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次の日。聞きたいことがあると二人に告げた水無瀬は、予定より早くホテルを出て、彼らの家に向かう。運転は、もちろん荻原だ。
「朝早くからごめん。いろいろと……」
「いえ、これが僕たちの仕事ですから。気にしないで」
水無瀬が告げると、笑顔で荻原は答える。
当然と言えば当然の一言だが、今までのSPのような固さはなく、それが心地いい。
いずれ家を継ぐ立場にはなるが、本来ならここまでの警護は必要ない。なのにこうなったのは、活動を始めたせい。
頭が固い輩はいつの時代もいるもの。
『オメガという下等生物は社会のために下等であるべき』という、愚かなアルファや一部のベータのせいで、邪魔だけならとにかく、身の危険を感じることも多々あった。
護衛を依頼しているのは、本人達ではなく、鷲尾の家族。入江には、表向きには『家政夫』として専属に護衛にあたっている人物がいる。
鷲尾は、自らの番の存在を名を伏せて公表している。そのためだ。
そうこうしているうちに、鷲尾の自宅の近辺までたどり着く……と。
「あれ?」
「お迎え、来てますね」
荻原の言葉どおり、道に立っている者が。
「ここでいいですか?」
「うん。でも、そんな時間はかからないと思うけど」
「わかりました。じゃあ、僕はこの辺を適当に車で流してます。終わったら呼んでください」
今後を確認し合い、水無瀬は車を降りた。
「秀くーんっ!!」
「わっ!結斗声デカいって!!」
荻原が走り去るのを見届け、立っていた長身の元へ向かうと大声での歓迎を受ける。水無瀬が注意すると笑顔のまま、「ごめんごめんっ」と彼は謝罪した。
反省がないように聞こえてしまうが、これが特徴。
見た目は後先考えずに走り出しそうだが、実は周りをしっかり見ている。
「なんかさっ。秀くんも一真も久しぶりだから。嬉しくって」
「だからってさぁ……」
「うん、わかってる。でもこの辺は大丈夫だよ。何かあったらすぐ、俺の所に連絡来るし、その前に潰してるしねっ」
できもしないウインクをしながら、なかなか物騒なことを言うが。それが彼の仕事なのだから仕方がない。
佐々木結斗。
彼が、入江達のために鷲尾が雇った専属のボディーガード。ベータではあるが、ずば抜けた身体能力と運の良さで数々の危機を乗り越えてきた。
現在は、何かと不器用な入江のために、家事や育児まで手伝っている。鷲尾よりわずかに長身ではあるが、家事全般が得意であること、明るい性格と笑顔で、見た目はボディーガードと言うより保育士、と言った方が似合っている彼は、入江達のボディーガードに適任だった。
鷲尾達には幼子がいる。
その小さな命を護るのも、佐々木の役目。
「朝早くからごめん。いろいろと……」
「いえ、これが僕たちの仕事ですから。気にしないで」
水無瀬が告げると、笑顔で荻原は答える。
当然と言えば当然の一言だが、今までのSPのような固さはなく、それが心地いい。
いずれ家を継ぐ立場にはなるが、本来ならここまでの警護は必要ない。なのにこうなったのは、活動を始めたせい。
頭が固い輩はいつの時代もいるもの。
『オメガという下等生物は社会のために下等であるべき』という、愚かなアルファや一部のベータのせいで、邪魔だけならとにかく、身の危険を感じることも多々あった。
護衛を依頼しているのは、本人達ではなく、鷲尾の家族。入江には、表向きには『家政夫』として専属に護衛にあたっている人物がいる。
鷲尾は、自らの番の存在を名を伏せて公表している。そのためだ。
そうこうしているうちに、鷲尾の自宅の近辺までたどり着く……と。
「あれ?」
「お迎え、来てますね」
荻原の言葉どおり、道に立っている者が。
「ここでいいですか?」
「うん。でも、そんな時間はかからないと思うけど」
「わかりました。じゃあ、僕はこの辺を適当に車で流してます。終わったら呼んでください」
今後を確認し合い、水無瀬は車を降りた。
「秀くーんっ!!」
「わっ!結斗声デカいって!!」
荻原が走り去るのを見届け、立っていた長身の元へ向かうと大声での歓迎を受ける。水無瀬が注意すると笑顔のまま、「ごめんごめんっ」と彼は謝罪した。
反省がないように聞こえてしまうが、これが特徴。
見た目は後先考えずに走り出しそうだが、実は周りをしっかり見ている。
「なんかさっ。秀くんも一真も久しぶりだから。嬉しくって」
「だからってさぁ……」
「うん、わかってる。でもこの辺は大丈夫だよ。何かあったらすぐ、俺の所に連絡来るし、その前に潰してるしねっ」
できもしないウインクをしながら、なかなか物騒なことを言うが。それが彼の仕事なのだから仕方がない。
佐々木結斗。
彼が、入江達のために鷲尾が雇った専属のボディーガード。ベータではあるが、ずば抜けた身体能力と運の良さで数々の危機を乗り越えてきた。
現在は、何かと不器用な入江のために、家事や育児まで手伝っている。鷲尾よりわずかに長身ではあるが、家事全般が得意であること、明るい性格と笑顔で、見た目はボディーガードと言うより保育士、と言った方が似合っている彼は、入江達のボディーガードに適任だった。
鷲尾達には幼子がいる。
その小さな命を護るのも、佐々木の役目。
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