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Chapter5
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今日は厄日なのか。再び、道路に身体を打ち付ける。が、衝撃は思ったよりも少なかった。あれ? と思っていると。
「尚哉っ! 大丈夫かっ!?」
怒鳴るような声が届く。それに反応すれば、酷く心配した間宮の顔があった。
『なぜ?』
『どうして?』
その単語はすぐ浮かんだが、そ葉にするよりも早く、綾瀬は頷く。今、それを問いただしても何も始まらないと、瞬時に察したからだ。
「よかった……」
間宮は、それ以上言葉にならない様子で、綾瀬同様、路肩にしゃがみ込む。しかし。
すぐに、支える腕に力がこもった。
「なに?」
何が起こったのかわからなくて、尋ねれば。
「お前……っ!」
聞こえたのは、違う方向からの声。
はっ、となってそちらを見つめれば。怒りを隠そうともしない、男が一人。
ビクリ、となった綾瀬に対し。間宮は、睨むようにその男……、濱田を見つめる。
「……まだ、話終わってねぇんだよ。ソイツ、こっちによこしてくれない?」
「あんたさ」
傲慢、と言ってもいい濱田の要求に、間宮は表情一つ変えずに告げる。
「今やってること、立派な犯罪だけど。大企業の社長とあろうお方が、こんな事で面汚していいわけ?」
確かにそうだ。
誘拐に脅迫罪、もう一つ傷害罪も加わってもおかしくない。間宮の言い分は正しい。が。
「そんなの、ソイツが言わなきゃいいだけのことだろ?……な?『なおや』」
濱田は、見たことがないほどの優しい面持ちで、綾瀬に言う。
それを受けて、腕の中の身体がブルリと震えたのを、間宮は直に感じた。
表情に対し、男の瞳は怒りを含んだままなのだ。それは、『社長』という地位にたつには必要な度胸なのかもしれない。
降りかかる火の粉は、どんな手段を使っても振り払う。振り払えないのなら、強引に消せばいい。
その大元が、たとえ自分に非があっても。しかし。
「アンタがそう言う態度に出るとさ。……この車、潰れるけどそれでいい?」
呆れたように間宮は苦笑し、ある一点を指さす。そこには。
「ま……っ!」
『ママっ!』と言おうとして、綾瀬は慌ててその言葉を飲み込んだ。
何故なら。
そこにいた『ママ』は、いつもなら絶対にしない、完全に男の姿をしていたからだ。
元、自衛隊で鍛え上げた身体は。先ほどまで綾瀬が連れ込まれていた車の前で仁王立ちをし、行く手を阻んでいる。
先ほどの急ブレーキは、これが原因か、と、ようやく綾瀬は納得した。たとえ命令されたとしても、人を轢くことは運転手にはできない。真澄のとった行動は無謀ではあるが、ある意味いい判断だ。
「アンタが下手な行動に出たら。あの人、この車くらい簡単に破壊するからね。それか、無理に走らせて轢く? でもその場合、俺達が証人だ。アンタがやったことも含めて全部、警察に持っていく。……さ。どうする?」
間宮は、更に続ける。
濱田は黙り込み、悔しそうに唇を噛む。
何があったかわからないが。
どうにかこうにかして、二人は綾瀬の居場所を突き止めたのだろう。
それで、こんな手段に出た。そして、今までの経緯と現状からして、明らかに、濱田の方が分が悪い。
「……出せ」
バタン、と扉を閉め。濱田は運転手に告げる。命じられた男は、目の前の人物の脇を通り抜け、車は去って行く。
その様子を。
三人は、言葉もなく見送った。
「尚哉っ! 大丈夫かっ!?」
怒鳴るような声が届く。それに反応すれば、酷く心配した間宮の顔があった。
『なぜ?』
『どうして?』
その単語はすぐ浮かんだが、そ葉にするよりも早く、綾瀬は頷く。今、それを問いただしても何も始まらないと、瞬時に察したからだ。
「よかった……」
間宮は、それ以上言葉にならない様子で、綾瀬同様、路肩にしゃがみ込む。しかし。
すぐに、支える腕に力がこもった。
「なに?」
何が起こったのかわからなくて、尋ねれば。
「お前……っ!」
聞こえたのは、違う方向からの声。
はっ、となってそちらを見つめれば。怒りを隠そうともしない、男が一人。
ビクリ、となった綾瀬に対し。間宮は、睨むようにその男……、濱田を見つめる。
「……まだ、話終わってねぇんだよ。ソイツ、こっちによこしてくれない?」
「あんたさ」
傲慢、と言ってもいい濱田の要求に、間宮は表情一つ変えずに告げる。
「今やってること、立派な犯罪だけど。大企業の社長とあろうお方が、こんな事で面汚していいわけ?」
確かにそうだ。
誘拐に脅迫罪、もう一つ傷害罪も加わってもおかしくない。間宮の言い分は正しい。が。
「そんなの、ソイツが言わなきゃいいだけのことだろ?……な?『なおや』」
濱田は、見たことがないほどの優しい面持ちで、綾瀬に言う。
それを受けて、腕の中の身体がブルリと震えたのを、間宮は直に感じた。
表情に対し、男の瞳は怒りを含んだままなのだ。それは、『社長』という地位にたつには必要な度胸なのかもしれない。
降りかかる火の粉は、どんな手段を使っても振り払う。振り払えないのなら、強引に消せばいい。
その大元が、たとえ自分に非があっても。しかし。
「アンタがそう言う態度に出るとさ。……この車、潰れるけどそれでいい?」
呆れたように間宮は苦笑し、ある一点を指さす。そこには。
「ま……っ!」
『ママっ!』と言おうとして、綾瀬は慌ててその言葉を飲み込んだ。
何故なら。
そこにいた『ママ』は、いつもなら絶対にしない、完全に男の姿をしていたからだ。
元、自衛隊で鍛え上げた身体は。先ほどまで綾瀬が連れ込まれていた車の前で仁王立ちをし、行く手を阻んでいる。
先ほどの急ブレーキは、これが原因か、と、ようやく綾瀬は納得した。たとえ命令されたとしても、人を轢くことは運転手にはできない。真澄のとった行動は無謀ではあるが、ある意味いい判断だ。
「アンタが下手な行動に出たら。あの人、この車くらい簡単に破壊するからね。それか、無理に走らせて轢く? でもその場合、俺達が証人だ。アンタがやったことも含めて全部、警察に持っていく。……さ。どうする?」
間宮は、更に続ける。
濱田は黙り込み、悔しそうに唇を噛む。
何があったかわからないが。
どうにかこうにかして、二人は綾瀬の居場所を突き止めたのだろう。
それで、こんな手段に出た。そして、今までの経緯と現状からして、明らかに、濱田の方が分が悪い。
「……出せ」
バタン、と扉を閉め。濱田は運転手に告げる。命じられた男は、目の前の人物の脇を通り抜け、車は去って行く。
その様子を。
三人は、言葉もなく見送った。
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