3 / 64
護衛契約
【朝隠しの花】
道中の野営においても、ルシアンはその飄々とした態度をくずさなかった。
旅慣れない者にありがちな、野宿がどうとか、虫がどうとか、そういう考えは持ち合わせていないらしい。
「さすが、手慣れていますね」
野営地を設えるガルドの横で、ルシアンがそれを眺める。手伝いを申し出たところ、邪魔だ、とガルドに待機を言いつけられていた。
ちらりとそちらを横目で見て、ガルドが小さく鼻を鳴らす。
「……お前、そのむずむずする話し方は、ずっとか」
「…………」
――ひとつ、ルシアンが瞬きをする。
それは、何気ない問い。
普段であれば人の口調など気にならないが、この同行者に限っては、ガルドはどうにも隔たりを感じていた。
……すっ、とルシアンが、ガルドの横にしゃがみこむ。
微笑んだ銀の瞳が、責めるでもなく、問い詰めるでもなく、ガルドの視線を奪う。
ほんの少しの沈黙。の、のち。
「――この口調をやめろと言われたのは、初めてだね」
「……、……」
にこり。
それは、これまでの柔和な笑みとは、少し違う笑顔だった。どこか、可笑しそうな、楽しそうな、笑み。
「けれど悪い気はしないね。君のその物言いは、とても好感が持てるよ、ガルド」
ただそこへ置くように、初めて呼ばれた名前は……優しく緩やかに、手招きをするかのようだった。
ガルドの手が、止まる。薪をくべようとしていた指先が、わずかに空中で留まる。
「……っ、……は……」
肩が小さく震える。
そうして隣から目を逸らし、焚き火に薪を、強めに押し込んだ。
「……急に、馴れ馴れしいな」
吐き出すように言ったその声は、低く、掠れていた。なにも怒っていたわけじゃない。
けれど、その一言が内側に何を残したかは――自分でも分かりきっていた。
"名前"を呼ばれることが、こんなにも響くなど、思ってもみなかった。
あの銀の瞳が、責めも命令もなく、ただ"対等に呼んだ"だけだというのに。
「……そんな話し方でも、腹の中は割と黒ぇんじゃねぇのか、お前」
横目でちらりと見る。そうであってくれ、とも思う。
火の揺らぎに照らされ、しゃがみこんだ淡紫の髪が、またふわりと揺れていた。
「ふふ、よく言われるよ、なぜか」
「……チッ、調子狂う」
それだけを言い残して、ガルドは緩慢と立ち上がる。空になった水袋を持って、川の方へと向かおうとする足。
背中に柔らかな視線を感じる。むずかゆい。
だがその一歩は、なぜか昨日よりも、少しだけ軽く感じられた。
何日か、そうして街道を歩いてきて――、ガルドは改めて隣の男を見据えていた。
野営を何度か挟んだ。脅威ではなかったが、魔獣とも何度か遭遇した。
旅慣れていないお坊ちゃんだからこそ雇われたと思っていたが、ルシアンはそういったことにも眉一つ動かさなかった。
風のように抗わず、流れるようにそこにある。――どうにも、これまで係わったどの人種とも違う男だった。
かと思えば、様々なものに興味を持った。野草の種類、魔獣の生態、土地に残る人工物の過去。
そして、その合間にも、銀の瞳はガルドを見る。
その穏やかな声で、名を呼ぶ。少しずつ、こちらの中に居場所を作っていくように。
「ねぇ、ガルド」
やわくルシアンの背が振り返り、またひとつ呼ばれる名前。
ガルドがほんの一瞬、ビクリと目を見開く。……見ていたのがバレたかと思った。
「この辺りにしか咲かない花があると聞いたことがあるんだけど、君は知っているかい?」
「……は、」
――花。
正直ガルドには門外漢の話題だったが、ソロで活動していた冒険者として、噂だけは聞いたことがある。
「……ああ。わかる、多分」
わずかに声を落として、ガルドが応じる。
その視線はまだ逸らされたままだったが、確かに"答える"という選択をしていた。
「ちっと戻るが、街道から外れて東側、丘の上。……この時期なら、咲いてるはずだ」
「本当かい?」
「……いや、多分な」
確か――淡く白い花弁。夜明け前にだけ開き、陽が昇る頃には閉じてしまう。
誰が呼んだか"朝隠し"。
採ることも売ることも難しいが、美しいもの好きには知られた存在だった。
「……そんなもん、見てどうすんだよ」
ぼそりと付け足した問いは、冷やかしではない。ただ、純粋な疑問だった。
比較的安全な街道を外れて、わざわざ寄り道をしてまで――"花を見に行く"などという行為が、これまでの自分の人生には存在しなかった。
けれど、ルシアンの返答を待つまでもなく、もう分かっている気もした。
この男は、そういうものを見るために旅をしている。美しいもの。珍しいもの。知られざるもの。
戦うためでも、守るためでも、稼ぐためでもなく――ただ、"見るため"に。
「……物好きな旅路だな」
「ふふ、慣れてもらわないとね」
舌打ちをしながらも、脚は止まらない。足取りを切り替えて、街道から丘へと続く獣道へ。
赤い瞳は、ちらりと銀を横目に捉える。彼は案内を疑うこともせず、肩先に触れるか触れないかの距離で、名も知らぬ白い花の群生地へと向かっていた。
ガルドの先導のもと、街道から東にある丘の上にルシアンは立っていた。
時刻は夕方。"朝隠し"は咲いていない。細く丸みを帯びた葉と、下を向いて閉じた蕾が丘一面にあるだけだ。
近くでは、ガルドが野営の支度をしている。このままここで夜を明かし、明日の朝、花を見る。そういう予定だ。
「……ガルド、私、薪集めてこようか」
そばの林を指さし、ふと思い立ったように、ルシアンがガルドにそう訊ねた。簡易な天幕を張っていたガルドが、あからさまに眉を吊り上げてそちらを見る。
――ダメかい?という笑顔と、……まじかよ、という渋面。
「……チッ」
再び、舌打ちが一つ。
けれどそれは咄嗟に否定するためのものではなく、どう断るか考えるような一拍にも聞こえた。
ガルドの視線が林の奥を走る。陽は傾き始めているが、まだ薄明るい。
ただ、魔獣の影がゼロとも言えない時間帯。
「……あのな、薪集めに行くっつのは、荷物になるってことだ」
近づきながら、ガルドがルシアンの前にずいと立つ。
そして、背負っていた大剣を地面に下ろし、腰の短剣をベルトから引き抜いた。
「薪を拾うならこれを持て。……これすら持ちたくねぇなら、行くな」
――鞘ごと、差し出される短剣。明らかに、"使い慣れていない人間でも扱えるような"護身具だった。
「……ま、今の時間なら、せいぜい鳥か獣が出るくらいだな」
銀の瞳を真っ直ぐに見据えて、ガルドが静かに続ける。
「帰ってこなかったら、探しに行くのは俺だ。だから言ってんだ」
それだけ告げると、大きな背は再び天幕を張りに戻る。
だがその耳は、ルシアンの足音をひとつも聞き漏らしていなかった。
「ふふ、ありがとうガルド」
どこか嬉しそうな声が、ガルドの背に浴びせられ――思わず振り返りそうになった。……去っていく足音を聞いて、踏みとどまる。
そのまま、林の中に入っていく気配。
が、ガルドから認識できる範囲を意識しているのか、その息遣いは常に浅いところにある。接敵している様子もない。穏やかな足取り。
――カン、カン、と鉄杭と打ち込む音と、さく、と下草を踏みしめる音。
しばらくそうしていたかと思ったが、やがてルシアンは両手に薪を抱え、ガルドの傍へ戻ってきた。
赤い瞳の視線を受け、地面にそれを置く前に立ち止まる。手には、程よく乾燥し、燃えやすそうな枝。
「ガルド、これどう?」
くい、と頭を傾げ、その男は微笑んだ。
「……上等だ」
一拍置いて、ガルドもそう返す。薪の質も、量も、申し分ない。
だが、それ以上に――"勝手に遠くまで行かない"という、その距離感が気に入った。
「……初めてのくせに、筋悪くねぇな」
それは、素直な評価。いつもなら誰かの努力や律儀さにいちいち口を挟まない男だが、この相手には、なぜか言葉が出る。
受け取った枝をくべながら、ちらりとルシアンの手元を見る。
細い指。だが、土も付いていなければ、傷もない。
「ちゃんと掴んで運んだか?……魔法で浮かせたわけじゃねぇよな」
冗談めかした口ぶりだったが、赤い瞳は冗談では済まさない光を宿していた。
本気で"ちゃんとやったか"を問うていた。
「浮かせるなんて、そんなこと……」
言いかけたルシアンが――あ、という顔をした。言葉がぷつりときれれば、ぴくりと赤い瞳が細くなる。……なんかあるのか、という視線だった。
「ガルド、あのね、回復魔法が使えるよ、私」
ひらり、自分の手のひらをガルドにさらして、ルシアンがすまなさそうに笑う。なにも隠していたわけではない。ガルドが怪我を負わないため、披露する場がなかった。
つまりは、薪集めでついた傷は、治していたということ。
「泥もね、魔法できれいにしてきた。"きよら"っていう生活魔法だよ」
ガルドの口角が、ほんの数ミリ上がる。
それはまるで、必死に"働いてきた"アピールをしているかのようだった。
「……ああ、なるほどな」
焚き火の支度を整えながら、ガルドが低く笑う。
鼻で笑ったように聞こえるかもしれないが、そこには確かな"受け入れ"の響きがあった。
「手ぇ抜いてねぇのに、綺麗に見えるってのは……魔術師のズルいとこだな」
その視線を緩く、自分の手元に落ちる。取り出した火打ち金に短剣を打ち付け、――キン、キン、と火をつける仕草もどこか軽い。
どこか、肩の力が抜けたようにも見えた。
「……ったく、褒められたいガキみてぇだったな、今の」
「……黙ってたわけじゃないよ、すまないね」
ぱちり、と弾けだす火に照らされて、赤い瞳がじっとルシアンを見る。その眼差しには敵意も試す色もなく、ただ――静かに、そこにいた。
「……わかった」
不意に、ぽつりと落とされた言葉。
それは、魔法への礼でも、薪への礼でもなく。
目に見えぬ心遣いと、気配を乱さぬ距離感と――何より、"置き去りにされなかった"ことへの、素直な感謝だった。
――夜。
簡単な食事を済ませ、ガルドは焚き火に薪をくべていた。その傍らでは、ルシアンが小さな手帳を開いている。
何かを書き込むでもなく、しばしそれを眺めていたようだったが……ぱたりと表紙を閉じ、柔らかく笑んだ銀の瞳がガルドを向いた。
「今日の夜番はどちらからにする?」
「ん……」
笑顔のまま当然のように問いかけられ、ガルドがそちらに目をやる。
ルシアンは、夜の見張りも進んで受け入れた。片方が見張り、片方が仮眠。それをいつも夜半過ぎに交代する。順番はその日の気分。
元来ガルドは他人の前で眠れる質ではなかったが、この夜番は自然と受け入れられた。
「……俺が先にやる」
焚き火に火の粉が舞う中、低い声が短く応じる。
気遣ったり、順番を気にしたり、そういうつもりはない、が。
「……昨日はお前が先だったろ。順番だ」
「うん、わかった」
適当に言い訳をつければ、穏やかな一言だけが返ってくる。焚き火の炎が、赤い瞳をちらちらと照らす。
手帳を革鞄にしまい、仮眠の支度をし始めたルシアンを見て、ガルドの手がおもむろに足元にあった外套をつまみ、それを軽く放ってみせた。
「わ、なんだい」
「……夏でも高地は冷える。寝るなら羽織って寝ろ」
ぶっきらぼうな声。視線はあくまで炎に向けたまま。
天幕下の仮眠用の寝具は一通り揃えてはある、が……それでも、この時はそうしたかった。
ルシアンも特にそれを気にするでもなく、足元に乱雑に落ちた大きな外套に手をかける。両手で持ち上げ広げてみようとした、が、……重い。
重厚な作りで、厚手の防刃布。裏地には断熱素材。重量もなかなかだった。
それを見て、ガルドが鼻を鳴らす。さながら――非力め、というような顔。
ふふ、と小さく笑いながら何とか肩にかければ、全身がすっぽりとくるまれた。
ガルドの長身を易々と覆えるマント型のそれは、そこらの毛布よりも暖かい。
「……うん、重いけど暖かいね。ありがとう、借りるよ」
柔らかく呟いたルシアンが、そのまま天幕の下へもぐりこんでいく。
どうやらそれを、気に入ったようだった。
「…………」
焚き火の向こう、天幕の中へすっと消えていく淡い影。
その背に外套がふわりとかかって、地面まで引きずっているのが見えた。
――"どちらからにする?"
笑顔でそんなことを聞かれる日が来るとは、思ってもいなかった。
焚き火の薪をもう一本足せば、パチ、と音が鳴る。
ガルドはあらためて静かに腰を落ち着け、見張りの構えに入る。だが意識は、隣の柔らかな気配を最後まで追っていた。
「……寝てる間に蹴飛ばすなよ」
ぽつりとそう捨てながらも、ガルドの口元はわずかに緩んでいた。ほんのひと欠け。無意識に近い形で。
風が、森を撫でるように通り抜ける。火の粉が揺れて、灰がひとつ、空へと昇った。
視線は焚き火から外さない。耳は天幕の気配を聞いている。
衣擦れの音、寝返りを打つ音。息を整える音、何も異常のない"安心"の音。
――あんな奴が、旅なんかできるのかと思っていた。だがこんなもん、誰より野営に馴染んでやがる、と目を伏せる。
「……変な奴だ」
誰にも聞かれないように、そう呟く。炎の揺らぎが、ひときわ赤くなった。
ガルドは目を細め、ゆっくりと大剣の位置を確かめる。
その夜番は、妙に長く、妙に静かだった。
その後夜半過ぎにガルドが声をかければ、ルシアンはもぞりと天幕から這い出てきた。
外套をぐるりとまとったまま、護衛の横へ腰かける。
ガルドがそちらを見やれば、眠そうに焚き火を眺める横顔。
外套返そうか、という顔と、これ外したら寒いな、という顔、半々だった。
動きを止めたルシアンに、……やや口角も上がるというもの。
「……あったけぇか」
「……暖かいね……」
……沈黙。
そうしてしばしの逡巡のすえ、思い切ったようにルシアンがそれをばさりと外した。
引きずるようにガルドにそれを返し、焚き火の向こうへと腰かけ、笑う。
「"朝隠し"、ガルドも見るよね?夜明け前に起こすよ」
視界の端で、丘の上を見やる銀の瞳。
まだ月は天高かったが、その眼差しはもう夜明けの花を見ていた。
「……ああ。見る」
返された外套を無造作に背負いながら、ガルドも短く頷く。その声音には、いつもの無骨さと違う、どこか柔らかな響きが混じっていた。
火越しに向かい合う姿。静けさの中、風が木々の隙間を抜ける。ルシアンの淡い髪が揺れて、月明かりを柔らかく受けていた。
「……花なんざ、ただの草にしか見えねぇと思ってたけどな」
薪を組み直しながら、ぽつりと呟く声。
「お前とじゃなきゃ、わざわざ見に来なかっただろうよ」
火を弄ぶわけでもなく、そっと枝を寄せる手元。
その向こうの銀の瞳は、言葉の意味を理解しても、たぶん茶化さないだろうと思った。
だから言えた。
この旅が、"ただの護衛"ではなくなり始めていることを。
「……起こせよ。寝坊したら文句言うからな」
ひとつだけ、その赤い瞳が瞬いて、けれどすぐに逸らされる。
そのまま天幕へ引っ込んでいく背は、心なしか夜の空気に馴染んでいた。
まるで、"ここから見える景色"に、居場所を感じ始めているかのように。
――【朝隠しの花】
あなたにおすすめの小説
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
神子は二度、姿を現す
江多之折(エタノール)
BL
1/7外伝含め完結
ファンタジー世界で成人し、就職しに王城を訪れたところ異世界に転移した少年が転移先の世界で神子となり、壮絶な日々の末、自ら命を絶った前世を思い出した主人公。
死んでも戻りたかった元の世界には戻ることなく異世界で生まれ変わっていた事に絶望したが
神子が亡くなった後に取り残された王子の苦しみを知り、向き合う事を決めた。
戻れなかった事を恨み、死んだことを後悔し、傷付いた王子を助けたいと願う少年の葛藤。
王子様×元神子が転生した侍従の過去の苦しみに向き合い、悩みながら乗り越えるための物語。
※小説家になろうに掲載していた作品を改修して投稿しています。
描写はキスまでの全年齢BL
恋をあきらめた美人上司、年下部下に“推し”認定されて逃げ場がない~「主任が笑うと、世界が綺麗になるんです」…やめて、好きになっちゃうから!
中岡 始
BL
30歳、広告代理店の主任・安藤理玖。
仕事は真面目に、私生活は質素に。美人系と言われても、恋愛はもう卒業した。
──そう、あの過去の失恋以来、自分の心は二度と動かないと決めていた。
そんな理玖の前に現れたのは、地方支社から異動してきた新入部下、中村大樹(25)。
高身長、高スペック、爽やかイケメン……だけど妙に距離が近い。
「主任って、本当に綺麗ですね」
「僕だけが気づいてるって、ちょっと嬉しいんです」
冗談でしょ。部下だし、年下だし──
なのに、毎日まっすぐに“推し活”みたいな視線で見つめられて、
いつの間にか平穏だったはずの心がざわつきはじめる。
手が触れたとき、雨の日の相合い傘、
ふと見せる優しい笑顔──
「安藤主任が笑ってくれれば、それでいいんです」
「でも…もし、少しでも僕を見てくれるなら──もっと、近づきたい」
これは恋?それともただの憧れ?
諦めたはずの心が、また熱を持ちはじめる。
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。