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久々の日本。そのことに、いったん安堵の息を吐く。しかし、すぐに代わりのボディーガードに案内されたことによって、自らの立場を思い知らされる。
乗りこんだ車の後部座席で、鷲尾は苦く笑った。
彼と、隣で眠そうに座っている水無瀬の出会いは幼い頃。社交パーティーでのことだった。親に連れられ、飽き飽きし、テラスの椅子に腰掛けていた水無瀬に、たまたま見つけた鷲尾が話しかけたのが始まり。同年代であること、お互いに後継者と言うことから話が合い、仲良くなった。本来ならば、ライバル、と言っていい関係でもあるのだが、現在彼らは手を組み、あるプロジェクトを進めている。
「一真」
「ん?」
「朔夜くんに会わなくていいの?」
急に声をかけられ、ああ……、と。空返事をする。会いたいのは当然のこと。だが。それには。
「ふふっ。大丈夫だよ」
ふんわりと笑みを見せ。水無瀬は告げる。彼独特の、柔らかさと口調。
必要な単語がかなり抜けてはいるが、長年のつきあいである鷲尾には伝わる。水無瀬は、普段のほのぼのとした様子からは全くイメージがつかないが、仕事は完璧にこなし、人を見る目にも長けている。
その、彼が言うのなら。
「すみません。ちょっと、寄りたいところがあるんですけれど……」
言葉とともに。鷲尾は、荻原に行き先を告げた。
車は、とある施設の中へ入る。病院と研究所が併設されたセンターとして、世間に走られていた。
鷲尾は車を降り、建物の中へ。車内で連絡を取り合っていたことから、きっとすぐに逢えるだろう。
この寄り道は、後のスケジュールを過密なものにするが。しばらく寄り添うことができなかったのだから少しでも、と思うのは当然のこと。
「水無瀬さんはどうします?このまま待ちますか?」
運転席の荻原が問う。
「んー。……じゃあ、ちょっと散歩しても?」
「構いませんが。僕が護れる範囲にしてくださいね」
ニコリ、と人好きのする笑顔で彼は告げる。
「……ついたりしないの?」
「ええ。鷲尾さんを待たないとですし、それに。ここのセキュリティについてはすでに調べてあるんです」
「えっ?」
「だって。『番』でしょ?鷲尾さんの。僕達が護るのに、十分値する人だ」
表情を崩さぬまま、荻原は告げる。それに水無瀬は表情を硬くする。
「あの、さ……」
信用、してはいるが。
表に立つ自分たちならともかく、『彼』に危害が及ぶことがあれば。
「僕達は、ここでも何度も依頼を受け、仕事をしてる。だから知ってるんですよ。大丈夫」
水無瀬の危惧を理解してか、多少砕けた口調で荻原が言えば。
すべてが腑に落ちたように、水無瀬も納得した。
乗りこんだ車の後部座席で、鷲尾は苦く笑った。
彼と、隣で眠そうに座っている水無瀬の出会いは幼い頃。社交パーティーでのことだった。親に連れられ、飽き飽きし、テラスの椅子に腰掛けていた水無瀬に、たまたま見つけた鷲尾が話しかけたのが始まり。同年代であること、お互いに後継者と言うことから話が合い、仲良くなった。本来ならば、ライバル、と言っていい関係でもあるのだが、現在彼らは手を組み、あるプロジェクトを進めている。
「一真」
「ん?」
「朔夜くんに会わなくていいの?」
急に声をかけられ、ああ……、と。空返事をする。会いたいのは当然のこと。だが。それには。
「ふふっ。大丈夫だよ」
ふんわりと笑みを見せ。水無瀬は告げる。彼独特の、柔らかさと口調。
必要な単語がかなり抜けてはいるが、長年のつきあいである鷲尾には伝わる。水無瀬は、普段のほのぼのとした様子からは全くイメージがつかないが、仕事は完璧にこなし、人を見る目にも長けている。
その、彼が言うのなら。
「すみません。ちょっと、寄りたいところがあるんですけれど……」
言葉とともに。鷲尾は、荻原に行き先を告げた。
車は、とある施設の中へ入る。病院と研究所が併設されたセンターとして、世間に走られていた。
鷲尾は車を降り、建物の中へ。車内で連絡を取り合っていたことから、きっとすぐに逢えるだろう。
この寄り道は、後のスケジュールを過密なものにするが。しばらく寄り添うことができなかったのだから少しでも、と思うのは当然のこと。
「水無瀬さんはどうします?このまま待ちますか?」
運転席の荻原が問う。
「んー。……じゃあ、ちょっと散歩しても?」
「構いませんが。僕が護れる範囲にしてくださいね」
ニコリ、と人好きのする笑顔で彼は告げる。
「……ついたりしないの?」
「ええ。鷲尾さんを待たないとですし、それに。ここのセキュリティについてはすでに調べてあるんです」
「えっ?」
「だって。『番』でしょ?鷲尾さんの。僕達が護るのに、十分値する人だ」
表情を崩さぬまま、荻原は告げる。それに水無瀬は表情を硬くする。
「あの、さ……」
信用、してはいるが。
表に立つ自分たちならともかく、『彼』に危害が及ぶことがあれば。
「僕達は、ここでも何度も依頼を受け、仕事をしてる。だから知ってるんですよ。大丈夫」
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すべてが腑に落ちたように、水無瀬も納得した。
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