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担当者さんが途中経過を見て、ダメだししてきました。
11.今世はいっぱい考えるんです2。(まだまだ8回目)
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16歳から街で働いている。
昼間は食堂、夜は飲み屋の給仕だ。(両親と兄たちには食堂のことしか言っていない。飲み屋の給仕をしているっていったら、きっと反対されるだろうから‥)
両親や兄たちは心配するだろうが、あたしは全然心配されるような目にあったことはない。
男受けしない平凡な‥ちょっとブス寄りの顔と凹凸の少ない「魅力的ではないボディー」だからだ。
だけど人間。
人間だから謂われのない差別を受けることはなかった。(だが、人間だけど、顔がこれだからだろう)アプローチを受けることもなくこの年になった。
飲み屋だから、客も酒が入って気が大きく成ることもあるだろうが‥それでも「そういうお誘い」はない。綺麗なお姉さんがお望みなら、「そういう」飲み屋に行く。ここは「安くて、夕飯も食べられる食事屋の延長」みたいな所だ。冒険者が仕事帰りに寄ることも多く、獣人の客が多いことも特徴だ。
その為にここで働いてる。
食堂は人間しか利用していないから。
獣人は‥特に、冒険者等力仕事に従事にしている若い獣人は、昼間は街に居ず、夕食を食堂(飲み屋)で済ませることが多いのだ。
だから、そういう人たちと出会いたいあたしがここで働くというのはとても理にかなってるってわけ。
給料なら、仕送りの分を引いても昼間の食堂の分で十分事足りている。
ここ(飲み屋)は丁度、あたしが前世で働いていた職場と同じだ。
獣人だからって差別したりしない。
どころか、ここは金払いのいい獣人たちこそが売り上げのメインといっても過言ではない。
彼らは、稼ぎもいいし、よく食べるから(あと、お酒が強い人が多いね)
客もそのことを知っているから、ローブやら帽子をかぶっている彼らを獣人だって分かっているが、差別したりしない。(そんなことが知れたら、最悪店長に出禁になったりするだろうから)
そんなこんなで最初は「気になるけど触れちゃダメな問題」って思ってた他の客も、今では彼らとすっかり普通の友だちだ。
やっぱり、人間ハートだよねって思う。
彼らにとってあたしは只の店員。
それ以上でもそれ以下でもない。
んだけど‥
この頃実は気になる彼がいる。
彼は獣人の冒険者なんだ。強さとかは‥知らないけど、獣人特有の筋骨隆々な身体から「なんか強そう」って感じする。
名前は、リンドルさん。
兎に角‥
顔がいい。
凛々しい眉毛、涼し気な目元、意思の強そうな‥鋭いシルバーの瞳。すっと通った鼻筋、薄い唇。チョット硬めの髪は短く切られたライトブラウン。ニキビ一つない綺麗な肌は‥でもちょっと日に焼けて荒れてる感じ。そういうとこも‥男っぽくて素敵‥。
あたしが運んだビールを
「ありがとう」
って、微かに微笑んで受け取って喉を鳴らして、おいしそうに飲む。
飲み終わったら「このいっぱいの為に生きてる! 」って顔して笑う。
その仕草にあたしは一目惚れした。
顔だけか?! あたしは顔に一目惚れしたのか!? 見た目重視か!?
そう思って彼のことを観察した。
仲間の評価 二重丸。
仕事に対する姿勢 二重丸。
家族構成‥は流石にわからないけど、街には出稼ぎに来てるみたいだ。
年はあたしより年上なのはわかるんだけど‥いくつ位かな。
稼ぎも分からないけど、あたしだって二つ仕事を掛け持ちしてるから、二人合わせれば、二人で暮らしていく位の稼ぎにはなるだろう。
結婚したい。
寝ても覚めてもそのことばっかり考えている自分に気付いた。
こんなに人を愛しいって思ったことはない。
今まで以上に着る物に気を使ったり、化粧を気にしたり、
綺麗になりたい、綺麗って思われたいって思った。
でも‥
この気持ちを彼に気付かれちゃいけない。そうも思った。
気付かれちゃ‥この関係を続けられない。彼は客であたしは店員。だから彼はあたしに普通に接してくれている。だけど‥あたしが変な色気出したら‥彼は「キモチワルイな」って思う。そんな風に‥チラリとでも思われたら‥耐えられない。
自分では隠してるつもりだったけど、周りからは結構バレバレだったらしく、あたしの恋心は‥あっさり暴露された。
気のいいおっちゃん・ベンダさん(客の一人、獣人)によって。
「リンドル、ハヅキと結婚したらいいじゃねえか? ハヅキは働き者だし、いい子だし。何より、リンドルのこと好きじゃねえか。リンドルが獣人だからって気にしてないし、年は10位は違うようだが若い嫁さん、いいじゃねえか? 」
酔っぱらって気が大きく成ったベンダさんは軽いノリで言った。
おい、オッサン何バラしてくれてんだ!?
かっと、顔が熱くなった。
カウンターに一人座る客に接客中であるあたしが二人の話をコッソリ聞いていることに、幸い二人は気付いていないようだ。
リンドルさんは苦笑いして(勿論顔は見えていないのだが、声の調子から苦笑いしてるのは分かった)
「親御さんが怒りますよ。獣人と結婚するなんて」
って言った。
いや、うちの親はそんなことでは反対しませんよ? ‥何ですか!? 親さえオッケーなら、ありな感じですか? 顔がさらに赤くなったのが自分で分かった。
心臓が半端なくバクバク言ってる。他の人‥特に目の前のお客さん(人間)・クリスさん‥に聞こえちゃうんじゃ!? って思う程だけど、普通に聞こえていないだろう。でも、顔は確実に真っ赤になっているから
「ハヅキちゃん? どうしたの? 熱でもあるの? 」
って心配された。慌てて否定して、普通を装って注文を確認して、厨房にオーダーを伝えながらあたしは、身体中を耳にして再びリンドルさんたちの話に聞き耳を立てる。
「お!? 親御さんのことが問題ってだけで、リンドル的にはありってことか? 」
ベンダさんが聞く。
どうなんですか!? そこんとこはっきり!
あたしはリンドルさんの言葉を待つ。
リンドルさんは‥
黙って、困ったみたいな顔をして笑っただけだった。
「子供過ぎますよ」
って、やんわり言った。
だけど、その言葉で(転生人生8回目のベテランの)あたしは悟った。
あ、これ「全然趣味じゃね~」って奴だ。
言ってもね、リンドルさんと(転生のベテランの)あたしじゃ人生経験が違う。リンドルさんなんて、見た目は10歳年上かも知らんが、あたしから見たら全然若造なんだ。
アンタの言いたいことは分かりますよ。
あたしみたいな「子供過ぎる」=幼児体形には興味ないよってことなんですよね。
‥あと、多分顔も。
分かってましたよ~はい。わかんない振りしてただけです。リンドルさんは、ボンキュッボンのグラマラスで美人タイプの人が好みですよね。でもそういうタイプからアプローチ掛けられなかったから今でも独身なんだよね!
だって(リンドルさんが好みの)ボンキュッボンのグラマラスタイプは獣人の女性にはいないタイプなの。獣人の女性は「機能的な引き締まった身体=筋肉質で柔らかみの少ない身体」な人が殆どだから。
ボンキュッボンな身体も、ふわふわした柔らかマシュマロボディも人間の女の特徴。美人タイプは獣人の女性にもいるんだけどね。総じて‥美人は「キツメで意思が強そうな顔」って感じなんだ。ネコタイプは「魅惑的でミステリアスな美人」だけど、多分リンドルさんが好きなのは「華やか系美人」
つまり、あたしと正反対のタイプってこと。
なんか‥
今まで気が付かない振りして勝手にこころの中だけで盛り上がってたのに‥一気に夢を壊された気分。
皆のアイドルな推しをファン同士「抜け駆け厳禁だよ☆」ってキャッキャ言いながら応援して盛り上がってたのに、美人な女優と結婚したって急にリアルな現実がニュースとして飛び込んで来て‥「え? あたしたちに一言の相談もなく? (※ 相談も何も、相手はあたしたちを知りもしないのだが)」「しかも、そんな悪女系? (※ 多分相手が誰でも気に食わない)」ってなる。急に、彼が遠く‥遠くに行ってしまったような気持になる。
そんな感じ?
「あらら~。振られちゃったね。ハヅキちゃん。
‥リンドルさんも見る目ないねぇ。勿体ない。
ハヅキちゃんみたいな面白い子、絶対付き合って損はない「お買い得物件」なのにねぇ」
眉をきゅっと寄せて、クリスさんがこそっと小声で言った。
心臓がぎゅんって大きく鳴る。
「あ。ゴメンね、ハヅキちゃん。‥ハヅキちゃん? どしたの? 」
コテンと首を傾げるクリスさん。
あたしなんてまだまだかわいいと思う程線目のクリスさん。
目がほっそいんだ。あたしよりずっと。あたしも「笑ったら目がなくなる」ってよく揶揄われるけど‥それどころじゃなくいつも線目なんだ。笑ってても、普通にしててもいっつも線目なんだ。
卵型の顔に、線が四本(眉毛と目)、鼻筋は通ってるけど低い鼻。薄くって小さな口。まるで「イラストのような単純な顔」をしたクリスさん。
ちょっと吊り目の彼は、首を傾げて、こうして眉を寄せて口をちょっととがらせてるとホントの狐みたいに見える。
「全く、リンドルめ。獣人の癖に‥。出禁にするぞ、うちの娘(← 店長は「ハヅキのここでの親父」と言ってくれている)を振るとか‥ふてえ野郎だ! 」
こそっと店長が言う。
‥めちゃ、皆聞いてんじゃん‥。うわ~。
「何言ってんですか! 」
慌てて店長を窘める。(勿論小声で、だ)
獣人の癖に‥って。
でも、あたしも‥ちょっとは思ってた‥かも? 「獣人さんだから、断られないかも」って‥。そんなわけないのにね。「そんな差別よくない」って自分でいつも思ってるのに‥あたしは心の奥底ではちょっとは「そう」思ってたのかもしれないな‥。
心が痛んだ。
と、
「いいのいいの。ハヅキちゃんには僕が居るから。
捨てる神あれば拾う神ありって言うでしょ。
男はリンドルさんだけじゃないんだから! 」
相変わらず小声で‥
クリスさんが言った。
「「え?? 」」
びっくりしてクリスさんを見るあたしと店長。
「ハヅキちゃん、僕と付き合おうよ。
きっと面白いよ?
‥嫌? 」
かわい子ぶりっ子って言うの? あざとくちょっと首を傾げて‥あたしの返事を待つクリスさん。
「嫌じゃ‥ないけど‥」
ドキマキした。
「かっこいい‥」って思うドキドキじゃない、動揺して「ドキマキ」だ。
嫌じゃない。嫌じゃないけど‥今までそんなこと考えたこともなかった。
「じゃ、いいじゃん。決まり。
よろしくね? 」
クリスさんがニコって笑って言った。
「‥よろしく‥お願いします? 」
ハヅキ18歳。転生人生初めて「結婚を前提としないお付き合い」をすることになりました。
昼間は食堂、夜は飲み屋の給仕だ。(両親と兄たちには食堂のことしか言っていない。飲み屋の給仕をしているっていったら、きっと反対されるだろうから‥)
両親や兄たちは心配するだろうが、あたしは全然心配されるような目にあったことはない。
男受けしない平凡な‥ちょっとブス寄りの顔と凹凸の少ない「魅力的ではないボディー」だからだ。
だけど人間。
人間だから謂われのない差別を受けることはなかった。(だが、人間だけど、顔がこれだからだろう)アプローチを受けることもなくこの年になった。
飲み屋だから、客も酒が入って気が大きく成ることもあるだろうが‥それでも「そういうお誘い」はない。綺麗なお姉さんがお望みなら、「そういう」飲み屋に行く。ここは「安くて、夕飯も食べられる食事屋の延長」みたいな所だ。冒険者が仕事帰りに寄ることも多く、獣人の客が多いことも特徴だ。
その為にここで働いてる。
食堂は人間しか利用していないから。
獣人は‥特に、冒険者等力仕事に従事にしている若い獣人は、昼間は街に居ず、夕食を食堂(飲み屋)で済ませることが多いのだ。
だから、そういう人たちと出会いたいあたしがここで働くというのはとても理にかなってるってわけ。
給料なら、仕送りの分を引いても昼間の食堂の分で十分事足りている。
ここ(飲み屋)は丁度、あたしが前世で働いていた職場と同じだ。
獣人だからって差別したりしない。
どころか、ここは金払いのいい獣人たちこそが売り上げのメインといっても過言ではない。
彼らは、稼ぎもいいし、よく食べるから(あと、お酒が強い人が多いね)
客もそのことを知っているから、ローブやら帽子をかぶっている彼らを獣人だって分かっているが、差別したりしない。(そんなことが知れたら、最悪店長に出禁になったりするだろうから)
そんなこんなで最初は「気になるけど触れちゃダメな問題」って思ってた他の客も、今では彼らとすっかり普通の友だちだ。
やっぱり、人間ハートだよねって思う。
彼らにとってあたしは只の店員。
それ以上でもそれ以下でもない。
んだけど‥
この頃実は気になる彼がいる。
彼は獣人の冒険者なんだ。強さとかは‥知らないけど、獣人特有の筋骨隆々な身体から「なんか強そう」って感じする。
名前は、リンドルさん。
兎に角‥
顔がいい。
凛々しい眉毛、涼し気な目元、意思の強そうな‥鋭いシルバーの瞳。すっと通った鼻筋、薄い唇。チョット硬めの髪は短く切られたライトブラウン。ニキビ一つない綺麗な肌は‥でもちょっと日に焼けて荒れてる感じ。そういうとこも‥男っぽくて素敵‥。
あたしが運んだビールを
「ありがとう」
って、微かに微笑んで受け取って喉を鳴らして、おいしそうに飲む。
飲み終わったら「このいっぱいの為に生きてる! 」って顔して笑う。
その仕草にあたしは一目惚れした。
顔だけか?! あたしは顔に一目惚れしたのか!? 見た目重視か!?
そう思って彼のことを観察した。
仲間の評価 二重丸。
仕事に対する姿勢 二重丸。
家族構成‥は流石にわからないけど、街には出稼ぎに来てるみたいだ。
年はあたしより年上なのはわかるんだけど‥いくつ位かな。
稼ぎも分からないけど、あたしだって二つ仕事を掛け持ちしてるから、二人合わせれば、二人で暮らしていく位の稼ぎにはなるだろう。
結婚したい。
寝ても覚めてもそのことばっかり考えている自分に気付いた。
こんなに人を愛しいって思ったことはない。
今まで以上に着る物に気を使ったり、化粧を気にしたり、
綺麗になりたい、綺麗って思われたいって思った。
でも‥
この気持ちを彼に気付かれちゃいけない。そうも思った。
気付かれちゃ‥この関係を続けられない。彼は客であたしは店員。だから彼はあたしに普通に接してくれている。だけど‥あたしが変な色気出したら‥彼は「キモチワルイな」って思う。そんな風に‥チラリとでも思われたら‥耐えられない。
自分では隠してるつもりだったけど、周りからは結構バレバレだったらしく、あたしの恋心は‥あっさり暴露された。
気のいいおっちゃん・ベンダさん(客の一人、獣人)によって。
「リンドル、ハヅキと結婚したらいいじゃねえか? ハヅキは働き者だし、いい子だし。何より、リンドルのこと好きじゃねえか。リンドルが獣人だからって気にしてないし、年は10位は違うようだが若い嫁さん、いいじゃねえか? 」
酔っぱらって気が大きく成ったベンダさんは軽いノリで言った。
おい、オッサン何バラしてくれてんだ!?
かっと、顔が熱くなった。
カウンターに一人座る客に接客中であるあたしが二人の話をコッソリ聞いていることに、幸い二人は気付いていないようだ。
リンドルさんは苦笑いして(勿論顔は見えていないのだが、声の調子から苦笑いしてるのは分かった)
「親御さんが怒りますよ。獣人と結婚するなんて」
って言った。
いや、うちの親はそんなことでは反対しませんよ? ‥何ですか!? 親さえオッケーなら、ありな感じですか? 顔がさらに赤くなったのが自分で分かった。
心臓が半端なくバクバク言ってる。他の人‥特に目の前のお客さん(人間)・クリスさん‥に聞こえちゃうんじゃ!? って思う程だけど、普通に聞こえていないだろう。でも、顔は確実に真っ赤になっているから
「ハヅキちゃん? どうしたの? 熱でもあるの? 」
って心配された。慌てて否定して、普通を装って注文を確認して、厨房にオーダーを伝えながらあたしは、身体中を耳にして再びリンドルさんたちの話に聞き耳を立てる。
「お!? 親御さんのことが問題ってだけで、リンドル的にはありってことか? 」
ベンダさんが聞く。
どうなんですか!? そこんとこはっきり!
あたしはリンドルさんの言葉を待つ。
リンドルさんは‥
黙って、困ったみたいな顔をして笑っただけだった。
「子供過ぎますよ」
って、やんわり言った。
だけど、その言葉で(転生人生8回目のベテランの)あたしは悟った。
あ、これ「全然趣味じゃね~」って奴だ。
言ってもね、リンドルさんと(転生のベテランの)あたしじゃ人生経験が違う。リンドルさんなんて、見た目は10歳年上かも知らんが、あたしから見たら全然若造なんだ。
アンタの言いたいことは分かりますよ。
あたしみたいな「子供過ぎる」=幼児体形には興味ないよってことなんですよね。
‥あと、多分顔も。
分かってましたよ~はい。わかんない振りしてただけです。リンドルさんは、ボンキュッボンのグラマラスで美人タイプの人が好みですよね。でもそういうタイプからアプローチ掛けられなかったから今でも独身なんだよね!
だって(リンドルさんが好みの)ボンキュッボンのグラマラスタイプは獣人の女性にはいないタイプなの。獣人の女性は「機能的な引き締まった身体=筋肉質で柔らかみの少ない身体」な人が殆どだから。
ボンキュッボンな身体も、ふわふわした柔らかマシュマロボディも人間の女の特徴。美人タイプは獣人の女性にもいるんだけどね。総じて‥美人は「キツメで意思が強そうな顔」って感じなんだ。ネコタイプは「魅惑的でミステリアスな美人」だけど、多分リンドルさんが好きなのは「華やか系美人」
つまり、あたしと正反対のタイプってこと。
なんか‥
今まで気が付かない振りして勝手にこころの中だけで盛り上がってたのに‥一気に夢を壊された気分。
皆のアイドルな推しをファン同士「抜け駆け厳禁だよ☆」ってキャッキャ言いながら応援して盛り上がってたのに、美人な女優と結婚したって急にリアルな現実がニュースとして飛び込んで来て‥「え? あたしたちに一言の相談もなく? (※ 相談も何も、相手はあたしたちを知りもしないのだが)」「しかも、そんな悪女系? (※ 多分相手が誰でも気に食わない)」ってなる。急に、彼が遠く‥遠くに行ってしまったような気持になる。
そんな感じ?
「あらら~。振られちゃったね。ハヅキちゃん。
‥リンドルさんも見る目ないねぇ。勿体ない。
ハヅキちゃんみたいな面白い子、絶対付き合って損はない「お買い得物件」なのにねぇ」
眉をきゅっと寄せて、クリスさんがこそっと小声で言った。
心臓がぎゅんって大きく鳴る。
「あ。ゴメンね、ハヅキちゃん。‥ハヅキちゃん? どしたの? 」
コテンと首を傾げるクリスさん。
あたしなんてまだまだかわいいと思う程線目のクリスさん。
目がほっそいんだ。あたしよりずっと。あたしも「笑ったら目がなくなる」ってよく揶揄われるけど‥それどころじゃなくいつも線目なんだ。笑ってても、普通にしててもいっつも線目なんだ。
卵型の顔に、線が四本(眉毛と目)、鼻筋は通ってるけど低い鼻。薄くって小さな口。まるで「イラストのような単純な顔」をしたクリスさん。
ちょっと吊り目の彼は、首を傾げて、こうして眉を寄せて口をちょっととがらせてるとホントの狐みたいに見える。
「全く、リンドルめ。獣人の癖に‥。出禁にするぞ、うちの娘(← 店長は「ハヅキのここでの親父」と言ってくれている)を振るとか‥ふてえ野郎だ! 」
こそっと店長が言う。
‥めちゃ、皆聞いてんじゃん‥。うわ~。
「何言ってんですか! 」
慌てて店長を窘める。(勿論小声で、だ)
獣人の癖に‥って。
でも、あたしも‥ちょっとは思ってた‥かも? 「獣人さんだから、断られないかも」って‥。そんなわけないのにね。「そんな差別よくない」って自分でいつも思ってるのに‥あたしは心の奥底ではちょっとは「そう」思ってたのかもしれないな‥。
心が痛んだ。
と、
「いいのいいの。ハヅキちゃんには僕が居るから。
捨てる神あれば拾う神ありって言うでしょ。
男はリンドルさんだけじゃないんだから! 」
相変わらず小声で‥
クリスさんが言った。
「「え?? 」」
びっくりしてクリスさんを見るあたしと店長。
「ハヅキちゃん、僕と付き合おうよ。
きっと面白いよ?
‥嫌? 」
かわい子ぶりっ子って言うの? あざとくちょっと首を傾げて‥あたしの返事を待つクリスさん。
「嫌じゃ‥ないけど‥」
ドキマキした。
「かっこいい‥」って思うドキドキじゃない、動揺して「ドキマキ」だ。
嫌じゃない。嫌じゃないけど‥今までそんなこと考えたこともなかった。
「じゃ、いいじゃん。決まり。
よろしくね? 」
クリスさんがニコって笑って言った。
「‥よろしく‥お願いします? 」
ハヅキ18歳。転生人生初めて「結婚を前提としないお付き合い」をすることになりました。
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