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「そこを退いてくれない? 通行の邪魔よ」
翌日の昼下がり。
私が優雅に「おやつの時間」を求めて廊下を歩いていると、目の前に立ちはだかる影があった。
銀縁メガネをかけた、神経質そうな美青年だ。
彼は眉間に深い皺を刻み、私を睨みつけている。
「……ミリオネ・ラ・ベル・フルール」
「名前を呼ぶなら『様』をつけてほしいわね。で、何の用? サインなら事務所を通して」
「ふざけるな!」
青年が声を荒らげる。
彼はアレクシスの筆頭補佐官、リゲルだ。
仕事の鬼であり、皇帝アレクシスへの忠誠心が服を着て歩いているような男である。
「貴様のようなふざけた女が、我が国の財務に関わっていること自体が我慢ならん!」
「あら、そう」
私はあくびを噛み殺した。
「だったらクビにしてちょうだい。私もボランティアには飽きてきたところよ」
「……なっ?」
「退職金はいらないわ。その代わり、即日解雇でお願い。あ、離職票はちゃんと書いてね。次の就活に響くから」
私が手を差し出すと、リゲルは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「……何を言っている? 貴様、皇帝陛下の寵愛を笠に着て、この国を乗っ取るつもりなのだろう!」
「はあ? 乗っ取ってどうするのよ。国なんて維持費がかかるだけの巨大な金食い虫じゃない」
私は呆れて肩をすくめた。
「いい? よく聞きなさいメガネ君。私はね、働きたくないの。責任も負いたくないの。毎日ゴロゴロして、美味しいものを食べて、誰にも文句を言われずに生きたいの」
「……は?」
「だから、あなたが『この女は危険だ! 追放しろ!』と陛下に進言してくれるなら、私にとっては救世主よ! さあ、今すぐ行って! 全力で私の悪口を吹き込んで!」
私はリゲルの両手をガシッと握りしめ、目を輝かせた。
「頼んだわよ! 『ミリオネは国庫の金を横領しようとしています』とか『実は隣国のスパイです』とか、適当に嘘をついて!」
「ちょ、ちょっと待て!」
リゲルが慌てて手を振りほどく。
「貴様……正気か? 普通、スパイの疑いをかけられたら処刑だぞ!?」
「処刑は困るけど、追放なら大歓迎よ。国外退去処分になれば、陛下も私を拘束できなくなるでしょ?」
「……つまり、貴様は陛下から逃げたいと?」
「イエス! 高らかにイエスよ!」
私は親指を立てた。
リゲルは混乱のあまり、メガネがずり落ちていることにも気づいていない。
「……信じられん。大陸の覇者である皇帝陛下から、これほど逃げたがる女など……」
「あの男は人使いが荒いのよ。昨日だって『肩が凝った』って私を呼びつけて、一時間もマッサージさせたのよ? 私は整体師じゃないっつの」
「う、羨ましい……!」
「は?」
リゲルがギリリと歯ぎしりをした。
「陛下のお体に触れられるだと!? 私など、この十年間、指一本触れたことなどないのに!」
「……え、そっち?」
私は一歩引いた。
「貴様、まさか陛下と……いや、不敬だ。しかし……!」
「ちょっと、気持ち悪いわよ。嫉妬の方向性がおかしいわ」
私がドン引きしていると、リゲルはハッとして居住まいを正した。
「ご、ごほん! と、とにかく! 私は貴様を認めん! 貴様が提出した『王宮内経費削減案』だが……ここだ!」
彼はバサリと書類を取り出した。
「『夜間の廊下の灯りを半分にする』だと? そんなことをすれば、防犯上のリスクが高まる! 浅はかな案だな!」
彼は勝ち誇ったように私を見下ろす。
どうやら、私を論破して追い出したいらしい。
望むところだ。
私は書類をひったくると、即座に反論を開始した。
「浅はかなのはあなたの思考回路よ。よく読みなさい。私が減らせと言ったのは『貴族専用通路』の灯りだけよ」
「な……?」
「あの通路を使うのは、夜会に出る貴族と、その密会相手くらいでしょ? 薄暗い方が彼らにとっては都合がいいし、むしろムードが出て感謝されるわよ。防犯? あそこには元々、三十メートルおきに衛兵が立ってるじゃない。彼らの夜目を鍛える訓練にもなるわ」
「ぐっ……!」
「それに、この『魔導灯』の燃料費、バカ高いのよ。これを半分にするだけで、年間五十万ガルドの節約。その浮いた金で、衛兵たちの休憩所にコーヒーサーバーを設置した方が、よっぽど士気が上がって防犯効果が高まるわ」
「コ、コーヒーサーバーだと……?」
「現場の兵士はカフェインに飢えてるの。温かいコーヒー一杯で忠誠心が買えるなら安いでしょ?」
私は書類を彼の胸に叩き返した。
「以上。反論があるなら、対案を出してちょうだい。ただし『伝統だから』とか『前例がない』とかいう寝言は却下よ」
リゲルは書類を握りしめ、プルプルと震えていた。
顔が赤い。怒っているのか、恥じ入っているのか。
「……ぐ、ぐうの音も出ない……!」
「出ないなら退いて。おやつの時間が終わっちゃう」
私が横を通り過ぎようとすると、リゲルがガバッと頭を下げた。
「……すまなかった!!」
「えっ!?」
「貴様の言う通りだ……! 私は『伝統』に囚われ、現場の兵士たちの苦労を見ようとしていなかった……! コーヒーサーバー……なんと画期的な福利厚生……!」
「いや、そこまで大袈裟な話じゃ……」
「ミリオネ様! いや、ミリオネ先生!」
リゲルがキラキラした目で私を見上げてくる。
「他にも改善案があれば、ぜひご教示願いたい! 特に、この『文官の残業代未払い問題』についての解決策を!」
「……あのさあ」
私はこめかみを押さえた。
「なんで私の周りには、極端な人間しかいないの? ゼロか百かしかないわけ?」
「お願いします! この通りです!」
リゲルが廊下で土下座の構えを見せる。
通行人のメイドたちがギョッとして見ている。
「わかった! わかったから立ちなさい! あとで見てあげるから!」
「ありがとうございます! では、後ほど私の執務室へ! 最高級の茶葉を用意してお待ちしております!」
リゲルは脱兎の如く走り去っていった。
「……はあ」
私はその場にへたり込んだ。
「追い出してもらうはずが、なんで信者を増やしてるのよ、私……」
そこへ、柱の陰からパチパチと拍手が聞こえた。
「見事だな、ミリオネ」
「……アレク」
いつの間にか、皇帝陛下がニヤニヤしながら立っていた。
「私の最も融通の利かない部下を、わずか数分で手懐けるとは」
「手懐けてないわよ。餌(正論)を与えただけ」
「リゲルは優秀だが、真面目すぎて視野が狭いのが欠点だった。君のおかげで、彼も一皮剥けるだろう」
アレクシスが近づいてきて、私の髪をサラリと撫でた。
「……触らないで。セクハラで訴えるわよ」
「君は本当に、私の欲しいものを全てくれるな」
「欲しくないもの(仕事)ばかり押し付けられてる気がするんだけど」
「ふふ。……さあ、リゲルが待っているぞ。行ってやれ」
「他人事だと思って……! 絶対に残業代請求してやるんだから!」
私はプンスカと怒りながら、リゲルが消えた方向へと歩き出した。
背後でアレクシスが、
「……ますます手放せなくなったな」
と呟いたのを、私はあえて聞こえないふりをした。
嫉妬深い側近?
とんでもない。
ただの「潜在的社畜」だっただけじゃない。
この国の労働環境、どうなってるのよ……。
私の「真のニート生活」への道のりは、まだ遠そうだった。
翌日の昼下がり。
私が優雅に「おやつの時間」を求めて廊下を歩いていると、目の前に立ちはだかる影があった。
銀縁メガネをかけた、神経質そうな美青年だ。
彼は眉間に深い皺を刻み、私を睨みつけている。
「……ミリオネ・ラ・ベル・フルール」
「名前を呼ぶなら『様』をつけてほしいわね。で、何の用? サインなら事務所を通して」
「ふざけるな!」
青年が声を荒らげる。
彼はアレクシスの筆頭補佐官、リゲルだ。
仕事の鬼であり、皇帝アレクシスへの忠誠心が服を着て歩いているような男である。
「貴様のようなふざけた女が、我が国の財務に関わっていること自体が我慢ならん!」
「あら、そう」
私はあくびを噛み殺した。
「だったらクビにしてちょうだい。私もボランティアには飽きてきたところよ」
「……なっ?」
「退職金はいらないわ。その代わり、即日解雇でお願い。あ、離職票はちゃんと書いてね。次の就活に響くから」
私が手を差し出すと、リゲルは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「……何を言っている? 貴様、皇帝陛下の寵愛を笠に着て、この国を乗っ取るつもりなのだろう!」
「はあ? 乗っ取ってどうするのよ。国なんて維持費がかかるだけの巨大な金食い虫じゃない」
私は呆れて肩をすくめた。
「いい? よく聞きなさいメガネ君。私はね、働きたくないの。責任も負いたくないの。毎日ゴロゴロして、美味しいものを食べて、誰にも文句を言われずに生きたいの」
「……は?」
「だから、あなたが『この女は危険だ! 追放しろ!』と陛下に進言してくれるなら、私にとっては救世主よ! さあ、今すぐ行って! 全力で私の悪口を吹き込んで!」
私はリゲルの両手をガシッと握りしめ、目を輝かせた。
「頼んだわよ! 『ミリオネは国庫の金を横領しようとしています』とか『実は隣国のスパイです』とか、適当に嘘をついて!」
「ちょ、ちょっと待て!」
リゲルが慌てて手を振りほどく。
「貴様……正気か? 普通、スパイの疑いをかけられたら処刑だぞ!?」
「処刑は困るけど、追放なら大歓迎よ。国外退去処分になれば、陛下も私を拘束できなくなるでしょ?」
「……つまり、貴様は陛下から逃げたいと?」
「イエス! 高らかにイエスよ!」
私は親指を立てた。
リゲルは混乱のあまり、メガネがずり落ちていることにも気づいていない。
「……信じられん。大陸の覇者である皇帝陛下から、これほど逃げたがる女など……」
「あの男は人使いが荒いのよ。昨日だって『肩が凝った』って私を呼びつけて、一時間もマッサージさせたのよ? 私は整体師じゃないっつの」
「う、羨ましい……!」
「は?」
リゲルがギリリと歯ぎしりをした。
「陛下のお体に触れられるだと!? 私など、この十年間、指一本触れたことなどないのに!」
「……え、そっち?」
私は一歩引いた。
「貴様、まさか陛下と……いや、不敬だ。しかし……!」
「ちょっと、気持ち悪いわよ。嫉妬の方向性がおかしいわ」
私がドン引きしていると、リゲルはハッとして居住まいを正した。
「ご、ごほん! と、とにかく! 私は貴様を認めん! 貴様が提出した『王宮内経費削減案』だが……ここだ!」
彼はバサリと書類を取り出した。
「『夜間の廊下の灯りを半分にする』だと? そんなことをすれば、防犯上のリスクが高まる! 浅はかな案だな!」
彼は勝ち誇ったように私を見下ろす。
どうやら、私を論破して追い出したいらしい。
望むところだ。
私は書類をひったくると、即座に反論を開始した。
「浅はかなのはあなたの思考回路よ。よく読みなさい。私が減らせと言ったのは『貴族専用通路』の灯りだけよ」
「な……?」
「あの通路を使うのは、夜会に出る貴族と、その密会相手くらいでしょ? 薄暗い方が彼らにとっては都合がいいし、むしろムードが出て感謝されるわよ。防犯? あそこには元々、三十メートルおきに衛兵が立ってるじゃない。彼らの夜目を鍛える訓練にもなるわ」
「ぐっ……!」
「それに、この『魔導灯』の燃料費、バカ高いのよ。これを半分にするだけで、年間五十万ガルドの節約。その浮いた金で、衛兵たちの休憩所にコーヒーサーバーを設置した方が、よっぽど士気が上がって防犯効果が高まるわ」
「コ、コーヒーサーバーだと……?」
「現場の兵士はカフェインに飢えてるの。温かいコーヒー一杯で忠誠心が買えるなら安いでしょ?」
私は書類を彼の胸に叩き返した。
「以上。反論があるなら、対案を出してちょうだい。ただし『伝統だから』とか『前例がない』とかいう寝言は却下よ」
リゲルは書類を握りしめ、プルプルと震えていた。
顔が赤い。怒っているのか、恥じ入っているのか。
「……ぐ、ぐうの音も出ない……!」
「出ないなら退いて。おやつの時間が終わっちゃう」
私が横を通り過ぎようとすると、リゲルがガバッと頭を下げた。
「……すまなかった!!」
「えっ!?」
「貴様の言う通りだ……! 私は『伝統』に囚われ、現場の兵士たちの苦労を見ようとしていなかった……! コーヒーサーバー……なんと画期的な福利厚生……!」
「いや、そこまで大袈裟な話じゃ……」
「ミリオネ様! いや、ミリオネ先生!」
リゲルがキラキラした目で私を見上げてくる。
「他にも改善案があれば、ぜひご教示願いたい! 特に、この『文官の残業代未払い問題』についての解決策を!」
「……あのさあ」
私はこめかみを押さえた。
「なんで私の周りには、極端な人間しかいないの? ゼロか百かしかないわけ?」
「お願いします! この通りです!」
リゲルが廊下で土下座の構えを見せる。
通行人のメイドたちがギョッとして見ている。
「わかった! わかったから立ちなさい! あとで見てあげるから!」
「ありがとうございます! では、後ほど私の執務室へ! 最高級の茶葉を用意してお待ちしております!」
リゲルは脱兎の如く走り去っていった。
「……はあ」
私はその場にへたり込んだ。
「追い出してもらうはずが、なんで信者を増やしてるのよ、私……」
そこへ、柱の陰からパチパチと拍手が聞こえた。
「見事だな、ミリオネ」
「……アレク」
いつの間にか、皇帝陛下がニヤニヤしながら立っていた。
「私の最も融通の利かない部下を、わずか数分で手懐けるとは」
「手懐けてないわよ。餌(正論)を与えただけ」
「リゲルは優秀だが、真面目すぎて視野が狭いのが欠点だった。君のおかげで、彼も一皮剥けるだろう」
アレクシスが近づいてきて、私の髪をサラリと撫でた。
「……触らないで。セクハラで訴えるわよ」
「君は本当に、私の欲しいものを全てくれるな」
「欲しくないもの(仕事)ばかり押し付けられてる気がするんだけど」
「ふふ。……さあ、リゲルが待っているぞ。行ってやれ」
「他人事だと思って……! 絶対に残業代請求してやるんだから!」
私はプンスカと怒りながら、リゲルが消えた方向へと歩き出した。
背後でアレクシスが、
「……ますます手放せなくなったな」
と呟いたのを、私はあえて聞こえないふりをした。
嫉妬深い側近?
とんでもない。
ただの「潜在的社畜」だっただけじゃない。
この国の労働環境、どうなってるのよ……。
私の「真のニート生活」への道のりは、まだ遠そうだった。
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