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26.作戦会議(side 梛木)
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「おはよう。柊さん。
梛木、ほらお握り」
柊の兄ちゃんと一緒にキッチンに行く。
俺はいつも通り、楠からお握りを受け取る。
柊の兄ちゃんはそのまま台所横のユニットバス内にある洗面所に向かって顔を洗い歯磨き‥するんだけど、今日はじっと‥じとっと? 楠の顔を見てから洗面所に。
「? どしたの? 柊さん」
俺に聞く。俺は苦笑いして
「朝から絡まれたよ。明け方まで楠と話してたようだけど‥って」
って教えてあげた。楠は苦笑いして
「え~結構声聞こえるんだね。悪いことしたな~。うるさくて寝れなかったのかな‥。謝っとこう」
って言った。
いや、そんなことないと思うよ? 結構聞こえないと思うよ? あの人の耳がいいだけだと思うよ!? いや、楠に対することだから‥かな?
‥こわ~。
寝言とか聞かれてそうだな‥。楠がもし‥寝言で他の奴の名前とか言った日には、(寝言でよばれた奴)こっそり消されたり‥とかしないよな?? 柊の兄ちゃん、彼氏になったら、絶対ヤンデレとかになるの必然‥!!
‥分かってましたけど~。
「いや、気配じゃない? 家にいる時もさ、家族が寝静まった後水飲みたいな~って台所に降りて行ったら、妹が両親と寝てる部屋から何となく人の気配を感じたもんだよ」
って、一応フォローしておいてあげた。
(が、このフォローは良くなかったようだ。楠が‥しんみりしてる! いや、全然気にしてないよ?! 思い出して嫌な気持ちになった‥とか、全然ないよ!? )
「う~ん。そういうことかな‥。でも、今度からは気をつけよ‥」
って楠が言った瞬間、いつもと違って前髪をかき上げたキラッキラの柊の兄ちゃんが
「俺もいれてよ」
って話に入ってきた。
「俺が聞いてもいい話なら‥だけど」
って、砂糖ぶっかけたシャインマスカット(イチゴじゃない。あれは、‥シャインマスカットだ)みたいな甘ったるい(だけど、爽やか~な)微笑を楠に向ける。なに本気出して口説いてるのさ!!
間違いなくイケメンだけど、ゾワッと来たぞ! 女子相手ならまだしも、俺は男だし‥そもそも子供だからな!!
子供に色気は通じない。俺がもっと子供子供した子供だったら「きっしょっ! おえ! 」って言ってたぞ。だけど、俺はアレだ。子供だけど‥紳士な男だ。スベリまくった「可哀そうな男」をスルーすることが出来る、優しい紳士だ。
だったのは、僕だけじゃなかったらしく、サムイボが出た腕を擦りながら楠が
「ああ‥そ‥そうだね。じゃあ、柊さんも一緒に」
って言った。
笑顔が引きつってる。めちゃ、我慢して作り笑いしてる(俺の方がスルースキルが高いな! )
‥やっぱり、全然ダメじゃん!! 柊の兄ちゃん!! www
相手にされてないよ!! ww
「でも、今は朝食食べて仕事行こうね」
(気を取り直して)笑顔で楠が言って、その話はいったん脇に置かれた。
そんなこんなで、作戦会議はその日の晩から決行されることになった。
俺たちは昨日の紙を机に置いた。内容は、
① 開拓の方法としての『八卦合わせ』‥ここで、「才能があるユーザー」(つまり適応者)を見つけたい。(← これが一番の目的)
② 裏返された①で決まった自分の「卦」の1~10までのレベルの書かれたカードを一枚引き、レベルを決める。
③ 卦とレベルで「興味をひく様な」キャラクターを割り当てる。(← いわばオマケ)
④ 一般のユーザーについては、普通にゲームで遊んでもらう。(← いわばオマケ)
⑤ 特別「才能があるユーザー」も、②と同様にレベルを決めるんだけど、その時のレベルは11~20のレベルが書かれている。
⑥ 才能があるユーザーは一般のユーザーとは別のステージを用意する。そこで、チャットなんかを通してその人の人となりを調べる。(← これは「出来たらいいな」って希望。‥なかなか、チャットじゃ人となり分からんよね)
だ。初見となる柊の兄ちゃんは楠から渡された紙を「ふーん」って言いながら目を通している。
「昨日のカルタと俺が言ってた話を参考にしたの? 」
って俺に聞く柊の兄ちゃんに楠が
「ごめん! 梛木から柊さんのお家の話とか‥ちょっと聞いた」
って謝ってた。柊の兄ちゃんはそんなことで怒らないって。それどころか「聞いて欲しい」って言ってたし。
柊の兄ちゃんを見ると
「楠に聞かれて困ることなんて何もないよ。‥寧ろ、何でも聞いて欲しい。楠になら何でも‥何でも教えてあげる。それに、俺も楠の事何でも知りたいな」
って楠の手を取りながら嬉しそうな顔してる。(柊の兄ちゃん。俺と話すときと顔つきが違うの。ホント、アンタその顔! なんて表現すればいいかわかんないけど、アレだ。スケベオヤジっての? そんな感じ。イケメンオーラで隠してるけど、俺は見破ってるよ!? 「楠逃げて~」って言いたくなるよ‥)
そもそも‥
なんで「何でも」を2回言った? って話だよ。
俺の総てを教えてあげる♡(性的に)とか‥子供の前でする話じゃなくない?? それ‥児童虐待だよね?? 行動だけじゃなく、言葉も虐待になるのよ?? (あ。俺が深読みしてるだけか☆)
楠が苦笑いしてる。楠は絶対俺みたいな深読みしてない。普通に強調しただけだって思ってる。だって、楠はびっくりするほどそういうことに疎いから。
単純に「何でも聞いて欲しい」って言われたとしか思ってない。だけど、別に何が知りたいか‥とかないから困っている。確かに急に言われても困るよね。
「うん、わかった。ありがとう」
って‥(取り敢えずな)答えにもなるよね? 無難な答えだよ。
なのに‥
柊の兄ちゃんは‥
目をキラキラさせて「何でも聞いて」「今すぐ聞いて」オーラ出してる。
いや‥ホントやめてあげて‥。
「今は何か辛いことはない? 」
楠が困り顔で「取り敢えずなにか」聞いた。
柊の兄ちゃんはふふって笑って、「今は楠が居るから幸せ。昔のことなんて‥どうでもいい。忘れた」って言った。‥単純で羨ましい。俺の表情は抜け落ちてるよ!
楠は、だけど、
「そっか」
って優しく微笑んだ。
思わずつられて微笑んだ俺。柊の兄ちゃんは‥
「他には? スリーサイズ? は‥聞くより実際に見た方がいいと思う」
‥暴走している。ホント、楠を前にしたらアンタただのヤバい人だよ‥。てか、どうせアンタのガリッガリのボディなんて見ても寒々しいって思うだけだよ(多分)。「骨が刺さりそう」って思われるのがオチだよ。それとも「可哀そう‥」って同情されるのが狙いか?? ホント、手段選ばないよね。(← 梛木は柊が実家で武道その他で鍛えてて実は隠れマッチョなのを知らない。そして、勿論楠もそんなこと知らない。梛木と同じ様にひょろひょろだと思ってる‥どころか、「強く突いたら倒れそう」とすら思い心配している)
暴走する柊の兄ちゃんは、俺が張り倒しておきました。
「話が進まないから、交流&質問コーナーはまたの機会ということで」
俺が仕切り直して、作戦会議が再開された。
「まず①番。
特別なタイプを見つけるために、八枚選ぶ方にするか、スロット方式で選ぶ方にするか? だけど、俺はやっぱり八枚選ぶ‥が捨てがたいんだよな。特別感があるし‥何より絵面が派手でしょ? 」
は、俺の意見。
遊び心も刺激しないとね。
「だけど問題は‥」
「コンピュータが選んだんじゃんって思うってことだよね? 」
問題点を言いかけた楠に、柊の兄ちゃんが被せる様に言った。
楠が頷くと、柊の兄ちゃんが
「スロット方式でいいんじゃないか? 一回じゃなくて二回すればいいんだよ。一回目ならたまたまかもしれないけど、二回ともたまたま同じ‥ってそうないと思う。きっとその人は、特別にその卦がつよいんじゃないか‥? って話になる」
って提案した。
成程。いいかも。
俺は「いいかも」って口に出して柊の兄ちゃんに同意の意を示した。柊の兄ちゃんはまた小さく頷くと、
「だけどその判断は「調査側」のものだけがして、ユーザーにはそのことは言わない。普通に、第二段階の検査「レベルを調べる」に移る」
と言葉を続ける。
楠は? ってちらっと見ると楠は
「二回やるとまるで64卦みたいだね」
って言った。
「うん。でも、まあ‥その人の本質はあくまで一つだ‥と思う。それが強いか弱いかだけの違い‥つまり、ゲーム的に言うとレベルが高いか低いかの問題? 俺はゲームなんてしたことがないからよくわからないけど」
って柊の兄ちゃんが言う。
と、その時
僕たち三人ともが「ゲームなんて今までしたことがない」人生を送ってきたことに気付いたのだった。
‥なんか、いろいろと‥始める前から問題しかなくない??
梛木、ほらお握り」
柊の兄ちゃんと一緒にキッチンに行く。
俺はいつも通り、楠からお握りを受け取る。
柊の兄ちゃんはそのまま台所横のユニットバス内にある洗面所に向かって顔を洗い歯磨き‥するんだけど、今日はじっと‥じとっと? 楠の顔を見てから洗面所に。
「? どしたの? 柊さん」
俺に聞く。俺は苦笑いして
「朝から絡まれたよ。明け方まで楠と話してたようだけど‥って」
って教えてあげた。楠は苦笑いして
「え~結構声聞こえるんだね。悪いことしたな~。うるさくて寝れなかったのかな‥。謝っとこう」
って言った。
いや、そんなことないと思うよ? 結構聞こえないと思うよ? あの人の耳がいいだけだと思うよ!? いや、楠に対することだから‥かな?
‥こわ~。
寝言とか聞かれてそうだな‥。楠がもし‥寝言で他の奴の名前とか言った日には、(寝言でよばれた奴)こっそり消されたり‥とかしないよな?? 柊の兄ちゃん、彼氏になったら、絶対ヤンデレとかになるの必然‥!!
‥分かってましたけど~。
「いや、気配じゃない? 家にいる時もさ、家族が寝静まった後水飲みたいな~って台所に降りて行ったら、妹が両親と寝てる部屋から何となく人の気配を感じたもんだよ」
って、一応フォローしておいてあげた。
(が、このフォローは良くなかったようだ。楠が‥しんみりしてる! いや、全然気にしてないよ?! 思い出して嫌な気持ちになった‥とか、全然ないよ!? )
「う~ん。そういうことかな‥。でも、今度からは気をつけよ‥」
って楠が言った瞬間、いつもと違って前髪をかき上げたキラッキラの柊の兄ちゃんが
「俺もいれてよ」
って話に入ってきた。
「俺が聞いてもいい話なら‥だけど」
って、砂糖ぶっかけたシャインマスカット(イチゴじゃない。あれは、‥シャインマスカットだ)みたいな甘ったるい(だけど、爽やか~な)微笑を楠に向ける。なに本気出して口説いてるのさ!!
間違いなくイケメンだけど、ゾワッと来たぞ! 女子相手ならまだしも、俺は男だし‥そもそも子供だからな!!
子供に色気は通じない。俺がもっと子供子供した子供だったら「きっしょっ! おえ! 」って言ってたぞ。だけど、俺はアレだ。子供だけど‥紳士な男だ。スベリまくった「可哀そうな男」をスルーすることが出来る、優しい紳士だ。
だったのは、僕だけじゃなかったらしく、サムイボが出た腕を擦りながら楠が
「ああ‥そ‥そうだね。じゃあ、柊さんも一緒に」
って言った。
笑顔が引きつってる。めちゃ、我慢して作り笑いしてる(俺の方がスルースキルが高いな! )
‥やっぱり、全然ダメじゃん!! 柊の兄ちゃん!! www
相手にされてないよ!! ww
「でも、今は朝食食べて仕事行こうね」
(気を取り直して)笑顔で楠が言って、その話はいったん脇に置かれた。
そんなこんなで、作戦会議はその日の晩から決行されることになった。
俺たちは昨日の紙を机に置いた。内容は、
① 開拓の方法としての『八卦合わせ』‥ここで、「才能があるユーザー」(つまり適応者)を見つけたい。(← これが一番の目的)
② 裏返された①で決まった自分の「卦」の1~10までのレベルの書かれたカードを一枚引き、レベルを決める。
③ 卦とレベルで「興味をひく様な」キャラクターを割り当てる。(← いわばオマケ)
④ 一般のユーザーについては、普通にゲームで遊んでもらう。(← いわばオマケ)
⑤ 特別「才能があるユーザー」も、②と同様にレベルを決めるんだけど、その時のレベルは11~20のレベルが書かれている。
⑥ 才能があるユーザーは一般のユーザーとは別のステージを用意する。そこで、チャットなんかを通してその人の人となりを調べる。(← これは「出来たらいいな」って希望。‥なかなか、チャットじゃ人となり分からんよね)
だ。初見となる柊の兄ちゃんは楠から渡された紙を「ふーん」って言いながら目を通している。
「昨日のカルタと俺が言ってた話を参考にしたの? 」
って俺に聞く柊の兄ちゃんに楠が
「ごめん! 梛木から柊さんのお家の話とか‥ちょっと聞いた」
って謝ってた。柊の兄ちゃんはそんなことで怒らないって。それどころか「聞いて欲しい」って言ってたし。
柊の兄ちゃんを見ると
「楠に聞かれて困ることなんて何もないよ。‥寧ろ、何でも聞いて欲しい。楠になら何でも‥何でも教えてあげる。それに、俺も楠の事何でも知りたいな」
って楠の手を取りながら嬉しそうな顔してる。(柊の兄ちゃん。俺と話すときと顔つきが違うの。ホント、アンタその顔! なんて表現すればいいかわかんないけど、アレだ。スケベオヤジっての? そんな感じ。イケメンオーラで隠してるけど、俺は見破ってるよ!? 「楠逃げて~」って言いたくなるよ‥)
そもそも‥
なんで「何でも」を2回言った? って話だよ。
俺の総てを教えてあげる♡(性的に)とか‥子供の前でする話じゃなくない?? それ‥児童虐待だよね?? 行動だけじゃなく、言葉も虐待になるのよ?? (あ。俺が深読みしてるだけか☆)
楠が苦笑いしてる。楠は絶対俺みたいな深読みしてない。普通に強調しただけだって思ってる。だって、楠はびっくりするほどそういうことに疎いから。
単純に「何でも聞いて欲しい」って言われたとしか思ってない。だけど、別に何が知りたいか‥とかないから困っている。確かに急に言われても困るよね。
「うん、わかった。ありがとう」
って‥(取り敢えずな)答えにもなるよね? 無難な答えだよ。
なのに‥
柊の兄ちゃんは‥
目をキラキラさせて「何でも聞いて」「今すぐ聞いて」オーラ出してる。
いや‥ホントやめてあげて‥。
「今は何か辛いことはない? 」
楠が困り顔で「取り敢えずなにか」聞いた。
柊の兄ちゃんはふふって笑って、「今は楠が居るから幸せ。昔のことなんて‥どうでもいい。忘れた」って言った。‥単純で羨ましい。俺の表情は抜け落ちてるよ!
楠は、だけど、
「そっか」
って優しく微笑んだ。
思わずつられて微笑んだ俺。柊の兄ちゃんは‥
「他には? スリーサイズ? は‥聞くより実際に見た方がいいと思う」
‥暴走している。ホント、楠を前にしたらアンタただのヤバい人だよ‥。てか、どうせアンタのガリッガリのボディなんて見ても寒々しいって思うだけだよ(多分)。「骨が刺さりそう」って思われるのがオチだよ。それとも「可哀そう‥」って同情されるのが狙いか?? ホント、手段選ばないよね。(← 梛木は柊が実家で武道その他で鍛えてて実は隠れマッチョなのを知らない。そして、勿論楠もそんなこと知らない。梛木と同じ様にひょろひょろだと思ってる‥どころか、「強く突いたら倒れそう」とすら思い心配している)
暴走する柊の兄ちゃんは、俺が張り倒しておきました。
「話が進まないから、交流&質問コーナーはまたの機会ということで」
俺が仕切り直して、作戦会議が再開された。
「まず①番。
特別なタイプを見つけるために、八枚選ぶ方にするか、スロット方式で選ぶ方にするか? だけど、俺はやっぱり八枚選ぶ‥が捨てがたいんだよな。特別感があるし‥何より絵面が派手でしょ? 」
は、俺の意見。
遊び心も刺激しないとね。
「だけど問題は‥」
「コンピュータが選んだんじゃんって思うってことだよね? 」
問題点を言いかけた楠に、柊の兄ちゃんが被せる様に言った。
楠が頷くと、柊の兄ちゃんが
「スロット方式でいいんじゃないか? 一回じゃなくて二回すればいいんだよ。一回目ならたまたまかもしれないけど、二回ともたまたま同じ‥ってそうないと思う。きっとその人は、特別にその卦がつよいんじゃないか‥? って話になる」
って提案した。
成程。いいかも。
俺は「いいかも」って口に出して柊の兄ちゃんに同意の意を示した。柊の兄ちゃんはまた小さく頷くと、
「だけどその判断は「調査側」のものだけがして、ユーザーにはそのことは言わない。普通に、第二段階の検査「レベルを調べる」に移る」
と言葉を続ける。
楠は? ってちらっと見ると楠は
「二回やるとまるで64卦みたいだね」
って言った。
「うん。でも、まあ‥その人の本質はあくまで一つだ‥と思う。それが強いか弱いかだけの違い‥つまり、ゲーム的に言うとレベルが高いか低いかの問題? 俺はゲームなんてしたことがないからよくわからないけど」
って柊の兄ちゃんが言う。
と、その時
僕たち三人ともが「ゲームなんて今までしたことがない」人生を送ってきたことに気付いたのだった。
‥なんか、いろいろと‥始める前から問題しかなくない??
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