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「――警告する! これより、マーヤ・ベルンシュタイン嬢の身柄を拘束する!」
拡声の魔道具を使ったダミ声が、鉱山街の静寂を切り裂いた。
店の外に出た私たちが目にしたのは、街道を埋め尽くすほどの騎士と兵士たちだった。
王家の紋章が入った旗がはためき、陽光を反射して槍の穂先がギラギラと輝いている。
その数、ざっと三百。
たかが一人の令嬢を連れ戻すために、ここまでするか普通。
「呆れた……。暇人が三百人も集まってピクニック?」
私は呆れ返ってため息をついた。
隣には、大剣を地面に突き立てて仁王立ちするクロード様と、ツルハシや鉄パイプ(調理器具)を構えたマッチョ店員たちが控えている。
「前方、中央にいるのが指揮官のようだな」
クロード様が冷静に分析する。
「ああ、見覚えがありますわ。近衛騎士団の副団長、ボルドーですね。……見てくださいクロード様、あのお腹」
私は扇で彼を指差した。
「鎧で締め付けていますけど、横から贅肉がはみ出していますわ。あれは『隠れ肥満』です。指揮官があんな体型では、部下の士気も上がるわけがありません」
「……鋭い観察眼だ」
「それに、後ろの兵士たちもなっていませんわ。槍を持つ構えが腰に入っていない。あんなへっぴり腰では、うちの鉱夫(バイト)のデコピン一発で吹き飛びますよ」
私が辛辣な批評をしている間にも、指揮官ボルドーが馬を進めてきた。
「聞こえているか、マーヤ嬢! 抵抗は無意味だ! 大人しく出てくれば、悪いようにはしない!」
「『悪いようにはしない』と言う人ほど、ロクなことをしないものですわ!」
私は負けじと声を張り上げた。
「お帰りください! 今はランチタイムのピークなんです! 営業妨害で訴えますわよ!」
「ええい、黙れ! これは王太子ジュリアン殿下の勅命である!」
ボルドーが羊皮紙を掲げる。
「『マーヤ・ベルンシュタインは国家公務執行妨害、および王族への不敬罪の疑いがある。直ちに王都へ連行し、未処理の書類を全て片付けさせ、その後牢獄へ入れるものとする』!」
「はぁ!?」
私は耳を疑った。
仕事をさせてから牢屋に入れる?
どんなブラック企業よ。
「ふざけるのも大概になさい! 私はもう民間人です! 殿下の無能さの尻拭いをする義理はありません!」
「問答無用! ……総員、構え!」
ボルドーが剣を振り下ろす合図をする。
三百の兵士たちが、一斉に槍を構えて前進を開始した。
ザッ、ザッ、ザッ。
軍靴の音が不気味に響く。
「ひぃっ……! お、お嬢、マジで来るぞ!」
店員の一人が震え声を出した。
いくら筋肉自慢とはいえ、彼らはただの鉱夫。
殺し合いの訓練を受けた正規軍を相手にするのは、さすがに分が悪いか。
……と、思ったのだが。
「ビビってんじゃねぇ野郎ども!」
ガンツがフライパンをガンガンと打ち鳴らして吼えた。
「相手はヒョロガリの兵隊だ! 俺たちが毎日持ち上げてる岩に比べりゃ、綿毛みてぇなもんだろ!」
「そ、そうか……!」
「よく見りゃ、あいつらの腕、俺の半分しかねぇぞ!」
「勝てる……! 筋肉量(マッスル・マス)では俺たちの圧勝だ!」
「「「うおおおおっ! 店(城)を守れぇぇ!!」」」
謎の自信を取り戻したマッチョたちが、雄叫びを上げて前に出る。
その凄まじい気迫と、テラテラと光る筋肉の壁に、進軍してきた兵士たちが「うわっ……」と怯んだのが見えた。
「な、なんだあの集団は……!」
「裸エプロンの男たちが突っ込んでくるぞ!?」
「嫌だ! あんなのと戦いたくない!」
正規軍の足並みが乱れる。
当然だ。
戦場における恐怖とは、未知への恐怖。
数百人のオイルまみれのマッチョなど、彼らの教本には載っていないだろう。
「くっ、怯むな! 突撃せよ! 相手は武器など持っていない!」
ボルドーが必死に叱咤する。
その命令に従い、数名の騎兵が槍を構えて突っ込んできた。
「危ない!」
私が叫ぼうとした瞬間。
ドォォォォン!!
轟音と共に、先頭の馬が吹き飛んだ。
いや、正確には「何か」にぶつかって弾き返されたのだ。
砂煙が晴れると、そこには一人の男が立っていた。
背中の大剣を抜きもせず、ただ片腕を前に突き出しただけのポーズで。
「……私の店の敷居を、泥足で跨ぐなと言ったはずだ」
「ク、クロード様……!」
「……!!」
ボルドーの目が飛び出しそうになった。
「ば、バカな……! なぜここに『氷の処刑人』が!?」
「……茶を飲みに来ただけだ。だが、騒がしくて味が落ちる」
クロード様は、突っ込んできた馬(と騎士)を、素手で受け止めていたのだ。
しかも、涼しい顔で。
「ひ、ひぃぃっ! こ、公爵閣下!? な、なぜこのような反逆者の店に……!?」
「反逆者? ……訂正しろ」
クロード様が、ゆっくりと、しかし確実に殺気を放ちながら歩みを進める。
一歩進むごとに、周囲の気温が氷点下まで下がっていくようだ。
「ここは、国一番の『筋肉の聖地』であり、私が唯一安らげる場所だ。……そこを荒らすと言うなら、王家の兵だろうと容赦はせん」
ゴゴゴゴゴ……!
彼の背後から、青白い闘気が立ち昇る。
そのプレッシャーは、三百人の軍勢をたった一人で押し返していた。
「あ、ありえない……! 騎士団長が、王太子の命令に逆らうというのか!?」
「殿下の命令か。……『私情による兵の私的利用』は、軍法会議ものだな」
クロード様はボルドーを冷たく見下ろした。
「貴様、殿下に媚びて出世した口か? その弛んだ腹を見れば分かる。……剣を握るよりも、フォークを握る方が得意なようだな」
「ぐぬっ……!」
「去れ。3つ数える間に消えねば、その贅肉ごと斬り落とす」
「ひっ、ひぃぃぃ!!」
ボルドーは完全に戦意を喪失した。
クロード・ヴァン・ハイゼン公爵。
この国の軍事力の頂点に立つ男を敵に回して勝てる道理はない。
しかも、その後ろには数百人の興奮したマッチョ集団が控えているのだ。
「て、撤退だ! 撤退ぃぃぃ!!」
ボルドーが裏返った声で叫ぶと、兵士たちは我先にと逃げ出した。
蜘蛛の子を散らすような見事な逃げっぷりである。
「お、覚えていろマーヤ! そして公爵閣下! このことは殿下に報告させていただくからな!」
捨て台詞を残し、砂煙の彼方へと消えていく正規軍。
それを見送りながら、私はふぅ、と息を吐いた。
「……圧勝でしたわね」
「当然だ。数だけの烏合の衆など、筋肉の結束には敵わん」
クロード様が大剣を背中に戻し、振り返った。
その顔には、少しだけ得意げな色が浮かんでいる。
「ありがとうございます、クロード様。おかげで店が壊されずに済みました」
「礼には及ばん。……それより、マーヤ」
彼は真剣な眼差しで私を見た。
「あいつらは、また来るぞ。今度はもっと卑劣な手を使ってな」
「ええ、分かっていますわ」
私は逃げていった軍勢の方角――王都の空を見つめ、目を細めた。
ジュリアン殿下の性格はよく知っている。
彼はプライドの塊だ。
自分の軍が追い返されたとなれば、次は意地でも私を連れ戻そうとするだろう。
あるいは、この鉱山ごと潰しにかかるかもしれない。
「……売られた喧嘩は、買う主義なんです」
私はエプロンの紐をギュッと締め直した。
「これ以上、営業妨害を続けさせるわけにはいきませんわ。……クロード様」
「なんだ」
「私、決めました。こちらから出向いて差し上げます」
「……王都へか?」
「ええ。殴り込み(クレーム)ですわ。二度と私の店に手を出さないよう、殿下の性根(と体幹)を叩き直して差し上げます」
私の宣言に、クロード様はニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
「いいだろう。……エスコートしよう。ちょうど、王城の連中に『筋肉の素晴らしさ』を説いてやりたいと思っていたところだ」
「「「俺たちも行くぜぇぇ!!」」」
ガンツたちが雄叫びを上げる。
「待ってなさい、もやし王子。……私の『マッスル・ブートキャンプ』は厳しいわよ?」
こうして、史上類を見ない「筋肉による王都進撃」が決定した。
目的は革命ではない。
ただの「営業妨害への抗議」と「未払い賃金の完全請求」である。
拡声の魔道具を使ったダミ声が、鉱山街の静寂を切り裂いた。
店の外に出た私たちが目にしたのは、街道を埋め尽くすほどの騎士と兵士たちだった。
王家の紋章が入った旗がはためき、陽光を反射して槍の穂先がギラギラと輝いている。
その数、ざっと三百。
たかが一人の令嬢を連れ戻すために、ここまでするか普通。
「呆れた……。暇人が三百人も集まってピクニック?」
私は呆れ返ってため息をついた。
隣には、大剣を地面に突き立てて仁王立ちするクロード様と、ツルハシや鉄パイプ(調理器具)を構えたマッチョ店員たちが控えている。
「前方、中央にいるのが指揮官のようだな」
クロード様が冷静に分析する。
「ああ、見覚えがありますわ。近衛騎士団の副団長、ボルドーですね。……見てくださいクロード様、あのお腹」
私は扇で彼を指差した。
「鎧で締め付けていますけど、横から贅肉がはみ出していますわ。あれは『隠れ肥満』です。指揮官があんな体型では、部下の士気も上がるわけがありません」
「……鋭い観察眼だ」
「それに、後ろの兵士たちもなっていませんわ。槍を持つ構えが腰に入っていない。あんなへっぴり腰では、うちの鉱夫(バイト)のデコピン一発で吹き飛びますよ」
私が辛辣な批評をしている間にも、指揮官ボルドーが馬を進めてきた。
「聞こえているか、マーヤ嬢! 抵抗は無意味だ! 大人しく出てくれば、悪いようにはしない!」
「『悪いようにはしない』と言う人ほど、ロクなことをしないものですわ!」
私は負けじと声を張り上げた。
「お帰りください! 今はランチタイムのピークなんです! 営業妨害で訴えますわよ!」
「ええい、黙れ! これは王太子ジュリアン殿下の勅命である!」
ボルドーが羊皮紙を掲げる。
「『マーヤ・ベルンシュタインは国家公務執行妨害、および王族への不敬罪の疑いがある。直ちに王都へ連行し、未処理の書類を全て片付けさせ、その後牢獄へ入れるものとする』!」
「はぁ!?」
私は耳を疑った。
仕事をさせてから牢屋に入れる?
どんなブラック企業よ。
「ふざけるのも大概になさい! 私はもう民間人です! 殿下の無能さの尻拭いをする義理はありません!」
「問答無用! ……総員、構え!」
ボルドーが剣を振り下ろす合図をする。
三百の兵士たちが、一斉に槍を構えて前進を開始した。
ザッ、ザッ、ザッ。
軍靴の音が不気味に響く。
「ひぃっ……! お、お嬢、マジで来るぞ!」
店員の一人が震え声を出した。
いくら筋肉自慢とはいえ、彼らはただの鉱夫。
殺し合いの訓練を受けた正規軍を相手にするのは、さすがに分が悪いか。
……と、思ったのだが。
「ビビってんじゃねぇ野郎ども!」
ガンツがフライパンをガンガンと打ち鳴らして吼えた。
「相手はヒョロガリの兵隊だ! 俺たちが毎日持ち上げてる岩に比べりゃ、綿毛みてぇなもんだろ!」
「そ、そうか……!」
「よく見りゃ、あいつらの腕、俺の半分しかねぇぞ!」
「勝てる……! 筋肉量(マッスル・マス)では俺たちの圧勝だ!」
「「「うおおおおっ! 店(城)を守れぇぇ!!」」」
謎の自信を取り戻したマッチョたちが、雄叫びを上げて前に出る。
その凄まじい気迫と、テラテラと光る筋肉の壁に、進軍してきた兵士たちが「うわっ……」と怯んだのが見えた。
「な、なんだあの集団は……!」
「裸エプロンの男たちが突っ込んでくるぞ!?」
「嫌だ! あんなのと戦いたくない!」
正規軍の足並みが乱れる。
当然だ。
戦場における恐怖とは、未知への恐怖。
数百人のオイルまみれのマッチョなど、彼らの教本には載っていないだろう。
「くっ、怯むな! 突撃せよ! 相手は武器など持っていない!」
ボルドーが必死に叱咤する。
その命令に従い、数名の騎兵が槍を構えて突っ込んできた。
「危ない!」
私が叫ぼうとした瞬間。
ドォォォォン!!
轟音と共に、先頭の馬が吹き飛んだ。
いや、正確には「何か」にぶつかって弾き返されたのだ。
砂煙が晴れると、そこには一人の男が立っていた。
背中の大剣を抜きもせず、ただ片腕を前に突き出しただけのポーズで。
「……私の店の敷居を、泥足で跨ぐなと言ったはずだ」
「ク、クロード様……!」
「……!!」
ボルドーの目が飛び出しそうになった。
「ば、バカな……! なぜここに『氷の処刑人』が!?」
「……茶を飲みに来ただけだ。だが、騒がしくて味が落ちる」
クロード様は、突っ込んできた馬(と騎士)を、素手で受け止めていたのだ。
しかも、涼しい顔で。
「ひ、ひぃぃっ! こ、公爵閣下!? な、なぜこのような反逆者の店に……!?」
「反逆者? ……訂正しろ」
クロード様が、ゆっくりと、しかし確実に殺気を放ちながら歩みを進める。
一歩進むごとに、周囲の気温が氷点下まで下がっていくようだ。
「ここは、国一番の『筋肉の聖地』であり、私が唯一安らげる場所だ。……そこを荒らすと言うなら、王家の兵だろうと容赦はせん」
ゴゴゴゴゴ……!
彼の背後から、青白い闘気が立ち昇る。
そのプレッシャーは、三百人の軍勢をたった一人で押し返していた。
「あ、ありえない……! 騎士団長が、王太子の命令に逆らうというのか!?」
「殿下の命令か。……『私情による兵の私的利用』は、軍法会議ものだな」
クロード様はボルドーを冷たく見下ろした。
「貴様、殿下に媚びて出世した口か? その弛んだ腹を見れば分かる。……剣を握るよりも、フォークを握る方が得意なようだな」
「ぐぬっ……!」
「去れ。3つ数える間に消えねば、その贅肉ごと斬り落とす」
「ひっ、ひぃぃぃ!!」
ボルドーは完全に戦意を喪失した。
クロード・ヴァン・ハイゼン公爵。
この国の軍事力の頂点に立つ男を敵に回して勝てる道理はない。
しかも、その後ろには数百人の興奮したマッチョ集団が控えているのだ。
「て、撤退だ! 撤退ぃぃぃ!!」
ボルドーが裏返った声で叫ぶと、兵士たちは我先にと逃げ出した。
蜘蛛の子を散らすような見事な逃げっぷりである。
「お、覚えていろマーヤ! そして公爵閣下! このことは殿下に報告させていただくからな!」
捨て台詞を残し、砂煙の彼方へと消えていく正規軍。
それを見送りながら、私はふぅ、と息を吐いた。
「……圧勝でしたわね」
「当然だ。数だけの烏合の衆など、筋肉の結束には敵わん」
クロード様が大剣を背中に戻し、振り返った。
その顔には、少しだけ得意げな色が浮かんでいる。
「ありがとうございます、クロード様。おかげで店が壊されずに済みました」
「礼には及ばん。……それより、マーヤ」
彼は真剣な眼差しで私を見た。
「あいつらは、また来るぞ。今度はもっと卑劣な手を使ってな」
「ええ、分かっていますわ」
私は逃げていった軍勢の方角――王都の空を見つめ、目を細めた。
ジュリアン殿下の性格はよく知っている。
彼はプライドの塊だ。
自分の軍が追い返されたとなれば、次は意地でも私を連れ戻そうとするだろう。
あるいは、この鉱山ごと潰しにかかるかもしれない。
「……売られた喧嘩は、買う主義なんです」
私はエプロンの紐をギュッと締め直した。
「これ以上、営業妨害を続けさせるわけにはいきませんわ。……クロード様」
「なんだ」
「私、決めました。こちらから出向いて差し上げます」
「……王都へか?」
「ええ。殴り込み(クレーム)ですわ。二度と私の店に手を出さないよう、殿下の性根(と体幹)を叩き直して差し上げます」
私の宣言に、クロード様はニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
「いいだろう。……エスコートしよう。ちょうど、王城の連中に『筋肉の素晴らしさ』を説いてやりたいと思っていたところだ」
「「「俺たちも行くぜぇぇ!!」」」
ガンツたちが雄叫びを上げる。
「待ってなさい、もやし王子。……私の『マッスル・ブートキャンプ』は厳しいわよ?」
こうして、史上類を見ない「筋肉による王都進撃」が決定した。
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