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事件簿007 『名人長二』その5
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結局、捨て子の親は名乗り出てこなかった。
赤ん坊は貴陽と名付けられ、手崎夫婦の養子となり、すくすくと成長した。
名前のせいではないだろうが、手先がとても器用で几帳面な性格は職人向きだったのだろう。
中学生の頃には工場の職人でも真似の出来ない精密な家具を作れるようになっていた。
そして、貴陽が成人式を迎えた日、歳蔵は真実を告げた。
「実は、お前はワシ達とは血が繋がっていないんだ。これまで隠していてすまなかった。許してくれ・・・。」
「何を謝ってるんだよ、おやじ。そんなこと、とっくに知ってたよ。オヤジはオヤジ。母さんは母さん。しかも俺の命の恩人だ。二人とも今までどおり俺と一緒に暮らしてくれるか?」
それを聞いた歳蔵と良美は、堪えていたものがあふれ出し大声で泣いた。
そして二人は改めて思った。
貴陽は本当に神様の贈り物だったのだと。
さて、話は事件の1年前の2034年。
ある日届いたばかりの1枚の注文書に貴陽の目は惹き付けられていた。
『材料費は制限無し。日本で手に入る最高の素材を使って10室分の家具一式を作って欲しい。』
「これは本物か?それともイタズラか?」
赤ん坊は貴陽と名付けられ、手崎夫婦の養子となり、すくすくと成長した。
名前のせいではないだろうが、手先がとても器用で几帳面な性格は職人向きだったのだろう。
中学生の頃には工場の職人でも真似の出来ない精密な家具を作れるようになっていた。
そして、貴陽が成人式を迎えた日、歳蔵は真実を告げた。
「実は、お前はワシ達とは血が繋がっていないんだ。これまで隠していてすまなかった。許してくれ・・・。」
「何を謝ってるんだよ、おやじ。そんなこと、とっくに知ってたよ。オヤジはオヤジ。母さんは母さん。しかも俺の命の恩人だ。二人とも今までどおり俺と一緒に暮らしてくれるか?」
それを聞いた歳蔵と良美は、堪えていたものがあふれ出し大声で泣いた。
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貴陽は本当に神様の贈り物だったのだと。
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ある日届いたばかりの1枚の注文書に貴陽の目は惹き付けられていた。
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