるから、この子がご飯を自分で見つけてこれるまで、僕のご飯を分けるから」って。

「‥なんか‥」

 捨てられたペットみたいだって思った? 間違いじゃないっよ。あの時の俺は、鳥型だったんだ。鳥型の‥幼体。つまり、ひよこだな。

「鳩の? 」

 いいや、桜子が思ってる様な大きさじゃないよ。鳩型じゃないし、そもそも小さくはない。もっと大きいんだ。桜子は見たことないよね。獣型の俺。

「ない。見たかったなあ」

 あ~。ここで、そっくりな生き物に出会ったよ。‥俺より大分小さかったけど。

「そっくり? ‥何?」

 鶏だって、桜子が教えてくれたじゃない。‥あの鳥。

「似てるの?」

 そっくり。‥なんだよ、笑うなよ。

「ごめんね~。(鶏見た時凄く驚いてたのはそのせいなんだ‥)新居は、その村の‥昔住んでた家? 」

 いや、あそこは皆の家だから。結婚したら出ていくんだ。
 近くに‥だけどね。

「フミカちゃんも一緒に? 」
 
 うん、フミカも気に入ってくれたよ。「いい村だな」って。

「今は‥フミカちゃんは一緒に住んでないの? (フミカちゃんは結婚したんだよね)」

 フミカは、ナツカと同郷だし。生まれ故郷に帰ったよ。

「そっか。遠い? 」

 遠いな。徒歩で移動したら、二日はかかるな。ナツカは(移動)魔法を使えないから。
 だから、荷物がいっぱいのる自転車っぽい魔道具をつくってプレゼントしてやった! 自動車っぽいのだと、乗るのに魔力がいるから、ナツカは魔力がそうないから‥魔石を使ったりとか面倒だしな。今では自転車、ちょっとしたブームだよ。金持ちや魔法使い相手には自動車やバイクを売り出す予定なんだ~。ガソリンで動かすんじゃないから、大気汚染の心配も無いよ☆

「いいね~。出来たら、サカマキさんも乗ったりする? 」

 いいや? 転移魔法使えるから。‥アララキも俺も普通に使ってるから、誰でも使えるっておもってるかもしれないけど、あれってなかなか高等魔法なんだぞ。ほら、俺って大魔法使いだし。アララキは‥、俺ほどじゃないけど、結構魔力高いし、魔法の才能あるしな。

「凄いね! アララキさんってなんか完璧って感じだね。オールラウンダー? 」

 器用貧乏って感じかな、俺からしたら。どれも全部、活かしきれてない。

「厳しいね。それはそうと、今現在お仕事はどうしてるの? 」

 まさか、引退? って呟くなよ‥。そんなわけないだろ。別に故郷に帰って住んでるからって隠居したわけじゃないよ。
 アララキは王様だし、俺も王都勤務だし、毎日長距離通勤だよ。いや、まあ‥転移の魔法を使ったら直ぐだからね。同じ王都とはいえ職場が違うから別々に転移魔法つかうんだけど‥この頃は、アララキが過保護になっちゃって‥俺も一緒に転移させるって‥それどころか仕事を休めってうるさいんだ。
 フミカもいるし初めての事でもないし、大丈夫だのにね。今回は前回とは違うって聞かないんだ。前回は、核があったからね。
 (‥今回は、初めての正真正銘、「二人の子供」だ。でも、フミカと区別する気はない。どっちも、俺たちの大事な子供だ。って話は、わざわざ桜子にはしないけどね~)

「え? それって? 」

 桜子がぱっと顔を輝かせた。
 ‥うん、3か月だって。で、フミカが「兄弟の方が自分の子供より早く生まれてくるね」って言ってたよ。

「ええ! おめでと~! それに‥フミカちゃんもってこと?! え~! フミカちゃんにも直接お祝い言いたかったけど、初めてだし、あんまり無理しない方がいいよね。フミカちゃんに伝えてねぇ。おめでとうって」

 ん。伝えとく。あそこの旦那さんは、アララキより過保護だから、今回もフミカは来たがったんだけど、身重なのに、転移魔法で何かあったら困るって反対してさ。

「何があるかわかんないから、不安なんだよね。なんだか気持ちわかる」

 でも、フミカの時に大丈夫なのは立証済みなんだけどね~。

「‥というか、もしかじゃないけど‥サカマキさんも反対されたんだよね? アララキさんに。‥だから、今鳩型なんだよね? アララキさんに内緒で、こっそり‥来たんだね? 」

 ‥‥‥。

「あはは。ホント、無理しないでね。‥でも、皆幸せそうで良かった」

 うん。‥幸せだよ。

「幸せなのが一番だよね」

 翔は‥どう考えてるんだろう。
 この部屋の隅で、興味なさそうに新聞読んでる振りをして、でも、こっちの話を聞いてる‥のは分かってる。
 今は、大学生だけど、卒業後は‥

 翔はどうするんだろう。‥どうしたいんだろう。
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