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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです!
俺が綺麗って思うのは‥
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オズワルドさんが苦笑いして
よくわからないけど‥って呟いて、
「本当に綺麗って言うのは‥いや、俺が綺麗って思うのは‥」
話し始めた。
あたしの方を見ているんだけど、あたしを見ていない。
どこか遠くを見ている目。
「早朝の薄紫の空。光る水平線。雨の後の雨粒が光る草、夜空一面に輝く満点の星。
自然の‥そういうのが本当に綺麗なもんなんだって思う。
嫌な気持ちになった時、むしゃくしゃした時でもそれを見たら「人間の一生なんて大したことないか」って気持ちになれた。「よし、元気でた! 明日も頑張ろう」って気分に成る程、前向きな性格じゃないけど、ああいう綺麗なものを見たらなんか人間ごときが落ち込んでることなんて‥つまんないなって思えた」
そんな景色を思い出しているのか、静かな表情でオズワルドさんが言った。
あたしは
そんな景色は見たことがないが、何となく「それは綺麗なんだろうな」「‥あたしも見てみたいな」って思った。否、今までもその内の何個かは見る機会があった気もする。
朝早く家を出ることだって今までよくあった。
でも、そんな時あたしは空を見ることはなかった。
雨が降ったら「濡れる~!! 」って走って帰るだけだ。それこそ、濡れるのは嫌だから、草の傍に近づくことすらなかった。
夜空の星にしたって、
ここだって田舎だから夜空を見上げればいくらだって星が見られるだろう。
あたしが見たこなかっただけなんだ。
今までそれを当たり前に勿体ないなんて思ったことはなかったけど‥今オズワルドさんの言葉を聞いて初めて「惜しいことしたな」って思った。
オズワルドさんを見ると、俯いて‥微かに微笑していた。
「綺麗って言葉、俺には分からなくてさ」
あたしに聞かせるでもなく、ボソリと呟く。
「俺の母さんはさ、俺の親父のことをいつも「世界一かっこいい」だの「目が綺麗」だのべた褒めしてたんだ。母さんには俺もあわせて子供が三人いるんだけど、その子供たちの顔やなんかを表現するのがさ、親父ベースなんだ。笑っちゃうだろ? 「マルクスは眉をきゅっと寄せて笑うのが父さんと一緒」とか「シュナイエスは、髪の色が父さんと一緒」とかさ。ちょっと似てるところがある兄さんたちだってそんな感じなのに、親父にそっくりな俺なんて‥もうべた褒めだ。「二人も勿論可愛いけど、顔だけだったらやっぱりオズが一番可愛い!! ゴメンね~」って。
そんな母さんに兄さんたち二人は呆れることもなく、「そりゃオズは可愛いですよ」「それは納得ですよ」って同意しちゃってさ。
うちはホントに変な家族だったんだ」
困ったように笑ったオズワルドさんにほっこりした。
羨ましいな~楽しそうだな~って。
でも、それならうちも負けちゃいないな。あたしのこと皆で「可愛い可愛い」って言ってくれるもんな。
「俺は別にそれでさ、「俺は世界一のイケメンだ」って自分のこと思ったわけでも、勘違いしたわけでもない。
ただ、
何とも思わなかったんだ。自分のこと」
「何とも? 」
意味がよく分からなかったけど、オズワルドさんはあえてあたしの質問には答えず話しを続けた。
「何とも思わなかった‥ただ「普通の子供」なんだろうって思ってた。
親が子供のこと「可愛い」っていうのは、只の親の欲目だろう。それを真に受ける程間抜けじゃない、どうせ世間に出てったら、只のどこにでもいるガキなんでしょ? と位に思ってた。
でも、違ってた」
ふっとオズワルドさんの表情が陰る。
はっとした。
世間的に‥この世界的に、オズワルドさんは決して‥
イケメンではない。
それどころか、この世界的には‥オズワルドさんは「イケメンじゃない」って分類されるんだ。(もっとキツイ言い方されるだろうけど、あたしは絶対そんな表現使わない)
オズワルドさんのご家族やあたしたちはこの世界的には完全に「例外」の類なんだ‥。
「俺はこの世界では超絶醜い男だったんだ」
オズワルドさんがあたしは絶対に使いたくない言葉で自分を貶める。
胸がぎゅっと痛くなった。
「周り同級生の俺を見る奇異な目、‥それならまだましな方で、女子は「怖い」と騒ぎ、男子はそれを見て「可哀そうに」って嘲笑い、女子に同意する。「顔を隠せよ」「失礼だろ!? 」ってまるで俺が非常識みたいに言われる。睨みつけたら泣き出して、親まで学校に呼ばれて謝罪させられる。その時は「こいつらはお貴族様の坊っちゃんだから俺の睨み顔が怖かったんだろう」って思っただけだ。これからは「何か言ってるわ」位に思って聞き流そうって思った。でも、俺がやり返して来ないと分かった奴らは俺に対してそれまで以上に暴言を吐いてくるようになった。あんまり酷いんで教師に現状を説明して被害を訴えたら「それは君がローブで顔を隠さないからじゃないかね」って‥迷惑顔で言われた」
‥酷い。
自然と涙が頬を伝ったのに気付いて、慌てて袖で涙をぬぐった。
オズワルドさんもその時の事を思い出して「悲しい気持ち」になっているのかなって思って、ちらりとオズワルドさんの顔を見ると、「悲しそうな表情」はしていなかった。
何の感情も感じられない‥そんな表情だった。
オズワルドさんが言葉を続ける。
「それを聞いた俺のその時の気持ちは‥只困惑だった。「え。何を言っているんだ? 同級生たちがおかしいんじゃなくて、俺がおかしいのか? 」って‥何のことか分からなかった」
それを聞いて初めて「ああ、そうか成る程」って思った。
今までは家族の愛情に包まれてそれが当たり前だと思っていた→ だけど、社会に出て初めて家族以外の人間と接して今までの「当たり前」が「当たり前」じゃないと分かった。
成程‥そういうこともあるかもね。って思った。きっとオズワルドさんのお母様はオズワルドさんを世間の悪意から遠ざけて‥大事に育てて来たのだろう。‥そして、初めて学校‥世間に出て「子供」という容赦ない「異世界人」の洗礼を受けた。
あたしの父さんはあたしが幼少期から同年代の子供と一緒に過ごさせることによって「遠慮もなく、容赦もない子供たちの世界」というものを学ばせていたけど、オズワルドさんの場合はそうじゃなかったのだろう。
「母さんは俺に嘘を教えて来たのか? 母さんや家族たちは間違っているのか? そう思った。でも、直ぐに寧ろ間違っているのは、何もしてない俺に暴言を吐くあの理不尽な奴らの方だろうって思い直した。
母さんたち家族は何も間違ってない。あの人たちは家族として俺のことを愛してくれているんだ。そう思えることができて、俺は腐らずに済んだ。
もう、誰とも関わらない様にしよう。俺はローブをコッソリ購入して学校でだけ被ることにした。
それで‥誰とも関わらずに、ただ学校内の様子‥「世間一般的に常識と言われている世界」を見ていた。
そこでは兄さんたちは人気者で「かっこいい」って言われていた。そういえば、兄さんたちは絶世の美女って呼ばれてた母さんに似ていたなって思った。
俺にとっての兄さんはその顔じゃなくて、例えば‥長男だったら頭がいい所が自慢だったし、次男だったら魔法が上手い所が自慢だった。
でも‥そういえば彼らの顔は他の誰よりも「整ってる」な。別格だなって自然と納得できた。
俺は‥気付けば吃驚する程あっさりとこの国の美意識を理解する‥いや、理解するはおかしいか‥納得する? 何ていえば良いのか分からないんだけど‥分かったんだ」
確かに‥見てたら「皆がそういうんだからそうなんだろうな」って自然と納得することってある‥かもしれん。‥転生10回目のあたしには分からん感覚だけど。
「気が付いたら‥俺は驚くほどあっさり‥自分のことを醜いんだって認められることが出来た」
認めんな!!
流されるな! そんな価値観「俺には関係ねえ」って捨ててしまって!!
でも‥出来ないよね。そんなのあたしにも 出来ない。「自分のこと美形だって思い込んでる」って‥凄い恥ずかしいよ。ヤバい奴だよ。‥だから、「皆がそういうなら、そうなんだろう」って‥あたしだって認めちゃうだろう。
「でも‥
母さんにとっての美意識‥俺も親父も世界で一番カッコイイは母さんにとっては少なくとも「嘘じゃない」んだろう。嘘じゃないけど‥一般的ではない。そう思ったらさ、俺は‥綺麗ってものが分からなくなったんだ」
分からなくないでしょ。
人それぞれ、十人十色でしょう。
‥って考え方はこの国にはない。皆が皆同じ美意識を持って暮らしている。
‥だとしたら‥
オズワルドさんのお母さん‥独自の美意識を持ってる彼女は一体何者なんだ‥?
ちらりとそんなことを考えたが、勿論そんなことをオズワルドさんに話すわけはない。‥あとでこっそり担当さんに聞いてみようと思う(この頃見てないけど。どうしたんだろ、あの人)
そんなことをあたしが考えている間もオズワルドさんの話しは続いていた。
オズワルドさんは、案外話好きなのかもしれない。
「その後俺は、家を出て騎士団に入った。俺には剣しかなかったし、父さんみたいに‥実力主義な騎士団なら俺を認めてくれるかもって思ったから。
配属されたのは、騎士団でも最も厳しいと言われている騎士団だった。本来なら新人の俺が飛ばされるような場所ではなかったんだけど、親父の息子だってんで目をつけられたみたいだった。
厳しい訓練、家族も‥誰も知り合いのいない状況。俺は精神的にちょっとナーバスになってたみたいだった。
ふらりと夜テントから出て、何となく星空をみていたらカイトが「綺麗な星空だな」って俺に話し掛けてくれたんだ。そう言ったすぐに「男に言う言葉でもないけどな~」って笑ったカイトに、カイトの一つ年下の後輩のランドルフが「そうですよ、ナンパみたいでしたよ? (※知り合った当時は敬語だった)」って笑ったんだ。
びっくりした。
俺に話し掛ける人間なんて今まで居なかったから。
びっくりし過ぎて答えられず‥空を見上げたら、今まで何とも思わなかった星が急に輝いて見えたんだ」
あたしは頷く。
分かる。そういうこと、ある。嬉しい時に食べたご飯はいつもよりずっと美味しい気がするよね!
「そうして、三人で黙って星空を見上げていたら、俺の家の綺麗は皆の家の綺麗とは違うかもしれないけど、俺が綺麗だって思った星空はカイトにとっても、ランドルフにとっても綺麗だった。俺にとっての「人の」綺麗は分からないけど、綺麗という感覚を他人と共有できることもあるんだって思ったんだ」
成程‥了解。この国の他の人たちと違って、(お母さんのお陰で)変な先入観を持たないオズワルドさんにとって、人を綺麗って思うのは「この国の一般的な観点から見て」っていうより‥「自分にとって好きか嫌いか」ってことになるだろう。
ということは‥
オズワルドさんは、今まで人を「そういう意味(恋愛感情)で」好きになったことがないってことだ。
‥凄く朴念仁ってこと? これは‥思った以上に手強いかもしれん。
よくわからないけど‥って呟いて、
「本当に綺麗って言うのは‥いや、俺が綺麗って思うのは‥」
話し始めた。
あたしの方を見ているんだけど、あたしを見ていない。
どこか遠くを見ている目。
「早朝の薄紫の空。光る水平線。雨の後の雨粒が光る草、夜空一面に輝く満点の星。
自然の‥そういうのが本当に綺麗なもんなんだって思う。
嫌な気持ちになった時、むしゃくしゃした時でもそれを見たら「人間の一生なんて大したことないか」って気持ちになれた。「よし、元気でた! 明日も頑張ろう」って気分に成る程、前向きな性格じゃないけど、ああいう綺麗なものを見たらなんか人間ごときが落ち込んでることなんて‥つまんないなって思えた」
そんな景色を思い出しているのか、静かな表情でオズワルドさんが言った。
あたしは
そんな景色は見たことがないが、何となく「それは綺麗なんだろうな」「‥あたしも見てみたいな」って思った。否、今までもその内の何個かは見る機会があった気もする。
朝早く家を出ることだって今までよくあった。
でも、そんな時あたしは空を見ることはなかった。
雨が降ったら「濡れる~!! 」って走って帰るだけだ。それこそ、濡れるのは嫌だから、草の傍に近づくことすらなかった。
夜空の星にしたって、
ここだって田舎だから夜空を見上げればいくらだって星が見られるだろう。
あたしが見たこなかっただけなんだ。
今までそれを当たり前に勿体ないなんて思ったことはなかったけど‥今オズワルドさんの言葉を聞いて初めて「惜しいことしたな」って思った。
オズワルドさんを見ると、俯いて‥微かに微笑していた。
「綺麗って言葉、俺には分からなくてさ」
あたしに聞かせるでもなく、ボソリと呟く。
「俺の母さんはさ、俺の親父のことをいつも「世界一かっこいい」だの「目が綺麗」だのべた褒めしてたんだ。母さんには俺もあわせて子供が三人いるんだけど、その子供たちの顔やなんかを表現するのがさ、親父ベースなんだ。笑っちゃうだろ? 「マルクスは眉をきゅっと寄せて笑うのが父さんと一緒」とか「シュナイエスは、髪の色が父さんと一緒」とかさ。ちょっと似てるところがある兄さんたちだってそんな感じなのに、親父にそっくりな俺なんて‥もうべた褒めだ。「二人も勿論可愛いけど、顔だけだったらやっぱりオズが一番可愛い!! ゴメンね~」って。
そんな母さんに兄さんたち二人は呆れることもなく、「そりゃオズは可愛いですよ」「それは納得ですよ」って同意しちゃってさ。
うちはホントに変な家族だったんだ」
困ったように笑ったオズワルドさんにほっこりした。
羨ましいな~楽しそうだな~って。
でも、それならうちも負けちゃいないな。あたしのこと皆で「可愛い可愛い」って言ってくれるもんな。
「俺は別にそれでさ、「俺は世界一のイケメンだ」って自分のこと思ったわけでも、勘違いしたわけでもない。
ただ、
何とも思わなかったんだ。自分のこと」
「何とも? 」
意味がよく分からなかったけど、オズワルドさんはあえてあたしの質問には答えず話しを続けた。
「何とも思わなかった‥ただ「普通の子供」なんだろうって思ってた。
親が子供のこと「可愛い」っていうのは、只の親の欲目だろう。それを真に受ける程間抜けじゃない、どうせ世間に出てったら、只のどこにでもいるガキなんでしょ? と位に思ってた。
でも、違ってた」
ふっとオズワルドさんの表情が陰る。
はっとした。
世間的に‥この世界的に、オズワルドさんは決して‥
イケメンではない。
それどころか、この世界的には‥オズワルドさんは「イケメンじゃない」って分類されるんだ。(もっとキツイ言い方されるだろうけど、あたしは絶対そんな表現使わない)
オズワルドさんのご家族やあたしたちはこの世界的には完全に「例外」の類なんだ‥。
「俺はこの世界では超絶醜い男だったんだ」
オズワルドさんがあたしは絶対に使いたくない言葉で自分を貶める。
胸がぎゅっと痛くなった。
「周り同級生の俺を見る奇異な目、‥それならまだましな方で、女子は「怖い」と騒ぎ、男子はそれを見て「可哀そうに」って嘲笑い、女子に同意する。「顔を隠せよ」「失礼だろ!? 」ってまるで俺が非常識みたいに言われる。睨みつけたら泣き出して、親まで学校に呼ばれて謝罪させられる。その時は「こいつらはお貴族様の坊っちゃんだから俺の睨み顔が怖かったんだろう」って思っただけだ。これからは「何か言ってるわ」位に思って聞き流そうって思った。でも、俺がやり返して来ないと分かった奴らは俺に対してそれまで以上に暴言を吐いてくるようになった。あんまり酷いんで教師に現状を説明して被害を訴えたら「それは君がローブで顔を隠さないからじゃないかね」って‥迷惑顔で言われた」
‥酷い。
自然と涙が頬を伝ったのに気付いて、慌てて袖で涙をぬぐった。
オズワルドさんもその時の事を思い出して「悲しい気持ち」になっているのかなって思って、ちらりとオズワルドさんの顔を見ると、「悲しそうな表情」はしていなかった。
何の感情も感じられない‥そんな表情だった。
オズワルドさんが言葉を続ける。
「それを聞いた俺のその時の気持ちは‥只困惑だった。「え。何を言っているんだ? 同級生たちがおかしいんじゃなくて、俺がおかしいのか? 」って‥何のことか分からなかった」
それを聞いて初めて「ああ、そうか成る程」って思った。
今までは家族の愛情に包まれてそれが当たり前だと思っていた→ だけど、社会に出て初めて家族以外の人間と接して今までの「当たり前」が「当たり前」じゃないと分かった。
成程‥そういうこともあるかもね。って思った。きっとオズワルドさんのお母様はオズワルドさんを世間の悪意から遠ざけて‥大事に育てて来たのだろう。‥そして、初めて学校‥世間に出て「子供」という容赦ない「異世界人」の洗礼を受けた。
あたしの父さんはあたしが幼少期から同年代の子供と一緒に過ごさせることによって「遠慮もなく、容赦もない子供たちの世界」というものを学ばせていたけど、オズワルドさんの場合はそうじゃなかったのだろう。
「母さんは俺に嘘を教えて来たのか? 母さんや家族たちは間違っているのか? そう思った。でも、直ぐに寧ろ間違っているのは、何もしてない俺に暴言を吐くあの理不尽な奴らの方だろうって思い直した。
母さんたち家族は何も間違ってない。あの人たちは家族として俺のことを愛してくれているんだ。そう思えることができて、俺は腐らずに済んだ。
もう、誰とも関わらない様にしよう。俺はローブをコッソリ購入して学校でだけ被ることにした。
それで‥誰とも関わらずに、ただ学校内の様子‥「世間一般的に常識と言われている世界」を見ていた。
そこでは兄さんたちは人気者で「かっこいい」って言われていた。そういえば、兄さんたちは絶世の美女って呼ばれてた母さんに似ていたなって思った。
俺にとっての兄さんはその顔じゃなくて、例えば‥長男だったら頭がいい所が自慢だったし、次男だったら魔法が上手い所が自慢だった。
でも‥そういえば彼らの顔は他の誰よりも「整ってる」な。別格だなって自然と納得できた。
俺は‥気付けば吃驚する程あっさりとこの国の美意識を理解する‥いや、理解するはおかしいか‥納得する? 何ていえば良いのか分からないんだけど‥分かったんだ」
確かに‥見てたら「皆がそういうんだからそうなんだろうな」って自然と納得することってある‥かもしれん。‥転生10回目のあたしには分からん感覚だけど。
「気が付いたら‥俺は驚くほどあっさり‥自分のことを醜いんだって認められることが出来た」
認めんな!!
流されるな! そんな価値観「俺には関係ねえ」って捨ててしまって!!
でも‥出来ないよね。そんなのあたしにも 出来ない。「自分のこと美形だって思い込んでる」って‥凄い恥ずかしいよ。ヤバい奴だよ。‥だから、「皆がそういうなら、そうなんだろう」って‥あたしだって認めちゃうだろう。
「でも‥
母さんにとっての美意識‥俺も親父も世界で一番カッコイイは母さんにとっては少なくとも「嘘じゃない」んだろう。嘘じゃないけど‥一般的ではない。そう思ったらさ、俺は‥綺麗ってものが分からなくなったんだ」
分からなくないでしょ。
人それぞれ、十人十色でしょう。
‥って考え方はこの国にはない。皆が皆同じ美意識を持って暮らしている。
‥だとしたら‥
オズワルドさんのお母さん‥独自の美意識を持ってる彼女は一体何者なんだ‥?
ちらりとそんなことを考えたが、勿論そんなことをオズワルドさんに話すわけはない。‥あとでこっそり担当さんに聞いてみようと思う(この頃見てないけど。どうしたんだろ、あの人)
そんなことをあたしが考えている間もオズワルドさんの話しは続いていた。
オズワルドさんは、案外話好きなのかもしれない。
「その後俺は、家を出て騎士団に入った。俺には剣しかなかったし、父さんみたいに‥実力主義な騎士団なら俺を認めてくれるかもって思ったから。
配属されたのは、騎士団でも最も厳しいと言われている騎士団だった。本来なら新人の俺が飛ばされるような場所ではなかったんだけど、親父の息子だってんで目をつけられたみたいだった。
厳しい訓練、家族も‥誰も知り合いのいない状況。俺は精神的にちょっとナーバスになってたみたいだった。
ふらりと夜テントから出て、何となく星空をみていたらカイトが「綺麗な星空だな」って俺に話し掛けてくれたんだ。そう言ったすぐに「男に言う言葉でもないけどな~」って笑ったカイトに、カイトの一つ年下の後輩のランドルフが「そうですよ、ナンパみたいでしたよ? (※知り合った当時は敬語だった)」って笑ったんだ。
びっくりした。
俺に話し掛ける人間なんて今まで居なかったから。
びっくりし過ぎて答えられず‥空を見上げたら、今まで何とも思わなかった星が急に輝いて見えたんだ」
あたしは頷く。
分かる。そういうこと、ある。嬉しい時に食べたご飯はいつもよりずっと美味しい気がするよね!
「そうして、三人で黙って星空を見上げていたら、俺の家の綺麗は皆の家の綺麗とは違うかもしれないけど、俺が綺麗だって思った星空はカイトにとっても、ランドルフにとっても綺麗だった。俺にとっての「人の」綺麗は分からないけど、綺麗という感覚を他人と共有できることもあるんだって思ったんだ」
成程‥了解。この国の他の人たちと違って、(お母さんのお陰で)変な先入観を持たないオズワルドさんにとって、人を綺麗って思うのは「この国の一般的な観点から見て」っていうより‥「自分にとって好きか嫌いか」ってことになるだろう。
ということは‥
オズワルドさんは、今まで人を「そういう意味(恋愛感情)で」好きになったことがないってことだ。
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